「put forward」は英語学習者にとって非常に便利な表現でありながら、日本語に直訳しづらい言い回しの一つです。基本的には「提案する」「提示する」「主張する」といった意味を持ち、アイデアや意見を「前に出す」という字義から派生した表現です。
日常会話からビジネスシーンまで幅広く使われるこの表現を、例文と共に詳しく解説していきます。英語の表現力を高めたい方は、ぜひこの「put forward」をマスターしてみましょう。
「put forward」の基本的な意味

「put forward」は英語の句動詞(フレーザルバーブ)の一つで、「put(置く)」と「forward(前方へ)」が組み合わさった表現です。字義通りには「前に出す」という意味ですが、実際の使用場面では「提案する」「提示する」「主張する」といったニュアンスで使われることが多いです。何かのアイデアや意見、提案などを discussion(議論)や consideration(検討)のために前に出す、という意味合いを持っています。
「put forward」は日常会話からビジネスシーン、アカデミックな文脈まで、さまざまな場面で使用される便利な表現です。特に会議やディスカッションの場で自分の意見を伝えたい時や、何か新しいアイデアを提案したい時に重宝します。
「put forward」の主な使い方
「put forward」は様々なシチュエーションで使うことができる表現です。ここでは主な使い方をいくつかのカテゴリーに分けて説明します。
まず基本的な使い方としては、「(アイデアや意見を)提案する」「(候補者を)推薦する」「(理論や仮説を)提示する」などがあります。特に会議やディスカッションの場で自分の考えを述べる際によく使われます。
アイデアや意見を提案する場合
最も一般的な用法は、何かのアイデアや意見を提案する場合です。この使い方では、「put forward an idea/opinion/suggestion」などの形で用いられます。
例文
- I want to put forward my idea about the school festival.(学校祭についての私のアイデアを提案したいです。)
- She put forward her opinion during the class meeting.(彼女はクラス会議で自分の意見を述べました。)
- Our teacher put forward a suggestion to visit the museum.(先生は博物館を訪れるという提案をしました。)
候補者を推薦する場合
「put forward」は人を何かの候補として推薦する時にも使われます。「put forward someone for something」という形で表現します。
例文
- We put forward Tom for the student council president.(私たちはトムを生徒会長に推薦しました。)
- The committee put forward her name for the award.(委員会は彼女の名前を賞の候補として推薦しました。)
- They put forward three students for the speech contest.(彼らはスピーチコンテストに3人の生徒を推薦しました。)
理論や仮説を提示する場合
学術的な文脈では、新しい理論や仮説を提示する際に「put forward a theory/hypothesis」のように使われます。
例文
- The scientist put forward a new theory about stars.(その科学者は星に関する新しい理論を提唱しました。)
- She put forward an interesting hypothesis in her science project.(彼女は理科のプロジェクトで興味深い仮説を提示しました。)
- The book puts forward the idea that animals can think like humans.(その本は動物が人間のように考えることができるという考えを提唱しています。)
「put forward」の文法と使い方のポイント
「put forward」を正しく使いこなすためには、その文法的な側面も理解しておく必要があります。ここでは、文法的な特徴や使い方のポイントを解説します。
「put forward」は句動詞として一つのまとまりで機能しますが、目的語の位置によって「put forward something」または「put something forward」のように表現することができます。ただし、目的語が代名詞の場合は「put it forward」のように必ず間に入れる必要があります。
能動態と受動態の使い分け
「put forward」は能動態だけでなく、受動態でも頻繁に使われます。受動態では「be put forward」という形になります。
例文(能動態)
- The students put forward many good ideas.(生徒たちは多くの良いアイデアを提案しました。)
例文(受動態)
- Many good ideas were put forward by the students.(多くの良いアイデアが生徒たちによって提案されました。)
- His name was put forward for the position of captain.(彼の名前がキャプテンの位置に推薦されました。)
時制による変化
他の動詞と同様に、「put forward」も様々な時制で使うことができます。ただし、「put」は不規則動詞であり、過去形・過去分詞形も同じく「put」となる点に注意が必要です。
例文(現在形)
- I put forward a new plan every month.(私は毎月新しい計画を提案します。)
例文(過去形)
- She put forward her ideas at yesterday’s meeting.(彼女は昨日の会議で自分のアイデアを提案しました。)
例文(現在完了形)
- We have put forward several solutions to the problem.(私たちはその問題にいくつかの解決策を提案してきました。)
例文(未来形)
- They will put forward their proposal next week.(彼らは来週彼らの提案を提出する予定です。)
「put forward」を使った例文
「put forward」の理解を深めるために、さまざまなシチュエーションでの例文を見ていきましょう。中学英語レベルの簡単な例文から始めて、徐々に少し複雑な例文も紹介します。
日常会話での例文
日常的な会話の中で「put forward」がどのように使われるかを見てみましょう。
例文
- Can I put forward my idea about the birthday party?(誕生日パーティーについての私のアイデアを提案してもいいですか?)
