英語学習を始めたばかりの学生や保護者の方々にとって、大学受験に向けてどの英語資格を取得すべきかという選択は、しばしば悩みの種となります。
特に「英検」と「GTEC」のどちらを優先するかは、入試戦略における重要な判断ポイントです。
近年、大学入試での英語資格の活用は広がりを見せており、現在では英検・GTECともに多くの大学で利用可能となっています。しかし、両試験には、試験内容や難易度、そして利用できる大学の数において大きな違いがあります。
この記事では、英検とGTECの基本的な違いから、大学受験を見据えたそれぞれの対策方法までを詳しく解説します。ご自身に最も適した英語資格を選ぶための参考にしていただければ幸いです。
英検(実用英語技能検定)の基礎知識

「英検」として広く知られる実用英語技能検定は、日本で最も歴史が長く、認知度の高い英語試験です。
歴史と制度の概要
- 開始年
- 1963年(昭和38年)に実施が開始され、60年以上の歴史を持ちます。
- 判定形式
- 合格・不合格という形式を採用しています。
- 級の構成
- 従来は5級から1級までの7段階に分かれていました。
- 新制度(2025年度〜)
- 準2級と2級の間に「準2級プラス」が新設され、より細かなレベル分けが実現します。
試験形式と受験方法の多様性
英検は、受験者のニーズに応じて様々な形式で受験することができます。
柔軟な受験形式
- 従来型: 筆記試験(一次試験)と面接(二次試験)を別日に行う形式です。
- CBT (Computer-Based Testing): コンピューターで受験する形式です。
- S-CBT: 1日で4技能全ての試験が完結する形式です。
これらの柔軟な選択肢により、受験者はご自身の都合や学習スタイルに合わせた受験が可能です。
試験内容(測定する4技能)
英検は、以下の4つの技能をバランスよく測定するように設計されています。
- リーディング
- ライティング
- リスニング
- スピーキング
各級の目安と大学受験での活用価値
英検の各級には、到達度を示す具体的なレベルの目安が設定されています。
| 級 | 難易度の目安 |
| 英検5級 | 中学初級程度 |
| 英検4級 | 中学中級程度 |
| 英検3級 | 中学卒業程度 |
| 英検準2級 | 高校中級程度 |
| 英検2級 | 高校卒業程度 |
| 英検準1級 | 大学中級程度 |
| 英検1級 | 大学上級程度 |
大学受験での価値
- 重要となる級
- 基本的には準2級以上の級が大学受験において価値を持ちます。
- 初級レベルの級
- 5級から3級は中学レベルの難易度のため、大学受験での活用を目的とする必要は通常ありません。
- 例外
- まれに英検3級を調査書で加点対象とする大学も存在します。
- アドバイス
- 志望校の入試要項を必ず確認することが重要です。
GTEC(ベネッセ提供)実用型英語検定の概要
GTECは、ベネッセコーポレーションが提供する英語コミュニケーション能力測定テストです。
- 誕生
- 1997年にベネッセと米国企業の共同開発により誕生しました。
- 評価システム
- 英検のような合格・不合格の判定ではなく、スコア制を採用しています。
- スコア範囲
- 受験者は0点から1400点までのスコアで英語力を数値化できます。
- 対象年代
- 小学生から社会人までの幅広い年代を対象とし、受験生の段階に応じて最適なレベルを選択できるように設計されています。
GTECの種類と対象
主に中学生から高校生を対象とするGTECには、難易度と対象年代に応じて4つの主要なタイプがあります。
| タイプ | 主な対象年代 | 上限スコア | 試験時間の目安 |
| Core | 中学2年〜中学3年向け | 840点 | 約92分 |
| Basic | 中学3年〜高校2年向け | 1080点 | 約110分 |
| Advanced | 高校1年〜高校3年向け | 1280点 | 約110分 |
| CBT | 高校2年後半〜高校3年向け | 1400点 | 約150分 |
試験形式と使用環境
出題形式は、タイプによって「紙・タブレット形式」と「コンピューター(CBT)形式」に分かれます。
Core/Basic/Advanced型(紙・タブレット形式)
| 技能 | 出題・解答形式 |
| リーディング | マークシート形式 |
| リスニング | マークシート形式 |
| ライティング | 紙に記述する形式 |
