「run through」は英語学習者にとって重要な句動詞(phrasal verb)の一つです。日常会話やビジネスシーンでよく使われるこの表現は、いくつかの意味を持ち、使いこなせるようになると英語力が格段にアップします。
この記事では「run through」の基本的な意味から応用まで、初心者にもわかりやすく解説します。また、類似表現との違いや実践的な例文も多数紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
「run through」の基本的な意味

「run through」は「run(走る)」と「through(〜を通して)」という単語から成り立っています。文字通り「通り抜ける」という意味がベースになっていますが、実際には様々な意味や使い方があります。英語ではこのように、基本動詞に前置詞や副詞を組み合わせて新しい意味を作ることがよくあります。
「run through」の基本的な意味は、物理的に「〜を通り抜ける」「〜を貫通する」というものですが、そこから派生して「説明する」「練習する」「使い果たす」などの意味も持っています。英単語は一つでも文脈によって様々な意味を持つことがあるため、典型的な使用例を理解することが大切です。
「run through」の主な使い方
「run through」には幅広い使い方があります。ここではそれぞれの意味と使い方を詳しく見ていきましょう。
通り抜ける・貫通する(物理的な意味)
最も基本的な意味は、何かが物理的に「通り抜ける」「貫通する」という意味です。これは「run through」の文字通りの意味に最も近いものです。
例文
- The river runs through the town.(川はその町を通り抜けている。)
- The train runs through many small stations.(その電車は多くの小さな駅を通過する。)
- The wind ran through my hair.(風が私の髪を通り抜けた。)
- A small path runs through the forest.(小さな小道が森を通っている。)
この用法では、主語が「通り抜ける」対象が前置詞「through」の後に来ます。自然現象や移動を表す場合によく使われます。
素早く確認する・練習する
次によく使われる意味は「(内容や手順などを)素早く確認する」「練習する」という意味です。何かを最初から最後まで一通り行う様子を表します。
例文
- Let’s run through the plan one more time.(計画をもう一度確認しましょう。)
- The teacher ran through the math problems before the test.(先生はテスト前に数学の問題を一通り確認した。)
- We need to run through this song before the concert.(コンサート前にこの曲を練習する必要があります。)
- Can you run through these steps again?(もう一度これらの手順を説明してもらえますか?)
この用法では、「確認する」「練習する」対象が「run through」の後に来ます。リハーサルや予行演習、準備の文脈でよく使われます。
説明する・解説する
「run through」は「(情報や手順などを)説明する」「解説する」という意味でも使われます。順序立てて情報を伝える場合に適しています。
例文
- The teacher ran through the homework instructions.(先生は宿題の指示を説明した。)
- My brother ran through how to use the new smartphone.(兄は新しいスマートフォンの使い方を説明してくれた。)
- Can you run through the rules of the game?(ゲームのルールを説明してもらえますか?)
- She ran through all the important points in her speech.(彼女はスピーチで重要なポイントをすべて説明した。)
この用法は、情報や手順を簡潔に説明する場合に便利です。教える側が使うことが多いでしょう。
使い果たす・浪費する
「run through」には「(お金や資源を)使い果たす」「浪費する」という意味もあります。これは、お金や資源が「通り抜けて」なくなってしまうイメージから来ています。
例文
- He ran through his money in just one week.(彼はたった1週間でお金を使い果たした。)
- The family ran through their savings during the vacation.(その家族は休暇中に貯金を使い果たした。)
- Don’t run through all the water. We need to save some.(水を全部使わないで。少し節約する必要があります。)
- She ran through her lunch break quickly.(彼女はランチ休憩をあっという間に過ごした。)
この用法では、「使い果たす」対象が「run through」の後に来ます。多くの場合、否定的なニュアンスを含みます。
刺す・突き刺す
やや暴力的な意味として、「(鋭いもので)刺す」「突き刺す」という使い方もあります。剣や刃物などが物体を貫通するイメージです。
例文
- The knight ran through the enemy with his sword.(騎士は剣で敵を刺した。)
- The needle ran through the cloth.(針が布を貫通した。)
この用法は中学英語では頻繁に出てこないかもしれませんが、歴史物語や文学作品では見かけることがあります。
「run through」を使った例文
ここでは、実際の場面での「run through」の使い方を理解するために、様々な状況での例文を紹介します。
日常会話での例文
日常生活では「run through」は様々な場面で使われます。特に「確認する」「説明する」という意味でよく使われます。
例文
- Let’s run through our shopping list before we go to the store.(お店に行く前に買い物リストを確認しましょう。)
- Can you run through the directions to your house?(あなたの家への道順を説明してくれますか?)
