英語を学んでいると、直訳しても意味が通じない表現に出会うことがあります。「Piece of cake(ピース・オブ・ケーキ)」もそのひとつです。文字通り訳すと「ケーキひと切れ」ですが、実際の意味は全く異なります。
本記事では、この便利な英語表現の意味や使い方を、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。日常会話でよく使われるこの表現をマスターして、英会話の幅を広げましょう。
「Piece of cake」の基本的な意味

「Piece of cake」は、「簡単なこと」「楽勝」「朝飯前」「たやすいこと」を意味する英語のイディオム(慣用句)です。日本語で「朝飯前だよ」と言うように、英語では「It’s a piece of cake」と表現します。何かが非常に簡単で、ほとんど努力せずにできるようなときに使うフレーズです。
直訳すると「ケーキひと切れ」という意味ですが、実際の会話では「簡単」という意味で使われることがほとんどです。英語の慣用表現には、このように直訳では理解しにくいものがたくさんありますが、「Piece of cake」は特に日常会話でよく使われる表現なので覚えておくと便利です。
「Piece of cake」が表すのは「簡単なこと」
この表現が「簡単」という意味を持つのは、「ケーキひと切れならペロリと簡単に食べられる」という考えからきています。何かがとても簡単にできるとき、「それはケーキを一切れ食べるくらい簡単だ」というニュアンスで使われるのです。
日本語の「朝飯前」という表現も、「朝ご飯を食べる前でもできるような簡単なこと」を意味していて、どちらも食べ物に関連した表現である点が興味深いですね。
「Piece of cake」の由来
「Piece of cake」という表現はいつから使われ始めたのでしょうか。この表現の起源については、いくつかの説があります。
1930年代頃から使われ始めたとされており、元々は「ケーキひと切れを食べるのは簡単」という日常的な行為から派生したという説が一般的です。文化的背景としては、ケーキが比較的簡単に手に入る食べ物になった時代と重なっています。
“Cake walk”からきた説
もう一つの興味深い説としては、19世紀後半の「Cake walk(ケーキウォーク)」という競技に由来するという説があります。この競技で優勝すると賞品としてケーキがもらえたそうです。
その競技で勝者になることが簡単だったため、「ケーキを獲得する」ことが「簡単に成功する」という意味合いで使われるようになったという説もあります。
「Piece of cake」の使い方と例文
「Piece of cake」は日常会話でどのように使われているのでしょうか。実際の例文を見てみましょう。
日常のさまざまな場面で、何かが簡単だったことを表現するときに使います。特に、何かを頼まれたときの返事や、試験や課題がどうだったかを聞かれたときの答えとしてよく使われます。
日常会話での使い方
例文
- The exam was like a piece of cake.(試験はめちゃくちゃ簡単だった)
- Grocery? That’s a piece of cake! What do you want?(買い物?簡単だよ!何が必要?)
- 「How was the exam?」「It’s a piece of cake.」(テストどうだった?楽勝だったよ)
- What a piece of cake!(なんて簡単なんだ!)
否定形での使い方
「Piece of cake」は否定形でも使うことができます。何かが簡単ではないことを表現するときに使います。
例文
- Raising 3 kids is not a piece of cake.(3人の子どもを育てるのは簡単なことではない)
「Piece of cake」を使う際の注意点
この表現を使う際には、いくつか注意点があります。
まず、相手にとって難しいと感じていることに対して「It’s a piece of cake」と言うと、相手を馬鹿にしているように聞こえる可能性があります。相手の状況や感情に配慮して使うことが大切です。
また、自分の能力を誇示するような文脈で使うと、自慢しているように聞こえることもあるので、謙虚な姿勢を忘れないようにしましょう。
「Piece of cake」と似た英語表現
英語には「簡単」を表す表現がいくつもあります。「Piece of cake」と似た表現として、以下のようなものがあります。
「as easy as pie」との比較
「as easy as pie」(パイのように簡単)も、「Piece of cake」と同じく「簡単」を意味する慣用句です。やはり食べ物に関連した表現で、「パイを食べるように簡単」というニュアンスがあります。
例文
- Learning this new app is as easy as pie.(この新しいアプリを学ぶのはとても簡単だ)
その他の「簡単」を表す英語表現
「as easy as ABC」(ABCのように簡単)も同様に「簡単」を表す表現で、「アルファベットのABCを覚えるくらい簡単」という意味があります。
例文
- Don’t worry, using this software is as easy as ABC.(心配しないで、このソフトウェアを使うのはABCのように簡単だよ)
cakeを使った他の英語表現
「cake」を使った他の表現もいくつかあります。
- 「the icing on the cake」(ケーキの上のアイシング):何かがすでに良い状態なのに、さらに良いことが加わるという意味で、日本語では「ダブルでうれしい」などと訳されます。
- 「sell like hotcakes」(ホットケーキのように売れる):商品が非常によく売れることを表し、日本語では「飛ぶように売れる」と表現します。
「Piece of cake」に関するよくある質問
ここでは、「Piece of cake」についてよく寄せられる質問にお答えします。
- 「Piece of cake」は否定文でも使える?
-
はい、使えます。「It’s not a piece of cake」のように否定形で使うと、「簡単ではない」という意味になります。複雑で難しいことを表現するときに使われます。
- 「Piece of cake」はフォーマルな場面でも使える?
-
「Piece of cake」はカジュアルな表現なので、ビジネスミーティングや正式な文書など、フォーマルな場面では避けた方が無難です。フォーマルな場面では「It’s quite straightforward」(非常に単純です)や「It’s not complicated at all」(全く複雑ではありません)などの表現を使うとよいでしょう。
- 「Piece of cake」と「piece of cake」の違いは?
-
文法的には、「a piece of cake」が正確な表現です。ただし、会話では「Piece of cake!」と単独で使われることもあります。また、冠詞の有無(「a piece of cake」と「piece of cake」)は、文脈によって変わることがあります。
例えば、「It’s a piece of cake」(それは簡単だ)のように、文の中で使う場合は冠詞「a」をつけます。しかし、単独で感嘆詞のように使う場合は「Piece of cake!」とだけ言うこともあります。
まとめ

「Piece of cake」は日常英会話でよく使われる便利な表現です。この記事のポイントをまとめると、
- 「Piece of cake」は「簡単なこと」「楽勝」「朝飯前」を意味する慣用句である。
- 直訳は「ケーキひと切れ」だが、「ケーキを食べるくらい簡単」という意味から来ている。
- 1930年代から使われ始めたとされ、”Cake walk”という競技に由来するという説もある。
- 日常会話では「It’s a piece of cake」(それは簡単だ)のように使われる。
- 否定形「It’s not a piece of cake」で「簡単ではない」という意味にもなる。
- 類似表現として「as easy as pie」「as easy as ABC」などがある。
- カジュアルな表現なので、フォーマルな場面での使用は避けた方が良い。
- 「cake」を使った他の表現には「the icing on the cake」(ダブルでうれしい)や「sell like hotcakes」(飛ぶように売れる)がある。
「Piece of cake」をマスターして、英会話の幅を広げましょう。この表現を適切に使えるようになれば、より自然な英語が話せるようになります。
英語学習も、一歩一歩進めていけば、いつかは「It’s a piece of cake!」と言える日が来るでしょう。