「pat」は英語で「軽くたたく」という基本的な意味を持つ言葉で、動詞・名詞・形容詞・副詞など複数の品詞として使われる多様な単語です。愛情を込めて動物や人をなでる時の動作を表したり、バターの小さなかたまりを指したりと、様々な使われ方をします。
この記事では英語初学者向けに「pat」の意味や使い方を例文とともに詳しく解説していきます。
「pat」とは?基本的な意味と品詞

「pat」は非常に用途の広い英単語で、主に「手のひらで軽くたたく」という動作を表します。最も一般的な使い方は動詞ですが、名詞、形容詞、副詞としても使うことができます。インド・ヨーロッパ祖語の「打つ」を意味する言葉に起源を持ち、古い時代から使われてきた言葉です。
動詞としての「pat」は、愛情や安心感を与えるために誰かや何かを優しくたたく行為を表現します。名詞の場合は、そのたたく動作自体や、バターなどの小さな塊を指します。また形容詞や副詞としては「適切な」「すらすらと」などの意味があり、幅広い使い方ができる便利な単語です。
日常会話から料理の表現まで様々な場面で使われるため、基本的な使い方を押さえておくと英語でのコミュニケーションの幅が広がります。
「pat」の動詞としての使い方
動詞としての「pat」は、手のひらや平らなものを使って優しく軽くたたく動作を表します。
対象は人、動物、物など様々で、特に愛情や慰め、励ましなどのポジティブな感情を伝える時に使われることが多いです。
基本的な動詞の使い方
「pat」を動詞として使う際の基本的な形は以下の通りです。
- 原形:pat
- 三人称単数形:pats
- 過去形・過去分詞形:patted
- 現在分詞形:patting
「pat」は他動詞として使われることが多く、「〜をたたく」という形で使います。また「on」や「against」などの前置詞と組み合わせて「〜をたたく」「〜に対してたたく」という表現も可能です。
「pat」を使った例文
例文
- She gently patted the baby’s back.(彼女は赤ちゃんの背中を優しくたたきました。)
- I patted my dog when he did a good trick.(犬が上手な芸をした時、私は犬をなでました。)
- He patted me on the shoulder to show his support.(彼は支持を示すために私の肩を軽くたたきました。)
- The chef patted the dough into a round shape.(シェフは生地を丸い形になるようにたたきました。)
- My mother patted my hair dry with a towel.(母はタオルで私の髪を軽くたたいて乾かしました。)
「pat」と前置詞の組み合わせ
「pat」は様々な前置詞と組み合わせて使うことができます。
- pat on:〜の上をたたく(pat on the head「頭をなでる」)
- pat into:たたいて〜の形にする(pat into shape「たたいて形を整える」)
- pat down:たたいて平らにする・押さえる(pat down the soil「土をたたいて平らにする」)
「pat」の名詞としての使い方
「pat」は名詞としても頻繁に使われ、主に「軽くたたくこと」や「軽くたたく音」を表します。また料理の世界では「バターなどの小さな塊」を指すこともあります。
名詞としての意味と用法
名詞としての「pat」は可算名詞として使われることが多く、「a pat」「pats」のような形で表現します。
特に感情を込めた軽いたたき動作を表現する時に使われます。
「pat」を使った名詞の例文
例文
- He gave the dog a pat on the head.(彼は犬の頭を軽くなでました。)
- She received a friendly pat on the back from her teacher.(彼女は先生から友好的に背中をたたかれました。)
- Two pats of butter are needed for this recipe.(このレシピにはバターの小塊が2つ必要です。)
- I heard soft pats of footsteps coming up the stairs.(階段を上ってくる柔らかな足音が聞こえました。)
- The mother gave a gentle pat to calm her crying baby.(母親は泣いている赤ちゃんを落ち着かせるために優しくたたきました。)
「pat」の形容詞・副詞としての使い方
「pat」は形容詞や副詞としても使用され、その場合は「適切な」「すらすらと」といった意味になります。
ただしこの用法は動詞や名詞としての使用よりも頻度は低めです。
形容詞としての「pat」
形容詞としての「pat」は、「あまりにもすらすらと出てくる」「よどみがない」といったニュアンスで、特に答えや回答について使われることが多いです。
時に「あまりに出来過ぎた」というやや否定的なニュアンスを含むこともあります。
副詞としての「pat」
副詞として使われる場合は「きっちりと」「すらすらと」「適切に」といった意味になります。