- I need to run through my homework before class.(授業前に宿題を確認する必要があります。)
- Mom ran through the safety rules before we went swimming.(泳ぎに行く前に、母は安全ルールを説明してくれた。)
- The rain ran through the old roof.(雨が古い屋根を通り抜けた。)
学校生活での例文
学校の場面では、「練習する」「確認する」「説明する」という意味で使われることが多いです。
例文
- The teacher will run through the test format today.(先生は今日テスト形式について説明します。)
- We ran through our presentation three times before the class.(クラスの前に、プレゼンを3回練習した。)
- Let’s run through the English dialogue once more.(英語の対話をもう一度練習しましょう。)
- Our class ran through the evacuation drill yesterday.(私たちのクラスは昨日避難訓練を行いました。)
- The coach ran through the game plan with the team.(コーチはチームと試合の計画を確認した。)
その他の状況での例文
ビジネスやその他の状況でも「run through」はよく使われます。
例文
- The manager ran through the new policy at the meeting.(マネージャーは会議で新しい方針を説明した。)
- We need to run through the budget for next month.(来月の予算を確認する必要があります。)
- The guide ran through the museum’s history.(ガイドは博物館の歴史を説明した。)
- Don’t run through your energy too quickly.(エネルギーを早く使い果たさないでください。)
- The sun’s rays run through the window every morning.(太陽の光は毎朝窓を通して入ってくる。)
「run through」の類似表現との違い
「run through」に似た表現はいくつかありますが、それぞれ微妙に意味や使い方が異なります。ここでは主な類似表現との違いを説明します。
「go through」との違い
「go through」も「〜を通る」「〜を経験する」という意味を持ちますが、「run through」よりも慎重に、じっくりと行うニュアンスがあります。
例文
- I need to go through these documents carefully.(これらの書類を注意深く確認する必要があります。)
- She went through a difficult time after losing her job.(彼女は仕事を失った後、困難な時期を経験した。)
「run through」が素早く一通り行うイメージなのに対し、「go through」はより詳細に、時間をかけて行うイメージがあります。また、「go through」は「経験する」「体験する」という意味でも使われ、この用法は「run through」にはありません。
「run over」との違い
「run over」は主に「(車などで)ひく」「時間を超過する」「簡単に確認する」という意味で使われます。
例文
- Be careful not to run over that cat!(あの猫をひかないように気をつけて!)
- The meeting ran over by 30 minutes.(会議は30分超過した。)
- Let’s run over the main points again.(主要なポイントをもう一度確認しましょう。)
「run through」が「通り抜ける」「一通り行う」ニュアンスなのに対し、「run over」は「上を通る」「超過する」というニュアンスがあります。また、「確認する」という意味では「run through」がより包括的で詳細な確認を意味するのに対し、「run over」はより簡単な確認を意味します。
「run into」との違い
「run into」は主に「(偶然)出会う」「〜にぶつかる」「問題に遭遇する」という意味で使われます。
例文
- I ran into my old friend at the store.(店で偶然古い友達に会った。)
- The car ran into a tree.(車は木にぶつかった。)
- We ran into some problems with the project.(そのプロジェクトでいくつかの問題に遭遇した。)
「run through」が「通り抜ける」というイメージなのに対し、「run into」は「ぶつかる」「遭遇する」というイメージを持ちます。意味も使い方も大きく異なるので注意が必要です。
「run by」との違い
「run by」は主に「〜に意見を求める」「〜に確認してもらう」という意味で使われます。
例文
- Can I run this idea by you?(このアイデアについてあなたの意見を聞いてもいいですか?)