| スピーキング | タブレット上で音声を録音する形式 |
CBT型(コンピューター形式)
CBT型は、全ての科目でコンピューターを使用して受験します。
- リーディング / リスニング: マウスでクリック選択
- ライティング: キーボードでタイピング入力
- スピーキング: マイク付きイヤホンで音声を録音
このCBT形式により、より現代的で実用的な英語力の測定が実現されています。
英検とGTECの難易度比較:CEFRと実務的な体感
英検(実用英語技能検定)とGTEC(ジーテック)の難易度を比較する際は、**CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)**という国際的な英語力基準を参考にすると客観的に判断できます。
CEFRを基準とした難易度の対応
CEFRに基づいた両試験のレベル対応は以下の通りです。
GTECの種類別 難易度(英検との比較)
| GTECの種類 | 対象学年(目安) | 英検の相当難易度(おおよそ) |
| Basic | 中3〜高2 | 準2級〜2級 程度 |
| Advanced | 高1〜高3 | 2級 程度 |
| CBT | 高2後半〜高3 | 2級〜準1級 程度 |
GTECスコアと英検の対応
GTECのスコア帯ごとに、英検の相当級をより細かく示したものです。
| GTEC スコア | 英検の相当難易度 |
| 270 〜 689 点 | 3級 〜 準2級 程度 |
| 690 〜 959 点 | 準2級 〜 2級 程度 |
| 960 〜 1189 点 | 2級 〜 準1級 程度 |
| 1190 〜 1349 点 | 準1級 〜 1級 程度 |
| 1350 〜 1400 点 | 1級 相当程度 |
- 英検2級は、GTECスコアで690〜1189点程度に対応します。
- 英検準1級は、GTECスコアで960〜1349点程度に対応します。
実務的な難易度(受験者の体感)
理論的な対応だけでなく、実際に受験した際の「体感的な難しさ」にも違いがあります。
| 試験 | 特徴・難易度体感 | 学習教材・対策のしやすさ |
| GTEC | 実践的で応用的な問題が多いため、全体的にやや高難度に感じられる傾向があります。 特にライティングとスピーキングのアウトプット技能で実用的な力が問われます。 | 英検に比べると、学習教材や過去問題集の充実度がまだ低いため、対策の難しさを感じる受験者が多いです。 |
| 英検 | 級ごとにステップアップできるため、段階的な達成感が得られます。 問題形式も比較的安定しています。 | 過去問題集や参考書が豊富に出版されており、学習教材が充実しているため、特に初学者にとって対策しやすい環境です。 |
GTECはより実践的な英語力を測る傾向があり、学習の難しさを感じる可能性があります。
一方、英検は体系的な学習ルートが整っており、教材も豊富で対策しやすいという利点があります。
英検の試験内容と大学受験対策
大学受験を見据えて英検の学習を進めるには、試験内容を正確に理解することが前提となります。
受験する級によって出題形式が異なるため、各級の特性を把握することが必須です。
英検2級の試験内容と出題特徴(高校卒業程度)
英検2級は大学受験の基準となるレベルです。2024年度からの改革により、試験内容が大きく変更されています。
一次試験
- リーディング
- 出題数が38問から31問に減少しました。
- より深い理解力が問われます。
- 医療やテクノロジーといった専門分野に関する英文読解が出題されるため、幅広い分野の単語や表現の習得が重要です。
- ライティング (新形式)
- 従来の「意見論述」に加えて、新たに「要約」という問題形式が追加されました。
- 単語力だけでは通用せず、より実践的な英語理解力が必要とされます。
二次試験(面接)
- パッセージの黙読と音読、パッセージについての質問への回答、イラストを見ての状況説明、受験者自身の意見を述べる、といった複数の課題に取り組みます。
- 2024年度からは、受験者自身の意見を問う質問に「話題導入文」が追加され、解答の自由度が制限されることで、より具体的な対策が可能になっています。
英検準1級の試験内容と出題特徴(大学中級程度)
英検準1級はより高度な英語力が求められるレベルです。こちらも2024年度の改革で変更がありました。
一次試験
- リーディング
- 出題数が41問から31問へと大幅に減少しました。
