「obscure」は英語の形容詞と動詞の両方として使える語で、形容詞としては「不明瞭な」「曖昧な」「知られていない」、動詞としては「隠す」「見えにくくする」といった意味を持っています。日常会話よりも文学や学術的な文脈でよく使われる少し高度な単語です。
この記事では、初学者向けに「obscure」の意味と使い方を分かりやすく解説していきます。
obscureとは?その基本的な意味と語源

「obscure」は元々ラテン語の「obscurus(暗い、影のような)」から派生した言葉です。このルーツから、「はっきりと見えない」「分かりにくい」という基本的な意味が生まれました。14世紀頃から英語でも使われるようになり、時代とともに意味が広がっていきました。
現代英語では、何かが理解しにくい状態や、あまり知られていないことを表す際によく使われます。形容詞として「The meaning is obscure(意味が不明瞭だ)」のように使ったり、動詞として「Clouds obscure the sun(雲が太陽を隠す)」のように使ったりします。
言葉を覚えるコツとして、「ob(離れる)」と「scure(暗い、闇)」という構成要素に分解して考えると、「光から離れて物事がよく見えなくなる」というイメージで理解しやすくなります。
obscureの形容詞としての使い方
形容詞としての「obscure」には、いくつかの主要な使い方があります。それぞれの意味とニュアンスを詳しく見ていきましょう。
「不明瞭な、曖昧な」という意味での使い方
最も一般的な使い方は、何かが分かりにくい、理解しづらいという状態を表す場合です。文章や説明が複雑すぎたり情報が不足していたりして、意味がはっきりしない時によく使われます。
例文
- His answer was very obscure. (彼の答えはとても曖昧でした。)
- The poem has an obscure meaning. (その詩は不明瞭な意味を持っています。)
- The teacher’s explanation was obscure to the students. (先生の説明は生徒たちには分かりにくかった。)
この意味での「obscure」は、文や言葉の意味が不明瞭なときの「vague」や「unclear」、複数の解釈ができる「ambiguous」などと近い意味を持ちますが、「obscure」は特に理解するのが難しい状態を強調する傾向があります。
「無名の、知られていない」という意味での使い方
もう一つの重要な使い方は、あまり知られていない人やもの、場所などを表す場合です。有名でない、注目されていない状態を示します。
例文
- She is an obscure writer from the 19th century. (彼女は19世紀の無名の作家です。)
- They live in an obscure village in the mountains. (彼らは山の中の人里離れた村に住んでいます。)
- He collects obscure books about history. (彼は歴史についてのあまり知られていない本を集めています。)
この使い方では、「マイナーな」「知名度の低い」というニュアンスが含まれますが、必ずしも否定的な意味ではありません。むしろ、希少性や特別感を表すこともあります。
「薄暗い」という意味での使い方
原義に近い使い方として、「薄暗い」「ぼんやりとした」という視覚的な状態を表す場合もあります。現代では比較的使用頻度が低いですが、文学作品などではこの意味でも見かけることがあります。
例文
- The path was obscure in the evening light. (その道は夕暮れの光の中で薄暗かった。)
- We could see an obscure figure in the distance. (私たちは遠くにぼんやりとした人影を見ることができました。)
- The room was obscure and mysterious. (その部屋は薄暗く神秘的でした。)
obscureの動詞としての使い方
「obscure」は動詞としても使われ、「隠す」「見えにくくする」「不明瞭にする」といった意味があります。
「隠す、見えにくくする」という意味での使い方
何かが他のものを物理的に隠したり、視界を遮ったりする場合に使います。雲が太陽を隠す、霧が景色を隠すといった自然現象の描写によく使われます。
例文
- The clouds obscure the sun. (雲が太陽を隠しています。)
- The fog obscured our view of the mountains. (霧が山々の景色を見えなくしました。)
- Tall buildings obscure the sky in the city. (高いビルが都市の空を見えなくしています。)
この使い方では、視界を遮る・遮断するという物理的な動作を表現します。
「曖昧にする、分かりにくくする」という意味での使い方
抽象的な意味では、真実や事実を意図的に曖昧にしたり、理解しにくくしたりする場合に使われます。情報を隠したり混乱させたりするニュアンスがあります。
例文
- His speech obscured the real issue. (彼のスピーチは本当の問題を曖昧にしました。)
- Too many details can obscure the main point. (細かすぎる詳細は要点を分かりにくくすることがあります。)
- The report tried to obscure the facts. (その報告書は事実を曖昧にしようとしました。)
この使い方では、単に「隠す」という意味の「hide」より、複雑さによって分かりにくくするというニュアンスが強くなります。
obscureを使った例文と表現
「obscure」を日常的な場面で使う例文をいくつか見てみましょう。中学生レベルの英語で簡単な例文を紹介します。
例文
- The meaning of the story is obscure to me. (その物語の意味は私には分かりません。)
- She likes obscure music that few people know. (彼女は少数の人しか知らないマイナーな音楽が好きです。)
- The fog obscured the road ahead. (霧が前方の道を見えなくしました。)
- For some obscure reason, he left the party early. (何か分からない理由で、彼はパーティーを早く去りました。)
