英語では「可哀想」「哀れむ」といった感情を表現するために様々な単語が存在します。これらの単語は日常会話や文章の中でよく使われますが、それぞれに微妙なニュアンスの違いがあり、状況に応じて適切に使い分ける必要があります。
この記事では、pity、sympathy、compassionなど「可哀想・哀れむ」を表す英単語の意味や特徴、使い分けについて詳しく解説します。適切な例文も交えながら、それぞれの単語の違いを理解し、英語表現の幅を広げるための知識を身につけましょう。
「可哀想・哀れむ」を表す英単語

英語には「可哀想・哀れむ」という感情や状態を表す多くの単語があります。それぞれには独自のニュアンスと使用される状況があります。
以下に主な単語とその基本的な意味を紹介します。
「可哀想・哀れむ」を表す英単語
- pity(ピティ): 他者の苦しみや不運に対して感じる同情や哀れみの感情。また、動詞として「哀れむ」という意味でも使用されます。
- sympathy(シンパシー): 他者の悲しみや苦しみに対して共感し、思いやる気持ち。
- compassion(コンパッション): 他者の苦しみを和らげたいという思いやりの気持ちを伴う深い同情。
- empathy(エンパシー): 他者の感情や経験を自分のことのように理解し、共感する能力。
- commiseration(コミセレーション): 他者の不幸や失敗に対して一緒に悲しみ、慰めの言葉をかけること。
- condolence(コンドレンス): 特に死別などの悲しみに対して表明する正式な哀悼や同情の意。
- sorry(ソーリー): 申し訳なさや同情を表す言葉で、「気の毒に思う」という意味でも使われます。
- pathetic/pitiful(パセティック/ピティフル): 哀れみを誘う、憐れな状態や様子を表す形容詞。
- pitiable(ピティアブル): 同情や哀れみを引き起こすような状態を表す形容詞。
これらの単語は状況や文脈によって使い分ける必要があります。特に公式な場面や日常会話など、場面によって適切な表現が異なります。
「可哀想・哀れむ」を表す英単語の発音・意味・特徴と使い分け【例文あり】
英語での表現力を高めるためには、それぞれの単語の微妙なニュアンスを理解し、適切な場面で使い分けることが重要です。ここでは各単語について詳しく見ていきましょう。
pity(ピティ)
意味と特徴
「pity」は他者の苦しみや不幸に対して感じる同情や哀れみの感情を表します。名詞としても動詞としても使われ、時に優越感を含むこともあります。また「It’s a pity(〜は残念だ)」のように、残念な状況を表す表現としても頻繁に使用されます。
使い分けのポイント
「pity」は単に同情を示すだけでなく、時に相手よりも自分が優位な立場にあるというニュアンスを含むことがあります。そのため、時として失礼に感じられることもあるので注意が必要です。特に「I pity you(あなたが可哀想)」という言い方は、相手を見下しているような印象を与えかねません。
例文
- I feel pity for the homeless people in winter.(冬のホームレスの人たちが可哀想に思います。)
- She looked at the injured bird with pity.(彼女は怪我をした鳥を哀れみの目で見た。)
- It’s a pity that you can’t come to the party.(あなたがパーティーに来られないのは残念です。)
sympathy(シンパシー)
意味と特徴
「sympathy」は他者の感情、特に悲しみや苦しみに対して共感し、思いやる気持ちを表します。「同情」や「共感」と訳されることが多く、相手の立場に立って理解しようとする姿勢が含まれています。
使い分けのポイント
「sympathy」は「pity」よりも相手と同じ立場に立って共感するニュアンスが強いです。特に死別や病気などの困難な状況に対して「お悔やみ」や「お見舞い」の気持ちを表すときによく使われます。「express sympathy(お悔やみを述べる)」という表現が一般的です。
例文
- I have sympathy for people who lose their jobs.(仕事を失った人たちに同情します。)
- She sent a card to express her sympathy for his loss.(彼女は彼の喪失に対して哀悼の気持ちを表すためにカードを送った。)
- The teacher showed sympathy when I explained my problem.(私が問題を説明したとき、先生は共感を示してくれた。)
compassion(コンパッション)
意味と特徴
「compassion」は他者の苦しみに対する深い共感と、その苦しみを和らげたいという積極的な気持ちを含む言葉です。単なる同情よりも行動に移す意志が含まれており、思いやりや慈悲の心を表します。
使い分けのポイント
「compassion」は「pity」や「sympathy」よりも深い感情を表し、しばしば行動を伴います。宗教的な文脈や道徳的な美徳として語られることも多く、特に助けを必要としている人々に対する深い思いやりを示す時に使用されます。
例文
- The doctor treats all patients with compassion.(その医師はすべての患者を思いやりを持って治療します。)
- She showed great compassion by helping the poor family.(彼女は貧しい家族を助けることで大きな慈悲の心を示した。)
- We need more compassion in our society.(私たちの社会にはもっと思いやりが必要です。)
