英語学習において、似た意味を持つ単語の使い分けは常に悩ましい問題です。特に「persuade(説得する)」と「convince(納得させる)」は、どちらも「説得する」という意味合いを持ちながらも、用法やニュアンスに違いがあります。
この記事では、「persuade」と「convince」の違いを初学者にもわかりやすく解説します。基本的な違いとしては、「persuade」は「行動を促すための説得」に重点を置き、「convince」は「考えや信念を変えるための説得」に焦点を当てています。例文を交えながら、これらの単語の正しい使い方をマスターしていきましょう。
「persuade」と「convince」の基本的な違い

初めに、「persuade」と「convince」の根本的な違いについて理解しておくことが重要です。両者は似た意味を持ちますが、その目的と結果において明確な違いがあります。
「persuade」は「人を説得して特定の行動を取らせる」ことに重点を置いています。つまり、説得の結果として相手が何かをする(または何かをしない)という行動の変化を期待する場合に使います。例えば、友人に映画を見に行くよう説得する場合などです。
一方、「convince」は「人を説得して特定の考えや信念を持たせる」ことに重点を置いています。説得の結果として相手の考え方や信念が変わることを期待する場合に使います。例えば、自分の意見が正しいと相手に信じさせる場合などです。
このように、「persuade」は行動の変化を、「convince」は考えの変化を目的としている点が大きな違いです。
「persuade」の基本的な意味と用法
「persuade」は、主に相手の行動に影響を与えることを目的とする動詞です。「~するよう説得する」という意味で使われます。
基本的な用法としては、「persuade + 人 + to do(人に~するよう説得する)」という形が一般的です。
例文
- I persuaded my friend to join the club.(私は友達にクラブに入るよう説得した。)
- She persuaded her parents to buy a new computer.(彼女は両親に新しいコンピューターを買うよう説得した。)
- Can you persuade him to help us?(彼に私たちを手伝うよう説得してくれませんか?)
また、「persuade + 人 + not to do(人に~しないよう説得する)」という形で、ある行動を避けるよう説得する場合にも使われます。
例文
- I persuaded my brother not to quit school.(私は弟に学校を辞めないよう説得した。)
- The doctor persuaded me not to eat too much sugar.(医者は私に砂糖を取りすぎないよう説得した。)
「persuade」は相手の「行動」に焦点を当てているため、to不定詞と組み合わせて使われることが多いのです。
「convince」の基本的な意味と用法
「convince」は、主に相手の考えや信念に影響を与えることを目的とする動詞です。「~と信じさせる、納得させる」という意味で使われます。
基本的な用法としては、「convince + 人 + that…(人に~と納得させる)」という形が一般的です。
例文
- I convinced my teacher that I was telling the truth.(私は先生に自分が真実を話していると納得させた。)
- He convinced everyone that his plan would work.(彼は自分の計画がうまくいくと皆に納得させた。)
- Can you convince her that it’s not her fault?(彼女に自分のせいではないと納得させられますか?)
また、「convince + 人 + of + 名詞(人に~を納得させる)」という形も使われます。
例文
- She convinced me of her honesty.(彼女は私に彼女の正直さを納得させた。)
- The evidence convinced the jury of his innocence.(その証拠は陪審員に彼の無実を納得させた。)
「convince」は相手の「考え」や「信念」に焦点を当てているため、that節や「of + 名詞」と組み合わせて使われることが多いのです。
「persuade」と「convince」の構文の違い
「persuade」と「convince」の違いは、意味だけでなく文法構造にも表れています。この構文の違いを理解することは、両単語を正しく使い分けるうえで重要です。
「persuade」と「convince」は、それぞれ独自の文法パターンを持っています。これらのパターンは、動詞の意味と密接に関連しています。行動の変化を目的とする「persuade」と、考えの変化を目的とする「convince」では、自然と異なる表現形式になるのです。
「persuade」の構文パターン
「persuade」の主な構文パターンは以下の通りです。
- persuade + 人 + to do(人に~するよう説得する)
- I persuaded my sister to come to the party.(私は姉にパーティーに来るよう説得した。)
- They persuaded me to try the new restaurant.(彼らは私に新しいレストランを試すよう説得した。)
- persuade + 人 + not to do(人に~しないよう説得する)
- The teacher persuaded the students not to give up.(先生は生徒たちにあきらめないよう説得した。)
- I persuaded him not to sell his bike.(私は彼に自転車を売らないよう説得した。)
このように、「persuade」は行動を表す「to不定詞」と組み合わせて使われることが多いです。これは、「persuade」が行動の変化を目的としていることと一致しています。
「convince」の構文パターン
「convince」の主な構文パターンは以下の通りです。
- convince + 人 + that節(人に~だと納得させる)
- I convinced my parents that I needed a new phone.(私は両親に新しい電話が必要だと納得させた。)
- She convinced me that she was right.(彼女は私に彼女が正しいと納得させた。)
- convince + 人 + of + 名詞(人に~を納得させる)
- The film convinced many people of the importance of nature conservation.(その映画は多くの人に自然保護の重要性を納得させた。)
- I couldn’t convince him of my idea.(私は彼に自分のアイデアを納得させられなかった。)
このように、「convince」は考えや信念を表す「that節」や「of + 名詞」と組み合わせて使われることが多いです。これは、「convince」が考えの変化を目的としていることと一致しています。
「persuade」と「convince」のニュアンスの違い
「persuade」と「convince」は、文法的な違いだけでなく、使われる文脈やニュアンスにも違いがあります。これらのニュアンスの違いを理解することで、より自然な英語表現ができるようになります。
両者のニュアンスの違いは、「説得の方法」と「説得の結果」に表れています。「persuade」は感情や魅力による説得を含む場合が多く、「convince」は論理や証拠による説得を含む場合が多いです。
「persuade」が適している場面
「persuade」は、次のような場面で特に適しています。
- 相手に行動を促したい場合
- Can I persuade you to join our team?(私たちのチームに参加するよう説得できますか?)
