「melancholic」は英語の形容詞で、深い悲しみや憂鬱さを表現する言葉です。時に名詞としても使われることがあります。
この記事では、英語初学者の方でも理解できるよう、「melancholic」の意味と使い方を例文を交えて詳しく解説していきます。
melancholicとは?その意味と由来

「melancholic」は「憂鬱な」「物悲しい」「しんみりした」などの意味を持つ形容詞です。この言葉は古代ギリシャ語の「melankholia」に由来しており、「melas(黒)」と「khole(胆汁)」という言葉が組み合わさってできました。
古代から中世にかけての医学では、体内に4つの体液(血液、黄胆汁、黒胆汁、粘液)があると考えられており、これらのバランスが人の性格や健康状態を決めると信じられていました。「黒胆汁」が多すぎると憂鬱な性格になるとされ、そこから「melancholic」という言葉が生まれました。
現代では医学的な意味合いは薄れ、深い悲しみや物思いにふける様子、あるいは芸術作品などの雰囲気を表現する言葉として使われています。日本語では「憂鬱な」「物悲しい」「しんみりした」などと訳されることが多いでしょう。
melancholicの発音と綴り
「melancholic」の発音は「メランコリック」に近く、英語では /ˌmelənˈkɒlɪk/(イギリス英語)または /ˌmelənˈkɑːlɪk/(アメリカ英語)と表記されます。アクセントは3つ目の音節(-chol-)にあります。綴りでは「melan-」という接頭辞に注目すると覚えやすいでしょう。
この接頭辞は「黒い」という意味を持ち、「melanin(メラニン)」など他の単語にも見られます。
melancholicの品詞と活用
「melancholic」は主に形容詞として使われますが、「a melancholic」(憂鬱な人)のように名詞として使われることもあります。形容詞としての活用は以下の通りです。
- 原級:melancholic(憂鬱な)
- 比較級:more melancholic(より憂鬱な)
- 最上級:most melancholic(最も憂鬱な)
「melancholic」は多音節の形容詞なので、比較級と最上級は「more」と「most」を用いて表現します。
melancholicの基本的な使い方
「melancholic」は人の感情や状態、音楽や芸術作品の雰囲気、天候など様々な対象を形容するのに使われます。基本的には「悲しげな」「物思いにふける」「憂鬱な」というニュアンスを持ちます。
人の感情や表情を表現する
「melancholic」は人の感情状態や表情を表現するのによく使われます。一時的な悲しみというよりも、じっくりと沈み込むような、思慮深い悲しみを表現する傾向があります。
例文
- He has a melancholic expression on his face.(彼の顔には憂鬱な表情が浮かんでいます。)
- She felt melancholic when she remembered her childhood.(彼女は子供時代を思い出すと物悲しい気持ちになりました。)
芸術作品や音楽の雰囲気を表現する
「melancholic」は芸術作品や音楽の雰囲気を表現するのにも適しています。特に、静かで深い悲しみや郷愁を帯びた作品について述べる際によく使われます。
例文
- The song has a melancholic melody.(その曲は物悲しいメロディーを持っています。)
- I like his melancholic paintings of autumn scenes.(私は彼の物悲しい秋の風景画が好きです。)
場所や天候の雰囲気を表現する
場所や天候、季節の雰囲気を表現するのにも「melancholic」は使われます。どこか物悲しさや寂しさを感じさせる状況を描写するのに適しています。
例文
- The empty beach had a melancholic beauty in winter.(空のビーチは冬に物悲しい美しさを持っていました。)
- The rain gave the city a melancholic atmosphere.(雨は街に憂鬱な雰囲気を与えました。)
melancholicを使った例文と表現
ここでは、「melancholic」を使った様々な例文を紹介します。中学生レベルの英語で、日常会話や簡単な文章で使える表現を中心に取り上げます。
日常会話での使用例
例文
- She looks melancholic today. Is she okay?(彼女は今日憂鬱そうに見えます。大丈夫ですか?)