empathy(エンパシー)
意味と特徴
「empathy」は他者の感情や経験を自分のことのように理解し、共感する能力を表します。単に同情するだけでなく、相手の立場に立って相手の感情を理解し、共有する能力を意味します。
使い分けのポイント
「empathy」は「sympathy」よりも一歩踏み込んだ共感を表します。「sympathy」が「あなたの気持ちを理解し、同情します」という態度なら、「empathy」は「あなたの立場に立って、あなたの感じていることを私も感じています」という態度です。カウンセリングなどの専門的な文脈でもよく使用されます。
例文
- A good teacher needs empathy to understand students’ feelings.(良い教師は生徒の気持ちを理解するために共感力が必要です。)
- She has great empathy for children with learning difficulties.(彼女は学習障害を持つ子どもたちに対して大きな共感を持っています。)
- I can empathize with how you feel because I had the same experience.(同じ経験をしたことがあるので、あなたの気持ちに共感できます。)
commiseration(コミセレーション)
意味と特徴
「commiseration」は他者の不幸や失敗に対して一緒に悲しみ、慰めの言葉をかけることを意味します。特に落胆や失望を感じている人に対して表明される同情や慰めの気持ちを表します。
使い分けのポイント
「commiseration」は特に失敗や敗北などの具体的な出来事に対する慰めの言葉として使われることが多いです。「sympathy」よりもフォーマルな印象があり、特に公式な場面や文書で使用されることがあります。「offer commiserations(お悔やみを申し上げる)」という表現が一般的です。
例文
- He offered his commiserations to the losing team.(彼は負けたチームに慰めの言葉をかけた。)
- We sent a letter of commiseration when she lost her job.(彼女が仕事を失ったとき、私たちは慰めの手紙を送った。)
- The teacher’s words of commiseration helped me feel better after failing the test.(テストに失敗した後、先生の慰めの言葉が私の気持ちを少し楽にしてくれた。)
condolence(コンドレンス)
意味と特徴
「condolence」は特に死別などの深い悲しみに対して表明する正式な哀悼や同情の意を表します。多くの場合、複数形「condolences」の形で使われ、特に葬儀や喪中の挨拶で使用されます。
使い分けのポイント
「condolence」は主に死別という特定の状況に対して使用される単語です。フォーマルな文脈で使われることが多く、「express condolences(お悔やみを申し上げる)」や「offer condolences(弔意を表する)」という表現が一般的です。弔電や弔問の場面で適切な表現です。
例文
- I sent a condolence card to my friend who lost her mother.(母親を亡くした友人に弔問カードを送りました。)
- The president expressed his condolences to the families of the victims.(大統領は犠牲者の家族に弔意を表明した。)
- Please accept my sincere condolences on the death of your father.(お父様のご逝去に心からお悔やみ申し上げます。)
sorry(ソーリー)
意味と特徴
「sorry」は謝罪の言葉としてよく知られていますが、同時に「気の毒に思う」「同情する」という意味でも使われます。相手の不幸や困難な状況に対して同情の気持ちを表す際に使用されます。
使い分けのポイント
「sorry」は日常会話で最も頻繁に使われる同情表現の一つです。「I’m sorry to hear that…(それを聞いて気の毒に思います)」や「I’m sorry for your loss(ご愁傷様です)」などの表現がよく使われます。カジュアルな状況から少しフォーマルな状況まで幅広く適用できます。
例文
- I’m sorry to hear about your grandmother’s illness.(おばあさんの病気のことを聞いて気の毒に思います。)
- She looked sorry for the little boy who fell down.(彼女は転んだ小さな男の子を気の毒そうに見た。)
- We’re sorry that you couldn’t join us on the trip.(あなたが旅行に参加できなかったことを残念に思います。)
pathetic/pitiful(パセティック/ピティフル)
意味と特徴
「pathetic」と「pitiful」はどちらも「哀れな」「憐れむべき」という意味の形容詞です。人や状況が同情や哀れみを誘うほど悲惨であることを表します。ただし、「pathetic」は時にネガティブな文脈で「みじめな」「情けない」という批判的なニュアンスを持つこともあります。
使い分けのポイント
「pathetic」は時に軽蔑や批判を含む場合があるため、使用には注意が必要です。一方、「pitiful」はより純粋に同情や哀れみを表す傾向があります。どちらも人や状況の描写に使われますが、「pathetic」はより強い感情的反応を引き起こす傾向があります。
