「must」は英語の助動詞の一つで、主に「~しなければならない」「~に違いない」という意味を持っています。英語学習の初期段階で習う重要な文法要素であり、義務や推量を表現する際に使用します。
この記事では、英語初学者向けに「must」の意味や使い方について、わかりやすい例文を交えながら詳しく解説していきます。
mustとは?基本的な概念と特徴

mustは英語の助動詞の一つで、主語の後ろに置かれ、動詞の原形を伴って使われます。助動詞とは、それ自体では完全な意味を持たず、他の動詞と組み合わせて使われる単語です。
mustは主に次の3つの意味を持っています。
- 「~しなければならない」(義務・必要性)
- 「~に違いない」(強い推量)
- 「~してはいけない」(禁止・否定形で)
mustには他の助動詞と同様にいくつかの特徴があります。まず、主語が何であっても形が変化しません。「I must」「he must」「they must」のように、主語が変わっても「must」の形は同じです。
また、mustの後には必ず動詞の原形が来ます。
例文
- I must go to school.
(私は学校に行かなければなりません。) - She must study English.
(彼女は英語を勉強しなければなりません。) - They must clean their room.
(彼らは自分たちの部屋を掃除しなければなりません。)
mustの基本的な意味
mustには主に2つの基本的な意味があります。まずは、これらの意味について詳しく見ていきましょう。
義務・必要性を表す「~しなければならない」
最も一般的な使い方は、義務や必要性を表すことです。これは「~する必要がある」「~しなければならない」というニュアンスで使われます。
例文
- I must finish my homework before dinner.
(夕食前に宿題を終わらせなければなりません。) - You must wash your hands before eating.
(食事の前に手を洗わなければなりません。) - Students must wear uniforms at this school.
(この学校では生徒は制服を着なければなりません。)
強い推量を表す「~に違いない」
もう一つの重要な使い方は、強い推量や確信を表す場合です。これは論理的な推測や、確信を持って何かを言う時に使います。
例文
- She must be tired after the long trip.
(彼女は長い旅の後で疲れているに違いありません。) - He must be at home now. His car is in the garage.
(彼は今家にいるに違いありません。彼の車が車庫にあります。) - It must be raining. The ground is wet.
(雨が降っているに違いありません。地面が濡れています。)
mustの使い方
mustを文の中でどのように使うのか、具体的な文法パターンと例文を見ていきましょう。
肯定文でのmustの使い方
肯定文では、「主語 + must + 動詞の原形 + …」という形で使います。
例文
- I must go to the dentist tomorrow.
(明日歯医者に行かなければなりません。) - We must arrive at the station by 8:00.
(8時までに駅に到着しなければなりません。) - She must be quiet in the library.
(図書館では彼女は静かにしなければなりません。)
否定文でのmustの使い方
否定文では、「主語 + must not (mustn’t) + 動詞の原形 + …」という形を使います。must notは「~してはいけない」という禁止を表します。
例文
- You must not talk during the test.
(テスト中におしゃべりしてはいけません。) - We must not be late for school.
(学校に遅刻してはいけません。) - She must not forget her homework.
(彼女は宿題を忘れてはいけません。)
ここで重要な注意点があります。「must not」は禁止を表しますが、「don’t have to」は義務がないことを表します。
つまり「〜する必要はない」という意味になります。
例文
- You must not go to school. (禁止:学校に行ってはいけません。)
- You don’t have to go to school. (義務なし:学校に行く必要はありません。)
疑問文でのmustの使い方
疑問文では、「Must + 主語 + 動詞の原形 + …?」という形になります。
例文
- Must I clean my room today?
(今日部屋を掃除しなければなりませんか?) - Must she wear a uniform at school?
(彼女は学校で制服を着なければなりませんか?) - Must they finish the project by Friday?
(彼らは金曜日までにプロジェクトを終わらせなければなりませんか?)
疑問文に対する答え方も確認しておきましょう。
例文
- Must I go to school today?
(今日学校に行かなければなりませんか?) - Yes, you must.
(はい、行かなければなりません。) - No, you don’t have to.
