「nor」は英語の接続詞で、否定的な意味を持ち、「〜もまた〜ない」「そして〜もない」という意味を表します。英語の否定表現において重要な役割を果たす単語で、特に「neither…nor…」という形でよく使われます。
この記事では、英語初学者向けに「nor」の基本的な意味から使い方、よくある間違いまで詳しく解説していきます。
norとは?否定を表す接続詞

「nor」は、否定文の中で追加の否定を導入するための接続詞です。基本的に「AもBもない」という意味を表現するときに使います。英語における否定の重要な表現方法の一つで、「neither(〜もない)」と一緒に使われることが多いです。
「nor」は否定の接続詞として、文の前半ですでに述べられた否定の内容に、さらに別の否定内容を追加するという役割を持っています。簡単に言えば、「〜もない、そして〜もない」という意味を持ち、複数の事柄を否定するときに便利な表現です。
例えば、「I like neither apples nor oranges.(私はリンゴもオレンジも好きではありません。)」という文では、「apples」と「oranges」の両方を否定しています。このように、複数のものを一度に否定できる便利な表現です。
norの基本的な使い方
「nor」の基本的な使い方は、主に「neither…nor…」という形で使われます。この形は「〜も〜もない」という意味を表し、二つの対象を同時に否定するのに役立ちます。
「neither…nor…」の構文では、「neither」が最初の否定対象を導入し、「nor」が二つ目の否定対象を導入します。この構文は名詞、動詞、形容詞など、さまざまな品詞と共に使うことができます。
例文
- I like neither math nor science.(私は数学も理科も好きではありません。)
- She can neither swim nor run.(彼女は泳ぐことも走ることもできません。)
- The book is neither interesting nor useful.(その本は面白くも役に立つものでもありません。)
また、「nor」は単独でも使うことができ、その場合は前の文が否定文である必要があります。これにより、二つの否定文をつなげることができます。
例文
- I don’t like coffee. Nor do I like tea.(私はコーヒーが好きではありません。お茶も好きではありません。)
- He can’t speak English. Nor can she.(彼は英語が話せません。彼女もできません。)
「nor」を単独で使う場合、その後の文では主語と動詞の順序が逆になる「倒置」が起こります。これは、英語の否定語が文頭に来ると倒置が起こるという規則に基づいています。
neither…norの使い方
「neither…nor…」は、英語で二つの対象を同時に否定するための一般的な表現です。この表現は、「AもBも〜ない」という意味を持ちます。
「neither…nor…」は、以下のようなさまざまな文脈で使うことができます。
名詞と一緒に使う
例文
- I have neither time nor money.(私には時間もお金もありません。)
- She likes neither cats nor dogs.(彼女は猫も犬も好きではありません。)
動詞と一緒に使う
例文
- He can neither read nor write.(彼は読むことも書くこともできません。)
- We will neither go nor stay.(私たちは行くことも留まることもしません。)
形容詞と一緒に使う
例文
- The movie was neither good nor bad.(その映画は良くも悪くもありませんでした。)
- The test was neither easy nor difficult.(そのテストは簡単でも難しくもありませんでした。)
「neither…nor…」を使う際の注意点として、文法的に同じ種類の要素(名詞同士、動詞同士など)をつなげるとバランスが良く、自然な英語表現になります。
また、「neither…nor…」が文の主語となる場合、動詞の形は「nor」の後に来る名詞または代名詞に合わせる必要があります。
例文
- Neither you nor I am happy.(あなたも私も幸せではありません。)
- Neither my friends nor my sister likes this movie.(私の友達も姉もこの映画が好きではありません。)
単独で使うnorの使い方
「nor」は「neither…nor…」の形だけでなく、単独でも使うことができます。単独で使う場合、前の文が否定文である必要があり、「nor」で始まる文は新しい文として独立します。
単独の「nor」は、前の否定文に追加の否定内容を加えるときに使います。この場合、「nor」の後には倒置が起こります。つまり、通常の語順「主語+動詞」ではなく、「動詞+主語」の順になります。
例文
- I don’t like spicy food. Nor does my brother.(私は辛い食べ物が好きではありません。私の兄も好きではありません。)
- She cannot speak French. Nor can he.(彼女はフランス語を話せません。彼もできません。)
- They didn’t go to the party. Nor did we.(彼らはパーティーに行きませんでした。私たちも行きませんでした。)
単独の「nor」を使った文は、前の文の否定内容を強調し、さらに別の対象にもその否定が適用されることを示します。これにより、簡潔で力強い表現が可能になります。
また、会話の中で相手の否定的な発言に対して同意する場合にも、「Nor do I.(私もそうではありません。)」のように使うことができます。
例文
- A: I don’t like horror movies.(ホラー映画が好きではありません。)
- B: Nor do I.(私も好きではありません。)
norが含まれる慣用表現
「nor」は、いくつかの慣用表現の中でも使われています。これらの表現を知っておくと、より自然で豊かな英語表現が可能になります。以下に代表的な表現をいくつか紹介します。