例文
- The homeless man’s pitiful condition made me want to help.(そのホームレスの男性の哀れな状態を見て、助けたいと思いました。)
- She made a pathetic attempt to solve the problem.(彼女はその問題を解決するためにみじめな試みをした。)
- The puppy looked pitiful when it was left alone in the rain.(その子犬は雨の中一人残されて哀れそうに見えた。)
pitiable(ピティアブル)
意味と特徴
「pitiable」は「同情や哀れみを引き起こすような」「可哀想な」という意味の形容詞です。人や状況が哀れみを誘うほど不運や困難であることを表します。
使い分けのポイント
「pitiable」は「pitiful」と似ていますが、より文学的あるいはフォーマルな文脈で使われる傾向があります。批判的なニュアンスよりも、純粋な同情を表す場合が多いです。特に困難な状況にある人や物事を描写する際に使用されます。
例文
- The refugees were in a pitiable state when they arrived at the camp.(難民たちは、キャンプに到着したとき哀れな状態でした。)
- His pitiable attempts to win her love never succeeded.(彼女の愛を勝ち取ろうとする彼の哀れな試みは決して成功しなかった。)
- The old man’s pitiable condition moved everyone to tears.(その老人の哀れな状態は皆を涙させた。)
「可哀想・哀れむ」を表す英単語の比較表
「可哀想・哀れむ」を表す英単語の違いをより理解しやすくするために、以下に比較表を示します。この表を参考にして、状況に応じた適切な単語選びの参考にしてください。
英単語 | 強さ | 主な使用場面 | フォーマル度 | 行動を促すか | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|
pity | 中 | 日常会話、一般的な同情 | 低~中 | あまりない | 時に優越感を含む、「残念」の意味でも使用 |
sympathy | 中~高 | 悲しみや苦しみへの共感 | 中 | 時々 | 相手と同じ立場に立って共感する |
compassion | 高 | 深い思いやり、宗教的文脈 | 中~高 | あり | 苦しみを和らげたいという行動意欲を含む |
empathy | 中~高 | 心理的・感情的理解 | 中~高 | 時々 | 相手の立場になって感情を共有する能力 |
commiseration | 中 | 失敗や敗北に対する慰め | 高 | あまりない | 特に具体的な出来事に対する慰め |
condolence | 高 | 死別の悲しみ | 非常に高 | あまりない | 死別に特化した哀悼の意 |
sorry | 低~中 | 日常的な同情表現 | 低~中 | あまりない | 最も一般的でカジュアルな表現 |
pathetic/pitiful | 高 | 悲惨な状況の描写 | 中 | あまりない | 「pathetic」は時に批判的なニュアンスを含む |
pitiable | 中~高 | 哀れな状況の描写 | 中~高 | あまりない | 文学的・フォーマルな傾向 |
「可哀想・哀れむ」を表す英単語の使い分け練習問題
以下の20問の練習問題を通じて、「可哀想・哀れむ」を表す英単語の使い分けを確認しましょう。最も適切な英単語を選んで文を完成させてください。
- I feel __ for the children who lost their homes in the earthquake.
- The president expressed his __ to the families of the victims.
- It’s a __ that you can’t join us for dinner tonight.
- Her __ attempts to sing made everyone laugh.
- A good counselor needs __ to understand their clients’ feelings.
- The doctor treats all patients with great __.
- I’m __ to hear about your grandmother’s illness.
- The refugees were in a __ state when they arrived.
- She sent a card to express her __ for his loss.
- The puppy looked __ when it was left alone.
- We need more __ in our society today.
- His __ condition after the accident moved everyone to tears.
- The coach offered words of __ to the losing team.
- I can __ with how you feel because I went through the same thing.
- Please accept my __ on the death of your father.
