英検のリーディング試験では、単語の意味や文法知識に加え、代名詞が何を指しているのかを正確に理解する能力が非常に重要です。
特に長文問題では、代名詞がどの名詞を指しているのかを正確に把握できないと、文章全体の意味を理解できず、結果として問題の正答率が大きく低下してしまいます。
この記事では、代名詞の参照先を見極めるための実践的な方法を、英語初学者にも分かりやすく解説します。
英検リーディング攻略の鍵:代名詞の役割と重要性

英検のリーディングセクションで高得点を取るためには、代名詞の基本と、それが文章内で何を指しているのかを正確に把握するスキルが不可欠です。
代名詞とは何か?
代名詞は、名詞の「代わり」に使う品詞です。
- 役割
- 文章中で既に述べられた人、もの、または事柄を指し示し、同じ言葉の繰り返しを避けるために使われます。
- 英語の特徴
- 英語は特に繰り返しを嫌う傾向が強いため、代名詞の使用頻度が非常に高いです。
主要な代名詞の種類(一例)
代名詞には様々な種類がありますが、特に重要なのが「人称代名詞」です。
| 代名詞 | 意味 | 指す対象の例 | 特徴 |
| it | それは | 単数の物や事柄 | 単数・物 |
| they | それらは/彼らは/彼女らは | 複数の人や物 | 複数 |
| he | 彼は | 単数の男性 | 単数・人 |
| she | 彼女は | 単数の女性 | 単数・人 |
英検合格になぜ代名詞の理解が必須なのか?
英検の長文読解問題では、代名詞が何を指すのかを間違えると、文章全体の理解を誤り、設問に正答できなくなります。
- 具体例
- ある段落で主人公「John」が登場した後、彼は繰り返し「he (彼は)」「his (彼の)」「him (彼を/彼に)」といった代名詞に置き換えられます。
- 求められる力
- これらの異なる形の代名詞が、すべて一貫して「John」という一人の人物を指していることを、瞬時に認識できなければなりません。
「it」が指すものを特定する:最も重要な代名詞の理解
代名詞の中でも特に使用頻度が高く、意味の特定が重要なのが「it」です。
「it」は特定の単一のものを指す「それ」という意味で、正確な英文解釈のためには、この「it」が何を指しているかを特定することが欠かせません。
基本原則:最も直近の「名詞」を特定する
「it」が何を指すかを判断する上で、最初に確認すべきは直前または同じ文の別の部分に登場した名詞です。
| 例文 | 「it」が指すもの | 説明 |
| The book was on the table. It was very old. | book | 直前の名詞(book)が「it」の参照先となる基本パターンです。 |
この「直前の名詞がitの参照先」というルールは多くの場合で適用されますが、必ずしもすべての場合に当てはまるわけではないため、文脈をしっかりと読む必要があります。
直近に見つからない場合の対処法:文をさかのぼる
「it」が指す名詞が直前の文や同じ文の中に見当たらない場合は、さらに前の文をさかのぼる必要があります。
- 段落全体を見直し、論理的に「it」が指すことができる名詞を探します。
- 例えば、2〜3行前に登場した、その段落の重要なテーマとなる名詞が「it」の参照先となっている場合が多くあります。
最終判断:文脈から最も自然な参照先を推測する
たとえ直前に名詞が複数あったとしても、最終的には文脈全体から、どの名詞が「it」の参照先として最も自然かを判断することが大切です。
| 例文 | 「it」が指すもの | 説明 |
| The university opened a new library. Many students visited it. | library | 「it」の直前には university と library の両方がありますが、「学生が訪れる」という文脈から library を指していると考えるのが自然です。 |
人称代名詞の参照先を正確に把握する手法:he, she, they, themの使い分け
人称代名詞(he, she, they, themなど)が文中のどの人物(または複数の人物)を指しているかを正確に把握することは、特に英検のリーディング試験において非常に重要です。
単数と複数の見分け方
代名詞の形から、指し示している対象が単数か複数かを判断します。
- 単数(一人または一つ): he (彼), she (彼女), it (それ)
- 複数(二人以上または二つ以上): they (彼ら/それら), them (彼らを/それらを)
例文
“Mary and John went to the store. They bought some books.”
