英語の法助動詞は、話し手の気持ちや考え方を表現する重要な文法要素です。可能性、義務、許可、提案など、様々なニュアンスを伝えるのに役立ちます。
この記事では、英語初学者の方でも理解しやすいように法助動詞の基本から使い方まで、具体的な例文とともに詳しく解説します。
法助動詞の基本

法助動詞とは、主動詞に付け加えて「可能性」「義務」「推量」「許可」などの意味を表す特別な動詞です。英語の文法において非常に重要な役割を果たしており、話し手の気持ちや状況に対する態度を表現するのに使われます。
法助動詞には主に「can」「may」「must」「should」「will」「shall」「would」「could」「might」などがあります。これらは一般の動詞とは異なる特徴を持っています。
法助動詞の特徴
法助動詞には以下のような特徴があります。
- 人称や数による変化がない(三人称単数でも -s がつかない)
- 後ろに必ず動詞の原形が来る
- 疑問文を作る際は主語の前に出す
- 否定文では法助動詞の後に「not」を置く
- 一部の法助動詞を除き、to不定詞を取らない
一般動詞との違い
一般動詞と法助動詞の主な違いは、法助動詞が単独で使われることはなく、常に別の動詞(原形)を伴うという点です。
また一般動詞と違い、法助動詞は「do」を使った疑問文や否定文を作りません。
主な法助動詞一覧と使い方
法助動詞にはそれぞれ固有の意味と使い方があります。ここでは主な法助動詞について詳しく見ていきましょう。
can / could(能力・可能性)
「can」は「~できる」という能力や可能性を表します。過去形は「could」です。
能力を表す場合
例文
- I can swim.(私は泳ぐことができます。)
- She can speak three languages.(彼女は3カ国語を話せます。)
- My brother could play the piano when he was five.(兄は5歳の時にピアノを弾くことができました。)
可能性を表す場合
例文
- It can rain tomorrow.(明日は雨が降る可能性があります。)
- This problem can be solved easily.(この問題は簡単に解決できます。)
許可を表す場合
例文
- You can use my pencil.(私の鉛筆を使ってもいいですよ。)
- Can I open the window?(窓を開けてもいいですか?)
may / might(許可・可能性)
「may」は「~してもよい」という許可や「~かもしれない」という可能性を表します。「might」は「may」の過去形で、より可能性が低いことを示します。
許可を表す場合
例文
- You may leave early today.(今日は早く帰ってもいいですよ。)
- May I ask a question?(質問してもよろしいですか?)
可能性を表す場合
例文
- It may rain tomorrow.(明日は雨が降るかもしれません。)
- She might be at home now.(彼女は今家にいるかもしれません。)
must(義務・推量)
「must」は「~しなければならない」という強い義務や「~に違いない」という強い推量を表します。
義務を表す場合
例文
- You must finish your homework.(宿題を終わらせなければなりません。)
- Students must wear uniforms at this school.(この学校では生徒は制服を着なければなりません。)
推量を表す場合
例文
- She must be tired after the long journey.(彼女は長い旅の後で疲れているに違いありません。)
- It must be difficult to learn five languages.(5つの言語を学ぶのは難しいに違いありません。)
should(義務・助言)
「should」は「~すべきだ」という義務や助言を表します。「must」よりも弱い義務を示します。
義務や助言を表す場合
例文
- You should brush your teeth twice a day.(1日2回歯を磨くべきです。)
- We should respect our elders.(年長者を敬うべきです。)
推量を表す場合
例文
- The package should arrive tomorrow.(荷物は明日到着するはずです。)
will / would(意思・予測)
「will」は未来のことや意思を表し、「would」は「will」の過去形で、丁寧な依頼や仮定を表します。
未来・予測を表す場合
例文
- I will be 15 next month.(来月15歳になります。)
- The train will arrive at 3 p.m.(電車は午後3時に到着します。)
意思を表す場合
例文
- I will help you with your homework.(宿題を手伝いますよ。)
- Would you open the door for me?(ドアを開けていただけますか?)
shall(申し出・提案)
「shall」は主に一人称(I, we)と共に使われ、提案や申し出を表します。
申し出・提案を表す場合
例文
- Shall I carry your bag?(あなたのバッグを持ちましょうか?)
