英語を学び始めたとき、最初に覚えるのは「これは〜です」という肯定文ですが、実際の会話では「〜ではありません」という否定文も頻繁に使います。「私は学生ではありません」「彼は野球をしません」など、否定の表現は日常会話に欠かせません。
しかし、日本語では文末に「〜ない」と付けるだけで否定文になりますが、英語では動詞の種類によって否定文の作り方が異なります。
この記事では、英語初学者の方向けに、否定文の基本概念から動詞別の作り方まで、具体的な例文を交えてわかりやすく解説します。英語の文法の基礎となる否定文をマスターして、英会話の幅を広げましょう。
否定文とは?英語での基本的な考え方

否定文とは、「〜ではない」「〜しない」という否定の意味を持つ文のことです。英語では基本的に「not」という単語を使って否定の意味を表します。日本語では文末に「〜ない」を付けますが、英語では動詞の前後に「not」を置くのが基本です。
英語の否定文の作り方は、大きく分けて次の3つのパターンがあります。
- be動詞の否定文:be動詞の後に「not」を置く
- 一般動詞の否定文:動詞の前に「do not(don’t)」または「does not(doesn’t)」を置く
- 助動詞の否定文:助動詞の後に「not」を置く
それぞれの作り方には明確なルールがありますので、順番に見ていきましょう。
be動詞の否定文の作り方
be動詞(am, is, are, was, were)を使った文を否定文にする場合、とてもシンプルなルールがあります。
それは「be動詞の直後に”not”を置く」というものです。
現在形のbe動詞の否定文
現在形のbe動詞(am, is, are)を使った否定文の作り方を見てみましょう。
- I am → I am not (I’m not)
- You are → You are not (You aren’t)
- He/She/It is → He/She/It is not (He/She/It isn’t)
- We/You/They are → We/You/They are not (We/You/They aren’t)
例文
- I am not a teacher.(私は先生ではありません)
- She is not at home now.(彼女は今家にいません)
- These books are not mine.(これらの本は私のものではありません)
- My father is not tall.(私の父は背が高くありません)
過去形のbe動詞の否定文
過去形のbe動詞(was, were)を使った否定文も同様に、be動詞の直後に「not」を置きます。
- I/He/She/It was → I/He/She/It was not (wasn’t)
- We/You/They were → We/You/They were not (weren’t)
例文
- I was not at school yesterday.(私は昨日学校にいませんでした)
- She was not happy about the news.(彼女はそのニュースを喜んでいませんでした)
- They were not busy last weekend.(彼らは先週末忙しくありませんでした)
- The movie was not interesting.(その映画は面白くありませんでした)
一般動詞の否定文の作り方
一般動詞(be動詞以外の動詞)を使った文を否定文にする場合は、少し複雑です。
英語では「do not(don’t)」や「does not(doesn’t)」という助動詞を使って否定文を作ります。
現在形の一般動詞の否定文
現在形の一般動詞を否定する場合、次のルールに従います。
- 主語がI, you, we, theyの場合:「do not (don’t) + 動詞の原形」
- 主語がhe, she, itの場合:「does not (doesn’t) + 動詞の原形」
例文
- I do not (don’t) like math.(私は数学が好きではありません)
- She does not (doesn’t) play tennis.(彼女はテニスをしません)
- They do not (don’t) walk to school.(彼らは学校に歩いて行きません)
- My brother does not (doesn’t) eat vegetables.(私の兄は野菜を食べません)
過去形の一般動詞の否定文
過去形の一般動詞を否定する場合は、主語に関わらず「did not (didn’t) + 動詞の原形」を使います。
例文
- I did not (didn’t) go to the park yesterday.(私は昨日公園に行きませんでした)
- She did not (didn’t) watch TV last night.(彼女は昨夜テレビを見ませんでした)
- They did not (didn’t) finish their homework.(彼らは宿題を終えませんでした)
- He did not (didn’t) come to the party.(彼はパーティーに来ませんでした)
助動詞を使った否定文の作り方
助動詞(can, will, should, must, may など)を使った文を否定文にする場合は、「助動詞 + not + 動詞の原形」という形になります。
主な助動詞の否定形
- can → cannot または can’t
- will → will not または won’t
- should → should not または shouldn’t