- My brother put forward the idea of camping next weekend.(私の兄は来週末キャンプに行くというアイデアを提案しました。)
- We should put forward our opinions more often.(私たちはもっと頻繁に意見を述べるべきです。)
- She always puts forward interesting ideas in our club meetings.(彼女はいつも私たちのクラブミーティングで面白いアイデアを提案します。)
- I want to put forward a plan for our summer vacation.(夏休みの計画を提案したいです。)
学校生活での例文
学校生活における「put forward」の使用例を見てみましょう。
例文
- The class put forward a plan for the school festival.(クラスは学校祭のための計画を提案しました。)
- Our teacher put forward the idea of having a class picnic.(先生はクラス遠足を開くというアイデアを提案しました。)
- She put forward her name for the school election.(彼女は学校選挙に自分の名前を立候補しました。)
- The students put forward many suggestions to improve the library.(生徒たちは図書館を改善するための多くの提案をしました。)
- We put forward our project idea to the science teacher.(私たちは理科の先生にプロジェクトのアイデアを提案しました。)
ビジネスシーンでの例文
ビジネスの場面でも「put forward」はよく使われます。簡単な例を挙げてみましょう。
例文
- He put forward a new marketing strategy at the meeting.(彼は会議で新しいマーケティング戦略を提案しました。)
- Our team put forward three options for the client to consider.(私たちのチームはクライアントに検討してもらうために3つの選択肢を提示しました。)
- The manager put forward my name for the new project.(マネージャーは新しいプロジェクトに私の名前を推薦しました。)
- We need to put forward a strong argument to win the case.(私たちはその案件に勝つために強力な論拠を提示する必要があります。)
- She put forward a solution to the problem we faced.(彼女は私たちが直面していた問題に対する解決策を提案しました。)
「put forward」と類似表現の違い
英語には「put forward」に似た意味を持つ表現がいくつかあります。ここではそれらの表現との違いを解説し、適切な使い分けができるようにします。
「put forward」は比較的ニュートラルな表現で、フォーマルな場面からカジュアルな場面まで幅広く使えますが、類似表現にはそれぞれ少しずつニュアンスの違いがあります。
「propose」との違い
「propose」は「put forward」よりもフォーマルで、より具体的で練られた提案をする場合に使われることが多いです。特に結婚の申し込みや正式な提案書の提出など、重要な場面で使われます。
例文比較
- I’d like to put forward an idea for the project.(プロジェクトのためのアイデアを提案したいです。)【カジュアル】
- I propose that we implement a new system.(新しいシステムを導入することを提案します。)【フォーマル】
「suggest」との違い
「suggest」は「提案する」という意味では「put forward」に近いですが、より軽いニュアンスがあります。アドバイスや提案をする際によく使われ、「put forward」よりもカジュアルです。
例文比較
- She put forward a detailed plan for the event.(彼女はそのイベントのための詳細な計画を提案しました。)【より正式な提案】
- She suggested going to the park on Sunday.(彼女は日曜日に公園に行くことを提案しました。)【軽い提案】
「present」との違い
「present」は「提示する」「発表する」という意味で、特に正式な場での発表や提示に使われます。「put forward」が提案のプロセスに重点を置くのに対し、「present」は提示する行為自体に焦点を当てています。
例文比較
- The team put forward several ideas during the brainstorming session.(チームはブレインストーミングセッション中にいくつかのアイデアを提案しました。)【検討のための提案】
- The team presented their findings at the conference.(チームは会議で彼らの調査結果を発表しました。)【公式な発表】
「offer」との違い
「offer」は「申し出る」「提供する」という意味で、何かを与えたり、手伝ったりする申し出を表現します。「put forward」が考えや意見の提案に焦点を当てるのに対し、「offer」は自分のリソースや能力の提供に焦点を当てています。
例文比較
- He put forward his opinion on the matter.(彼はその件について自分の意見を述べました。)【意見の提示】
- He offered to help with the project.(彼はそのプロジェクトを手伝うことを申し出ました。)【援助の申し出】
「put forward」の慣用表現と応用
「put forward」は基本的な使い方以外にも、いくつかの慣用的な表現や応用的な使い方があります。これらを理解することで、より自然な英語表現が可能になります。
「put oneself forward」
「put oneself forward」は「自分を前に出す」「立候補する」「名乗り出る」という意味で使われます。何かの役割や地位に自ら志願するときなどに使います。
例文
- He put himself forward as a candidate for the position.(彼はその地位の候補者として名乗り出ました。)
- She didn’t want to put herself forward for the role.(彼女はその役割に自ら名乗り出たくありませんでした。)
- You should put yourself forward more in group discussions.(グループディスカッションでもっと自分の意見を述べるべきです。)
「put forward the clock/watch」
「put forward the clock」または「put forward the watch」は「時計を進める」という意味で、特にサマータイムが始まるときなどに使われる表現です。
例文
- Don’t forget to put forward your clock on Sunday.(日曜日に時計を進めるのを忘れないでください。)
- We need to put all the clocks forward by one hour.(すべての時計を1時間進める必要があります。)
- I put my watch forward before going to bed.(寝る前に腕時計を進めました。)
その他の応用表現
「put forward」はさまざまな文脈で応用できます。以下にいくつかの例を示します。
例文
- The government put forward a new law about education.(政府は教育に関する新しい法律を提案しました。)
- The company put forward a revised budget for next year.(会社は来年の修正予算を提示しました。)
- They put forward strong arguments against the proposal.(彼らはその提案に対して強力な反論を展開しました。)
「put forward」に関するよくある質問
「put forward」に関して、英語学習者からよく寄せられる質問にお答えします。これらの疑問点を解消することで、より自信を持ってこの表現を使えるようになるでしょう。
- 「put forward」と「put forth」の違いは何ですか?