何かを完璧に覚えているときに「know something pat(何かをきっちり知っている)」というような表現で使われます。
形容詞・副詞としての例文
例文
- His answer was too pat to be believable.(彼の答えはあまりにもよどみなさすぎて信じられませんでした。)
- She knows her lines pat.(彼女はセリフをすらすらと覚えています。)
- The solution came pat to him.(その解決策は彼にはすぐに思い浮かびました。)
- That explanation sounds too pat.(その説明はあまりにも出来すぎています。)
- He learned the poem pat.(彼はその詩を完璧に覚えました。)
「pat」を使った慣用表現
「pat」を使った慣用表現もいくつか存在します。特に「pat on the back」は日常会話でよく使われる表現です。
代表的な慣用表現
a pat on the back(背中をたたくこと→称賛・激励)
これは最も一般的な慣用表現で、誰かに対する称賛や激励を表します。何か良いことをした人を認めて背中をたたくジェスチャーに由来しています。
stand pat(現状維持する、変更しない)
特にカードゲームなどで「今の状態で続ける」という意味から派生し、一般的に「自分の立場を変えない」「現状維持を選ぶ」という意味で使われます。
pat oneself on the back(自分で自分を褒める)
自分自身の成果や業績を自画自賛する様子を表します。時に「自惚れている」というネガティブなニュアンスで使われることもあります。
慣用表現の例文
例文
- He deserves a pat on the back for his hard work.(彼は懸命に働いたことに対して称賛に値します。)
- The company decided to stand pat on its pricing policy.(その会社は価格設定方針を変えないことに決めました。)
- Stop patting yourself on the back and help others.(自画自賛するのをやめて、他の人を助けなさい。)
- The team gave each other pats on the back after winning the game.(チームはゲームに勝った後、お互いを称え合いました。)
- She got a pat on the back from the boss for finishing the project early.(彼女はプロジェクトを早く終えたことでボスから称賛されました。)
「pat」と「tap」の違い
英語学習者がよく混同するのが「pat」と「tap」です。どちらも「軽くたたく」という意味を持ちますが、使う状況やニュアンスに違いがあります。
「pat」と「tap」の基本的な違い
「pat」は手のひら全体を使って、愛情や慰めを込めて優しくたたく動作です。感情表現を伴うことが多く、より柔らかくフレンドリーな印象を与えます。
一方「tap」は指先や物の先端を使って、コツコツとたたく動作です。注意を引いたり、リズムを刻んだりする場合に使われることが多く、より機械的・目的的な動作を表します。
使い分け例
- 犬や猫をなでる → pat(愛情表現)
- 肩をたたいて注意を引く → tap(注意喚起)
- 赤ちゃんを寝かしつける → pat(慰め)
- テーブルを指でリズミカルにたたく → tap(リズム)
- 生地をたたいて形を整える → pat(形成)
- スマホの画面をたたく → tap(操作)
比較例文
例文
- I patted the dog gently on its head.(私は犬の頭を優しくなでました。)
- I tapped the dog on its back to get its attention.(私は犬の注意を引くために背中をトントンとたたきました。)
例文
- She patted her friend on the shoulder to comfort her.(彼女は友達を慰めるために肩をポンポンとたたきました。)
- She tapped her friend on the shoulder to ask a question.(彼女は質問するために友達の肩をトントンとたたきました。)
例文
- The mother patted the baby to sleep.(母親は赤ちゃんをたたいて寝かしつけました。)
- The student tapped his pen on the desk while thinking.(学生は考えながらペンで机をトントンとたたいていました。)
「pat」のよくある間違いと注意点
「pat」を使う際によく見られる間違いや注意すべきポイントをいくつか挙げていきます。
「pat」と「pet」の混同
「pat」と「pet」はどちらも動物に対して使うことが多い動詞ですが、意味が異なります。
「pat」は「軽くたたく、なでる」動作そのものを指しますが、「pet」は「(ペットとして)飼う」や「撫でる、かわいがる」という意味です。
✓ I patted the cat on its head.(私は猫の頭をなでました。)
