試合で負けたとき、競争に敗れたとき、または目標を達成できなかったときなど、「負ける」という概念は日常生活の様々な場面で表現する必要があります。日本語では単に「負ける」や「敗北」と言いますが、英語ではシチュエーションやニュアンスによって使い分ける単語が多数存在します。
スポーツの試合、ビジネスの場面、戦争や競争など、状況に応じて適切な表現を選ぶことで、より正確に自分の意図を伝えることができます。
この記事では、「負ける・敗北」を表す英単語の違いや使い分けについて、初心者にもわかりやすく解説していきます。
負ける・敗北を表す英単語

「負ける・敗北」を表す英単語には、以下のようなものがあります。
負ける・敗北を表す英単語
- lose(ルーズ)- 最も一般的な「負ける」を表す動詞
- defeat(ディフィート)- 「敗北」や「打ち負かす」を表す名詞・動詞
- loss(ロス)- 「損失」「負け」を表す名詞
- failure(フェイリャー)- 「失敗」というニュアンスの「負け」
- be beaten(ビー ビートゥン)- 「負かされる」を意味する受動態表現
- be defeated(ビー ディフィーテッド)- 「敗北を喫する」という表現
- suffer a defeat(サファー ア ディフィート)- 「敗北を被る」というフォーマルな表現
- admit defeat(アドミット ディフィート)- 「敗北を認める」という表現
- vanquish(ヴァンクイッシュ)- 「完全に打ち負かす」という意味の動詞
- trounce(トラウンス)- 「完全に負かす」「圧倒的に勝つ」という意味の動詞
これらの単語は、使われる状況やニュアンスによって使い分ける必要があります。それぞれの単語について、発音、意味、使い方を詳しく見ていきましょう。
負ける・敗北を表す英単語の発音・意味・特徴と使い分け【例文あり】
「負ける・敗北」に関連する英単語は多岐にわたりますが、それぞれには微妙なニュアンスの違いがあります。ここからは各英単語の詳細な意味や使い分け方、実用的な例文を紹介していきます。
lose(ルーズ)
意味と特徴
loseは、最も一般的に使われる「負ける」を意味する動詞です。スポーツの試合や勝負事で相手に負けることを表します。また「失う」という意味もあります。過去形と過去分詞は「lost」になります。発音は「ルーズ」で、「loose(緩い)」と混同しないように注意が必要です。
使い分けのポイント
日常会話やカジュアルな場面で最もよく使われる「負ける」の表現です。「試合に負ける(lose a game)」という言い方や、「〜に負ける(lose to someone)」という表現がよく使われます。また「物を失う」「道に迷う」という意味でも使用されるため、文脈に注意しましょう。
例文
- I lost the chess game yesterday.(私は昨日のチェスの試合に負けました。)
- Our team lost to the visitors.(私たちのチームは訪問チームに負けました。)
- Don’t lose heart if you lose the match.(試合に負けても落胆しないでください。)
defeat(ディフィート)
意味と特徴
defeatは、名詞では「敗北」、動詞では「打ち負かす」を意味します。スポーツや戦争、選挙などの文脈でよく使われ、loseよりもフォーマルな印象があります。発音は「ディフィート」です。
使い分けのポイント
重要なポイントは、defeatを動詞として使う場合と名詞として使う場合で意味が逆になることです。動詞の場合は「(相手を)打ち負かす」という意味で勝つ側の行為を表しますが、名詞の場合は「敗北」を意味します。フォーマルな文脈や公式な報告で使われることが多いです。
例文
- Our team defeated the champions last year.(私たちのチームは昨年、チャンピオンチームを打ち負かしました。)
- The defeat was difficult to accept.(その敗北は受け入れがたいものでした。)
- She learned a lot from her defeat.(彼女は敗北から多くを学びました。)
loss(ロス)
意味と特徴
lossは「損失」「負け」を意味する名詞です。スポーツでの敗北だけでなく、ビジネスでの金銭的損失や大切なものを失うことなども表します。発音は「ロス」です。
使い分けのポイント
lossはdefeatよりも広い意味で使われます。スポーツの敗北、ビジネスでの損失、人や物の喪失など、様々な「失う」状況を表現できます。特にビジネスや経済の文脈では「損失」として頻繁に使われます。
例文
- The loss of the final game was disappointing.(決勝戦の敗北は残念でした。)
- The company reported a financial loss last year.(その会社は昨年、財政的損失を報告しました。)
- Three losses in a row affected the team’s morale.(3連敗はチームの士気に影響しました。)