- Shall we go to the park?(公園に行きませんか?)
ought to(義務・アドバイス)
「ought to」は「~すべきだ」という義務やアドバイスを表します。「should」と似ていますが、より道徳的な義務感を含みます。
例文
- You ought to tell the truth.(真実を話すべきです。)
- We ought to help people in need.(困っている人を助けるべきです。)
had better(忠告)
「had better」は「~した方がいい」という忠告や警告を表します。
例文
- You had better see a doctor.(医者に診てもらった方がいいですよ。)
- We had better leave now to catch the bus.(バスに間に合うように今出発した方がいいです。)
need / dare(必要性・敢えて~する)
「need」は「~する必要がある」、「dare」は「敢えて~する」という意味を表します。これらは法助動詞としても一般動詞としても使えます。
法助動詞として
例文
- Need I come tomorrow?(明日来る必要がありますか?)
- Dare he speak to the teacher like that?(彼はそんな風に先生に話す勇気があるのですか?)
一般動詞として
例文
- He needs to study harder.(彼はもっと一生懸命勉強する必要があります。)
- I don’t dare to jump from such a height.(そんな高さから飛び降りる勇気はありません。)
法助動詞の否定形
法助動詞の否定形は、法助動詞の後に「not」を付けることで作ります。多くの場合、短縮形も一般的に使われます。
法助動詞 | 否定形 | 短縮形 |
---|---|---|
can | cannot | can’t |
could | could not | couldn’t |
may | may not | mayn’t(稀) |
might | might not | mightn’t(稀) |
must | must not | mustn’t |
should | should not | shouldn’t |
will | will not | won’t |
would | would not | wouldn’t |
shall | shall not | shan’t |
例文
- I cannot swim.(私は泳げません。)
- You shouldn’t eat too much sugar.(砂糖を摂りすぎるべきではありません。)
- They won’t come to the party.(彼らはパーティーに来ないでしょう。)
- She mustn’t tell anyone about this.(彼女はこのことを誰にも言ってはいけません。)
特別な否定形:need not と dare not
「need」と「dare」が法助動詞として使われる場合、否定形は「need not(needn’t)」「dare not(daren’t)」となります。
例文
- You need not worry about it.(それについて心配する必要はありません。)
- He dare not speak in public.(彼は人前で話す勇気がありません。)
法助動詞の疑問形
法助動詞の疑問形は、法助動詞を主語の前に置くことで作ります。一般動詞とは異なり、doを使った疑問文にはなりません。
例文
- Can you help me?(手伝ってくれますか?)
- Should I wear a coat?(コートを着るべきですか?)
- Will he come to school tomorrow?(彼は明日学校に来ますか?)
- Must we finish this today?(今日これを終わらせなければなりませんか?)
法助動詞の過去形と時制
法助動詞の多くには過去形がありますが、単純な時制の変化ではなく、意味が変わることが多いです。また、過去の出来事を表現するには、have + 過去分詞を組み合わせることが一般的です。
過去の可能性・推量
過去の可能性や推量を表現するには、法助動詞 + have + 過去分詞の形を使います。
例文
- She must have been tired.(彼女は疲れていたに違いありません。)
- They may have missed the train.(彼らは電車に乗り遅れたかもしれません。)
- He could have helped you.(彼はあなたを手伝うことができたのに。)
- I should have studied harder.(もっと一生懸命勉強するべきでした。)
現在の事実に反する仮定
現在の事実と反対の仮定を表現するには、would/could/might + 動詞の原形を使います。
例文
- If I had more time, I would read more books.(もっと時間があれば、もっと本を読むのに。)
- If she were here, she could help us.(彼女がここにいれば、私たちを手伝えるのに。)
過去の事実に反する仮定
過去の事実と反対の仮定を表現するには、would/could/might + have + 過去分詞を使います。
例文
- If I had studied harder, I would have passed the exam.(もっと一生懸命勉強していたら、試験に合格していただろう。)
- If you had told me, I could have helped you.(あなたが教えてくれていたら、手伝うことができたのに。)
法助動詞を使った便利な表現
法助動詞を使うと、様々なニュアンスを伝えることができます。ここでは日常会話でよく使われる表現を紹介します。
丁寧な依頼・申し出
例文
- Could you please open the window?(窓を開けていただけますか?)
- Would you mind if I used your phone?(お電話をお借りしてもよろしいですか?)
- Shall I help you with your bags?(バッグを持つのを手伝いましょうか?)