- I feel melancholic when it rains.(雨が降ると憂鬱な気分になります。)
- The old house has a melancholic beauty.(その古い家には物悲しい美しさがあります。)
- He plays melancholic music on his guitar.(彼はギターで物悲しい音楽を演奏します。)
- Autumn always gives me a melancholic feeling.(秋はいつも私に物悲しい感情を与えます。)
文学や芸術に関する表現
例文
- The poet wrote many melancholic poems about lost love.(その詩人は失われた愛について多くの物悲しい詩を書きました。)
- The painting shows a melancholic scene of the empty street.(その絵は空の通りの物悲しい風景を描いています。)
- The movie has a melancholic ending.(その映画は物悲しいエンディングを持っています。)
- She sang in a melancholic voice.(彼女は物悲しい声で歌いました。)
- His novels often have a melancholic tone.(彼の小説はしばしば憂鬱な調子を持っています。)
自然や季節に関する表現
例文
- The melancholic beauty of winter attracts many photographers.(冬の物悲しい美しさは多くの写真家を引きつけます。)
- The sunset created a melancholic atmosphere.(夕日が物悲しい雰囲気を作り出しました。)
- The old tree looked melancholic in the fog.(その古い木は霧の中で物悲しく見えました。)
- There is something melancholic about the sound of distant bells.(遠くの鐘の音には何か物悲しいものがあります。)
- The melancholic call of birds in autumn makes me feel nostalgic.(秋の鳥の物悲しい鳴き声は私に郷愁を感じさせます。)
melancholicと似た意味を持つ言葉
「melancholic」と似た意味を持つ言葉はいくつかあります。ここでは、それらの言葉との違いや使い分けについて説明します。
sad(悲しい)との違い
「sad」は最も一般的な「悲しい」を表す言葉で、日常会話でよく使われます。「melancholic」と比べるとより一般的で広い意味を持ち、一時的な感情を表すことも多いです。
一方、「melancholic」はより深く、じっくりとした悲しみを表現し、物思いにふけるようなニュアンスがあります。
例文
- I am sad because I lost my keys.(鍵をなくして悲しいです。)
- I feel melancholic when I think about my childhood home.(子供の頃の家について考えると物悲しい気分になります。)
depressed(落ち込んだ)との違い
「depressed」は「落ち込んだ」「うつ状態の」という意味で、より医学的・心理学的なニュアンスを持ちます。
「melancholic」には芸術的・美学的な要素があり、必ずしもネガティブな状態だけを指すわけではありません。
例文
- She has been depressed since she lost her job.(彼女は仕事を失って以来落ち込んでいます。)
- The music was melancholic but beautiful.(その音楽は物悲しかったが美しかった。)
gloomy(暗い、陰気な)との違い
「gloomy」は「暗い」「陰気な」という意味で、より環境や雰囲気を表現することが多いです。
「melancholic」は人の内面的な感情や芸術的な質を表すことが多いという違いがあります。
例文
- The weather was gloomy all day.(天気は一日中暗かった。)
- His melancholic smile showed his deep emotions.(彼の物悲しい微笑みは彼の深い感情を表していました。)
似た言葉を整理した表
以下の表では、「melancholic」と似た意味を持つ言葉の違いをまとめています。
単語 | 主な意味 | ニュアンスの特徴 | 使用頻度 |
---|---|---|---|
melancholic | 憂鬱な、物悲しい | 深く思慮的な悲しみ、芸術的 | やや文学的 |
sad | 悲しい | 一般的な悲しみ、広い範囲で使用 | 非常に一般的 |
depressed | 落ち込んだ | 医学的・心理学的なニュアンス | 一般的 |
gloomy | 暗い、陰気な | 環境や雰囲気を表現 | 一般的 |
wistful | もの思いにふける | 穏やかな悲しみと憧れ | やや文学的 |
mournful | 悲嘆に暮れた | 喪失感を強調 | やや文学的 |
melancholicのよくある間違いと注意点
「melancholic」を使う際によくある間違いや注意点をいくつか紹介します。英語学習者がつまずきやすいポイントを理解しておくと、より正確に使えるようになります。
発音の間違い
「melancholic」の発音は少し難しく、アクセントの位置や音節の区切りでつまずくことがあります。正しい発音は /ˌmelənˈkɒlɪk/(イギリス英語)または /ˌmelənˈkɑːlɪk/(アメリカ英語)で、アクセントは3つ目の音節(-chol-)にあります。
