「put on」は英語のフレーズの中でも非常に多様な使い方ができる句動詞です。基本的な「着る」「身につける」という意味だけでなく、日常会話の様々な場面で活用できる便利な表現です。
初心者にとっては一つの表現でこれほど多くの意味があると混乱するかもしれませんが、基本的なイメージを理解すれば簡単に使いこなせるようになります。
この記事では「put on」の多彩な意味と使い方を詳しく解説します。英語を学習している方や、日常会話でより自然な表現を身につけたい方にとって役立つ情報をまとめました。
英語の表現力を広げるために、この「put on」というフレーズのニュアンスと様々な使い方をマスターしましょう。
「put on」の基本的なイメージと概念

「put on」を理解する上で重要なのは、この表現の持つ基本的なイメージです。句動詞(phrasal verb)と呼ばれるこのような表現は、動詞と前置詞やその他の小さな語を組み合わせて新しい意味を作り出します。
「put on」の場合、「put(置く)」と「on(〜の上に)」が組み合わさっています。
「put」には「置く」というコアイメージがあり、「on」には「接触・接地」というイメージがあります。これらが組み合わさることで、「何かを特定の場所に置く」「何かを何かの上に接触させる」という意味が生まれます。
例えば、衣服を体に「置く」こと、音楽を機器に「載せる」こと、化粧を顔に「塗る」ことなど、様々な文脈で使われますが、基本的なイメージは「何かを何かの上に置く・接触させる」というものです。
このコアイメージを理解することで、多様な使い方が頭に入りやすくなります。
「put on」の語源と歴史
「put on」の「put」は古英語の「putian(押す、突く)」に由来しています。「on」は位置関係を示す前置詞で、これも古英語から使われてきました。
中世英語では既に「put on」の形で「着る」という意味で使われていたことが文献に残っています。16世紀頃からはさらに意味が広がり、様々な使い方がされるようになりました。
特に興味深いのは、「put on weight(太る)」や「put on an act(演技する)」などの表現が18世紀頃から登場し始めたことです。
英語の句動詞は時代と共に意味が拡張していくことが多く、「put on」もその典型的な例と言えるでしょう。
「put on」の基本構造
「put on」の基本的な形は「put on + 名詞」または「put + 名詞 + on」です。代名詞を使う場合は「put it on」「put them on」のように、「put」と「on」の間に代名詞を置きます。
これは英語の句動詞の一般的なルールに従っています。
例文
- I put on my coat.
(私はコートを着ます。) - I put my coat on.
(私はコートを着ます。)- 同じ意味 - I put it on.
(私はそれを着ます。)- 代名詞は間に入る
この構造を理解することで、様々な場面で正しく「put on」を使うことができるようになります。
「put on」の主な意味
「put on」には実に多くの意味があります。ここでは、最も一般的に使われる意味から、少し専門的な意味まで詳しく説明します。
文脈によって意味が変わることもあるので、それぞれの状況での使い方を理解しておくと便利です。
衣服や付属品を着る・身につける
最も一般的な意味は「(衣服を)着る・履く・身につける」というものです。この場合、動作を表していることが重要です。
「着ている状態」ではなく「着る動作」を示します。帽子、靴、眼鏡、ジュエリーなど、体に身につけるものすべてに使えます。
例文
- Please put on your jacket. It is cold outside.
(ジャケットを着てください。外は寒いです。) - I need to put on my glasses to read this book.
(この本を読むには眼鏡をかける必要があります。) - She put on her new dress for the party.
(彼女はパーティーのために新しいドレスを着ました。) - The child is learning to put on his shoes by himself.
(その子供は一人で靴を履くことを覚えています。)
音楽やメディアをかける・流す
「put on」の二つ目の主要な意味は「(音楽・CDを)かける・流す」というものです。この使い方は、CDやレコードなどの音楽メディアを再生機器に「載せる」というイメージから来ています。
現代ではストリーミングが主流になりましたが、この表現は依然として使われています。
例文
- Can you put on some quiet music? I need to relax.
(静かな音楽をかけてくれる?リラックスする必要があるんだ。) - Let’s put on a movie while we eat dinner.
(夕食を食べながら映画をかけましょう。) - She put on her favorite song and started dancing.
(彼女はお気に入りの曲をかけて踊り始めました。) - My father likes to put on old records on Sunday mornings.
(父は日曜の朝に古いレコードをかけるのが好きです。)
体重が増える
「put on weight」という表現で「体重が増える・太る」という意味で使われます。この意味は、体重が「追加された」というイメージから来ています。
健康や食生活に関する会話でよく使われます。
例文
- I put on five kilos during the summer vacation.
(夏休みの間に5キロ太りました。) - He put on weight after he stopped playing sports.
