関係代名詞は英語学習者にとって理解が難しい文法事項の一つです。特に「制限用法」と「非制限用法」の区別は初学者には混乱しやすいポイントですが、この違いを正しく理解することで、より自然で洗練された英語表現が可能になります。
この記事では、関係代名詞の制限用法と非制限用法の意味、違い、使い方について、わかりやすい例文とともに詳しく解説します。
関係代名詞とは?

関係代名詞は、二つの文をつなげる役割を持つ英語文法の重要な要素です。代表的な関係代名詞には、who(人)、which(物・動物)、that(人・物・動物)、whom(人・目的格)、whose(所有格)などがあります。
関係代名詞を使うことで、短い複数の文をスムーズにつなげることができ、文章全体の流れが格段に良くなります。例えば、
例文
- 「彼は先生です。彼は英語を教えています。」
→「彼は英語を教えている先生です。」(He is a teacher who teaches English.)
このように関係代名詞を使うことで、二つの文がうまく一つにまとめられています。
英語の文法において、関係代名詞には大きく分けて「制限用法」と「非制限用法」の2種類があります。この違いを理解することは、正確な英語表現のために非常に重要です。
制限用法とは?
制限用法は、関係詞節(関係代名詞から始まる節)が先行詞を限定・特定するために使われる用法です。制限用法では、関係詞節の情報が先行詞を特定するために必要不可欠であり、その情報がなければどの人や物を指しているのか明確になりません。
制限用法の最大の特徴は、関係詞節の前後にコンマを付けないことです。これは、その情報が先行詞を特定するために必要だという意味を示しています。
例文
- The book that is on the table is mine.(テーブルの上にある本は私のものです)
- I know the girl who speaks French.(フランス語を話す女の子を知っています)
- The car which my father bought last year is very fast.(父が去年買った車はとても速いです)
これらの例文では、関係詞節が「どの本か」「どの女の子か」「どの車か」を特定するために必要な情報を提供しています。関係詞節がないと、話し手が指している対象が特定できません。
制限用法の使い方のポイント
制限用法では、以下のポイントに注意しましょう。
- 人を表す先行詞には who または that を使います。
例:The teacher who taught us English was very kind.(私たちに英語を教えた先生はとても親切でした) - 物や動物を表す先行詞には which または that を使います。
例:The dog that lives next door barks a lot.(隣に住んでいる犬はよく吠えます) - 目的格の場合、関係代名詞は省略することができます。
例:The movie (that) I watched yesterday was interesting.(昨日私が見た映画は面白かったです) - thatは制限用法でよく使われますが、以下の場合はthatを使うのが一般的です
- 先行詞が人と物の両方を含む場合
- 先行詞が最上級や序数詞で修飾されている場合
- 先行詞が all, everything, nothing, anything などの場合
非制限用法とは?
非制限用法は、関係詞節が先行詞について追加情報を提供する用法です。非制限用法では、関係詞節の情報は補足的なものであり、その情報がなくても先行詞が何を指しているのかは明確です。
非制限用法の最大の特徴は、関係詞節の前後にコンマを付けることです。これは、その情報が追加的なものであることを示しています。
例文
- My brother, who lives in Tokyo, is a doctor.(私の兄は東京に住んでいて、医者です)
- This book, which I bought yesterday, is very interesting.(この本は昨日買ったものですが、とても面白いです)
- Mr. Smith, whom I met at the party, is a famous writer.(パーティーで会ったスミスさんは有名な作家です)
これらの例文では、関係詞節は先行詞についての追加情報を提供していますが、その情報がなくても「私の兄」「この本」「スミスさん」が何を指しているかは明確です。
非制限用法の使い方のポイント
非制限用法では、以下のポイントに注意しましょう。
- 人を表す先行詞には who を使います(that は使えません)。
例:My teacher, who is from Australia, speaks Japanese well.(オーストラリア出身の私の先生は日本語が上手です) - 物や動物を表す先行詞には which を使います(that は使えません)。
例:My new computer, which I bought last week, is very fast.(先週買った私の新しいパソコンはとても速いです) - 非制限用法では関係代名詞を省略することはできません。
- コンマの有無は意味を大きく変えるので注意が必要です。
- 非制限用法では、先行詞が固有名詞や唯一のものを表す場合によく使われます。
例:Tokyo, which is the capital of Japan, is a very busy city.(日本の首都である東京はとても忙しい都市です)
制限用法と非制限用法の違い
制限用法と非制限用法の主な違いを以下の表にまとめました。
項目 | 制限用法 | 非制限用法 |
---|---|---|
意味 | 先行詞を限定・特定する | 先行詞に追加情報を与える |
コンマ | 使わない | 使う |
情報の重要性 | 必須情報(省略不可) | 追加情報(省略可能) |
使える関係代名詞 | who, which, that など | who, which, whom(thatは不可) |
省略可能性 | 目的格では省略可能 | 省略不可 |
両者の違いを例文で比較してみましょう。
例文
- 制限用法:The students who study hard will pass the exam.
(一生懸命勉強する学生は試験に合格するでしょう)
→「一生懸命勉強する」という情報が「どの学生か」を特定している - 非制限用法:The students, who study hard, will pass the exam.
