「none」は英語の不定代名詞および副詞として使われる単語で、「何もない」「誰もいない」「全くない」という意味を持ちます。日常会話でよく使われるこの単語は、初学者にとって理解しておくと便利な表現です。
この記事では、「none」の基本的な意味から使い方、さらに例文や注意点まで、英語初学者にもわかりやすく解説していきます。
「none」とは?基本的な意味と由来

「none」は英語で「一つもない」「全くない」「誰もいない」という意味を持つ不定代名詞です。語源は古英語の「nan」で、これは「ne(not)」と「an(one)」が組み合わさったもので、直訳すると「not one(一つもない)」という意味になります。
「none」は主に以下のような意味で使われます。
- 物事が全く存在しないことを示す(何もない)
- 人が全くいないことを示す(誰もいない)
- グループの中の誰も・どれも該当しないことを示す
中学英語の範囲でも「none」は登場する基本的な単語ですが、使い方によって微妙なニュアンスの違いがあるので、しっかり理解しておきましょう。
「none」の品詞と基本的な使い方
「none」は主に不定代名詞として使われますが、副詞として使われることもあります。それぞれの使い方を詳しく見ていきましょう。
不定代名詞としての「none」
不定代名詞としての「none」は、名詞の代わりに使われ、「何も~ない」「誰も~ない」という意味を表します。
例文
- I have three pens, but none works well.(私は3本のペンを持っていますが、どれもうまく書けません。)
- None of my friends like math.(私の友達は誰も数学が好きではありません。)
- There were five cookies on the plate, but now there are none.(お皿にクッキーが5枚ありましたが、今はありません。)
副詞としての「none」
副詞としての「none」は比較級の前に置かれ、「全く~ない」という意味を表します。
例文
- She was none the wiser after the explanation.(説明の後でも彼女は少しも賢くなりませんでした。)
- The patient was none the better for the treatment.(患者は治療で少しも良くなりませんでした。)
- He was none too pleased with the result.(彼はその結果に全く喜んでいませんでした。)
「none」と「no」の違いとは
「none」と「no」はどちらも否定を表す単語ですが、使い方が異なります。
「no」は限定詞として名詞の前に置かれ、否定を表します。
例文
- No students came to the party.(学生は一人もパーティーに来ませんでした。)
一方、「none」は代名詞として単独で使われるか、「of」とともに使われます。
例文
- None came to the party.(誰も来ませんでした。)
- None of the students came to the party.(学生は誰も来ませんでした。)
このように、「no」は名詞を直接修飾しますが、「none」は名詞の代わりになる、または「of」を介して関係を示します。
「none」を使った重要表現と例文
「none」を使った代表的な表現と、それぞれの例文を紹介します。
「none of + 名詞」の形
最もよく使われるのは「none of + 名詞」の形で、「~の中で誰も/どれも~ない」という意味になります。
例文
- None of these books is interesting.(これらの本はどれも面白くありません。)
- None of my classmates lives near my house.(私のクラスメイトは誰も私の家の近くに住んでいません。)
- None of the food was eaten.(食べ物は何も食べられませんでした。)
「none the + 比較級」の形
「none the + 比較級」は「少しも~でない」という意味を表します。
例文
- I feel none the better for having rested.(休んでも少しもよくなった気がしません。)
- He was none the wiser after reading the book.(彼はその本を読んでも少しも賢くなりませんでした。)
「none too + 形容詞」の形
「none too + 形容詞」は「あまり~でない」「まったく~でない」という意味を表します。
例文
- The weather was none too warm.(天気はあまり暖かくありませんでした。)
- She was none too happy about the news.(彼女はそのニュースについてまったく喜んでいませんでした。)
「none」の動詞の一致について
「none」を主語とした場合、後ろに続く動詞は単数形にするか複数形にするか迷う方も多いでしょう。実は両方が可能ですが、使い分けのポイントがあります。
単数動詞を使う場合
「none」が「not one(一つもない)」という意味を強調する場合、単数動詞を使います。
例文
- None of the money was spent.(お金は少しも使われませんでした。)
- None of the cake has been eaten.(ケーキは少しも食べられていません。)
複数動詞を使う場合
「none」が「not any(どれも~ない)」という意味で、複数のものについて言及している場合は、複数動詞を使うこともあります。
例文
- None of the students are present today.(学生は今日誰も出席していません。)
- None of my friends have visited Paris.(私の友達は誰もパリを訪れたことがありません。)
ただし、正式な文書や試験では、「none」を単数として扱うことが安全です。日常会話では両方が使われることを覚えておきましょう。