- She persuaded her friend to go on a diet.(彼女は友達にダイエットをするよう説得した。)
- 感情や魅力を使って説得する場合
- The cute puppy persuaded me to adopt it.(かわいい子犬は私にそれを引き取るよう説得した。)
- His smile persuaded her to forgive him.(彼の笑顔は彼女に彼を許すよう説得した。)
- 相手の意思決定に影響を与えたい場合
- I persuaded my mother to let me go to the concert.(私は母親にコンサートに行かせてもらうよう説得した。)
- They persuaded the manager to change the rules.(彼らはマネージャーにルールを変えるよう説得した。)
「persuade」は、相手が何か行動を起こすことを目的とする説得であり、必ずしも相手が完全に納得している必要はありません。感情的な訴えかけや説得の技術を用いることもあります。
「convince」が適している場面
「convince」は、次のような場面で特に適しています。
- 相手に何かを信じさせたい場合
- I need to convince my parents that I am responsible.(私は両親に自分が責任感があると納得させる必要がある。)
- The scientist convinced the world that his theory was correct.(その科学者は自分の理論が正しいと世界に納得させた。)
- 論理や証拠を使って説得する場合
- The facts convinced me that he was innocent.(その事実は彼が無実だと私に納得させた。)
- The statistics convinced everyone of the need for change.(その統計は変化の必要性を皆に納得させた。)
- 相手の考え方や信念を変えたい場合
- I finally convinced him that honesty is important.(私はついに彼に正直さが重要だと納得させた。)
- She couldn’t convince her friend that smoking is bad.(彼女は友達に喫煙が悪いことだと納得させられなかった。)
「convince」は、相手が心から納得するという結果を重視します。そのため、しばしば論理的な議論や証拠を用いた説得が行われます。
「persuade」と「convince」の類似表現
英語には「persuade」と「convince」以外にも、説得や影響を表す動詞がいくつか存在します。これらの類似表現の違いも理解しておくと、より豊かな英語表現が可能になります。
特に英語学習者にとって重要なのは、「encourage(奨励する)」「urge(促す)」などの表現です。これらは「説得」に関連していますが、それぞれ異なるニュアンスを持っています。
「encourage」「urge」との違い
encourage(奨励する、励ます)
encourageは、相手に何かをするよう奨励したり、自信を与えたりする意味があります。persuadeよりも穏やかで、強制力が弱いのが特徴です。
- My teacher encouraged me to join the science club.(先生は私に科学クラブに入るよう奨励した。)
- She encouraged her son to try his best.(彼女は息子に最善を尽くすよう励ました。)
persuadeとの違い:encourageは単に促すだけで、必ずしも相手の意見を変えようとするものではありません。相手が既にその気持ちを持っている場合にも使えます。
urge(強く勧める、促す)
urgeは、相手に何かをするよう強く促す意味があります。persuadeよりも緊急性や切迫感があるのが特徴です。
- The doctor urged me to stop smoking.(医者は私に禁煙するよう強く勧めた。)
- They urged everyone to evacuate immediately.(彼らは全員に直ちに避難するよう強く促した。)
persuadeとの違い:urgeは強い勧めを表しますが、persuadeのように相手の反対意見を変えるプロセスは含みません。
talk into(言い聞かせて~させる)
talk intoは、会話や議論によって相手を説得する意味があります。日常会話でよく使われる表現です。
- My friend talked me into buying a new computer.(友達は私に新しいコンピューターを買うよう言い聞かせた。)
- Don’t let anyone talk you into doing something you don’t want to do.(やりたくないことをするよう誰かに言い聞かせられないようにしなさい。)
persuadeとの違い:talk intoはより口語的で、会話を通じた説得のプロセスを強調します。
get someone to do something(人に何かをさせる)
これは直接「説得」を意味する表現ではありませんが、結果として相手に行動を起こさせるという点で、persuadeに近い表現です。
- I got my brother to help me with my homework.(私は弟に宿題を手伝ってもらった。)
- How did you get him to agree?(どうやって彼に同意させたの?)
persuadeとの違い:「get someone to do」は説得の方法を特定せず、単に結果を表します。
これらの類似表現は、それぞれ独自のニュアンスと使用場面があります。状況に応じて適切な表現を選ぶことで、より正確で豊かな英語表現が可能になります。
「persuade」と「convince」の使い分け練習問題
次の20問の練習問題を通じて、「persuade」と「convince」の使い分けを練習しましょう。各文の空欄に適切な単語(persuadeまたはconvince)を入れてください。
- I tried to ( ) my sister to go shopping with me.