- She looked at the injured bird with __.
- The old man’s __ situation made me want to help him.
- He showed great __ by helping the homeless people.
- We sent a letter of __ when she lost her job.
- The teacher showed __ when I explained why I couldn’t finish my homework.
「可哀想・哀れむ」を表す英単語に関するよくある質問
- 「pity」と「sympathy」の違いは何ですか?
-
「pity」は他者の苦しみに対する同情や哀れみを表しますが、時に優越感を含むことがあります。一方、「sympathy」は相手と同じ立場に立って共感するニュアンスが強く、より対等な関係での共感を表します。例えば、「I feel pity for him」(彼が可哀想だ)は少し上から目線になる可能性がありますが、「I feel sympathy for him」(彼の気持ちに共感する)はより対等な立場での理解を示します。
- 死別に対して適切な表現は何ですか?
-
死別に対して最も適切な表現は「condolence」(コンドレンス)です。特に「Please accept my condolences」(お悔やみ申し上げます)や「I offer my sincere condolences」(心よりお悔やみ申し上げます)といった表現が一般的です。また、より簡潔に「I’m sorry for your loss」(ご愁傷様です)という表現も広く使われています。
- 「compassion」と「empathy」の違いは何ですか?
-
「compassion」(コンパッション)は他者の苦しみに対する深い共感と、その苦しみを和らげたいという行動的な要素を含みます。一方、「empathy」(エンパシー)は他者の感情や経験を自分のことのように理解し、共有する能力を指します。「compassion」はより行動志向であるのに対し、「empathy」はより認知・感情的な理解に重点を置いています。
- 日常会話で最も使いやすい表現はどれですか?
-
日常会話で最も使いやすいのは「sorry」と「pity」です。「I’m sorry to hear that」(それを聞いて気の毒に思います)や「What a pity!」(なんて残念なんだ!)といった表現は、カジュアルな状況でよく使われます。友人や知人との会話では、これらの表現が自然で使いやすいでしょう。
- 「pathetic」という言葉は失礼にならないですか?
-
「pathetic」は文脈によっては失礼に感じられることがあります。特に「みじめな」「情けない」というネガティブなニュアンスで使われることがあるため、人を直接形容する際には注意が必要です。例えば、「You are pathetic」(あなたは情けない)のような使い方は非常に失礼です。代わりに「pitiful」や「pitiable」の方が、純粋に同情を表す場合には適切かもしれません。
- ビジネスシーンで使える丁寧な表現は何ですか?
-
ビジネスシーンでは、「express my sympathy」(お見舞いを申し上げます)や「offer my condolences」(お悔やみ申し上げます)などのより丁寧な表現が適切です。また、「I was sorry to learn about…」(〜について知り、残念に思いました)というような表現も、フォーマルな場面で使うことができます。特に、取引先や上司に対しては、より丁寧な表現を選ぶようにしましょう。
まとめ

この記事では、「可哀想・哀れむ」を表す英単語について詳しく解説しました。「pity」「sympathy」「compassion」「empathy」「commiseration」「condolence」「sorry」「pathetic/pitiful」「pitiable」など、多くの英単語にはそれぞれ微妙なニュアンスの違いがあります。
「pity」は一般的な同情や哀れみを表しますが、時に優越感を含むこともあります。「sympathy」は相手と同じ立場に立って共感する気持ちを表し、「compassion」はさらに相手の苦しみを和らげたいという行動的な要素を含みます。「empathy」は相手の立場に立って感情を共有する能力を意味し、「commiseration」は特に失敗や敗北に対する慰めとして使われます。「condolence」は死別に特化した哀悼の意を表し、「sorry」は日常的な同情表現として最も一般的です。「pathetic/pitiful」と「pitiable」は形容詞として「哀れな」「憐れむべき」状態を表します。
これらの単語を適切に使い分けることで、英語での表現の幅が広がり、より正確に自分の気持ちを伝えることができるようになります。状況や文脈、相手との関係性などを考慮して、最適な言葉を選びましょう。特に、フォーマルな場面では「condolence」や「sympathy」といった丁寧な表現が適切であり、カジュアルな日常会話では「sorry」や「pity」がよく使われます。
英語学習の過程で、これらの微妙なニュアンスを理解し、実際の会話の中で適切に使用できるようになることが重要です。この記事が皆さんの英語表現力向上の一助となれば幸いです。