- 単語の暗記による対策が以前より通用しなくなり、文章全体の意味を正確に理解できる力が必須となりました。
- ライティング (新形式)
- 英作文が2題に増加しました。
- 従来の「意見論述」に加えて新たな出題形式が加わり、さらに「要約」という新しい問題形式も導入されました。
- 準1級の要約は、2級よりも長い文章をより短く要約する必要があります。
スピーキング(面接)
- 受験者自身の意見を問う質問に「話題導入文」が追加されることで、より焦点を絞った回答が求められるようになっています。
英検受験のための基本的な対策戦略
英検合格を目指すための基本的な学習戦略は以下の通りです。
- レベルの把握
- まずは自分の現在の英語レベルを正確に把握しましょう。
- 過去問題の活用
- 目標の級が決まった後は、公式の過去問題集を繰り返し解くことが最も効果的な対策になります。本番に近い形で学習が可能です。
技能別対策のポイント
| 技能 | 対策のポイント |
| リーディング | 長文の構造を理解し、キーワードとなる単語や表現を素早く認識できる力を養う。 |
| ライティング | エッセイや要約などの形式ごとに異なるアプローチで対策する。 |
| リスニング | 様々なアクセントと話速に慣れる。 |
| スピーキング | 英語で意見を述べる練習を繰り返し行い、自然で流暢な表現を身につける。 |
GTECの試験内容と大学受験対策:4技能の総合対策
GTECで高得点を獲得し、大学受験に活かすためには、4つの技能それぞれに対して体系的な対策を進める必要があります。
GTECの特徴は、実生活に即した会話や場面設定が出題されることにあり、これは英検との大きな違いとなります。
リスニングテストの特徴と対策方法
| 項目 | 詳細 |
| 特徴 | 会話や講義など、様々な音声形式が出題されます。 出題内容は実践的な日常英会話や学術的な内容に偏る傾向があります(英検との違い)。 |
| 形式 | マークシート式またはクリック形式の選択問題。 |
| 試験時間 | Core型: 約20分 Basic型: 約25分 Advanced型: 約25分 CBT型: 約35分 |
| 対策 | 基礎的な発音と音の変化に慣れる。 会話全体の流れを理解する力を養う。 キーワードとなる単語を聞き取る練習を重ねる。 様々な分野の語彙や表現に日頃から触れる。 |
リーディングテストの特徴と対策方法
| 項目 | 詳細 |
| 特徴 | メール、ウェブサイト、記事、エッセイなど、多様な文体の英文が出題されます。 英検よりも語彙の範囲が広い傾向があります。 |
| 形式 | 基本的にマークシート式の選択問題。 |
| 試験時間 | Core型: 約32分 Basic型: 約45分 Advanced型: 約45分 CBT型: 約55分 |
| 対策 | 異なる文体に対応できる力を養う。文章の種類(メール、学術エッセイなど)に応じた読み方を使い分ける。 継続的な語彙学習を行う。 |
ライティングテストの特徴と対策方法
| 項目 | 詳細 |
| 特徴 | メールやエッセイなど、実践的な文章作成を求める問題が中心。自分の意見を根拠とともに述べる力が求められます。 |
| 形式 | Basic/Advanced型: 手書きの自由記述式 CBT型: キーボード入力による記述式 |
| 試験時間 | Core型: 約25分 Basic型: 約25分 Advanced型: 約25分 CBT型: 約65分 |
| 対策 | 基本的な文法と句読点の使用方法を確実に習得する。 テーマに沿った文章を論理的に構成できる力を養う。 日常的に英語で短いメールやエッセイを作成する練習を重ねる。 |
スピーキングテストの特徴と対策方法
| 項目 | 詳細 |
| 特徴 | タブレットやマイクに向かって話す形式(英検の面接官とのやり取りではない)。 質問への回答、写真描写、意見表述など複数の形式が組み合わされます。 |
| 形式 | Basic/Advanced型: タブレット上での音声録音 CBT型: マイク付きイヤホンでの音声録音 |
| 試験時間 | Core型: 約25分 Basic型: 約25分 Advanced型: 約25分 CBT型: 約20分 |
| 対策 | 自分の意見を英語で述べる訓練を積む。 音声録音の形式に慣れることで本番の緊張を軽減する。 日頃から音声録音を再生して自分の発音を確認し、改善する習慣をつける。 |