- must → must not または mustn’t
- may → may not
例文
- I cannot (can’t) swim.(私は泳げません)
- He will not (won’t) come tomorrow.(彼は明日来ないでしょう)
- You should not (shouldn’t) eat too much sugar.(あなたは砂糖を取りすぎるべきではありません)
- They must not (mustn’t) enter this room.(彼らはこの部屋に入ってはいけません)
- She may not know the answer.(彼女は答えを知らないかもしれません)
現在完了形の否定文の作り方
現在完了形(have + 過去分詞)の否定文は、「have + not + 過去分詞」という形になります。
例文
- I have not (haven’t) finished my homework yet.(私はまだ宿題を終えていません)
- She has not (hasn’t) visited Tokyo before.(彼女は以前に東京を訪れたことがありません)
- They have not (haven’t) eaten lunch.(彼らは昼食を食べていません)
- He has not (hasn’t) seen this movie.(彼はこの映画を見たことがありません)
その他の否定表現
「not」を使う以外にも、英語では様々な否定表現があります。
「no」を使った否定表現
「no」は「1つも〜ない」という強い否定を表し、名詞の前に置きます。
例文
- I have no money.(私はお金を持っていません)
- There are no students in the classroom.(教室には生徒が一人もいません)
- She has no brothers or sisters.(彼女には兄弟姉妹がいません)
- There is no time left.(残り時間がありません)
「never」を使った否定表現
「never」は「一度も〜ない」という意味で、主に現在完了形と一緒に使われます。
例文
- I have never been to America.(私は一度もアメリカに行ったことがありません)
- She never eats meat.(彼女は決して肉を食べません)
- They never come to school late.(彼らは学校に遅れて来ることは決してありません)
- He has never seen snow.(彼は雪を見たことがありません)
「nowhere」を使った否定表現
「nowhere」は「どこにも〜ない」という意味を表します。
例文
- I could find my keys nowhere.(私はどこにも鍵を見つけられませんでした)
- There is nowhere to hide.(隠れる場所がどこにもありません)
- She went nowhere last weekend.(彼女は先週末どこにも行きませんでした)
英語の否定文に関する練習問題20選
英語の否定文をマスターするための問題を解いてみましょう。
様々なタイプの否定表現を練習して、理解を深めましょう。
- 次の文を否定文に書き換えなさい
I like chocolate. - 次の文を否定文に書き換えなさい
She is a doctor. - 次の文を否定文に書き換えなさい
They went to the park yesterday. - 次の文を否定文に書き換えなさい
He can swim. - 次の文を否定文に書き換えなさい
We have finished our homework. - 次の文を部分否定文に書き換えなさい
All students passed the exam. (use “not all”) - 次の否定文の誤りを訂正しなさい
I not like pizza. - 次の文を「何も〜ない」という意味の否定文に書き換えなさい
I have something in my pocket. - 次の文を「決して〜ない」という意味の否定文に書き換えなさい
She sometimes tells lies. - 次の文を「まったく〜ない」という意味の否定文に書き換えなさい
I have some money. - 次の文を否定文に書き換えなさい
There is someone at the door. - 次の文を「どこにも〜ない」という意味の否定文に書き換えなさい
I can find him somewhere. - 次の文を二重否定にならないように否定文に書き換えなさい
He knows nothing. - 次の文を否定文に書き換えなさい
I am going to the party tonight. - 次の文を「まだ〜していない」という意味の否定文に書き換えなさい
She has already seen that movie. - 次の文を「もう〜ない」という意味の否定文に書き換えなさい
I still have time. - 次の文を否定文に書き換えなさい
They both came to the meeting. - 次の文を「誰も〜ない」という意味の否定文に書き換えなさい
Everyone understood the explanation. - 次の文を否定文に書き換えなさい
You must go now. - 次の文を否定命令文に書き換えなさい
Open the window.