neither here nor there
「neither here nor there」は「どうでもいいこと」「重要ではないこと」という意味を持つ慣用表現です。
例文
- Whether he comes or not is neither here nor there.(彼が来るかどうかはどうでもいいことです。)
- Your opinion is neither here nor there in this matter.(この件であなたの意見はさほど重要ではありません。)
neither fish nor fowl
「neither fish nor fowl」は「どっちつかずのもの」「はっきりしないもの」という意味を持つ慣用表現です。
例文
- That movie is neither fish nor fowl.(その映画はどっちつかずのものです。)
- His answer was neither fish nor fowl.(彼の答えははっきりしませんでした。)
nor hide nor hair
「nor hide nor hair」は「全く姿を見せない」「全く痕跡がない」という意味を持つ表現です。
例文
- We have seen neither hide nor hair of him since last month.(先月から彼の姿を全く見ていません。)
これらの慣用表現は、日常会話や文章の中で使われ、より豊かな表現を可能にします。初学者にとっては少し難しいかもしれませんが、少しずつ覚えていくとよいでしょう。
norの発音と読み方
「nor」の発音は、英語ネイティブスピーカーにとって自然に出てくる音ですが、日本人学習者にとっては少し注意が必要です。ここでは、「nor」の発音と読み方について詳しく説明します。
「nor」の発音記号は /nɔːr/ で、カタカナで表すと「ノーア」あるいは「ノア」と読みます。「no」の音に「r」の音を加えたような発音です。
発音のポイントは以下の通りです。
- 「n」は日本語の「ン」と同じように発音します。
- 「o」は「オー」と長めに発音します。
- 「r」は日本語にはない音で、舌の先を上あごに近づけるが触れないようにして発音します。
「nor」は短い単語ですが、正確に発音することで、より自然な英会話ができるようになります。特に「neither…nor…」の表現を使う際には、リズムよく発音するとより効果的です。
また、「nor」は文中での強調の度合いによって、強く発音されることもあります。特に対比を強調する場合には、「NOR」とやや強めに発音されることがあります。
例文
- I like neither apples NOR oranges.(私はリンゴもオレンジも好きではありません。)
norのよくある間違いと注意点
「nor」を使う際には、いくつかの一般的な間違いや注意すべき点があります。ここでは、英語学習者がよく混乱する点を解説します。
「not…nor」の使い方
多くの学習者が間違えるのは、「not」と「nor」の組み合わせです。「not A nor B」という形で使おうとする人が多いですが、これは文法的に注意が必要です。
正しい使い方
- 名詞、副詞、形容詞を否定する場合:「not A or B」
- 動詞を否定する場合:「not A nor B」または「not A or B」
例文
- 正しい:I am not interested in pizza or pasta.(私はピザにもパスタにも興味がありません。)
- 誤り:I am not interested in pizza nor pasta.
例文
- 正しい:She does not sing or dance.(彼女は歌わないし、踊りもしません。)
または:She does not sing nor dance.
動詞の場合は「or」か「nor」のどちらも使えますが、「nor」の方がより強い否定の意味を持ちます。
「neither…or」の誤用
もう一つよくある間違いは、「neither…or」という組み合わせです。正しくは「neither…nor」です。
例文
- 誤り:I like neither apples or oranges.
- 正しい:I like neither apples nor oranges.(私はリンゴもオレンジも好きではありません。)
倒置の忘れ
単独で「nor」を使う場合、その後の文では倒置(主語と動詞の順序の入れ替え)が必要です。これを忘れることもよくある間違いです。
例文
- 誤り:I don’t like coffee. Nor I like tea.
- 正しい:I don’t like coffee. Nor do I like tea.(私はコーヒーが好きではありません。お茶も好きではありません。)
「nor」の過剰使用
「nor」は否定を表す強力な表現ですが、日常会話ではそれほど頻繁に使われません。特に単独の「nor」は、やや形式的な文脈で使われることが多いです。日常の会話では、「and…not either」や「and…not…too」などの表現も使われます。
例文
- I don’t like coffee. And I don’t like tea either.(私はコーヒーが好きではありません。お茶も好きではありません。)
「nor」と「or」の使い分け
「not…nor」と「not…or」の使い分けも混乱しやすいポイントです。基本的に、
- 名詞、形容詞、副詞を否定する場合は「not…or」を使います。
- 動詞を否定する場合は「not…or」または「not…nor」のどちらも使えますが、「nor」の方が強い否定を表します。
例文
- He doesn’t play soccer or basketball.(彼はサッカーもバスケットボールもしません。)
- She will not go outside nor even use the telephone.(彼女は外出もせず、電話も使いません。)
norに関する問題
ここでは、「nor」の使い方に関する問題を10問用意しました。各問題を解いて、「nor」の理解を深めましょう。
- 次の文の空欄に当てはまる正しい言葉を選びましょう。
I like ( ) fish ( ) meat.
