「彼は学生ではないのですか?」「あなたは英語が好きではないのですか?」のような、否定の形で質問する文を英語でどのように表現するか考えたことはありますか?英語にも日本語と同様に、否定形で質問をする「否定疑問文」という表現方法があります。しかし、その答え方は日本語と大きく異なるため、多くの学習者が混乱してしまいます。
この記事では、英語の文法における否定疑問文の基本的な意味から作り方、正しい答え方まで、初学者でも理解できるように分かりやすく解説します。具体的な例文と練習問題も用意しましたので、この機会に否定疑問文をマスターしましょう。
否定疑問文とは?基本的な意味と形

否定疑問文とは、その名の通り「否定」と「疑問」が組み合わさった文のことです。一般的な疑問文が「~ですか?」と聞くのに対し、否定疑問文は「~ではないのですか?」と否定の形で質問します。
英語では、通常の疑問文に否定語「not」を加えることで否定疑問文になります。主な形は以下のとおりです。
- be動詞の場合:Aren’t you…? / Isn’t he…? / Weren’t they…?(あなたは~ではないのですか? / 彼は~ではないのですか? / 彼らは~ではなかったのですか?)
- 一般動詞の場合:Don’t you…? / Doesn’t she…? / Didn’t we…?(あなたは~しないのですか? / 彼女は~しないのですか? / 私たちは~しなかったのですか?)
- 助動詞の場合:Can’t you…? / Won’t they…? / Shouldn’t he…?(あなたは~できないのですか? / 彼らは~しないでしょうか? / 彼は~すべきではないのですか?)
否定疑問文は単に情報を求めるだけでなく、「驚き」「確認」「同意を求める」などのニュアンスを含むことが多いため、会話の中で重要な役割を果たします。
否定疑問文の作り方
否定疑問文の作り方は比較的簡単です。
通常の疑問文に「not」を加えるだけです。多くの場合、否定語は短縮形(n’t)で使われます。
be動詞を使った否定疑問文
be動詞(am, is, are, was, were)を使った否定疑問文は、be動詞と「not」を組み合わせて文頭に置きます。
通常の疑問文
- Are you a student?(あなたは学生ですか?)
- Is she busy?(彼女は忙しいですか?)
- Were they at home?(彼らは家にいましたか?)
否定疑問文
- Aren’t you a student?(あなたは学生ではないのですか?)
- Isn’t she busy?(彼女は忙しくないのですか?)
- Weren’t they at home?(彼らは家にいなかったのですか?)
一般動詞を使った否定疑問文
一般動詞を使った否定疑問文は、否定形の助動詞(don’t, doesn’t, didn’t)を文頭に置きます。
通常の疑問文
- Do you like music?(あなたは音楽が好きですか?)
- Does he play soccer?(彼はサッカーをしますか?)
- Did they go to school?(彼らは学校に行きましたか?)
否定疑問文
- Don’t you like music?(あなたは音楽が好きではないのですか?)
- Doesn’t he play soccer?(彼はサッカーをしないのですか?)
- Didn’t they go to school?(彼らは学校に行かなかったのですか?)
助動詞を使った否定疑問文
助動詞(can, will, should など)を使った否定疑問文は、助動詞と「not」を組み合わせて文頭に置きます。
通常の疑問文
- Can you swim?(あなたは泳げますか?)
- Will they come?(彼らは来るでしょうか?)
- Should I help you?(私はあなたを手伝うべきですか?)
否定疑問文
- Can’t you swim?(あなたは泳げないのですか?)
- Won’t they come?(彼らは来ないのでしょうか?)
- Shouldn’t I help you?(私はあなたを手伝うべきではないのですか?)
否定疑問文の答え方(日本語との違い)
否定疑問文の答え方は、日本語と英語で大きく異なります。
この違いが、多くの日本人英語学習者を混乱させる原因になっています。
日本語と英語の答え方の違い
日本語では、否定疑問文に答える場合、質問の形に合わせて「はい」または「いいえ」と答えます。
例えば、「あなたは音楽が好きではないのですか?」という質問に対して、
- 音楽が好きな場合:「いいえ、好きです」
- 音楽が好きでない場合:「はい、好きではありません」
一方、英語では質問の形に関係なく、事実に基づいて「Yes」または「No」で答えます。
例えば、”Don’t you like music?”(あなたは音楽が好きではないのですか?)という質問に対して、
- 音楽が好きな場合:「Yes, I do.」(はい、好きです)
- 音楽が好きでない場合:「No, I don’t.」(いいえ、好きではありません)
英語の否定疑問文に答えるコツ
英語で否定疑問文に答える時のコツは、質問を単純な肯定疑問文に変換して考えることです。
例えば、“Aren’t you a student?”(あなたは学生ではないのですか?)という質問を、“Are you a student?”(あなたは学生ですか?)と考えれば、答え方が分かりやすくなります。
- 学生である場合:「Yes, I am.」(はい、学生です)
- 学生でない場合:「No, I’m not.」(いいえ、学生ではありません)
具体的な例文による解説
より理解を深めるために、いくつかの具体例を見てみましょう。
例文
- Doesn’t she speak English?(彼女は英語を話さないのですか?)