-
「put forward」と「put forth」は基本的に同じ意味を持ちますが、「put forth」の方がやや古風で文学的な表現です。現代の日常会話では「put forward」の方がより一般的に使われます。また、「put forth」には「(努力や労力を)注ぐ」「(芽や葉を)出す」といった追加の意味もあります。
- She put forward her views at the meeting.(彼女は会議で自分の見解を述べました。)【現代的】
- She put forth her views in the scholarly article.(彼女は学術論文で自分の見解を述べました。)【やや文語的】
- The plant put forth new leaves in spring.(その植物は春に新しい葉を出しました。)【「put forth」特有の用法】
- 「put forward」は丁寧な表現ですか?
-
「put forward」は比較的ニュートラルな表現で、フォーマルな場面でもカジュアルな場面でも使うことができます。ただし、「I would like to put forward…(〜を提案させていただきたいと思います)」のように丁寧な表現と組み合わせることで、より丁寧な印象を与えることができます。
- 「put forward」をビジネスで使うことはできますか?
-
はい、「put forward」はビジネスシーンでも頻繁に使われる表現です。会議でのアイデアの提案、プロジェクトの計画提示、人事での候補者推薦など、さまざまな場面で活用できます。
- The marketing team put forward a new strategy to increase sales.(マーケティングチームは売上を増やすための新しい戦略を提案しました。)
- I’d like to put forward an alternative approach to this problem.(この問題に対する別のアプローチを提案したいと思います。)
- The board put forward three candidates for the CEO position.(取締役会はCEOの地位に3人の候補者を推薦しました。)
- 「put forward」の受動態はどのように使いますか?
-
「put forward」の受動態は「be put forward」という形になります。特に正式な文書や報告書などでよく使われます。
- The proposal was put forward by the finance department.(その提案は財務部門によって提出されました。)
- Several names were put forward for consideration.(検討のためにいくつかの名前が提案されました。)
- A new theory has been put forward to explain the phenomenon.(その現象を説明するために新しい理論が提唱されています。)
- 「put forward」は過去形でどう変化しますか?
-
「put」は不規則動詞で、過去形も過去分詞形も「put」のままです。したがって、「put forward」の過去形も「put forward」となります。
- Present tense: I put forward my ideas.(現在形:私は自分のアイデアを提案します。)
- Past tense: I put forward my ideas yesterday.(過去形:私は昨日自分のアイデアを提案しました。)
- Present perfect: I have put forward many ideas this year.(現在完了形:私は今年多くのアイデアを提案してきました。)
まとめ

この記事では、英語表現「put forward」の意味と使い方について詳しく解説しました。主なポイントをまとめると以下のようになります。
- 「put forward」は基本的に「提案する」「提示する」「主張する」という意味を持つ
- 主な使い方として、アイデアや意見の提案、候補者の推薦、理論や仮説の提示などがある
- 文法的には目的語の位置に注意が必要で、代名詞が目的語の場合は「put it forward」のようになる
- 受動態では「be put forward」という形になる
- 「propose」「suggest」「present」「offer」など類似表現とはニュアンスの違いがある
- 「put oneself forward(立候補する)」「put forward the clock(時計を進める)」などの慣用表現もある
- ビジネスシーンから日常会話まで幅広く使える表現である
- 「put」は不規則動詞で、過去形・過去分詞形も「put」のままである
「put forward」は、英語らしい表現の一つであり、マスターすることで英語での意見の述べ方や提案の仕方がより自然になります。日常会話やビジネスシーン、学校生活など様々な場面で活用できるので、ぜひ積極的に使ってみてください。
英語学習において、こうした句動詞(フレーザルバーブ)を理解し使いこなすことは、より自然で流暢な英語を話すための大切なステップです。「put forward」を自分の英語表現のレパートリーに加えて、より豊かなコミュニケーションを楽しみましょう。