英語には様々な慣用表現がありますが、中でも「Purple prose」(パープル・プローズ)という表現は文章の書き方に関する興味深い言葉です。
この記事では、英語初学者の方でも理解できるよう、この表現の意味や使い方を分かりやすく解説していきます。「Purple prose」は文学や文章表現について語る際に使われる表現ですので、英語を学ぶ上でも役立つ知識になるでしょう。
「Purple prose」の基本的な意味

「Purple prose」とは、過度に装飾的で華麗な文体のことを指します。簡潔に言えば「飾り過ぎた文章」という意味です。特に、必要以上に複雑な言葉や表現を使って、読み手を混乱させるような文章のことを指します。
この表現は通常、批判的なニュアンスを含んで使われます。つまり、「Purple prose」と言われた文章は、読みにくく、内容が分かりづらいと評価されていることが多いのです。作者が印象的な文章を書こうとしすぎた結果、かえって読者に伝わりにくくなってしまった文章を指して使われます。
なぜ「飾り過ぎた文章」が問題なのか
装飾的な文章自体は悪いものではありませんが、過度になると以下のような問題が生じます。
- 読みにくさが増す
- 本来伝えたい内容が埋もれてしまう
- 読者が途中で読むのをやめてしまう可能性がある
「Purple prose」の語源と由来
なぜこの表現に「紫色(Purple)」が使われているのか疑問に思う方も多いでしょう。実は、この表現には興味深い歴史的背景があります。
古代ローマでは、紫色は非常に高価な染料で作られており、皇帝や高位の政治家などの特権階級しか身につけることができませんでした。つまり紫色は「高貴さ」や「特別」を象徴する色だったのです。
この高貴な紫色の布切れをシンプルな衣服に付けて飾り立てることを、シンプルな文章に華麗な表現を加えることになぞらえて「Purple prose」という表現が生まれました。本来はシンプルな文章に不必要な装飾を加えることで、かえって全体の調和を乱してしまうことを意味しています。
現代での使用への変遷
現代では、この表現は主に文芸評論や文章表現の指導の場で使われます。
特に、作家や編集者、英語教師などが、良い文章とは何かを議論する際によく用いられます。
「Purple prose」の使い方
「Purple prose」は主に次のような場面で使われます。
- 文学作品や文章の批評をするとき
- 文章の書き方を教えるとき
- 誰かの文章スタイルについて論じるとき
この表現を使うときは、批判的なニュアンスを含むことが多いため、使い方に注意が必要です。
例えば、友人のエッセイを評価する際などに、直接「あなたの文章はPurple proseだ」と言うと失礼になる可能性があります。
日常会話での頻度
「Purple prose」という表現は専門的な場面で使われることが多く、日常会話ではあまり頻繁に登場しません。
しかし、文学や文章表現に興味がある人々の間では知られている表現です。
「Purple prose」の例文と解説
ここでは、中学英語レベルの簡単な例文で「Purple prose」の使い方を紹介します。
例文
- Our teacher said my essay has too much purple prose. I need to write more clearly.
(先生は私のエッセイが装飾過剰な文章だと言いました。もっと明確に書く必要があります。) - Many students use purple prose when they try to sound smart in their reports.
(多くの学生はレポートで賢く見せようとして装飾過剰な文章を使います。) - Instead of purple prose, use simple words to explain your ideas.
(装飾過剰な文章の代わりに、シンプルな言葉であなたのアイデアを説明しましょう。) - The book was hard to read because of all the purple prose.
(その本は装飾過剰な文章がたくさんあるため読みにくかったです。)
関連表現「Purple patch」について
「Purple prose」に関連する表現として「Purple patch」があります。興味深いことに、この表現は「Purple prose」とは異なる意味を持っています。
「Purple patch」は「幸運な時期」や「成功を収めている期間」を意味します。例えば、スポーツ選手が特に調子の良い時期や、会社の業績が特に好調な期間などを指して使われます。
「Purple patch」の例文
例文
- The company is going through a purple patch with rising sales figures.
(その会社は売上が伸びており、幸運な時期を迎えています。) - Our soccer team is in a purple patch, winning five games in a row.
(私たちのサッカーチームは5試合連続で勝利し、絶好調です。)
「Purple prose」に関するよくある質問
- 「Purple prose」は常に否定的な意味で使われますか?
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基本的に「Purple prose」は批判的なニュアンスで使われることが多いですが、文脈によっては単に「装飾的な文体」を中立的に表すこともあります。ただし、現代では否定的なニュアンスで使われることが一般的です。
- 日本語に「Purple prose」に相当する表現はありますか?
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日本語では「美文調」や「華麗な文体」という表現が近いですが、批判的なニュアンスを含めるなら「饒舌すぎる文章」や「くどい文章」などが近いかもしれません。
- 「Purple prose」を避けるためのコツはありますか?
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シンプルな表現を心がけ、一文を短めにすることが大切です。また、難解な単語や表現を使う前に「本当に必要か?」と自問することも有効です。文章を書いた後、読み直して不必要な装飾を削除することも良い方法です。
- 「Purple」という色が持つ他の慣用表現はありますか?
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「Born in the purple」(王侯貴族の家に生まれる)という表現があります。これは高貴な出自の人を表す表現で、やはり紫色が古代から高貴さを象徴していたことに由来しています。
まとめ

「Purple prose」について学んだポイントをまとめます。
- 「Purple prose」とは過度に装飾的で華麗な文体のことを指す
- 通常は批判的なニュアンスを含み、読みにくく分かりづらい文章を意味する
- 紫色が古代ローマで高貴さを象徴していたことから生まれた表現
- 文学評論や文章表現の指導の場でよく使われる
- 関連表現の「Purple patch」は「幸運な時期」という全く異なる意味を持つ
- 良い文章を書くには、不必要な装飾を避け、シンプルな表現を心がけることが大切
英語の慣用表現を知ることは、言語の文化的背景を理解する上でも重要です。「Purple prose」の意味と使い方を知ることで、自分自身の文章表現を見直すきっかけにもなるでしょう。