(スポーツをやめた後、彼は太りました。) - Many people put on weight during the holiday season.
(多くの人が休暇シーズン中に太ります。) - She is worried because she has put on a little weight recently.
(彼女は最近少し太ったので心配しています。)
人をからかう・だます
「put on」は「(人を)からかう・だます」という意味でも使われます。「put someone on」の形で使われることが多いです。
冗談を言ったり、嘘をついたりする際に使われる表現です。
例文
- Are you putting me on? That story cannot be true!
(からかってるの?その話は本当じゃないでしょう!) - Don’t worry, I was just putting you on about the exam.
(心配しないで、試験のことはただからかっていただけだよ。) - He always puts people on at parties.
(彼はパーティーでいつも人をからかいます。) - I thought she was putting me on, but she was serious.
(彼女がからかっていると思ったけど、彼女は真剣でした。)
表面に何かを塗る・つける
「put on」は化粧品や日焼け止め、調味料などを塗る・つけるという意味でも使われます。
顔、体、食べ物など、表面に何かを塗布する動作を表します。
例文
- I always put on sunscreen before going to the beach.
(ビーチに行く前に必ず日焼け止めを塗ります。) - She puts on a little makeup every morning.
(彼女は毎朝少し化粧をします。) - Put on some salt on the vegetables.
(野菜に少し塩をかけてください。) - The doctor told me to put on this cream twice a day.
(医師はこのクリームを1日2回塗るように言いました。)
イベントを開催する・上演する
「put on」はイベントや演劇などを「開催する・上演する」という意味でも使われます。
特に演劇、コンサート、展示会などの文脈でよく使われます。
例文
- Our school puts on a musical every year.
(私たちの学校は毎年ミュージカルを上演します。) - They are putting on a big festival in the park next month.
(彼らは来月公園で大きなフェスティバルを開催します。) - The art gallery is putting on a new exhibition.
(そのアートギャラリーは新しい展示会を開催しています。) - The community center puts on events for children during summer.
(コミュニティセンターは夏の間、子供向けのイベントを開催しています。)
電話を代わる・つなぐ
「put someone on」の形で、電話を「(人に)代わる・つなぐ」という意味でも使われます。
特に電話での会話でよく使われる表現です。
例文
- Hold on, I’ll put my husband on.
(お待ちください、主人に代わります。) - Can you put the manager on? I need to speak with him.
(マネージャーに代わっていただけますか?彼と話す必要があります。) - She asked me to put her sister on when she called.
(彼女は電話をかけた時に姉に代わるように頼みました。) - I’ll put you on to our customer service department.
(カスタマーサービス部門におつなぎします。)
薬などを処方する
「put someone on (medicine)」の形で、「(薬などを)処方する」という意味でも使われます。
医療の文脈でよく使われる表現です。
例文
- The doctor put me on antibiotics for my infection.
(医師は感染症のために抗生物質を処方してくれました。) - She was put on a new medication for her high blood pressure.
(彼女は高血圧のために新しい薬を処方されました。) - My father was put on a special diet by his doctor.
(父は医師から特別な食事療法を指示されました。) - The veterinarian put our dog on pain relievers.
(獣医師は私たちの犬に鎮痛剤を処方しました。)
何かを取り付ける・設置する
「put on」は物を「取り付ける・設置する」という意味でも使われます。
壁紙を貼る、ボタンを付ける、装飾を設置するなどの動作を表します。
例文
- We need to put on new wallpaper in this room.
(この部屋に新しい壁紙を貼る必要があります。) - Can you help me put on this button?
(このボタンを付けるのを手伝ってくれますか?) - They put on Christmas lights around their house.
(彼らは家の周りにクリスマスライトを取り付けました。) - Let’s put on some decorations for the birthday party.
(誕生日パーティーのために飾り付けをしましょう。)
賭ける
「put money on」の形で、「賭ける」という意味でも使われます。
ギャンブルやスポーツの賭けの文脈でよく使われます。
例文
- I put twenty dollars on that horse to win.
(私はその馬が勝つことに20ドル賭けました。) - He always puts money on his favorite team.
(彼はいつもお気に入りのチームにお金を賭けます。) - Would you put money on them winning the championship?
(彼らが選手権を勝ち取ることにお金を賭けますか?) - She put five dollars on the red in roulette.
(彼女はルーレットの赤に5ドル賭けました。)
圧力や責任を与える
「put pressure on」や「put responsibility on」のような形で、「圧力を与える」「責任を与える」という意味でも使われます。
人間関係やビジネスの文脈でよく使われます。
例文
- Parents often put pressure on their children to get good grades.
(親はよく子供に良い成績を取るようプレッシャーをかけます。) - My boss puts too much responsibility on me.
