「断る」という意味を持つ英語表現として「refuse」「decline」「reject」がありますが、それぞれニュアンスや使い方が異なります。英語を学ぶ初心者の方にとって、これらの違いを理解することは自然な英語表現を身につける上で非常に重要です。
本記事では、三つの表現の基本的な違いから実践的な使い分けまで、例文を交えながら詳しく解説します。日常会話からビジネスシーンまで、様々な場面で適切な「断り方」を身につけましょう。
refuse・decline・rejectの基本的な違い

これら三つの単語はすべて「断る」という意味を持ちますが、断る強さやフォーマル度に違いがあります。最も基本的な違いを理解するために、まずはそれぞれの特徴を見ていきましょう。
「decline」は最も丁寧で柔らかい断り方です。招待やオファーを礼儀正しく辞退する際に使われます。フォーマルな場面や社交的な状況で適しています。
「refuse」は明確に意思を伝えて断る表現で、中程度の強さがあります。要求や依頼に対して、はっきりと受け入れない意思を示します。
「reject」は三つの中で最も強い拒絶を表し、提案や申し出を不適切または不十分とみなして却下する意味があります。直接的な強い態度を示す表現です。
覚え方としては、「decline → refuse → reject」の順で拒否の強さが強くなっていくと考えるとよいでしょう。
refuseの意味と使い方
「refuse」は「(明確に)断る」「拒否する」という意味の動詞です。相手の要求や依頼に対して、はっきりと受け入れない意思を表明するときに使います。「refuse」は「accept(受け入れる)」の対義語でもあります。
refuseが使われる典型的な状況
「refuse」は以下のような状況でよく使われます。
- 要求や依頼を直接的に断るとき
- 提案されたことを実行しないという意思を示すとき
- 物事に従わない、または物事を受け入れないとき
refuseの例文
「refuse」を使った簡単な例文をいくつか見てみましょう。
例文
- He refused to eat vegetables.(彼は野菜を食べることを拒否しました。)
- I refused his help with my homework.(私は宿題の手伝いを断りました。)
- The students refused to take the test.(生徒たちはテストを受けることを拒否しました。)
- My brother refused to lend me his bike.(兄は自転車を貸すことを拒みました。)
- She refused the gift from her friend.(彼女は友達からの贈り物を断りました。)
「refuse」は「to + 動詞の原形」の形で使うことが多く、「〜することを拒否する」という意味になります。また、「refuse + 名詞」の形で「〜を断る」という意味でも使われます。
declineの意味と使い方
「decline」は「(丁寧に)断る」「辞退する」という意味の動詞です。招待やオファーを礼儀正しく、穏やかに断るときに使われます。「refuse」や「reject」よりも柔らかい表現であり、フォーマルな場面や社交的な状況で適しています。
declineが使われる典型的な状況
「decline」は以下のような状況でよく使われます。
- 招待やオファーを丁寧に断るとき
- 依頼を礼儀正しく辞退するとき
- ビジネスシーンや公式の場での断りを表現するとき
- クレジットカードが使用できない状況を表すとき
declineの例文
「decline」を使った簡単な例文をいくつか見てみましょう。
例文
- She declined our invitation to the party.(彼女は私たちのパーティーへの招待を辞退しました。)
- I declined his offer to help me.(私は彼の手伝いの申し出を丁重に断りました。)
- The teacher declined to answer the question.(先生はその質問に答えることを辞退しました。)
- He declined the award because he felt he didn’t deserve it.(彼はその賞に値しないと感じたため、受賞を辞退しました。)
- My credit card was declined at the store.(店で私のクレジットカードが使えませんでした。)
「decline」も「to + 動詞の原形」または「decline + 名詞」の形で使われます。「refuse」と似た構文ですが、より丁寧な印象を与えます。
rejectの意味と使い方
「reject」は「拒絶する」「却下する」という意味の動詞です。提案や申し出を不適切または不十分とみなして強く拒否するときに使います。三つの中で最も強い拒絶のニュアンスがあり、直接的な態度を示します。
rejectが使われる典型的な状況
「reject」は以下のような状況でよく使われます。
- 提案や企画を却下するとき
- 申請や応募を不採用とするとき
- 恋愛における拒絶を表現するとき
- 物事の真実性や妥当性を否定するとき
rejectの例文
「reject」を使った簡単な例文をいくつか見てみましょう。
例文
- The company rejected my job application.(その会社は私の就職応募を却下しました。)
- She rejected his idea for the school project.(彼女は学校のプロジェクトに関する彼のアイディアを拒否しました。)