(いいえ、行く必要はありません。)
「いいえ」の答えが「No, you must not.」ではなく「No, you don’t have to.」になることに注意が必要です。
「must not」は「行ってはいけない」という禁止の意味になってしまうからです。
mustとhave toの違い
英語では「~しなければならない」を表現するのに「must」と「have to」の2つの表現がよく使われます。これらはどちらも同じような意味ですが、ニュアンスに違いがあります。
mustの特徴
- 話し手の主観的な判断や内的な義務感を表します
- 自分の意思や考えによる義務を表現する際に使用します
- 話し手の強い気持ちや個人的な意見を表します
例文
- I must study hard to pass the test.
(テストに合格するために一生懸命勉強しなければなりません。)
have toの特徴
- 外部からの規則や客観的な必要性を表します
- 自分の意思とは関係なく、外部の要因による義務を表現します
- 一般的な事実や規則として述べる場合によく使用されます
例文
- I have to wear a uniform at school.
(学校では制服を着なければなりません。)
これらの違いを表にまとめると、
表現 | 意味 | 義務の源 | 例文 |
---|---|---|---|
must | ~しなければならない | 話し手の主観・内的義務 | I must finish this book today. |
have to | ~しなければならない | 外部からの客観的義務 | I have to be at work by 9:00. |
mustの過去形と未来形
mustには独自の過去形や未来形がありません。過去の義務を表現する場合は「had to」を使います。未来の義務を表現する場合は「will have to」を使います。
過去の義務
例文
- I had to study hard last night.
(昨夜は一生懸命勉強しなければなりませんでした。) - She had to go to the hospital yesterday.
(彼女は昨日病院に行かなければなりませんでした。)
未来の義務
例文
- I will have to get up early tomorrow.
(明日は早起きしなければならないでしょう。) - She will have to finish her homework before going out.
(彼女は出かける前に宿題を終わらせなければならないでしょう。)
過去の推量
過去の出来事に対する強い推測を表現する場合は、「must have + 過去分詞」の形を使います。
例文
- He must have been tired after the long journey.
(彼は長い旅の後で疲れていたに違いありません。) - She must have forgotten about our meeting.
(彼女は私たちの会議のことを忘れていたに違いありません。)
mustの実践的な例文
実際の会話や文章でmustがどのように使われるのか、さらに多くの例文を見ていきましょう。
義務を表す例文
例文
- You must clean your room before playing games.
(ゲームをする前に部屋を掃除しなければなりません。) - We must protect the environment.
(私たちは環境を守らなければなりません。) - I must call my mother today.
(今日母に電話しなければなりません。)
推量を表す例文
例文
- You must be hungry after such a long walk.
(そんなに長く歩いた後では、お腹が空いているに違いありません。) - He must be very smart. He always gets good grades.
(彼はとても頭がいいに違いありません。いつも良い成績を取ります。) - They must be at home. All the lights are on.
(彼らは家にいるに違いありません。すべての明かりがついています。)
禁止を表す例文
例文
- You must not touch that button.
(あのボタンに触れてはいけません。) - Students must not use smartphones during class.
(生徒は授業中にスマートフォンを使用してはいけません。) - We must not waste water.
(水を無駄使いしてはいけません。)
mustのよくある間違いと注意点
mustを使う際によくある間違いと注意点をいくつか見ていきましょう。
must notとdon’t have toの混同
最も一般的な間違いの一つは、「must not」と「don’t have to」の混同です。
- must not = 〜してはいけない(禁止)
- don’t have to = 〜する必要はない(義務の不在)
例文
- You must not open this door.
(このドアを開けてはいけません。) - You don’t have to come early tomorrow.
(明日早く来る必要はありません。)
疑問文の答え方の間違い
例文
- Must I go to school today?
(今日学校に行かなければなりませんか?)
× No, you must not.(いいえ、行ってはいけません。)
〇 No, you don’t have to.(いいえ、行く必要はありません。)
「must」の疑問文に対する否定の答えは「must not」ではなく「don’t have to」を使います。
mustに過去形がないことを忘れる
must自体には過去形がないため、過去の義務を表現する場合は「had to」を使います。
× I must go to school yesterday.
〇 I had to go to school yesterday.