GTECは「実生活・実践」に焦点を当てた出題が特徴です。
各技能の試験形式を理解した上で、特に「実践的な場面でのコミュニケーション能力」を意識した対策を進めることが、高得点への鍵となります。
英検とGTECの受験費用と実施スケジュール比較
大学受験対策として資格試験を選択する際は、経済的な側面と実施スケジュールの双方を考慮することが重要です。
受験料の比較と経済的負担
英検とGTECでは、以下のように検定料に違いがあります。
| 試験名 | 級・種類 | 検定料(目安) | 備考 |
| 英検 | 準2級 | 4,800円 | 級によって異なる |
| 2級 | 5,900円 | ||
| 準1級 | 7,900円 | ||
| 1級 | 8,400円 | ||
| GTEC | 全レベル | 13,000円程度 | 英検よりも高めに設定 |
経済的な考慮点
- 単価で見ると、GTECの方が英検(特に下位級)よりも高価です。
- 複数回受験を想定する場合、単価の安い英検の方が最終的な経済的負担を抑えられる可能性があります。
実施スケジュールの違い
実施回数は試験の種類や受検方法によって異なります。
大学受験のスケジュールに合わせて、スコア取得の時期を逆算して計画しましょう。
- 英検の実施回数
- 基本的に年2〜3回程度の実施です。
- GTECの実施回数
- 学校団体受検の場合:年4回程度
- 個人受検(GTEC CBT)の場合:年2回(主に7月と11月)
計画の重要性
受験料の比較から、複数回受験する場合は英検が経済的に有利になる可能性があります。
しかし、GTECは英検よりも実施回数が多い場合があり、受験計画の立て方次第で、最終的な経済負担やスコア取得時期が変わってきます。
最終的な経済負担は「単価 受験回数」で決まるため、両試験の実施頻度と目標達成までの道のりを見据えた計画的な選択が不可欠です。
大学受験における英検の主な利用方法
大学入試における英検の活用方法は、大学によって異なりますが、主に以下の3つのパターンがあります。
出願資格としての利用
特定の入試方式(特に公募推薦入試など)において、英検の合格が出願するための必須条件となるケースです。
- 例:
- 英検準2級以上の合格を出願資格としている大学が多くあります。
- ポイント
- 英検に合格していなければ、その入試方式で受験すること自体ができません。複数の受験パターンを確保するための戦略的な重要性が高い利用法です。
得点換算(みなし得点)制度による有利性
英検の級やスコアに応じて、大学入学共通テストなどの外国語科目の得点に換算する制度です。
- 例: 共通テストの外国語(100点満点)に対し、
- 英検準1級以上:100点に換算
- 英検2級:85点に換算
- 英検準2級:70点に換算
- メリット
- 換算された得点が、実際の共通テストの得点よりも高い場合に有利になります。例えば、準1級合格者が共通テストで80点だった場合、100点に換算され20点分の加点効果が得られます。
加点評価による点数上乗せ
英検の取得級に応じて、個別試験の得点や共通テストの得点に直接点数が加算される制度です。
- 例
- 準1級以上:10点を加点
- 2級:8点を加点
- 準2級:7点を加点
- 影響
- 複数の入試で加点が行われる場合、この上乗せ点が合否に大きく影響する可能性があります。
大学受験におけるGTECの利用方法
GTECは、大学入試に活用できる資格として多くの大学に認められています。
しかし、英検と比較すると認知度や採用校数に差があるため、利用を検討する際は事前の確認が非常に重要です。
活用されるGTECの種類
大学入試で主に利用可能なGTECのタイプは以下の通りです。
- GTEC CBT
- 多くの大学で採用されており、個人で受検可能な形態として広く認識されています。
- GTEC Advanced
- 主に高校生を対象としたテストで、CEFR B1~C1レベルに相当し、大学入試での活用を目的とした高度な英語力を測ります。
- GTEC Basic
- 主に中学生から高校初級者までを対象とし、CEFR A2~B1レベルに相当する、基礎的な日常生活や学校での英語能力を評価します。
- GTEC Core
- 主に中学生の基礎学習を対象としたテストで、CEFR A1~A2レベルに相当し、英語学習の初期段階における習熟度を確認するために用いられます。
スコアの換算と「みなし満点」制度