アドバイス・提案
例文
- You should drink plenty of water.(十分な水を飲むべきです。)
- We could go to the movies this weekend.(今週末、映画に行くことができます。)
- You might want to try this restaurant.(このレストランを試してみるといいかもしれません。)
推量・可能性
例文
- He must be at home now.(彼は今家にいるに違いありません。)
- It might rain later.(後で雨が降るかもしれません。)
- That would be his sister.(あれは彼の姉に違いありません。)
習慣・傾向
例文
- When I was a child, I would often go fishing with my father.(子供の頃、よく父と釣りに行ったものです。)
- She would always bring cookies when she visited us.(彼女は訪問する時はいつもクッキーを持ってきていました。)
法助動詞に関する問題
以下は法助動詞に関する問題です。ぜひチャレンジしてみてください。
- I ( ) speak English, but I can’t speak French.
- She ( ) be at home now. I saw her going out an hour ago.
- ( ) I borrow your pen, please?
- You ( ) smoke in hospitals. It’s prohibited.
- We ( ) go to the beach tomorrow if the weather is nice.
- You look tired. You ( ) go to bed early tonight.
- I ( ) help you with your homework after dinner.
- He ( ) run very fast when he was young.
- ( ) we meet at the station at 9?
- You ( ) better take an umbrella. It looks like rain.
- Students ( ) wear uniforms at this school. It’s compulsory.
- I’m not sure, but she ( ) be about 25 years old.
- You ( ) not forget to lock the door when you leave.
- ( ) you like a cup of tea?
- I think you ( ) see a doctor about that cough.
- He ( ) have missed the train. That’s why he’s late.
- If I had more money, I ( ) buy a new car.
- You ( ) to clean your room before going out.
- I wish I ( ) speak Japanese fluently.
- You ( ) be joking! That’s impossible.
法助動詞に関するよくある質問
- 法助動詞と助動詞の違いは何ですか?
-
法助動詞は助動詞の一種ですが、すべての助動詞が法助動詞というわけではありません。助動詞は「be」「do」「have」なども含みますが、これらは時制や態(能動態・受動態)を作るのに使われます。一方、法助動詞は話し手の態度や気持ち(可能性、義務、許可など)を表現するのに使われます。
- 法助動詞の後には常に動詞の原形が来ますか?
-
はい、法助動詞の後には常に動詞の原形が来ます。「ought to」「had better」のようにtoが含まれるものでも、その後には動詞の原形が来ます。例えば、「You ought to study harder.」(あなたはもっと一生懸命勉強すべきです。)のように使います。
- 法助動詞は重ねて使うことができますか?
-
いいえ、法助動詞を直接重ねて使うことはできません。例えば、「I can must go」のような表現は正しくありません。ただし、「would have to」「might be able to」のように、法助動詞と他の表現を組み合わせることは可能です。
- 「must not」と「don’t have to」の違いは何ですか?
-
「must not」は「~してはいけない」という禁止を表すのに対し、「don’t have to」は「~する必要がない」という不必要を表します。例えば、「You must not smoke here」(ここでタバコを吸ってはいけません)と「You don’t have to come early」(早く来る必要はありません)のように使い分けます。
- 「will」と「be going to」の違いは何ですか?
-
どちらも未来のことを表しますが、「will」は話す瞬間に決めた意思や単純な予測を表すのに対し、「be going to」はあらかじめ計画していたことや現在の状況から予測されることを表します。例えば、「I will help you」(手伝いますよ)は今決めたことを、「I’m going to visit my grandmother next week」(来週祖母を訪問する予定です)は既に計画されていたことを示します。
- 「can」と「be able to」はどう使い分けますか?
-
基本的な意味は同じで、能力を表しますが、「can」は法助動詞なので過去形(could)以外の形がありません。一方、「be able to」は様々な時制で使えます。例えば、未来形「I will be able to swim next year」(来年は泳げるようになるでしょう)や完了形「I have been able to speak English since I was ten」(10歳の時から英語を話すことができています)のように使えます。
まとめ

英語の法助動詞は、話し手の気持ちや態度を表現するための重要な文法要素です。
この記事では、主な法助動詞の意味と使い方について詳しく解説しました。以下に主なポイントをまとめます。
- 法助動詞は主に「can」「may」「must」「should」「will」「shall」などがあり、能力、可能性、許可、義務、推量などを表す
- 法助動詞の特徴は、人称や数による変化がない、後ろに動詞の原形が来る、疑問文では主語の前に出る、などがある
- 否定形は法助動詞の後に「not」を置く(例:cannot、should not)
- 過去の出来事や仮定を表現するには「have + 過去分詞」の形を使う
- 法助動詞を使うことで、丁寧な依頼、アドバイス、推量など様々なニュアンスを表現できる
英語の文法の中でも法助動詞の使い方をマスターすることは、より自然で豊かな表現ができるようになるために非常に重要です。この記事で紹介した例文や問題を参考に、ぜひ積極的に使ってみてください。