failure(フェイリャー)
意味と特徴
failureは「失敗」を意味する名詞です。目標を達成できなかったことや期待通りの結果が出なかったことを表します。「負け」というよりも「失敗」というニュアンスが強いです。発音は「フェイリャー」です。
使い分けのポイント
単なる勝負の敗北というよりも、目標達成の失敗や期待に応えられなかったことを強調します。プロジェクトの失敗、試験に落ちること、計画が上手くいかなかったことなどを表現する場合に適しています。
例文
- The project ended in failure.(そのプロジェクトは失敗に終わりました。)
- Failure is often the first step to success.(失敗はしばしば成功への第一歩です。)
- I see my test failure as a learning opportunity.(私はテストの失敗を学びの機会と考えています。)
be beaten(ビー ビートゥン)
意味と特徴
be beatenは「負かされる」「打ち負かされる」を意味する受動態の表現です。beatの過去分詞形を使った表現で、競争や対決で相手に負けることを表します。発音は「ビー ビートゥン」です。
使い分けのポイント
be beatenは、loseが自分の行為として「負ける」ことを表すのに対し、「相手によって負かされる」というニュアンスが強く、より受動的な印象があります。スポーツや競争の文脈でよく使われます。
例文
- We were beaten by a stronger team.(私たちはより強いチームに負かされました。)
- He has never been beaten in this competition.(彼はこの競技で一度も負かされたことがありません。)
- Our school was beaten in the final match.(私たちの学校は決勝戦で負かされました。)
be defeated(ビー ディフィーテッド)
意味と特徴
be defeatedは「敗北を喫する」を意味する受動態の表現です。defeatの過去分詞形を使った表現で、be beatenよりもフォーマルな印象があります。発音は「ビー ディフィーテッド」です。
使い分けのポイント
be defeatedは、より公式な文脈で使われる表現です。特に選挙、戦争、公式な試合などで「敗北した」「打ち負かされた」と表現する場合に適しています。ニュースや報道でもよく使われます。
例文
- The champion was defeated for the first time.(そのチャンピオンは初めて敗北しました。)
- Our candidate was defeated in the election.(私たちの候補者は選挙で敗北しました。)
- The army was defeated in the final battle.(その軍隊は最後の戦いで敗北しました。)
suffer a defeat(サファー ア ディフィート)
意味と特徴
suffer a defeatは「敗北を被る」を意味するフォーマルな表現です。「suffer(被る)」という動詞と「defeat(敗北)」という名詞を組み合わせた表現で、特に重大な敗北や痛手となる負けを表現する際に使われます。発音は「サファー ア ディフィート」です。
使い分けのポイント
非常にフォーマルな表現で、特にニュースや報道、歴史的な文脈でよく使われます。単に負けたというよりも、「敗北による痛手を被る」というニュアンスがあり、深刻さや重大さを強調します。
例文
- The team suffered a defeat in the championship.(そのチームは選手権で敗北を被りました。)
- The government suffered a defeat in parliament.(その政府は議会で敗北を被りました。)
- After suffering a defeat, they worked harder than ever.(敗北を被った後、彼らはこれまで以上に懸命に働きました。)
admit defeat(アドミット ディフィート)
意味と特徴
admit defeatは「敗北を認める」を意味する表現です。「admit(認める)」という動詞と「defeat(敗北)」という名詞を組み合わせた表現で、負けを素直に認めて降参することを表します。発音は「アドミット ディフィート」です。
使い分けのポイント
特に長く続いた競争や対立の後で、自分の敗北を正式に認めて降参する場面で使われます。選挙での敗北宣言や、困難な課題への挑戦を諦める場面など、公式に敗北を認める状況で使われます。
例文
- After trying for hours, I finally admitted defeat.(何時間も試した後、私はついに敗北を認めました。)
- The candidate admitted defeat in the election.(その候補者は選挙での敗北を認めました。)
- Never admit defeat until you’ve tried everything.(全てを試すまでは決して敗北を認めないでください。)