GTECも英検と同様に、スコアを利用して以下の制度を採用している大学があります。
- 得点換算制度
- GTECのスコアに基づき、大学入学共通テストなどの英語の得点を換算する制度。
- みなし満点制度
- 基準以上のスコアで、英語の得点を満点扱いとする制度。
英検との採用大学数の比較
大学入試における資格の選択肢の広さという点で、英検とGTECには大きな差があります。
| 資格 | 採用大学数 | 認知度・選択肢 |
| 英検 | 9割以上の大学で活用可能 | 極めて広範な選択肢を持つ |
| GTEC | 英検より対応校が限定的 | 未対応の大学が一定数存在する |
志望校確認の重要性
大学入試でGTECのスコアを活用するためには、志望校がGTECを正式に採用しているかを事前に確認することが最重要です。
- 対応している場合
- 高得点獲得が、得点換算などで有利に働く可能性があります。
- 対応していない場合
- どんなに高得点を獲得しても、入試に直接反映されない可能性があります。
大学の募集要項などで、利用可能な資格の種類とスコア基準を必ず確認しましょう。
英検とGTECの選択基準:受験前にチェックすべきポイント
英検とGTEC、どちらの資格試験を受験するかを決定する際には、以下の複数の要素を総合的に考慮することが重要です。
志望校の入試要項の確認(最重要)
受験する資格試験を選ぶ上での最重要ポイントは、志望校の入試要項を確認することです。
- 大学側の対応状況の確認
- 志望校が英検のみに対応している場合、GTECで高得点を得ても利用できません。
- 逆に、特定の大学がGTECのスコアを特に高く評価しているケースもあります。
- 複数校受験の場合の戦略
- 進学を志望する学校が複数ある場合は、全ての大学に対応している資格を選択することが最も有利になる可能性があります。
自分の英語力と目標レベルの設定
現在の英語力を正確に把握し、目標とする級やスコアを設定しましょう。
| 試験 | 形式 | レベル設定の特徴 |
| 英検 | 級制 | 初級から高度なレベルまで幅広い選択肢があり、現在地から段階的なステップアップが容易です。 |
| GTEC | スコア制 | 現在地から目標スコアまでの距離をより正確に測定できます。 |
学習教材の充実度と対策のしやすさ
対策のための教材の充実度は、学習の進めやすさに直結します。
- 英検
- 40年以上の歴史があり、参考書や過去問題集が極めて充実しています。大型書店では級別の教材を豊富に見つけることができ、学習環境において有利です。
- GTEC
- 比較的新しい試験であるため、現状では学習教材が英検ほど充実していません。
スピーキング能力の測定方式の違い
両試験では、スピーキング能力を測る形式が大きく異なります。
- 英検(二次試験):面接官と対面でやり取りする面接形式です。
- 重視ポイント: 直接的なコミュニケーション能力の測定。
- GTEC:タブレットやマイクに向かって話す形式です。
- 重視ポイント: テクノロジーを活用した実践的な環境での測定。
これらの要素を総合的に比較し、志望校のニーズと自分の学習スタイルに最も合った試験を選択しましょう。
英検とGTEC:受験者が陥りやすい誤解と注意点
英検やGTECを受験する際、多くの受験者の間で誤解や非効率な対策方法が見られます。
効果的な受験戦略を立てるために、これらの間違いを整理しましょう。
英検の級と大学受験対策の誤解
多くの学生は、英検3級(中学卒業程度)の取得で大学受験の英語対策が完了したと考えがちです。
しかし、3級は基礎学習の確認にしかならず、大学受験の合否判定に直結する価値はありません。
英検3級の「危険性」
- 大学受験で評価される基準
- 英検準2級以上です。
- 戦略
- 3級は基礎固めとして有効ですが、大学受験対策としては不十分であることを認識し、さらに上の級を目指す必要があります。
「合格=英語力向上」ではない
英検に合格することと、実践的な英語力を身につけることは同義ではありません。
実践力と試験対策の混同
- 陥りやすい対策
- 単語の丸暗記や文法問題の解法テクニックに依存した対策。
- 結果
- 試験には合格できても、本当の意味での英語コミュニケーション能力は育たない可能性があります。
- 重要性
- 試験合格だけでなく、その過程で実際に使える英語力を習得することが大切です。
GTECの評価に関する誤った判断