→ They は「Mary and John」という複数の人物を指しています。
主格と目的格による参照先の確認
人称代名詞は、文中の役割によって形が変わります(格変化)。この格変化も参照先を追跡する手がかりになります。
| 役割 | 男性単数 | 女性単数 | 複数 |
| 主格 (主語) | he | she | they |
| 目的格 (目的語) | him | her | them |
複数の人物が登場する場合の判定
長文問題では複数の人物が登場することがよくあります。その場合、代名詞の形と文脈から参照先を正確に特定します。
例文
“John and Mary met yesterday. He told her about his plans.”
- He (男性単数・主格) → John
- her (女性単数・目的格) → Mary
このように、代名詞が男性単数か、女性単数か、複数かといった情報を活用することで、参照先を確実に特定できます。
指示代名詞の参照先を正確に見極めるためのガイド:this、that、these、thoseの活用術
リーディング試験で頻出する指示代名詞(this, that, these, those)は、文中の特定の対象や概念を指し示す重要な役割を果たします。
これらの参照先を正確に把握することが、文章理解のカギとなります。
「this」と「that」:距離感と文脈上の違い
| 指示代名詞 | 基本的な意味 | リーディング文脈での役割(参照先) | 例文と参照先 |
| this | これ(話者に近いもの) | この段落内で説明されていること、または直前の文全体 | The government announced new policies. → This decision will affect many people.(This = 新しい政策) |
| that | あれ(話者から遠いもの) | 前の段落や別の文脈で登場したもの、過去の事柄 | The market experienced a sudden crash last year. → That event changed the economy.(That = 昨年の市場暴落) |
「these」と「those」:複数形の参照先の判定
| 指示代名詞 | 基本的な意味 | 参照先 | 例文と参照先 |
| these | これら(複数の近いもの) | 直前の文や同じ文中で述べられた複数の対象 | We conducted three surveys. → These surveys provide valuable data.(These = 3つの調査) |
| those | あれら(複数の遠いもの) | 過去や別の文脈で言及された複数の対象 | The company developed several new products. → Those items will be available next month. (Those = 新しい商品) |
特に注意すべきポイント:抽象的な概念の指示
指示代名詞は、具体的な「モノ」だけでなく、抽象的な事柄や概念全体を指すことがあります。
この認識は、特に難易度の高い文章で重要になります。
参照先が「行為」や「事実」全体
- The climate is changing rapidly. → This is a serious concern.(This = 気候が急速に変化しているという事実全体)
参照先を見極めるためのヒント
- 指示代名詞の直前の文や段落に、代名詞が受けられる単数・複数の名詞がないか確認する。
- 適切な名詞がない場合、代名詞の直前の文全体や、そこで述べられている概念を指している可能性を検討する。
文脈から参照先を正確に特定する練習を重ねることで、リーディングの精度が格段に向上します。
関係代名詞による複雑な参照構造を理解する方法
関係代名詞(who, which, that)は、英検のようなリーディング試験で頻出する、文の構造を複雑にする重要な要素です。
これらは直前の名詞(先行詞)を修飾し、その名詞がどのようなものか、あるいは誰であるかを詳しく説明する役割を果たします。
関係代名詞と先行詞の基本ルール
関係代名詞の最も基本的なルールは、常に直前の名詞(先行詞)に関連しているということです。
| 関係代名詞 | 先行詞との関係 |
| who | 人を指す先行詞に使用 |
| which | 人以外(物や事柄、動物)の先行詞に使用 |
| that | 人・人以外のどちらにも使用可能(最も汎用性が高い) |
例文で確認
- The woman → who came here yesterday is a doctor.
- who は直前の先行詞「woman」を指し、この女性について「昨日ここに来た」という追加情報を提供しています。
whoとwhichの使い分けと参照先の確認
whoとwhichは、先行詞が「人」か「人以外」かによって使い分けられ、これによっても参照先を確認することができます。
| 関係代名詞 | 先行詞のタイプ | 例文 | 参照先 |
| who | 人 | I have a friend → who lives in Tokyo. | friend(人) |
| which | 人以外 | I have a dog → which is very friendly. | dog(動物) |
汎用的な関係代名詞 that の参照先
関係代名詞の that は、人にも人以外にも使える最も便利な形です。
- 人を指す例: I met a man → that you know.