vanquish(ヴァンクイッシュ)
意味と特徴
vanquishは「完全に打ち負かす」「征服する」を意味する動詞です。特に戦争や競争において、相手を圧倒的に打ち破ることを表します。文学的な表現で、日常会話ではあまり使われません。発音は「ヴァンクイッシュ」です。
使い分けのポイント
defeatよりも文学的で格式高い表現です。歴史的な文脈や物語、詩などで使われることが多く、圧倒的な勝利や征服を表現します。日常会話ではなく、書き言葉として覚えておくと良いでしょう。
例文
- The hero vanquished the evil monster.(その英雄は邪悪な怪物を打ち負かしました。)
- Our team vanquished all opponents in the tournament.(私たちのチームはトーナメントで全ての対戦相手を打ち負かしました。)
- She vanquished her fears and climbed the mountain.(彼女は恐怖心を克服して山に登りました。)
trounce(トラウンス)
意味と特徴
trounceは「完全に負かす」「圧倒的に勝つ」を意味する動詞です。相手を一方的に打ち負かすことを表し、特にスポーツの試合などで大差をつけて勝った場合に使われます。発音は「トラウンス」です。
使い分けのポイント
単に勝つというよりも「大差をつけて勝つ」ことを強調します。スポーツの試合での大勝、議論での圧倒的勝利など、相手をまったく寄せ付けない圧勝を表現するときに使用します。
例文
- Our team trounced the opponents 5-0.(私たちのチームは対戦相手を5対0で圧倒しました。)
- She trounced her rival in the debate.(彼女はディベートで対戦相手を圧倒しました。)
- The champion trounced the challenger in three rounds.(そのチャンピオンは挑戦者を3ラウンドで圧倒しました。)
英単語の比較表
以下に、「負ける・敗北」を表す主な英単語の比較表を示します。これらの違いを理解することで、状況に応じた適切な表現を選べるようになります。
英単語 | 品詞 | フォーマル度 | 主な使用場面 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
lose | 動詞 | 低(日常的) | 日常会話、スポーツ | 最も一般的な「負ける」表現 |
defeat | 動詞/名詞 | 中 | スポーツ、戦争、選挙 | 動詞では「打ち負かす」、名詞では「敗北」 |
loss | 名詞 | 中 | スポーツ、ビジネス、個人的喪失 | 広く「損失」「負け」を表す |
failure | 名詞 | 中 | プロジェクト、試験、目標 | 「失敗」のニュアンスが強い |
be beaten | 表現 | 低(日常的) | スポーツ、競争 | 「負かされる」という受動的表現 |
be defeated | 表現 | 高 | 公式試合、選挙、戦争 | フォーマルな「敗北する」表現 |
suffer a defeat | 表現 | 高 | ニュース、報道、歴史 | 非常にフォーマルな「敗北を被る」表現 |
admit defeat | 表現 | 中 | 降参、敗北宣言 | 「敗北を認める」という意思表示 |
vanquish | 動詞 | 高(文学的) | 文学作品、物語 | 「完全に征服する」という文学的表現 |
trounce | 動詞 | 中 | スポーツ、競争 | 「圧倒的に勝つ」を強調する表現 |
負ける・敗北を表す英単語の使い分け練習問題
以下に、「負ける・敗北」を表す英単語の使い分けを練習するための問題を20問用意しました。適切な英単語を選んで文を完成させてください。
- Our team __ the championship game yesterday.
- The champion __ all challengers in the tournament.
- After trying for hours, I finally had to __ defeat.
- The company reported a significant financial __ last year.
- His army was __ in the final battle.
- The project ended in complete __.
- We were __ by a better team.
- The candidate __ a crushing defeat in the election.
- Our team __ to the champions in the final match.
- The hero __ the evil villain at the end of the movie.
- After three straight __, the team needs to improve.