「メランコリック」とカタカナで表記されることが多いですが、「メラン」の部分は弱く発音し、「コリック」の「コ」の部分を強調します。
綴りの間違い
「melancholic」の綴りもつまずきやすいポイントです。特に「ch」の部分や、「c」と「h」の位置を間違えやすいです。「melancholic」の「ch」は「k」の音(/k/)で発音されることに注意しましょう。
よくある間違い
- melancolic(「h」が抜けている)
- melancholik(「c」が「k」になっている)
- melancolik(「h」が抜けて「c」が「k」になっている)
意味の誤解
「melancholic」は単に「悲しい」という意味だけではなく、物思いにふけるような深い悲しみを表現します。一時的な感情ではなく、より持続的で内省的な感情状態を指します。
また、必ずしもネガティブな意味合いだけではなく、芸術的な美しさや味わい深さを含むことがあります。
誤解の例
- 「I feel melancholic because I dropped my ice cream.」(アイスクリームを落として憂鬱です。)
→ これは一時的な悲しみなので、「sad」や「upset」の方が適切です。
似た単語との混同
「melancholic」(形容詞)と「melancholy」(名詞・形容詞)は混同されやすいです。「melancholy」は名詞として「憂鬱、物悲しさ」を意味し、形容詞としても使われます。
「melancholic」は主に形容詞として使われ、「a melancholic」のように名詞としても使われることがあります。
混同の例
- 「He has a melancholy expression.」と「He has a melancholic expression.」
→ 両方正しいですが、微妙にニュアンスが異なる場合があります。
文脈や使用場面の誤り
「melancholic」は文語的で少しフォーマルな言葉です。カジュアルな会話では「sad」「down」「blue」などの言葉の方がよく使われます。
また、医学的な文脈では「melancholic depression」(メランコリー型うつ病)のような専門的な用語として使われることもあります。
melancholicに関する問題
ここでは「melancholic」の理解度を確認するための問題を10問用意しました。「melancholic」は感情や気分を表す形容詞の一つですが、似た意味や対義語、用法などを問う問題も含まれています。
問題を通して、英語の感情表現についての理解を深めましょう。
- 「melancholic」と最も近い意味を持つ単語を次の中から選びなさい。
a) cheerful
b) joyful
c) gloomy
d) energetic - 「melancholic」の反対の意味を持つ単語を選びなさい。
a) sad
b) happy
c) lonely
d) silent - 「melancholic」を使って正しい英文を選びなさい。
a) The party was melancholic and full of laughter.
b) She felt melancholic after hearing the sad news.
c) He was melancholic because he won the lottery.
d) The weather was melancholic and sunny. - 次のうち、「melancholic」とは異なる意味を持つ単語を選びなさい。
a) sorrowful
b) depressed
c) elated
d) mournful - 「melancholic」の語源に最も関係が深いのはどれですか。
a) ギリシャ語
b) フランス語
c) ドイツ語
d) ラテン語 - 「melancholic」の品詞は何ですか。
a) 名詞
b) 動詞
c) 形容詞
d) 副詞 - 「melancholic」を使って正しい日本語訳になる英文を選びなさい。
a) 彼女はメランコリックな音楽を聴いて元気になった。
b) 彼はメランコリックな雰囲気の中で静かに座っていた。
c) メランコリックな犬はいつも跳ねている。
d) メランコリックな日は楽しい。 - 「melancholic」の同義語として適切でないものはどれですか。
a) wistful
b) jubilant
c) despondent
d) blue - 「melancholic」を使って映画の雰囲気を表現したいとき、どの文が適切ですか。
a) The movie had a melancholic atmosphere.
b) The movie was extremely hilarious.
c) The movie was action-packed and thrilling.
d) The movie was filled with joy. - 「melancholic」を使うのに最もふさわしい場面はどれですか。
a) 明るいパーティー
b) 悲しい別れ
c) 勝利の瞬間
d) 楽しい誕生日会
以上が「melancholic」に関する問題とその解答・日本語訳です。英語の感情表現の幅を広げるために、ぜひ活用してください。
「melancholic」に関するよくある質問
- 「melancholic」と「melancholy」の違いは何ですか?
-
「melancholic」は主に形容詞として使われ、「憂鬱な」「物悲しい」という意味です。一方、「melancholy」は名詞として「憂鬱、物悲しさ」を意味し、形容詞としても使われます。意味は似ていますが、品詞や使われる文脈が少し異なります。
- 「melancholic」はネガティブな言葉ですか?