- 人以外を指す例: I found a book → that you lost.
that が使われている場合も、参照先を判定する際の基本は変わりません。直前の名詞が先行詞となります。
リーディング試験での対策のポイント
- 関係代名詞を発見する。
- その直前の名詞(先行詞)を特定する。
- 関係代名詞が導く節(例: who came here yesterday)を、先行詞を説明するための「オマケの情報」として捉える。
- この「オマケの情報」が先行詞に結びつくことで、複雑な文の骨格が見えてきます。
これらのルールを意識するだけで、複雑に見える英文も格段に読み解きやすくなります。
複数の代名詞が登場する文章での参照先追跡の実践技法
英検のリーディング試験など、複雑な英文読解において、代名詞の参照先を正確に把握することは、文章全体を理解するための重要な鍵となります。
一つの段落に複数の種類の代名詞が登場する際に役立つ具体的なテクニックを解説します。
段落全体を俯瞰して主要な参照先を把握する
複数の代名詞が登場する段落に直面した場合、まずは以下の手順で参照先を把握することが効果的です。
- 段落全体を一度読み通す
- まず、段落の「主人公」や「主要なテーマ」が何かを大まかに理解します。
- 個々の代名詞の参照先を判定する
- 全体像を把握した後で、それぞれの代名詞が何(誰)を指しているのかを特定します。
例文
「John went to the park. He met his friend Mary. She gave him a present.」
- He は John
- She は Mary
- Him は John
このように、全体を把握してから個別に見ていくことで、より正確な理解が可能になります。
「代名詞チェーン」を追跡する
同じ人物や事柄について複数の代名詞が連続して使われることがあります。
これを「代名詞チェーン」として捉え、一貫して追跡することで、文脈をスムーズに理解できます。
例文
「When John arrived home, he was tired. He took a shower and then he went to bed.」
この文では、すべての he が一貫して John を指しています。
チェーンを意識することで、途中で参照先が変わっていないかを確認しながら読み進めることができます。
段落転換時の参照先の変化に注意する
段落が変わることは、しばしば話の焦点が変わるサインです。
ある段落で he が人物 A を指していたとしても、次の段落で新しい人物 B が紹介された場合、その段落の he は人物 B を指す可能性が高くなります。
正確な読解のためには、段落の区切りを参照先が変化する可能性のある重要な転換点として意識することが必須です。
このテクニックを活用することで、複雑な英文でも代名詞の参照先を見失うことなく、内容を深く理解できるようになります。
代名詞に関するよくある間違い:英検リーディング対策
英検のリーディング試験で、多くの学習者が陥りやすい代名詞の理解に関する典型的な誤りを事前に把握し、失点を防ぎましょう。
間違い 1: 直前の名詞が常に参照先だと思い込む
最も一般的な誤りは、「代名詞は常に直前の名詞を指す」という過度な一般化です。
- 多くの場合は正しいですが、例外も存在します。
- 重要なポイント: 文脈全体と文法的な関係(主語や目的語などの役割)を考慮する必要があります。
| 例 | 文法的な解釈 |
| The manager told the employee that he should work harder. | この場合、「he」は「manager」(上司)を指しています。 |
間違い 2: 複数の候補がある場合に曖昧さを残したまま読む
複数の名詞が登場する段落では、代名詞がどちらを指しているのか不明確に思えることがあります。
- 曖昧な例
- Sarah saw Jane when she was walking to school.
- この「she」は Sarah か Jane か?
- 重要なポイント
- より文脈上、論理的に成立する解釈を選ぶ。
- 通常は、話題の中心人物や主人公が参照先になることが多いです。段落全体の文脈から特定しましょう。
間違い 3: 「it」が一般的な状況を表す場合を見落とす
代名詞「it」は特定のものを指すだけでなく、一般的な状況や条件を表す用法があります。
- 特定のもの
- I bought a new book. It is interesting.
- 状況説明の「it」(非人称のit)
- 天候や時間: It is sunny today.
- 仮主語/仮目的語の「it」
- 文全体の内容を指す: It is clear that the project will fail.
- 重要なポイント
- リーディング試験では、「it」が特定のものを指すのか、状況説明や仮の主語として使われているのかを見分けることが、正確な文意理解に不可欠です。
代名詞が指す対象を正しく特定するには、単語単位ではなく、文や段落全体の意味を把握する「文脈力」が重要になります。
代名詞に関するよくある質問と深い理解のためのポイント
英検のリーディング学習者が代名詞についてよく抱える疑問と、それに対する深い理解を助ける解説をまとめました。
- 参照先が直前に見当たらない場合はどうする?