✗ I petted the cat on its head.(※この使い方はネイティブには不自然に聞こえることがあります)
「pat down」の意味を誤解する
「pat down」には「軽くたたいて平らにする」という基本的な意味の他に、「ボディチェックをする(体を手で触って武器などを探す)」という意味もあります。
文脈から適切な意味を判断することが重要です。
例文
- ✓ The police officer patted down the suspect.(警官は容疑者のボディチェックをしました。)
- ✓ She patted down the soil around the plant.(彼女は植物の周りの土をたたいて平らにしました。)
形容詞・副詞としての使い方を誤解する
「pat」が形容詞や副詞として使われる場合は「すらすらと」「用意された」というニュアンスがある点に注意が必要です。時に否定的な意味合いを持つこともあります。
✓ His answer was too pat to be sincere.(彼の答えはあまりにもスムーズすぎて誠実さに欠けました。)
✗ He gave a pat answer.(※この場合「簡単な答え」ではなく「あまりに出来すぎた答え」という意味になります)
PAT(大文字)と pat(小文字)の混同
「PAT」と大文字で書かれる場合、特許(Patent)や特定の略語を表すことがあります。小文字の「pat」とは全く異なる意味になるので注意が必要です。
例文
- ✓ The product has a PAT pending.(その製品は特許出願中です。)
- ✓ He gave me a pat on the back.(彼は私の背中をたたきました。)
慣用表現の誤用
「pat on the back」のような慣用表現は、使い方を間違えると不自然な英語になります。特に前置詞の使い方には注意が必要です。
✓ She gave me a pat on the back.(彼女は私の背中をたたきました。)
✗ She gave me a pat in the back.(※正しくは「on the back」)
「pat」に関する問題
ここでは「pat」に関する理解度を確認するための問題を10問用意しました。様々な品詞や使い方を含んでいますので、学習の確認にお役立てください。
問題の後に解答と解説を記載していますので、まずは自分で考えてから解答を見ることをおすすめします。
- 次の文の( )に入る適切な単語を選びなさい。
“The mother __ her baby to sleep.”
a) patted
b) tapped
c) petted
d) hitted - 「pat」の過去形はどれですか?
a) pated
b) patting
c) patted
d) pats - 次の英文の意味として正しいものを選びなさい。
“He gave me a pat on the back.”
a) 彼は私の背中を殴った
b) 彼は私の背中を軽くたたいた
c) 彼は私の背中を引っ掻いた
d) 彼は私の背中にパッチを貼った - 次の文の( )に入る適切な単語を選びなさい。
“I need two __ of butter for this recipe.”
a) pieces
b) cuts
c) pats
d) slices - 「a pat on the back」はどのような意味を表す慣用句ですか?
a) 背中を痛める
b) 背中をこする
c) 称賛や激励
d) 背中の治療 - 次の文の( )に入る適切な表現を選びなさい。
“He knows the poem so well that he can recite it __.”
a) pat
b) patting
c) patly
d) patted - 「pat down」の意味として正しいものを選びなさい。
a) 下に向かって移動する
b) 下がる
c) ボディチェックをする
d) 下を向いて歩く - 次の文の( )に入る適切な単語を選びなさい。
“She __ herself on the back for solving the problem.”
a) patted
b) patting
c) pats
d) pat - 「pat」と「tap」の違いとして正しいものを選びなさい。
a) patは強く叩く、tapは軽く叩く
b) patは指先で叩く、tapは手のひらで叩く
c) patは手のひらで愛情を込めて叩く、tapは指先で注意を引くために叩く
d) patは叩く回数が多い、tapは1回だけ叩く - 次の英文の意味として正しいものを選びなさい。
“His answer was too pat to be believable.”
a) 彼の答えは簡単すぎて信じられなかった
b) 彼の答えはあまりにも完璧すぎて信じられなかった
c) 彼の答えは遅すぎて信じられなかった
d) 彼の答えは古すぎて信じられなかった
「pat」に関するよくある質問
「pat」は英単語として多様な意味を持つため、様々な疑問が生まれることがあります。ここでは頻繁に寄せられる質問とその回答をまとめました。
- 「pat」と「pet」の違いは何ですか?