(上司は私に多すぎる責任を与えます。) - Don’t put pressure on yourself to be perfect.
(完璧であるようにプレッシャーをかけないでください。) - The teacher puts emphasis on speaking practice in class.
(その教師は授業で会話練習を重視しています。)
「put on」の文法と使い方
「put on」の文法と使い方について詳しく見ていきましょう。
この句動詞を正しく使うための重要なポイントを紹介します。
「put on」の形と語順
「put on」の基本的な形は次の2つです。
- put on + 名詞(例:put on shoes)
- put + 名詞 + on(例:put shoes on)
どちらの形も意味は同じですが、代名詞を使う場合は必ず2番目の形式を使います。
- put it on(それを着ます)
- put them on(それらを着ます)
「put on it」とは言いません。
これは英語の句動詞のルールで、代名詞は通常、動詞と副詞の間に置かれます。
例文
- I need to put on my hat.
(帽子をかぶる必要があります。) - I need to put my hat on.
(帽子をかぶる必要があります。) - I need to put it on.
(それをかぶる必要があります。)(×put on it)
「put on」の時制と活用
「put on」は他の動詞と同様に様々な時制で使用できます。
「put」の原形、過去形、過去分詞はすべて「put」です(不規則動詞)。
例文
- Present: I always put on a sweater when it’s cold.
(寒い時はいつもセーターを着ます。) - Past: Yesterday, she put on her new dress.
(昨日、彼女は新しいドレスを着ました。) - Present Perfect: I have put on five kilos this year.
(今年は5キロ太りました。) - Future: I will put on my uniform tomorrow.
(明日制服を着ます。) - Present Continuous: I am putting on my shoes now.
(今靴を履いているところです。)
「put on」を使った日常会話
「put on」は日常会話の中でよく使われる表現です。ここでは様々な場面での使い方を紹介します。
家庭での使用例
家庭では服を着る、音楽をかける、化粧をするなど、様々な場面で「put on」が使われます。
例文
- Put on your pajamas and get ready for bed.
(パジャマを着て、寝る準備をしなさい。) - Can you put on some coffee while I take a shower?
(シャワーを浴びている間にコーヒーを入れてくれる?) - I’ll put on a movie for the kids.
(子供たちのために映画をかけます。) - Mom told me to put on a jacket before going outside.
(お母さんは外出する前にジャケットを着るように言いました。)
学校やオフィスでの使用例
学校やオフィスでも「put on」は様々な状況で使われます。
例文
- Please put on your name tags for the conference.
(会議用の名札を付けてください。) - The teacher put on a video about animals.
(先生は動物についての動画をかけました。) - Let’s put on some background music during the lunch break.
(昼休みの間に少しバックグラウンドミュージックをかけましょう。) - I need to put on my reading glasses to see this small print.
(この小さな文字を見るには老眼鏡をかける必要があります。)
「put on」と類似表現の違い
「put on」と似た意味を持つ表現との違いを理解しておくことも重要です。
ここでは代表的な類似表現との違いを解説します。
「put on」と「wear」の違い
「put on」と「wear」はどちらも衣服に関連する表現ですが、大きな違いがあります。
- 「put on」:衣類を着る動作を表す(動作・行為)
- 「wear」:衣類を着ている状態を表す(状態)
例文
- I put on my coat because it was cold outside.
(外は寒かったのでコートを着ました。)→動作 - I wear a coat in winter.
(冬はコートを着ています。)→状態、習慣
この違いを理解することで、状況に応じて適切な表現を選ぶことができます。
「put on」と「play」の違い
音楽を再生する文脈では、「put on」と「play」が似た意味で使われることがあります。
- 「put on」:CDやレコードなどの物理的なメディアを再生機器に載せるイメージ。カジュアルな表現。
- 「play」:音楽を演奏する・再生するという広い意味。より一般的な表現。
例文
- Let’s put on some jazz music.
(ジャズ音楽をかけましょう。) - She plays the piano beautifully.
(彼女はピアノを美しく弾きます。) - The radio station plays pop music all day.
(そのラジオ局は一日中ポップミュージックを流しています。)
「put on」と「set up」の違い
イベントを開催する文脈では、「put on」と「set up」が似た意味で使われることがあります。
- 「put on」:イベントやショーを開催する・上演する
- 「set up」:何かを準備する、設置する
例文
- The theater puts on three different plays each season.
(その劇場は各シーズンに3つの異なる演劇を上演します。) - We need to set up the stage for tomorrow’s concert.
(明日のコンサートのためにステージを設置する必要があります。)
「put on」と「don」の違い
衣服を着る文脈では、「put on」と「don」が似た意味で使われることがあります。
- 「put on」:日常的でカジュアルな表現
- 「don」:より形式的で文学的な表現。日常会話ではあまり使われない。
例文
- I put on my jacket before leaving.