-
代名詞の参照先がすぐ直前の単語でない場合、焦る必要はありません。
- 遡って探す
- 段落全体をさかのぼり、文脈上論理的に参照できる名詞を探してください。
- 隠れている参照先
- 時には数行前、あるいは前の段落の最後に参照先が潜んでいることがあります。
- 要点・主題の理解
- 段落全体の要点や主題を理解することで、「その代名詞が何を指しているのか」が明確になることが多く、正確な特定につながります。
- 遡って探す
- 複数の人物が登場する場合、参照先をどう区別する?
-
複数の人やグループが出てくる文では、以下の手順で参照先を特定します。
- 代名詞の形を確認
- He / She → 文脈に合った単数の人物
- They → 複数の人物やグループ全体
- 文脈を考慮
- その文がどの人物またはどの人物グループについて述べているのかを考え合わせることで、正確に区別できます。
- 代名詞の形を確認
- 指示代名詞 this と that のリーディングでの違いは?
-
This と that は、指し示す内容の距離感に違いがあります。
- This
- 直近で述べたことや、今まさに説明したばかりの内容を指すことが多いです。
- 例:「The study shows that many people are stressed. This finding is important.」→ This は「多くの人がストレスを感じているという研究結果」を指します。
- That
- より前に述べられた内容や、異なる文脈の内容を指すことが多いです。
- This
- 関係代名詞を含む複雑な文の参照先を見分けるコツは?
-
複雑な文でも、関係代名詞の基本ルールを押さえれば参照先を特定できます。
- 直前の名詞(先行詞)を特定
- 関係代名詞は、必ずその直前の名詞(先行詞)に関連していることを忘れないでください。
- 目印をつける
- 複雑な文に出会ったら、関係代名詞の直前の名詞を意識的に括弧で囲むなどして、参照先を明確化すると理解が容易になります。
- 修飾の関係を理解
- 関係代名詞が導く節全体が、その先行詞を修飾している(詳しく説明している)という構造を意識しましょう。
- 直前の名詞(先行詞)を特定
代名詞は文の論理的な流れを掴むための重要な要素です。
これらのポイントを意識して、リーディングの精度を高めていきましょう。
まとめ

英検のリーディングセクションで高得点を取得するには、代名詞が何を指しているのかを正確に把握する能力が不可欠です。
この記事で解説する代名詞の参照先判定方法を理解し、実践することで、長文読解の精度が大幅に向上します。
代名詞の参照先が明確になれば、文章全体の意味がよりクリアになり、結果として設問に対する正答率も自然と高まります。
英語では代名詞が頻繁に使用されます。そのため、代名詞が指す対象を正しく理解することは、英検リーディングの基本中の基本です。
代名詞には主に以下の種類があります。
- 人称代名詞:it, he, she, they など
- 指示代名詞:this, that, these, those
- 関係代名詞:who, which, that
長文のなかで代名詞の参照先を迷わず特定するために、以下のポイントを実践的に活用しましょう。
- 文脈の確認
- 参照先はほとんどの場合、直前の名詞ですが、例外も存在します。必ず文脈全体を考慮に入れることが重要です。
- 文法的特徴の照合
- 複数の名詞が候補となる場合、代名詞の形(単数/複数、男性/女性)を確認することで、参照先の特定が容易になります。
- 大局的な理解
- 段落全体を俯瞰し、主要なテーマや主人公を理解してから、個々の代名詞の参照先を判定すると効果的です。
- 代名詞チェーンの追跡
- 複数の代名詞が登場する場合、同じ参照先に対する複数の代名詞を「代名詞チェーン」として追跡することで、文章全体の理解が深まります。
- it の区別
- it が状況全体を説明しているのか、特定の何かを指しているのかを区別します。
- 段落ごとの再設定
- 異なる段落では、参照先が変わる可能性があります。段落ごとに新しい文脈として理解し直す必要があります。
- 論理的な解釈の選択
- 複数の参照先の候補がある場合は、文脈上、より論理的に成立する解釈を選ぶことが基本です。
代名詞の参照先を正確に把握する能力は、英検のためだけでなく、英語全般の読解スキル向上に不可欠な要素です。
英検の過去問を使用して、代名詞の参照先追跡を繰り返し練習しましょう。この日々の意識的な習慣が、読解の精度を確実に向上させ、試験本番での対応力を飛躍的に高めます。