-
「pat」と「pet」はどちらも動物に対して使うことが多い動詞ですが、意味が異なります。「pat」は「軽くたたく、なでる」という動作を表し、「pet」は「(ペットとして)飼う」という意味の他に、「撫でる、かわいがる」という意味もあります。米国英語では「pet」を「撫でる」という意味で使うことが多いですが、英国英語では「stroke」や「pat」を使う傾向があります。
- 「pat down」はどんな場面で使いますか?
-
「pat down」は主に二つの意味で使われます。一つは「軽くたたいて平らにする」という意味で、例えば土をたたいて平らにする時などに使います。もう一つは「ボディチェックをする」という意味で、空港のセキュリティチェックや警察による身体検査などの場面で使われます。「The security guard patted down all passengers.(警備員は全ての乗客をボディチェックしました。)」
- 「pat」を使った他の慣用表現はありますか?
-
「a pat on the back(称賛・激励)」や「pat oneself on the back(自画自賛する)」、「stand pat(現状維持する)」の他にも、いくつかの表現があります。例えば「have something down pat(何かを完璧に覚えている)」は「He has his speech down pat.(彼はスピーチを完璧に覚えている。)」のように使います。また「pat answer(出来すぎた答え、ありきたりな答え)」という表現もあります。
- 「pat」と「slap」の違いは何ですか?
-
「pat」は愛情や優しさを込めた軽いたたき方を表しますが、「slap」は平手打ちのような、より強く時に攻撃的なたたき方を表します。「pat」が励ましや慰めの意味を持つのに対し、「slap」は怒りや罰の意味合いを持つことが多いです。
- 「PAT」と大文字で書かれる場合は何を意味しますか?
-
「PAT」と大文字で書かれる場合は、いくつかの略語を表します。最も一般的なのは「Patent(特許)」の略で、「PAT」や「PAT.P(Patent Pending:特許出願中)」のように表記されます。その他にも「Portable Appliance Testing(携帯電気機器検査)」や「Point After Touchdown(アメリカンフットボールでのタッチダウン後の得点)」など、文脈によって様々な意味があります。
- 「pat」は料理のレシピでどのように使われますか?
-
料理の文脈では「pat」は二つの主な使われ方があります。一つは動詞として「pat dry(たたいて乾かす)」のように使い、例えば「Pat the chicken dry with paper towels.(紙タオルで鶏肉をたたいて水気を取る。)」などと表現します。もう一つは名詞として「a pat of butter(バターの小塊)」のように使い、小さな量のバターを表します。
まとめ

この記事では英語の「pat」について、その意味や使い方、例文などを詳しく解説してきました。「pat」は日常会話でよく使われる言葉ですが、様々な品詞や意味を持つため、英語学習者にとっては混乱することもあるかもしれません。
最後に、記事の重要なポイントをまとめておきます。
- 「pat」は動詞・名詞・形容詞・副詞として様々な使い方がある
- 動詞としては「軽くたたく」「なでる」という意味が基本
- 名詞としては「軽くたたくこと」「バターなどの小塊」を表す
- 形容詞・副詞としては「すらすらと」「適切に」という意味がある
- 「pat on the back」は「称賛・激励」という慣用表現
- 「pat」と「tap」は似ているが、「pat」は手のひらで愛情を込めて、「tap」は指先で注意を引くためにたたくことが多い
- 「pat down」には「たたいて平らにする」と「ボディチェックをする」の2つの意味がある
- 大文字の「PAT」は特許(Patent)などを表す略語として使われる
英語を学習する際には、単語の基本的な意味だけでなく、慣用表現や類似表現との違いも理解することが重要です。
「pat」のように一見シンプルな単語でも、実際には様々な使い方があり、それぞれの場面で適切に使い分けることが英語上達の鍵となります。