- The committee rejected the proposal.(委員会はその提案を却下しました。)
- I asked her to be my friend, but she rejected me.(私は彼女に友達になってほしいと頼みましたが、断られました。)
- The school rejected many students this year.(学校は今年多くの生徒の入学を拒否しました。)
「reject」は主に「reject + 名詞」の形で使われます。「reject + 人」の形で使うと、その人からの申し出や提案を断るだけでなく、人そのものを拒絶するという強いニュアンスを持ちます。
refuse・decline・rejectの比較
三つの表現の違いをさらに理解するために、具体的な使い分けを見ていきましょう。
ビジネスシーンでの使い分け
ビジネスシーンでは、状況に応じた適切な表現を選ぶことが重要です。
- 「decline」:会議への出席や昇進の申し出など、好意的なオファーを丁寧に断る場合に使います。例えば「I must decline your invitation to the conference.(会議へのご招待は辞退させていただきます。)」
- 「refuse」:不当な要求やルール違反の依頼を明確に断る場合に使います。例えば「The manager refused to change the deadline.(マネージャーは締め切りの変更を拒否しました。)」
- 「reject」:提案書や企画書が基準に満たないと判断して却下する場合に使います。例えば「The board rejected his business plan.(役員会は彼のビジネスプランを却下しました。)」
日常会話での使い分け
日常的な会話では、相手との関係性や断る内容に応じて使い分けます。
- 「decline」:友人からのパーティーの招待や食事の申し出を礼儀正しく断る場合。「I have to decline your invitation because I’m not feeling well.(体調が優れないので、招待を辞退させてください。)」
- 「refuse」:友人や家族からの不合理な要求を断る場合。「My sister refused to lend me her car.(姉は車を貸すことを拒否しました。)」
- 「reject」:強く拒絶する必要がある場合や、何かを完全に受け入れない場合。「The community rejected the idea of building a factory near the school.(地域社会は学校の近くに工場を建設するという考えを拒絶しました。)」
フォーマル度の違い
三つの表現はフォーマル度にも違いがあります。
- 「decline」:最もフォーマルで丁寧な表現です。公式の場やビジネスシーンで使われることが多いです。
- 「refuse」:中程度のフォーマル度で、日常会話でもビジネスシーンでも使えます。
- 「reject」:強い拒絶を表す表現で、ビジネスシーンでは公式の決定として使われることがあります。
refuse・decline・rejectの類似表現との違い
「断る」という意味を持つ他の表現との違いも確認しておきましょう。
turn downとの違い
「turn down」は「断る」「拒否する」という意味の句動詞です。「reject」よりも柔らかく、カジュアルな表現です。
例文
- She turned down my invitation to the movie.(彼女は映画の誘いを断りました。)
- He turned down the job offer from that company.(彼はその会社からの仕事のオファーを断りました。)
「turn down」は日常会話でよく使われる表現で、フォーマルな文書では「decline」や「refuse」が好まれます。
say noとの違い
「say no」は最も簡単な「断る」表現で、単に「いいえと言う」という意味です。非常にシンプルで直接的です。
例文
- I said no to his request to borrow money.(彼のお金を借りたいという要求にノーと言いました。)
- She said no when I asked her to help me.(私が助けを求めたとき、彼女は断りました。)
「say no」は状況を問わずに使える汎用的な表現ですが、「refuse」「decline」「reject」ほど具体的なニュアンスはありません。
denyとの違い
「deny」は「否定する」「認めない」という意味で、事実や申し立てを否定する場合に使われます。
例文
- He denied stealing the money.(彼はお金を盗んだことを否定しました。)
- The government denied the allegations.(政府はその申し立てを否定しました。)
「deny」は「断る」というよりは「否定する」「認めない」という意味合いが強く、事実関係や真実性に関わる文脈で使われることが多いです。
refuse・decline・rejectの使い分け練習問題
以下の文章の空欄に最も適切な単語(refuse、decline、reject)を入れてみましょう。
- The university _ my application because my grades were too low.