- 彼女が英語を話す場合:「Yes, she does.」(はい、話します)
- 彼女が英語を話さない場合:「No, she doesn’t.」(いいえ、話しません)
- Aren’t they coming to the party?(彼らはパーティーに来ないのですか?)
- 彼らがパーティーに来る場合:「Yes, they are.」(はい、来ます)
- 彼らがパーティーに来ない場合:「No, they aren’t.」(いいえ、来ません)
- Didn’t you do your homework?(あなたは宿題をしなかったのですか?)
- 宿題をした場合:「Yes, I did.」(はい、しました)
- 宿題をしなかった場合:「No, I didn’t.」(いいえ、しませんでした)
否定疑問文のニュアンスと使い方
否定疑問文は単に情報を求めるだけではなく、話し手の感情や期待を表現することもあります。
主なニュアンスと使い方を見ていきましょう。
驚きや意外性を表す
何か意外なことや驚くべきことを発見したときに、否定疑問文を使うことがあります。
例文
- Isn’t that your teacher over there?(あそこにいるのはあなたの先生ではないですか?)
- Don’t you remember me? We met last year!(私のことを覚えていませんか?去年会いましたよ!)
確認や同意を求める
相手に確認したり、同意を求めたりする場合にも否定疑問文が使われます。
例文
- Isn’t the weather nice today?(今日の天気はいいですね?)
- Don’t you think this movie is interesting?(この映画は面白いと思いませんか?)
提案や勧誘
相手に何かを提案したり、勧誘したりする場合にも否定疑問文が使われることがあります。
例文
- Won’t you join us for dinner?(私たちと夕食を一緒にしませんか?)
- Shouldn’t we start now?(そろそろ始めるべきではないですか?)
非難や批判
時には、非難や批判の意味を込めて否定疑問文が使われることもあります。
例文
- Didn’t I tell you not to touch that?(あれに触るなと言わなかったでしょうか?)
- Can’t you be more careful?(もっと注意深くできないのですか?)
否定疑問文の例文と練習
ここでは、否定疑問文をより深く理解するために、さまざまな例文と練習問題を見ていきましょう。
日常会話での例文
- Aren’t you tired after working all day?(一日中働いた後、疲れていませんか?)
- Don’t you want to go to the beach tomorrow?(明日、ビーチに行きたくないですか?)
- Isn’t your brother a doctor?(あなたの兄は医者ではないのですか?)
- Can’t you come to my birthday party?(私の誕生日パーティーに来られないのですか?)
- Didn’t we meet at the conference last month?(先月のカンファレンスで会いませんでしたか?)
- Doesn’t she live near the station?(彼女は駅の近くに住んでいないのですか?)
- Haven’t you finished your homework yet?(まだ宿題を終えていないのですか?)
- Wasn’t the movie interesting?(その映画は面白くなかったですか?)
答え方の練習
否定疑問文に対する答え方を練習してみましょう。
- Q: Aren’t you hungry? (お腹が空いていないのですか?)
- お腹が空いている場合:A: Yes, I am. (はい、空いています)
- お腹が空いていない場合:A: No, I’m not. (いいえ、空いていません)
- Q: Don’t you like chocolate? (チョコレートが好きではないのですか?)
- チョコレートが好きな場合:A: Yes, I do. (はい、好きです)
- チョコレートが好きではない場合:A: No, I don’t. (いいえ、好きではありません)
- Q: Didn’t she call you yesterday? (彼女は昨日あなたに電話しなかったのですか?)