-
必ずしもネガティブではありません。確かに悲しみや憂鬱さを表現しますが、芸術作品や音楽、文学では、深みや味わい、美しさといったポジティブな要素を含むことがあります。「美しく物悲しい」というニュアンスで使われることも多いです。
- 「melancholic」の起源は何ですか?
-
「melancholic」はギリシャ語の「melankholia」に由来し、「melas(黒)」と「khole(胆汁)」が組み合わさった言葉です。古代から中世の医学では、体内の「黒胆汁」が多すぎると憂鬱な気質になると考えられていました。
- 「melancholic」はどのような場面で使われますか?
-
文学、音楽、芸術の評論や、感情や雰囲気を描写する際によく使われます。日常会話よりも、書き言葉や詩的な表現でよく見られます。また、心理学では「melancholic depression(メランコリー型うつ病)」のような専門用語としても使われます。
- 「melancholic」の対義語は何ですか?
-
「melancholic」の対義語としては、「cheerful(陽気な)」「joyful(楽しい)」「upbeat(明るい)」「optimistic(楽観的な)」などが挙げられます。感情の明るさや活発さを表す言葉が対義語となります。
- 「melancholic」は日常会話でよく使われますか?
-
「melancholic」は日常的な会話ではあまり頻繁に使われません。より一般的な「sad」「down」「blue」などの言葉が使われることが多いです。「melancholic」は文学的で少しフォーマルな言葉なので、特定の文脈や状況で使われることが多いです。
- 「melancholic music」とはどのような音楽ですか?
-
「melancholic music」は物悲しさや深い感情を表現した音楽を指します。しばしば穏やかでゆっくりとしたテンポ、マイナーキー、感情的な表現が特徴です。クラシック音楽、ジャズ、フォーク、一部のロックなど、様々なジャンルに見られます。
- 「melancholic」という単語は文法的にどのように使われますか?
-
「melancholic」は形容詞なので、名詞を修飾したり、be動詞の後に使われたりします。例えば「a melancholic song(物悲しい曲)」や「He feels melancholic today(彼は今日憂鬱な気分だ)」のように使います。また、「a melancholic」のように名詞的に使って「憂鬱な人」を表すこともあります。
- 「melancholic」の比較級と最上級はどのように表現しますか?
-
「melancholic」は多音節の形容詞なので、比較級は「more melancholic」、最上級は「most melancholic」と表現します。例えば「This poem is more melancholic than that one(この詩はあの詩よりも物悲しい)」のように使います。
- なぜ「melancholic」という言葉が文学や芸術でよく使われるのですか?
-
「melancholic」は単なる悲しさだけでなく、物思いにふける深い感情や内省的な状態を表現できるため、文学や芸術での感情表現に適しています。また、歴史的に「melancholy」は創造性や天才と結びつけられてきた歴史があり、ルネサンス期以降、芸術家や詩人の気質を表す言葉として定着しました。
まとめ

この記事では、英単語「melancholic」の意味や使い方について詳しく解説しました。「melancholic」は深い悲しみや憂鬱さを表現する形容詞で、単なる「悲しい」という意味を超えて、物思いにふけるような深い感情状態を表現できる言葉です。
この記事のポイントをまとめると、
- 「melancholic」は「憂鬱な」「物悲しい」「しんみりした」という意味の形容詞である。
- この言葉の語源は古代ギリシャ語の「黒い胆汁」に由来している。
- 人の感情だけでなく、音楽、芸術作品、場所、天候などの雰囲気も表現できる。
- 「sad」「depressed」「gloomy」など似た意味を持つ言葉とニュアンスが異なる。
- 発音や綴りに注意が必要で、アクセントは3つ目の音節にある。
- 日常会話よりも文学的な表現や芸術的な文脈でよく使われる。
- 必ずしもネガティブな意味合いだけではなく、美しさや深みを表現することもある。
「melancholic」は英語の語彙を豊かにする表現力のある言葉です。特に感情や雰囲気を細かく表現したい場合に役立つでしょう。
この記事を参考に、「melancholic」を適切に使いこなせるようになれば、英語での表現の幅が広がるはずです。