- The village is in an obscure part of the country. (その村はその国の辺鄙な地域にあります。)
- His handwriting is so bad that it obscures the message. (彼の筆跡はとても悪くて、メッセージが読み取れません。)
- The clouds obscured the moon last night. (昨夜は雲が月を隠していました。)
- She enjoys reading obscure novels from the 18th century. (彼女は18世紀の知られていない小説を読むのを楽しんでいます。)
- The history of this place remains obscure. (この場所の歴史は不明なままです。)
- The government tried to obscure the truth about the incident. (政府はその事件についての真実を曖昧にしようとしました。)
obscureのよくある間違いと注意点
「obscure」を使う際によくある間違いや注意すべき点をいくつか紹介します。
発音の間違い
「obscure」の発音は「əbˈskjʊər」で、カタカナで表すと「アブスキュア」あるいは「オブスキュア」となります。初学者がよく間違えるのは「オブスキューア」と伸ばしすぎることや、「オブスクア」と「k」と「j」の音をうまく出せないことです。
正しい発音を身につけるために、ネイティブスピーカーの発音を聞いて練習しましょう。
類似語との混同
「obscure」は「vague(曖昧な)」や「ambiguous(多義的な)」、「unclear(はっきりしない)」といった類似語と混同されがちです。
それぞれのニュアンスの違いを理解しておきましょう。
- 「obscure」:理解するのが難しい、知られていない
- 「vague」:詳細が不足している、具体性がない
- 「ambiguous」:複数の解釈が可能
- 「unclear」:はっきりしていない、明確でない
「obscure」を動詞として使う際の誤用
「obscure」を動詞として使う際、「obscure from」ではなく「obscure to」と使ってしまうのはよくある間違いです。正しくは以下のようになります。
誤:The mountain was obscured to us by the clouds.
正:The mountain was obscured from us by the clouds.
(山は雲によって私たちから隠されていました。)
また、動詞として使う場合の活用形(obscure, obscures, obscuring, obscured)もしっかり覚えておきましょう。
意味の誤解
「obscure」を単に「隠れている」という意味で使うのは誤りです。「obscure」には「理解しにくい」「知られていない」というニュアンスが含まれます。
単に物理的に隠れているだけなら「hidden」や「concealed」が適切です。
形式ばった印象の注意
「obscure」はやや文学的・学術的な単語であり、日常会話ではあまり使われません。日常的な場面では「not clear」「not well-known」などのより簡単な表現を使うことが多いです。
フォーマルな文脈や書き言葉で使うのが一般的です。
obscureを含むコロケーション(よく一緒に使われる表現)
「obscure」とよく一緒に使われる表現をいくつか紹介します。コロケーションを覚えることで、より自然な英語表現ができるようになります。
コロケーション | 意味 | 例文 |
---|---|---|
obscure reference | 不明瞭な参照 | The book contains many obscure references to ancient texts. (その本には古代のテキストへの多くの不明瞭な言及が含まれています。) |
obscure origin | 不明な起源 | The custom is of obscure origin. (その習慣の起源は不明です。) |
obscure meaning | 不明瞭な意味 | The poem has an obscure meaning. (その詩は不明瞭な意味を持っています。) |
obscure figure | 無名の人物 | He was an obscure figure in history until recently. (彼は最近まで歴史上の無名の人物でした。) |
obscure artist | 無名のアーティスト | She collects works by obscure artists. (彼女は無名のアーティストの作品を集めています。) |
obscure fact | あまり知られていない事実 | The book reveals many obscure facts about the war. (その本は戦争についての多くの知られていない事実を明らかにしています。) |
obscure village | 辺鄙な村 | They visited an obscure village in the mountains. (彼らは山の中の辺鄙な村を訪れました。) |
obscure corner | 人目につかない片隅 | The old book was found in an obscure corner of the library. (その古い本は図書館の人目につかない片隅で見つかりました。) |
for some obscure reason | 何らかの不明な理由で | For some obscure reason, he decided not to come. (何らかの不明な理由で、彼は来ないことに決めました。) |
remain obscure | 不明のままである | The details of the incident remain obscure. (その事件の詳細は不明のままです。) |
obscureに関する問題
ここでは「obscure」についての知識を試す問題を10問用意しました。以下の問題を解いて、理解度をチェックしてみましょう。
- 次の文の空欄に適切な単語を入れてください:The clouds _ the sun, making it difficult to see.