「none」と「neither」の違いとは
「none」と「neither」はどちらも否定を表す代名詞ですが、使い分けのポイントがあります。
対象の数による違い
- 「neither」は2つの選択肢のどちらでもないことを表します。
- 「none」は3つ以上の選択肢の中でどれでもないことを表します。
例文
- I have two pens. Neither works.(私は2本のペンを持っています。どちらも動きません。)
- I have five pens. None works.(私は5本のペンを持っています。どれも動きません。)
Do you prefer tea or coffee? Neither. I prefer juice.(紅茶とコーヒーどちらが好きですか?どちらも好きではありません。ジュースが好きです。)
Which of these five books did you like? None. They were all boring.(これら5冊の本のうちどれが好きでしたか?どれも好きではありません。すべて退屈でした。)
「none」と「nothing」、「nobody」の違い
「none」、「nothing」、「nobody」はすべて否定を表す単語ですが、使い方が異なります。
使い分けのポイント
- 「none」:グループの中の誰も/どれもないことを表す
- 「nothing」:物事が全くないことを表す
- 「nobody」:人が全くいないことを表す
例文
- I asked five questions, but he answered none of them.(私は5つの質問をしましたが、彼はどれにも答えませんでした。)
- There is nothing in the box.(箱の中には何もありません。)
- Nobody came to the party.(誰もパーティーに来ませんでした。)
次の表で違いをまとめてみましょう。
単語 | 意味 | 主な使い方 |
---|---|---|
none | グループの中の誰も/どれもない | None of the students passed the test. |
nothing | 物事が全くない | I have nothing to say. |
nobody | 人が全くいない | Nobody knows the answer. |
「none」のよくある間違いと注意点
「none」を使う際によくある間違いや注意点をいくつか紹介します。
間違い1:二重否定
英語では二重否定は肯定になるため、「none」と他の否定語を一緒に使わないように注意しましょう。
誤:I don’t have none of the books.
正:I don’t have any of the books.(私はそれらの本を1冊も持っていません。)
または:I have none of the books.(私はそれらの本を1冊も持っていません。)
間違い2:「none」の後の名詞の単数・複数形
「none of」の後に来る名詞は常に複数形または不可算名詞になります。
誤:None of student came to the class.
正:None of the students came to the class.(学生は誰も授業に来ませんでした。)
誤:None of apple was eaten.
正:None of the apples was/were eaten.(リンゴはどれも食べられませんでした。)
または:None of the apple was eaten.(リンゴは少しも食べられませんでした。)※appleを不可算名詞として使う場合
間違い3:単数・複数動詞の混同
「none」を主語とする場合、文脈によって単数動詞か複数動詞かを適切に選ぶ必要があります。
例文
- None of the water has been used.(水は少しも使われていません。)※不可算名詞は単数動詞
- None of the students has/have finished the test.(学生は誰もテストを終えていません。)※どちらも可能だが、フォーマルな場面では単数動詞が安全
間違い4:「none」と「no one」の混同
「none」と「no one」はどちらも「誰も~ない」という意味ですが、使い方が異なります。
- 「none」:主に「none of + 名詞」の形で使われる
- 「no one」:単独で使われ、常に人を指す
例文
- No one came to the party.(誰もパーティーに来ませんでした。)
- None of my friends came to the party.(私の友達は誰もパーティーに来ませんでした。)
「none」に関する問題
以下に「none」の使い方に関する問題を10問用意しました。自分の理解度をチェックしてみましょう。
- There were five cookies on the plate, but now there are __.
- __ of my friends likes horror movies.
- I tried three different methods, but __ worked.
- She was __ the wiser after reading the explanation.
- We have two options, but __ of them is good. (※ここでは正しい単語を選ぶ)
- __ of the water has been drunk.
- I asked five questions, but he answered __ of them.
- The weather is __ too warm today.
- __ of the students have/has finished the test yet.
- She tried very hard, but it was all for __.