- Can you ( ) him that your plan is better?
- She ( ) me of her innocence.
- They ( ) the teacher to postpone the test.
- I need to ( ) my parents that I am responsible.
- He couldn’t ( ) me to change my mind.
- The lawyer ( ) the jury that his client was not guilty.
- She ( ) her friend not to quit school.
- I’m trying to ( ) him to help us.
- The evidence ( ) everyone of the truth.
- Can I ( ) you to stay a little longer?
- The teacher ( ) the student that hard work is important.
- He ( ) his brother to lend him some money.
- The doctor ( ) me that I need more exercise.
- They couldn’t ( ) their child to eat vegetables.
- The article ( ) me of the importance of recycling.
- She ( ) her husband to buy a new car.
- I finally ( ) my friends that I was telling the truth.
- The coach ( ) the team to practice harder.
- The advertisement failed to ( ) people to buy the product.
「persuade」と「convince」に関するよくある質問
ここでは、「persuade」と「convince」に関するよくある質問とその回答をまとめました。これらの質問は、英語学習者が両単語を使いこなす上で役立つでしょう。
- 「persuade」と「convince」はどちらが一般的ですか?
-
どちらも英語でよく使われる単語ですが、一般的な会話ではpersuadeの方がやや多く使われる傾向にあります。特に日常会話で「誰かに何かをするよう説得する」という状況が多いためです。一方、フォーマルな文脈や学術的な文章ではconvinceも頻繁に登場します。
- 「be convinced」と「be persuaded」の違いは何ですか?
-
「be convinced」は「納得している、確信している」という状態を表します。例えば、「I am convinced that he is innocent.(彼が無実だと私は確信している)」のように使います。
一方、「be persuaded」は「説得されて~する気になっている」という状態を表します。例えば、「I was persuaded to join the club.(私はクラブに入るよう説得された)」のように使います。
- 「persuade」と「convince」は互換的に使える場合もありますか?
-
現代英語では、両者の区別が以前ほど厳密ではなくなってきており、一部の文脈では互換的に使われることもあります。特に「convince someone to do something(誰かに何かをするよう納得させる)」という表現は、伝統的には「persuade」の用法ですが、現在では広く受け入れられています。
ただし、英語の試験や形式的な文章では、伝統的な使い分けを守ることが推奨されます。
- 否定形での使い方に違いはありますか?
-
基本的な構文の違いは否定形でも同じです。
- I couldn’t persuade him to come.(彼に来るよう説得できなかった。)
- I couldn’t convince him that it was important.(それが重要だと彼に納得させられなかった。)
否定形では、説得が成功しなかったことを表現します。
- 子供に教える場合、どのように説明すれば良いですか?
-
子供には以下のように簡単に説明するとよいでしょう。
- 「persuade」は「人に何かをするように言い聞かせる」こと
- 「convince」は「人に何かを信じさせる」こと
例えば、「友達にゲームをするよう説得する」ならpersuade、「友達に自分が正しいと信じさせる」ならconvinceを使うと教えるとわかりやすいでしょう。
まとめ

この記事では、「persuade」と「convince」の意味の違いと使い分けについて詳しく解説しました。以下に、重要なポイントをまとめます。
- 「persuade」は主に「行動を起こすよう説得する」ことに重点を置きます。
- 「convince」は主に「考えや信念を変えるよう説得する」ことに重点を置きます。
- 「persuade」の後には通常「to不定詞」が続きます(例:persuade someone to do something)。
- 「convince」の後には通常「that節」または「of+名詞」が続きます(例:convince someone that…、convince someone of something)。
- 「persuade」は感情や魅力による説得を含むことがあります。
- 「convince」は論理や証拠による説得を含むことが多いです。
- 両者は、特定の文脈では互換的に使われることもありますが、正確な英語表現のためには違いを理解しておくことが重要です。
- 「encourage」「urge」などの類似表現も、それぞれ独自のニュアンスを持っています。
- 英語学習においては、例文や練習問題を通じて、両者の違いを実践的に学ぶことが効果的です。
「persuade」と「convince」の違いを理解し、適切に使い分けることで、より正確で豊かな英語表現が可能になります。日常会話や英作文において、状況に応じた適切な単語選択ができるよう、この記事で学んだ内容を活用してください。