a) not, or
b) neither, nor
c) not, nor
d) neither, or - 次の文を「nor」を使った正しい文に書き換えましょう。
She can’t swim. She can’t run. - 「I don’t like coffee. I don’t like tea.」を「nor」を使って一つの文にしましょう。
- 次の文の誤りを直しましょう。
I am not interested in math nor science. - 「neither…nor…」を使って次の情報を表現しましょう。
Tom doesn’t have time. Tom doesn’t have money. - 次の文の空欄に適切な語を入れましょう。
She doesn’t like dogs. ( ) ( ) her brother. - 「I don’t read books or magazines.」を「neither…nor…」を使って書き換えましょう。
- 次の文の誤りを直しましょう。
Neither my sister nor my brother are going to the party. - 「nor」を使って次の否定文を完成させましょう。
The restaurant is not cheap. It is ( ) expensive. - 「neither here nor there」の意味として正しいものを選びましょう。
a) どこにもない
b) 重要ではない
c) 行ったり来たり
d) どこにでもある
「nor」に関するよくある質問
ここでは、「nor」に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめています。
- 「nor」と「or」の違いは何ですか?
-
「nor」は否定の接続詞で、「〜もない」という意味を持ちます。一方、「or」は選択を表す接続詞で、「〜か〜」という意味です。「nor」は否定文で使われ、「or」は肯定文でも否定文でも使えます。否定文で「or」を使うと「〜も〜もない」という意味になりますが、「nor」を使うとより強い否定になります。
- 「neither…nor…」と「either…or…」の違いは何ですか?
-
「neither…nor…」は「〜も〜もない」という否定を表し、「either…or…」は「〜か〜のどちらか」という選択を表します。「neither…nor…」は両方を否定し、「either…or…」は一方を選択します。
- I like neither coffee nor tea.(私はコーヒーもお茶も好きではありません。)
- I like either coffee or tea.(私はコーヒーかお茶が好きです。)
- 「nor」を使う文で動詞の形はどうなりますか?
-
「neither…nor…」が主語の場合、動詞は「nor」の後に来る名詞または代名詞に合わせます。単独の「nor」を使う場合は、前の文の助動詞や「do」「does」「did」を用いて倒置を作ります。
- Neither you nor I am happy.(あなたも私も幸せではありません。)
- I don’t like coffee. Nor does she.(私はコーヒーが好きではありません。彼女も好きではありません。)
- 日常会話で「nor」はよく使われますか?
-
「nor」、特に単独で使われる「nor」は、日常会話ではそれほど頻繁には使われません。より一般的には「and…not either」や「and…not…too」などの表現が使われます。「neither…nor…」は比較的よく使われますが、やや形式的な印象を与えることがあります。
- 「not…nor」は正しい表現ですか?
-
名詞、形容詞、副詞を否定する場合、「not A nor B」ではなく「not A or B」を使うのが一般的です。一方、動詞を否定する場合は「not A nor B」も「not A or B」も使えますが、「nor」の方がより強い否定を表します。
- 正しい:I am not interested in math or science.(私は数学も科学も興味がありません。)
- 動詞の場合:She does not sing nor dance.(彼女は歌わないし、踊りもしません。)
まとめ

この記事では、英語の否定表現に欠かせない接続詞「nor」について詳しく解説しました。「nor」は主に「〜もまた〜ない」という意味を持ち、否定文で追加の否定を表現するのに役立ちます。
「neither…nor…」の形で使われることが多く、また単独でも使うことができます。以下に、この記事のポイントをまとめました。
- 「nor」は否定を表す接続詞で、「〜もまた〜ない」という意味を持つ。
- 「neither…nor…」は「〜も〜もない」という意味で、二つの対象を同時に否定する。
- 単独の「nor」は前の文が否定文の場合に使え、その後は倒置(動詞+主語)になる。
- 名詞、形容詞、副詞を否定する場合は「not A or B」を使い、「not A nor B」は一般的には使わない。
- 動詞を否定する場合は「not A or B」または「not A nor B」のどちらも使えるが、「nor」の方が強い否定を表す。
- 「nor」には「neither here nor there(重要ではない)」「neither fish nor fowl(どっちつかずの)」などの慣用表現がある。
- 「nor」の発音は /nɔːr/ で、カタカナでは「ノーア」または「ノア」。
英語の否定表現は、ネイティブスピーカーでも間違えることがある難しい領域です。特に「nor」と「or」の使い分けには注意が必要ですが、この記事で解説した基本的なルールを理解し、例文を参考にしながら練習すれば、正確に使いこなせるようになるでしょう。
「nor」を適切に使うことで、より豊かで正確な英語表現が可能になります。