(出かける前にジャケットを着ました。)- 日常的 - The knight donned his armor before battle.
(騎士は戦いの前に鎧を身につけました。)- 文学的、形式的
「put on」に関するよくある質問
「put on」に関する、よくある質問とその回答をまとめました。
- 「put on」と「put ~~ on」の違いは何ですか?
-
「put on」と「put ~~ on」は基本的に同じ意味ですが、語順が異なります。「put on」の後には目的語が来ますが、「put ~~ on」では目的語が「put」と「on」の間に置かれます。
代名詞(it, them など)を使う場合は必ず「put ~~ on」の形になります。
例文:
- Put on your shoes.
(靴を履いてください。) - Put your shoes on.
(靴を履いてください。) - Put them on.
(それらを履いてください。)(×put on them)
- Put on your shoes.
- 「put on」は敬語で使えますか?
-
「put on」自体はカジュアルな表現ですが、丁寧な言い回しと組み合わせることで、フォーマルな場面でも使用できます。
例文:
- カジュアル: Put on your coat.(コートを着て。)
- 丁寧: Could you please put on your coat?(コートを着ていただけますか?)
- フォーマル: I would appreciate it if you could put on appropriate attire for the ceremony.(式典には適切な服装を着用していただければ幸いです。)
- 「put on」を使った便利なイディオムはありますか?
-
「put on」を含むイディオムはいくつかあります。代表的なものを紹介します。
- put on a brave face(勇敢な顔をする、強がる)
- put on airs(見栄を張る、気取る)
- put on an act(演技をする、ふりをする)
- put on weight(体重が増える、太る)
- put on a show(ショーを行う、派手に見せる)
例文:
- She put on a brave face after losing the competition.
(彼女は競争に負けた後も強がっていました。) - Don’t put on airs just because you got promoted.
(昇進しただけで見栄を張らないでください。)
- 「put on」の発音のコツは?
-
「put on」の発音は「プッ・トン」に近いです。「put」の「t」は舌先を上の歯茎につけて発音し、「on」は「オン」と発音します。全体としては、二つの単語が繋がって「プットン」のように聞こえることが多いです。
重要なのは、「put」のアクセントを強く、「on」を少し弱めに発音することです。また、「put」の「u」は日本語の「ア」と「オ」の中間のような音になります。
- 「put on」は否定文や疑問文でどう使いますか?
-
「put on」は他の動詞と同じように否定文や疑問文を作ることができます。
否定文:
- I don’t put on makeup every day.
(私は毎日化粧をするわけではありません。) - She didn’t put on her coat despite the cold.
(寒さにもかかわらず、彼女はコートを着ませんでした。)
疑問文:
- Did you put on sunscreen?
(日焼け止めを塗りましたか?) - Why are you putting on that old sweater?
(なぜその古いセーターを着ているの?)
命令文:
- Put on your helmet before riding a bike!
(自転車に乗る前にヘルメットをかぶりなさい!) - Don’t put on too much perfume.
(香水をつけすぎないでください。)
- I don’t put on makeup every day.
まとめ:「put on」の多様な使い方

「put on」は非常に多機能な句動詞で、以下のような様々な意味があります。
- 衣服や付属品を着る・身につける(Put on your shoes.)
- 音楽やメディアをかける・流す(Put on some music.)
- 体重が増える(I put on weight during vacation.)
- 人をからかう・だます(Are you putting me on?)
- 表面に何かを塗る・つける(Put on some sunscreen.)
- イベントを開催する・上演する(They put on a great show.)
- 電話を代わる・つなぐ(I’ll put you on to the manager.)
- 薬などを処方する(The doctor put me on antibiotics.)
- 何かを取り付ける・設置する(Put on some decorations.)
- 賭ける(I put money on that team.)
- 圧力や責任を与える(Don’t put pressure on yourself.)
これらの意味は一見バラバラに見えますが、すべて「何かを何かの上に置く・接触させる」というコアイメージから派生しています。このコアイメージを理解することで、様々な文脈での「put on」の使い方が自然と身につくでしょう。
英語学習では単語や表現のコアイメージを理解することが非常に重要です。暗記だけに頼るのではなく、視覚的なイメージと結びつけて学習することで、より自然な英語の理解と使用ができるようになります。
「put on」は日常生活の様々な場面で使える便利な表現なので、ぜひ積極的に使ってみてください。
「put on」はネイティブスピーカーが日常的に使う表現です。この記事を参考に、ぜひ実際の会話で使ってみてください。使えば使うほど自然に身につき、英語表現の幅が広がることでしょう。