(昨日は学校に行かなければなりませんでした。)
推量の意味と義務の意味の混同
文脈によって「must」が義務を表すのか、推量を表すのかが変わることがあります。
例文
- She must be at home.(彼女は家にいるに違いありません。)[推量]
- She must stay at home.(彼女は家にいなければなりません。)[義務]
「must」の後ろは常に動詞の原形
mustの後ろには必ず動詞の原形が来ます。ing形や過去形は使えません。
× I must going to school.
〇 I must go to school.
(学校に行かなければなりません。)
mustに関する問題
このセクションでは、英語の助動詞「must」に関連する問題を通して、その使い方や意味を学びます。「must」は義務や必要性、強い推測を表す際に使われますが、他にも似た意味を持つ助動詞や表現があります。
ここでは、「must」だけでなく、それ以外の適切な表現を選ぶ問題も含めて、理解を深めることを目指します。
- You ___ finish your homework before going out. (義務)
- She ___ be at home because the lights are on. (強い推測)
- We ___ not forget to bring our passports for the trip. (義務)
- You ___ take an umbrella; it’s not going to rain today. (不要)
- He ___ have left already because his car is not in the driveway. (推測)
- Students ___ wear uniforms at this school; it’s not mandatory. (不要)
- You ___ call her right now; she’s probably busy at work. (不要)
- People ___ recycle to protect the environment. (義務)
- They ___ be very tired after such a long journey. (強い推測)
- You ___ drive carefully when it’s snowing heavily. (義務)
この問題セットでは「must」以外の助動詞(例: don’t have to, should)も含めているため、多様な表現の使い方を学ぶことができます。それぞれの文脈に応じた適切な選択肢を選ぶ練習として活用してください。
「must」に関するよくある質問
- 「must」と「have to」は同じですか?
-
基本的な意味は同じですが、ニュアンスが異なります。「must」は話し手の主観的な判断や内的な義務感を表し、「have to」は外部からの規則や客観的な必要性を表します。
- 「must not」と「don’t have to」の違いは何ですか?
-
「must not」は「~してはいけない」という禁止を表し、「don’t have to」は「~する必要はない」という義務の不在を表します。非常に意味が異なるので注意が必要です。
- 「must」の過去形は何ですか?
-
「must」自体には過去形がありません。過去の義務を表現する場合は「had to」を使います。
- 「must」を使った推量の表現はどのように使いますか?
-
現在の状況に対する推量は「主語 + must + 動詞の原形」、過去の状況に対する推量は「主語 + must have + 過去分詞」の形で表現します。
- He must be tired.(彼は疲れているに違いありません。)
- He must have been tired.(彼は疲れていたに違いありません。)
- 「must」の疑問文の答え方は?
-
肯定の答えは「Yes, 主語 + must」、否定の答えは「No, 主語 + don’t/doesn’t have to」となります。
- 「must」には否定形がありますか?
-
はい、「must not」または「mustn’t」が否定形です。これは「~してはいけない」という禁止を表します。
- 「must」の代わりに使える表現はありますか?
-
義務の意味では「have to」「need to」「be required to」などが、推量の意味では「be certain that」「surely」「definitely」などが代わりに使えます。
まとめ

この記事では、英語の助動詞「must」について詳しく解説しました。「must」は主に「~しなければならない」という義務や「~に違いない」という強い推量を表す重要な助動詞です。適切に使いこなせるようになると、英語での表現の幅が広がります。
ここで「must」に関する重要なポイントをまとめておきましょう。
- 「must」は義務・必要性を表す「~しなければならない」という意味で使われる
- 「must」は強い推量を表す「~に違いない」という意味でも使われる
- 否定形「must not」は「~してはいけない」という禁止を表す
- 「must」と「have to」は似ているが、義務の源が異なる
- 「must」には過去形がなく、過去の義務は「had to」で表現する
- 「must have + 過去分詞」で過去の推量を表現できる
- 「must」の疑問文は「Must + 主語 + 動詞の原形…?」の形で作る
- 「must」の疑問文に対する否定の答えは「don’t have to」を使う
英語学習においては、このような基本的な助動詞の用法をしっかりと理解し、実際の会話や文章の中で正しく使えるようになることが重要です。
「must」の使い方をマスターして、より自然な英語表現ができるようになりましょう。