- I don’t want to __ this game, so I’ll try my best.
- The team was completely __ by their opponents, 7-0.
- His failure to prepare led to his __ in the competition.
- She refused to __ defeat even when the situation seemed hopeless.
- Our company __ a major competitor in the market share battle.
- The army __ a humiliating defeat in the war.
- Don’t __ hope just because you lost one game.
- The knight __ the dragon and saved the kingdom.
- The team has never __ a home game this season.
負ける・敗北を表す英単語に関するよくある質問
- 「lose」と「loose」の違いは何ですか?
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「lose」と「loose」は発音も綴りも似ていますが、全く異なる意味を持ちます。「lose」は「負ける」「失う」という意味の動詞で、発音は「ルーズ」です。一方、「loose」は「緩い」「ゆるい」という意味の形容詞で、発音は「ルース」となります。「I don’t want to lose this game.(このゲームに負けたくない)」と「This shirt is too loose for me.(このシャツは私には大きすぎる)」のように使います。この2つの単語は英語学習者がよく混同する単語ですので、注意しましょう。
- 「defeat」は動詞と名詞でどう使い分けるのですか?
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「defeat」は動詞としても名詞としても使えます。動詞の場合は「(相手を)打ち負かす」という意味になり、「Our team defeated the champions.(私たちのチームはチャンピオンを打ち負かした)」のように使います。名詞の場合は「敗北」という意味になり、「The defeat was difficult to accept.(その敗北は受け入れがたかった)」のように使います。つまり、同じ単語でも品詞によって「勝つ」側と「負ける」側の両方の意味を持つことに注意が必要です。
- スポーツの試合で負けたことを表現する最も一般的な言い方は何ですか?
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スポーツの試合で負けたことを表現する最も一般的な言い方は「lose」を使った表現です。「We lost the game.(私たちは試合に負けた)」や「Our team lost to the champions.(私たちのチームはチャンピオンに負けた)」のように使います。より詳しく状況を説明したい場合は、「We were beaten by a better team.(私たちはより良いチームに負かされた)」や「We suffered a defeat in the final match.(私たちは決勝戦で敗北を喫した)」といった表現も使えます。
- 「failure」と「defeat」の違いは何ですか?
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「failure」と「defeat」はどちらも「失敗」や「敗北」を表しますが、使われる文脈やニュアンスが異なります。「defeat」は主に競争や対決における「敗北」を表し、対戦相手が存在する状況で使われます。一方、「failure」は目標や期待に対する「失敗」というニュアンスが強く、必ずしも対戦相手がいる状況ではなく、試験の不合格やプロジェクトの失敗など、目標達成の失敗を表す場合に使われます。
- 「admit defeat」と「surrender」の違いは何ですか?
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「admit defeat」と「surrender」はどちらも「降参する」という意味を持ちますが、ニュアンスが異なります。「admit defeat」は特に競争や対決において「敗北を認める」という意味で、必ずしも物理的な降伏を意味するわけではありません。一方、「surrender」は「投降する」「降伏する」という意味で、特に戦争や紛争の文脈で、武器を置いて降伏することを表します。日常会話では「I surrender(降参します)」というシンプルな表現もよく使われます。
まとめ

「負ける・敗北」を表す英単語は、使われる状況やニュアンスによって様々な表現があることがわかりました。日常会話では「lose」が最も一般的ですが、より具体的な状況やフォーマルな文脈では、「defeat」「loss」「failure」などの単語や、「be beaten」「suffer a defeat」「admit defeat」などの表現が適切に使い分けられます。
これらの表現を適切に使い分けることで、より正確に自分の意図を伝えることができます。例えば、スポーツの試合での敗北、ビジネスでの損失、プロジェクトの失敗など、状況に合った表現を選ぶことが重要です。また、フォーマルな場面では「be defeated」や「suffer a defeat」など、格式の高い表現を使うことも大切です。
英語学習においては、これらの表現の微妙なニュアンスの違いを理解し、状況に応じて適切な表現を選べるようになることが大切です。練習問題などを通じて使い分けを身につけ、より豊かな英語表現ができるようになりましょう。