- I _ to eat the cake because I’m on a diet.
- She politely _ our invitation to dinner.
- The teacher _ to give us extra time for the test.
- His credit card was _ at the store.
- The committee _ the proposal because it was too expensive.
- I _ his help because I wanted to do it by myself.
- She _ the job offer because the salary was too low.
- The doctor _ to prescribe antibiotics for a common cold.
- The manager _ my idea for the new project.
- He _ to answer the question during the interview.
- The government _ the company’s request for a tax exemption.
- She _ the gift because it was too expensive.
- The students _ to take the exam without proper preparation.
- I had to _ their invitation because I was busy that day.
- The publisher _ his manuscript because it needed more work.
- The team _ to play in bad weather conditions.
- She politely _ the award and suggested it go to someone more deserving.
- The bank _ my loan application due to my poor credit history.
- I _ to believe the rumors about my friend.
refuse・decline・rejectに関するよくある質問
- 「refuse」と「decline」と「reject」の使い分けのコツは?
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基本的には断る強さと丁寧さのレベルで覚えるとよいでしょう。「decline」は最も丁寧で柔らかい断り方、「refuse」は明確に断る表現、「reject」は最も強い拒絶を表します。また、対象によっても使い分けることができます。招待やオファーには「decline」、要求や依頼には「refuse」、提案や申請には「reject」が適しています。
- ビジネスメールでの断り表現はどれを使うべき?
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ビジネスメールでは丁寧さが求められるため、基本的には「decline」を使うことが多いです。例えば「I must decline your invitation due to prior commitments.(以前からの約束があるため、ご招待を辞退させていただきます)」のような表現が適切です。ただし、状況によっては「refuse」や「reject」が適切な場合もあります。
- 「decline」はどんな場面で使うのが最適?
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「decline」は招待やオファー、提案などを丁寧に辞退する場面で最適です。特にフォーマルな状況や、相手との良好な関係を維持したい場合に使います。また、クレジットカードが使えない状況を表す場合にも使われます。
- 「reject」を人に対して使うとどうなる?
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「reject + 人」の形で使うと、単にその人からの申し出や提案を断るだけでなく、人そのものを拒絶するという強いニュアンスを持ちます。例えば「She rejected him.」は「彼女は彼を拒絶した」という意味になり、恋愛の文脈では「振った」というニュアンスになります。人に対して使う場合は特に注意が必要です。
- 日常会話で最も使いやすいのはどれ?
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日常会話では「refuse」が最も汎用的に使えます。状況に応じてより丁寧に断りたい場合は「decline」、強く拒絶したい場合は「reject」を使い分けると良いでしょう。また、カジュアルな会話では「turn down」や「say no」も頻繁に使われます。
まとめ

本記事では「refuse」「decline」「reject」の意味の違いと使い分けについて解説しました。三つの英単語はすべて「断る」という意味を持ちますが、それぞれに異なるニュアンスと使用場面があります。
以下にポイントをまとめます。
- 「decline」は最も丁寧で柔らかい断り方で、招待やオファーを礼儀正しく辞退する際に使います。
- 「refuse」は明確に意思を伝えて断る表現で、要求や依頼に対してはっきりと受け入れない意思を示します。
- 「reject」は三つの中で最も強い拒絶を表し、提案や申し出を不適切または不十分とみなして却下する意味があります。
- 断る強さの順番は「decline → refuse → reject」です。
- ビジネスシーンではフォーマル度と状況に応じた使い分けが重要です。
- 類似表現として「turn down」「say no」「deny」などもあります。
- 正しい使い分けは文脈や状況、相手との関係性を考慮して判断することが大切です。
これらの表現を適切に使い分けることで、場面に応じた自然な英語表現ができるようになります。練習問題に取り組みながら、実際の使用場面をイメージして使い分けの感覚を養っていきましょう。