- 「彼は無名の作家です」を英語で表すと?
- 「obscure」の形容詞の反対語として最も適切なものはどれですか?
a) clear b) famous c) bright d) visible - 次の文の「obscure」はどのような意味で使われていますか?
“The origin of this tradition remains obscure.” - 「obscure」を使って「霧が山々を隠していた」という文を作ってください。
- 「obscure」の発音として正しいものはどれですか?
a) ob-SKYUR b) OB-skyur c) ob-SKUR d) OB-skur - 「彼の説明は非常に不明瞭だった」を英語で表すと?
- 「obscure」の動詞としての過去形は何ですか?
- 次の文の「obscure」を別の類似表現に置き換えるとしたら何が適切ですか?
“She lives in an obscure village in the countryside.” - 「obscure」を使って「真実を曖昧にしようとする」という表現を作ってください。
「obscure」に関するよくある質問
- 「obscure」はどのような場面で使うのが適切ですか?
-
「obscure」は主に文学的な文脈や学術的な場面で使われることが多い単語です。特に、何かが理解しにくいときや、あまり知られていない人やものを表現するときに適しています。日常会話ではあまり使われず、書き言葉やフォーマルな場面で使われることが多いです。
- 「obscure」と「vague」の違いは何ですか?
-
両方とも「曖昧な」という意味を持ちますが、ニュアンスが異なります。「obscure」は何か重要なことが隠されているために理解しづらい状態を表します。一方、「vague」は詳細が不足していたり、明確に定義されていないために曖昧である状態を表します。「vague」には「隠されている」というニュアンスはありません。
- 「obscure」の名詞形は何ですか?
-
「obscure」の名詞形は「obscurity」です。「不明瞭さ」「曖昧さ」「無名であること」などを意味します。例えば、「He lived in obscurity all his life.(彼は生涯無名のまま暮らした)」のように使います。
- 「obscure」は日本語でどのように訳されますか?
-
文脈によって異なりますが、形容詞としては「不明瞭な」「曖昧な」「無名の」「知られていない」「辺鄙な」「薄暗い」など、動詞としては「隠す」「見えなくする」「曖昧にする」などと訳されます。
- 「obscure」の語源は何ですか?
-
「obscure」はラテン語の「obscurus(暗い、影のような)」から派生しました。14世紀頃から英語でも使われるようになり、「見えにくい」「理解しにくい」といった意味で使われてきました。
- 「obscure」の活用形はどうなりますか?
-
動詞としての活用形は以下の通りです。
- 原形:obscure
- 三人称単数現在形:obscures
- 現在分詞:obscuring
- 過去形・過去分詞:obscured
- 「obscure」をカジュアルな会話で使うことはありますか?
-
「obscure」はやや堅い表現で、カジュアルな日常会話ではあまり使われません。同じような意味を表す場合、日常会話では「not clear」「hard to understand」「not well-known」などのより簡単な表現が使われることが多いです。
- 「obscure」は否定的な意味がありますか?
-
必ずしも否定的な意味を持つわけではありませんが、文脈によっては否定的なニュアンスを持つことがあります。特に「理解しにくい」という意味で使われる場合は、やや否定的な意味合いがあります。ただし、「無名の、知られていない」という意味で使う場合は、単に知名度が低いということを表し、必ずしも否定的ではありません。
まとめ

この記事では「obscure」の意味と使い方について詳しく解説しました。「obscure」は形容詞としても動詞としても使える多様な単語で、「不明瞭な」「知られていない」「隠す」といった意味を持っています。
「obscure」についての主なポイントをまとめると、
- 形容詞としては「不明瞭な」「曖昧な」「無名の」「知られていない」「薄暗い」といった意味を持つ
- 動詞としては「隠す」「見えなくする」「曖昧にする」といった意味を持つ
- 語源はラテン語の「obscurus(暗い、影のような)」
- 発音は「アブスキュア」または「オブスキュア」
- 日常会話よりも文学的・学術的な文脈でよく使われる
- 類似語には「vague」「ambiguous」「unclear」などがある
- 名詞形は「obscurity」
「obscure」はやや高度な単語ですが、洗練された表現をするために覚えておくと役立つでしょう。特に読書や論文、フォーマルな文書を読む際に出会う可能性が高い単語です。
この記事の解説と例文を参考に、ぜひ「obscure」の使い方をマスターしてください。