これらの練習問題を通して、様々な種類の否定表現を学ぶことができます。英語の否定文は「not」を使う基本的なものから、「no」「never」「nothing」などの否定語を使ったものまで多様です。また、部分否定と全否定の違いや、二重否定を避けるといった英語特有のルールも理解しておきましょう。
否定表現をマスターすれば、より正確に自分の意思を伝えることができるようになります。
否定文に関するよくある質問
- 「don’t」と「doesn’t」の使い分けはどうすればいいですか?
-
主語によって使い分けます。主語がI、you、we、they(一人称と二人称、三人称複数形)の場合は「don’t」を使い、主語がhe、she、it(三人称単数)の場合は「doesn’t」を使います。
- I don’t like apples.(私はりんごが好きではありません)
- She doesn’t like apples.(彼女はりんごが好きではありません)
- 「no」と「not」の違いは何ですか?
-
「not」は動詞を否定するのに使われ、「no」は名詞を否定するのに使われます。「not」は「〜ではない」という意味で、「no」は「1つも〜ない」という強い否定を表します。
- I do not have money.(私はお金を持っていません)
- I have no money.(私はお金を1円も持っていません)
- 否定文を作る時によくある間違いは何ですか?
-
よくある間違いとしては、一般動詞の否定文で「don’t」や「doesn’t」を使わずに「not」を直接つけてしまうことがあります。また、三人称単数(he/she/it)に対して「don’t」を使ってしまうこともよくある間違いです。
例(誤):I not like fish.
例(正):I don’t like fish.(私は魚が好きではありません)例(誤):She don’t speak English.
例(正):She doesn’t speak English.(彼女は英語を話しません) - 「never」と「not」はどう使い分ければいいですか?
-
「never」は「一度も〜ない」という強い否定を表し、「not」は単に「〜ない」という否定を表します。「never」は時間的な要素を含み、過去から現在までの経験や習慣について使うことが多いです。
- I have not seen this movie.(私はこの映画を見ていません)
- I have never seen this movie.(私はこの映画を一度も見たことがありません)
- 「can’t」と「mustn’t」の違いは何ですか?
-
「can’t」は「〜できない」(能力や許可がない)という意味で、「mustn’t」は「〜してはいけない」(禁止や強い忠告)という意味です。
- I can’t swim.(私は泳げません)- 能力がない
- You mustn’t tell anyone.(誰にも言ってはいけません)- 禁止
まとめ

英語の否定文は「not」を使って作るのが基本ですが、動詞の種類によって位置が異なります。
この記事では以下のポイントについて解説しました。
- be動詞の否定文: be動詞の直後に「not」を置く
- I am not a student.(私は学生ではありません)
- She is not happy.(彼女は幸せではありません)
- 一般動詞の否定文:
- 現在形: do not/does not + 動詞の原形
- 過去形: did not + 動詞の原形
- I don’t like coffee.(私はコーヒーが好きではありません)
- He didn’t go to school yesterday.(彼は昨日学校に行きませんでした)
- 助動詞の否定文: 助動詞の後に「not」を置く
- I can’t swim.(私は泳げません)
- She won’t come.(彼女は来ないでしょう)
- 現在完了形の否定文: have/has + not + 過去分詞
- I haven’t finished yet.(私はまだ終わっていません)
- She hasn’t seen the movie.(彼女はその映画を見ていません)
- その他の否定表現: no, never, nowhereなど
- I have no money.(私はお金を持っていません)
- I have never been to Paris.(私は一度もパリに行ったことがありません)
英語の文法において、否定文は最も基本的で重要な表現の一つです。ルールを理解し、多くの例文に触れることで、自然と使えるようになるでしょう。最初は混乱するかもしれませんが、パターンを覚えて練習していけば、次第に身についていきます。
これからも英語学習を続け、肯定文だけでなく否定文もスムーズに使えるようになりましょう。それによって、より自然で多様な英語表現ができるようになります。