一般的にGTECは英検より認知度が低いため、「高得点を取っても意味がない」と誤解する人がいます。
認知度と利用価値は別問題
- 現実
- 大学入試においてはGTECも広く認められており、志望校が対応していれば十分な活用価値があります。
- 結論
- 認知度の低さと入試における利用価値は切り離して考えるべきです。
スコア換算制度への対応不足
大学の得点換算制度は非常に複雑で、大学によって換算方法や基準が異なります。
志望校ごとのルールの把握が必須
- リスク
- 換算ルールを正確に理解せずに戦略を立てると、本来得られるはずの利益を逃す可能性があります。
- 対策
- 自分の志望校の具体的なルールを正確に把握することが不可欠です。
資格の同時取得の非効率性
限られた時間の中で、英検とGTEC両方に本格的に取り組むのは非効率なことが多いです。
集中と選択の戦略
- 効率的なアプローチ
- どちらか片方の資格に集中して高い成果を出す方が、総合的な時間効率が良いことが多いです。
- 推奨
- 志望校の要件に沿って、戦略的に1つか2つの資格に絞るのが現実的です。
英検S-CBTの見落とし
英検には、1日で全技能を完結できるS-CBT(Single-day Computer-Based Testing)形式があることを知らない受験者が多くいます。
柔軟な受験形式の活用
- 利点
- 通常の英検より実施回数が多く、スケジュールの融通が利くため、受験計画の立て方が大きく変わります。
英検とGTECに関するよくある質問
多くの受験者が抱える疑問について、整理して解答します。
- どちらを先に受けるべきですか?
-
志望校の指定がない場合は、まず英検2級を最初の目標にすることをお勧めします。
- 推奨する理由
- 参考書や対策情報が充実している。
- 認知度が高い。
- 学習の進め方
- 英検2級に合格してから、さらに上の級を目指すか、GTECにも挑戦するかを判断する方が、学習計画として合理的です。
- 推奨する理由
- 両方に合格・高スコアの場合、大学入試で二重にメリットはありますか?
-
基本的に、二重のメリットを受けることはできません。
- 理由
- 大学の得点換算制度を利用する場合、ほとんどの大学では複数資格の成績を並列的に利用することはできません。
- 受験者に最も有利な方(例:最もスコアが高い方)が採用される仕組みになっています。
- 理由
- 英検で高い級の合格は、大学入試の成功と直結しますか?
-
高い英語力を示しますが、入試の成功とは直結しません。
- 理由
- 大学入試は英語だけで決まるわけではないため、他の科目の成績や受験形式によって左右されます。
- 英検の級が高いほど、得点換算制度でより高い点数が与えられるという仕組みになっているに過ぎません。
- 理由
- 高校1年生はどちらを優先すべきですか?
-
英検の取得を優先するのが現実的です。
- 理想的な流れ
- 時間に余裕がある高1の段階で、まずは英検準2級や2級の取得を目指す。
- その後、余力があればGTECにも挑戦する。
- 例外
- 学校でGTECを受検する場合は、その試験に合わせて対策することが現実的です。
- 理想的な流れ
- 勉強方法は大きく異なりますか?
-
基本的な英語力養成という点では共通していますが、試験形式特有の対策は異なります。
試験 有効な対策の傾向 英検 過去問を反復練習する対策が有効。 GTEC 実践的なシミュレーションを中心とした対策が有効。
まとめ

英検とGTECは、いずれも大学入試で活用可能な英語資格ですが、試験形式、難易度、実施スケジュール、採用大学数など、多くの点で異なる特徴を持っています。
大学受験を見据えた英語資格選択のポイントは以下の通りです。
- 志望校の入試要項を確認し、対応している資格を優先する
- 参考書や対策情報が充実している英検を基本に検討する
- 英検2級以上の取得を大学受験対策の目安とする
- 試験形式とスケジュールを確認し、自分の学習スタイルに合う方を選ぶ
- 複数資格の同時追求よりも、1つに集中して高い成果を目指す
- 各大学の得点換算ルールを正確に把握する
- 高度な英語力の習得と、試験合格を両立させることを目標にする
英検とGTECのどちらを選ぶにしても、試験の合格そのものが最終目標ではなく、その過程で実践的な英語コミュニケーション能力を身につけることが真の目的です。
試験対策を通じて、世界で通じる英語力を磨いていくことが、将来の可能性を大きく広げることになるでしょう。