- 電話があった場合:A: Yes, she did. (はい、ありました)
- 電話がなかった場合:A: No, she didn’t. (いいえ、ありませんでした)
英語の否定疑問文に関する練習問題
以下の練習問題を解いて、否定疑問文の理解を深めましょう。
- 次の文を否定疑問文に書き換えなさい。
You are a student. - 次の文を否定疑問文に書き換えなさい。
She likes dogs. - 次の文を否定疑問文に書き換えなさい。
They went to the park yesterday. - 次の否定疑問文に対して、肯定的な答えを書きなさい。
Aren’t you tired? - 次の否定疑問文に対して、否定的な答えを書きなさい。
Don’t you speak English? - 次の否定疑問文に対して、肯定的な答えを書きなさい。
Didn’t she call you? - 次の文を否定疑問文に書き換えなさい。
He can swim. - 次の文を否定疑問文に書き換えなさい。
You will come to the party. - 次の否定疑問文に対して、否定的な答えを書きなさい。
Can’t they help us? - 次の否定疑問文に対して、肯定的な答えを書きなさい。
Shouldn’t we start now? - 次の文を否定疑問文に書き換えなさい。
You have finished your homework. - 次の否定疑問文に対して、肯定的な答えを書きなさい。
Don’t you want to eat lunch? - 次の否定疑問文に対して、否定的な答えを書きなさい。
Isn’t he your brother? - 次の文を否定疑問文に書き換えなさい。
They are coming tonight. - 次の否定疑問文に対して、肯定的な答えを書きなさい。
Won’t you join us? - 次の文を否定疑問文に書き換えなさい。
She was at home yesterday. - 次の否定疑問文に対して、否定的な答えを書きなさい。
Didn’t you see the movie? - 次の文を否定疑問文に書き換えなさい。
We should tell her the truth. - 次の否定疑問文に対して、肯定的な答えを書きなさい。
Haven’t you been to Tokyo? - 次の否定疑問文に対して、否定的な答えを書きなさい。
Aren’t we friends?
否定疑問文に関するよくある質問
ここでは、否定疑問文についてよく聞かれる質問とその回答をまとめました。
- 否定疑問文に「Yes」と「No」で答えるときの基本ルールは何ですか?
-
英語の否定疑問文に答える基本ルールは、事実に基づいて答えることです。肯定的な事実の場合は「Yes」、否定的な事実の場合は「No」で始めます。例えば、”Aren’t you a student?”(あなたは学生ではないのですか?)という質問に対して、学生である場合は「Yes, I am.」、学生でない場合は「No, I’m not.」と答えます。
- なぜ日本語と英語では否定疑問文の答え方が違うのですか?
-
日本語では、質問に対して「はい」「いいえ」が相手の質問の形に同意するかどうかを示します。一方、英語では「Yes」「No」は事実そのものを肯定するか否定するかを示します。この考え方の違いが、否定疑問文の答え方の違いを生み出しています。
- 否定疑問文で「Yes」と答えた後に否定文を続けることはできますか?
-
一般的には、「Yes」の後には肯定文、「No」の後には否定文が続きます。「Yes, I don’t…」のような答え方は文法的に正しくありません。ただし、「Yes, but…」のように「しかし」を使って後に続く文の内容を変えることは可能です。
- 否定疑問文に答えるときに迷ったらどうすればいいですか?
-
否定疑問文に答えるときに迷ったら、まず質問を肯定形に変換して考えてみましょう。例えば、”Don’t you like music?”を”Do you like music?”と考えます。そして、その質問に対する答えが「はい」なら「Yes, I do.」、「いいえ」なら「No, I don’t.」となります。
- 否定疑問文の使い方で注意すべき点はありますか?
-
否定疑問文は単に情報を求める以上のニュアンスがあります。驚き、確認、同意を求める、非難など、さまざまな感情を込めることができます。そのため、状況や関係性によっては失礼に感じられることもあるので、使い方には注意が必要です。特に目上の人に対して使う場合は気をつけましょう。
まとめ

この記事では、英語の否定疑問文について詳しく解説しました。否定疑問文は、通常の疑問文に否定語「not」を加えた形で、「~ではないのですか?」という意味を持ちます。
主なポイントをまとめると、
- 否定疑問文の形
- be動詞の場合:Aren’t you…? / Isn’t he…?
- 一般動詞の場合:Don’t you…? / Doesn’t she…?
- 助動詞の場合:Can’t you…? / Won’t they…?
- 作り方
- 通常の疑問文に否定語「not」を加える(多くの場合、短縮形n’tを使用)
- 答え方
- 英語では事実に基づいて答える
- 肯定的な事実の場合:「Yes」で始める(Yes, I am. / Yes, I do.)
- 否定的な事実の場合:「No」で始める(No, I’m not. / No, I don’t.)
- 日本語の答え方とは逆になることが多いので注意
- ニュアンスと使い方
- 驚きや意外性を表す
- 確認や同意を求める
- 提案や勧誘に使う
- 非難や批判を表現する
否定疑問文は、日本語と英語で答え方が大きく異なるため、多くの英語学習者が混乱する文法項目の一つです。しかし、基本ルールを理解し、練習を重ねることで、自然に使いこなせるようになります。
否定疑問文をマスターすることで、より自然な英語のコミュニケーションが可能になります。この記事で紹介した例文や練習問題を活用して、ぜひ否定疑問文の使い方をマスターしてください。