「none」と一緒に使われるフレーズ
「none」はいくつかの定型表現でよく使われます。日常会話でよく出てくるフレーズを見ていきましょう。
「none of your business」
「あなたには関係ない」「あなたの知ったことではない」という意味で、少しぶっきらぼうな表現です。
例文
- What I do in my free time is none of your business.(私が自由時間に何をするかはあなたには関係ありません。)
- That’s none of your business.(それはあなたの知ったことではありません。)
「second to none」
「他の追随を許さない」「最高の」という意味の表現です。
例文
- His skill is second to none.(彼の技術は他の追随を許しません。)
- The quality of their products is second to none.(彼らの製品の品質は最高です。)
「none other than」
「ほかならぬ〜自身」という意味で、意外な人物を紹介するときによく使われます。
例文
- The speaker was none other than the president.(スピーカーは大統領その人でした。)
- It was none other than my old friend Tom.(それはほかならぬ私の古い友人トムでした。)
「none」のフォーマルな使い方とカジュアルな使い方
「none」は日常会話からフォーマルな場面まで幅広く使われますが、使い方によってニュアンスが変わることがあります。
フォーマルな場面での使い方
フォーマルな文書や公式の場では、「none」を単数として扱うことが多いです。
例文
- None of the proposals has been accepted.(提案はどれも受け入れられていません。)
- None of the evidence supports this theory.(証拠はどれもこの理論を支持していません。)
カジュアルな会話での使い方
日常会話では、「none」を複数として扱ったり、より直接的な言い方をすることがあります。
例文
- None of my friends are coming to the party.(私の友達は誰もパーティーに来ません。)
- I asked if anyone wanted coffee, but none did.(コーヒーを欲しい人がいるか聞きましたが、誰もいませんでした。)
「none」に関するよくある質問
- 「none」の後の動詞は単数形と複数形どちらが正しいですか?
-
どちらも正しいです。伝統的には単数形が好まれますが、特に口語では複数形もよく使われます。「none of + 不可算名詞」の場合は単数形を使い、「none of + 複数名詞」の場合は文脈やニュアンスによって単数形か複数形を選びます。フォーマルな場面では単数形が安全です。
- 「none」と「no one」の違いは何ですか?
-
「none」はグループの中の誰も/どれもないことを表し、物事と人の両方を指すことができます。一方、「no one」は常に人を指し、単独で使われます。
- None of my friends came.(私の友達は誰も来ませんでした。)
- No one came to the party.(誰もパーティーに来ませんでした。)
- 「none」と「neither」はどう使い分けますか?
-
「neither」は2つの選択肢のどちらでもないことを表し、「none」は3つ以上の選択肢のどれでもないことを表します。
- I have two pens. Neither works.(私は2本のペンを持っています。どちらも動きません。)
- I have five pens. None works.(私は5本のペンを持っています。どれも動きません。)
- 「none of it」と「none of them」の違いは何ですか?
-
「none of it」は不可算名詞や単一の概念を指し、「none of them」は複数の人や物を指します。
- I ate none of it.(私はそれを少しも食べませんでした。)※例えばケーキ1つなど
- I ate none of them.(私はそれらをどれも食べませんでした。)※例えばいくつかのクッキーなど
- 「none」を使った丁寧な断り方はありますか?
-
直接的な「none」よりも、「I’m afraid none of…」などと言うと柔らかい印象になります。
- I’m afraid none of the dates work for me.(申し訳ありませんが、どの日程も都合がつきません。)
まとめ

この記事では、英語の「none」について詳しく解説しました。「none」は「何もない」「誰もいない」を意味する不定代名詞・副詞で、日常会話からフォーマルな文書まで幅広く使われる重要な単語です。
ポイントをまとめると、
- 「none」は主に不定代名詞として使われ、「何もない」「誰もいない」という意味を持つ。
- 「none of + 名詞」の形でよく使われる。
- 「none the + 比較級」「none too + 形容詞」などの表現がある。
- 「none」を主語とする場合、単数動詞も複数動詞も可能だが、フォーマルな場面では単数動詞が安全。
- 「neither」は2つの選択肢に対して使い、「none」は3つ以上の選択肢に対して使う。
- 「nothing」は物事が全くないことを、「nobody」は人が全くいないことを表す。
- 「none of your business」「second to none」などの定型表現がある。
「none」の正しい使い方を理解することで、英語での表現の幅が広がります。自分の言いたいことに合わせて、適切に使い分けられるようになりましょう。