(学生たちは一生懸命勉強していて、試験に合格するでしょう)
→「一生懸命勉強する」は全学生についての追加情報
このように、コンマの有無によって文の意味が大きく変わることがあります。
関係代名詞を使いこなすコツ
英語の関係代名詞を適切に使いこなすためのコツをいくつか紹介します。
先行詞が人か物かをまず確認する
- 人:who, whom, that
- 物:which, that
関係代名詞が主格か目的格かを判断する
- 主格(〜は、〜が):who, which, that
- 目的格(〜を、〜に):whom, which, that(省略可能)
制限用法か非制限用法かを決める
- 先行詞を特定する必要がある → 制限用法(コンマなし)
- 追加情報を提供するだけ → 非制限用法(コンマあり)
英語と日本語の発想の違いを意識する
- 日本語では「〜の」や「〜という」で訳されることが多い
- 複数の短い文を一つにまとめる意識をもつ
関係代名詞の使い方をマスターすることで、より自然で複雑な英文を作れるようになります。
関係代名詞に関する問題
関係代名詞の理解度をチェックするために、以下の問題に挑戦してみましょう。( )に入る適切な関係代名詞を選んでください。
- The book ( ) is on the table belongs to me.
- This is the house ( ) I lived in when I was a child.
- My sister, ( ) lives in Osaka, is a nurse.
- The man ( ) I met yesterday is a famous actor.
- Tokyo, ( ) is the capital of Japan, is very crowded.
- The dog ( ) barks a lot belongs to my neighbor.
- The woman ( ) called you last night is my mother.
- My father, ( ) works at a bank, is very busy.
- I like the movie ( ) we watched last weekend.
- This is the camera ( ) I bought last year.
- Mr. Smith, ( ) teaches us English, is from America.
- The car ( ) is parked in front of my house is new.
- The flowers ( ) are in the garden are beautiful.
- My grandmother, ( ) is 85 years old, still cooks every day.
- The boy ( ) won the race is my brother.
- These books, ( ) were written by a famous author, are very popular.
- The students ( ) study hard will pass the exam.
- Mount Fuji, ( ) is the highest mountain in Japan, is very beautiful.
- The computer ( ) I use at work is very fast.
- The girl ( ) is wearing a red dress is my cousin.
関係代名詞に関するよくある質問
- 関係代名詞の制限用法と非制限用法はどう見分ければいいですか?
-
制限用法と非制限用法の最も明確な違いはコンマの有無です。制限用法ではコンマを使いませんが、非制限用法では関係詞節の前後にコンマを付けます。また、情報の性質も異なります。制限用法は先行詞を特定するための必須情報を提供しますが、非制限用法は追加情報を提供します。
- thatは非制限用法で使えないのはなぜですか?
-
thatは本来、特定のものを指し示す働きが強い関係代名詞です。そのため、すでに特定されている先行詞に追加情報を与える非制限用法にはそぐわないとされています。非制限用法では、who(人)やwhich(物・動物)を使いましょう。
- 関係代名詞を省略できるのはどんな場合ですか?
-
関係代名詞が目的格(目的語として使われている)の場合、制限用法では省略できることがあります。例えば「I like the movie (that) you recommended.(あなたがお勧めした映画が好きです)」のようなケースです。ただし、非制限用法や関係代名詞が主格の場合は省略できません。
- 関係代名詞whoseはどのように使いますか?
-
whoseは「〜の」という所有を表す関係代名詞で、人にも物にも使えます。
- (制限用法):The man whose car was stolen called the police.(車が盗まれた男性は警察に電話しました)
- (非制限用法):My friend, whose father is a doctor, wants to study medicine.(父親が医者である私の友人は、医学を勉強したいと思っています)
- 関係代名詞と関係副詞の違いは何ですか?
-
関係代名詞(who, which, that など)は名詞の代わりをする役割がありますが、関係副詞(where, when, why, how など)は場所、時、理由、方法などを表す副詞的な役割をします。
- This is the house where I grew up.(これは私が育った家です)
- I remember the day when we first met.(私たちが初めて会った日を覚えています)
まとめ

この記事では、関係代名詞の制限用法と非制限用法について詳しく解説しました。両者の違いを理解することは、英語の文法をマスターするうえで非常に重要です。最後に、ポイントをまとめておきましょう。
関係代名詞の制限用法と非制限用法の重要ポイントは以下になります。
- 制限用法は先行詞を特定・限定するために使われ、コンマを使いません
- 非制限用法は先行詞に追加情報を与えるために使われ、コンマを付けます
- 制限用法では who, which, that などが使えますが、非制限用法では that は使えません
- 制限用法では目的格の関係代名詞は省略可能ですが、非制限用法では省略できません
- コンマの有無で文の意味が大きく変わることがあるので注意が必要です
関係代名詞を正しく使いこなせるようになれば、より複雑で自然な英語表現が可能になります。日本語と英語の発想の違いを意識しながら、例文をたくさん読んだり書いたりして練習を重ねることが大切です。
以上の内容をしっかり理解して、英語の関係代名詞をマスターしましょう。