- You should run your essay by your teacher before submitting it.(提出前に先生にエッセイを確認してもらうべきです。)
「run through」が自分自身で確認するニュアンスなのに対し、「run by」は他の人に確認してもらう、意見を求めるというニュアンスがあります。
「run along」との違い
「run along」は主に「急いで行く」「立ち去る」という意味で使われ、特に子供に対して「行っていらっしゃい」と言う際に使われます。
例文
- Run along now, it’s getting late.(さあ、行きなさい。遅くなってきたよ。)
- The children ran along the beach.(子供たちは浜辺を走った。)
「run through」とは全く異なる意味と使い方をしますので、混同しないように注意しましょう。
「run through」に関するよくある質問
「run through」について、学習者からよく寄せられる質問に答えます。
- 「run through」はフォーマルな表現ですか?
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「run through」は比較的カジュアルな表現ですが、ビジネスシーンでも使われることがあります。特に「計画や手順を確認する」「説明する」という意味では、ビジネスの場面でも問題なく使えます。ただし、非常にフォーマルな文書や発表では、より正式な言い回し(例:「review」「explain」「examine」など)を使うほうが適切な場合もあります。
- カジュアル:Let’s run through the plan one more time.(計画をもう一度確認しましょう。)
- フォーマル:Let us review the plan once more.(計画をもう一度確認いたしましょう。)
- 「run through」の発音のコツは?
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「run through」の発音で注意すべき点は、「through」の発音です。「through」は「スルー」という発音に近いですが、「th」は舌を歯の間に軽く挟んで発音します。また、「run」と「through」を続けて発音するとき、「n」と「th」の音がつながるので、少し練習が必要かもしれません。
発音記号では「run through」は /rʌn θruː/ と表されます。「run」の「u」は日本語の「ア」に近い音で、「through」の「th」は有声音の「θ」、「ough」は長い「u」の音になります。
- 「run through」を使うときの注意点は?
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「run through」を使う際の主な注意点は、文脈によって意味が変わることです。例えば、「run through the money」といえば「お金を使い果たす」という意味になりますが、「run through the plan」といえば「計画を確認する」という意味になります。
また、「刺す」「突き刺す」という意味の「run through」は暴力的な内容を含むため、使用する場面に注意が必要です。学校や一般的な会話では、この意味で使うことはほとんどありません。
さらに、「run through」は他の前置詞と組み合わせることで、意味が変わることがありますので注意しましょう。例えば「run through with」とすると「〜で突き刺す」という意味になります。
まとめ

この記事では「run through」の様々な意味と使い方について解説しました。英語学習の中で、このような句動詞を理解し使いこなすことは、より自然な英語表現につながります。最後に、この記事のポイントをまとめておきます。
- 「run through」の基本的な意味は「通り抜ける」「貫通する」です。
- 主な使い方には以下のものがあります
- 通り抜ける・貫通する(物理的な意味)
- 素早く確認する・練習する
- 説明する・解説する
- 使い果たす・浪費する
- 刺す・突き刺す
- 類似表現との違いを理解することが重要です
- 「go through」:より詳細に、時間をかけて行う
- 「run over」:上を通る、超過する、簡単に確認する
- 「run into」:出会う、ぶつかる、問題に遭遇する
- 「run by」:他の人に確認してもらう、意見を求める
- 「run along」:急いで行く、立ち去る
- 「run through」はやや非公式な表現ですが、ビジネスシーンでも使われます。
- 発音する際は、特に「through」の「th」の音に注意しましょう。
- 文脈によって意味が変わるので、使用する際は注意が必要です。
「run through」は日常会話でよく使われる表現なので、ぜひ積極的に使ってみてください。英語の表現力が格段にアップするでしょう。文脈によって意味が変わることがありますが、基本的には「通り抜ける」というイメージを持っていると理解しやすいでしょう。例文をよく読んで、実際の使い方を身につけてください。
英語の句動詞は最初は難しく感じるかもしれませんが、少しずつ学んでいくことで必ず使いこなせるようになります。この記事が皆さんの英語学習の助けになれば幸いです。