英語で「話す」や「言う」を表す単語には「speak」「talk」「say」「tell」の4つがあります。初めて英語を学ぶ方にとって、これらの違いはとても混乱しやすいポイントです。
この記事では、これら4つの単語の意味の違いや使い分け方を初心者にもわかりやすく解説します。例文も多く紹介するので、実際の使い方もしっかり身につけましょう。
「speak」「talk」「say」「tell」の基本的な意味

これら4つの単語はすべて「話す」という意味を持ちますが、それぞれ微妙なニュアンスや使い方が異なります。まずはそれぞれの基本的な意味を見ていきましょう。
speakの基本的な意味
「speak」は「声を発する」というのが基本的な意味です。必ずしも相手とのやり取りを必要としません。公式な場での発言や、一方的に話すようなケースでよく使われます。また、「〇〇語を話す」という場合にも使います。
例文
- I speak Japanese.(私は日本語を話します。)
- He spoke at the school meeting.(彼は学校の会議で話をしました。)
- Can you speak more slowly?(もう少しゆっくり話せますか?)
talkの基本的な意味
「talk」は「お互いに話し合う」というニュアンスがあります。双方向のコミュニケーションを前提としており、会話や対話を意味します。カジュアルな雰囲気で使われることが多いです。
例文
- We talked about our summer vacation.(私たちは夏休みについて話しました。)
- I want to talk with my friend.(友達と話したいです。)
- They are talking in the classroom.(彼らは教室で話しています。)
sayの基本的な意味
「say」は「〜と言う」という、言った内容そのものに焦点が当たります。何かを発言したことを表します。直接話法でよく使われます。
例文
- He said “Good morning” to me.(彼は私に「おはよう」と言いました。)
- What did you say?(何と言いましたか?)
- She says she likes dogs.(彼女は犬が好きだと言っています。)
tellの基本的な意味
「tell」は「人に何かを伝える」という意味があり、情報を伝達するニュアンスが強いです。常に「誰かに」伝えるという要素があり、聞き手が必要です。
例文
- Please tell me your name.(あなたの名前を教えてください。)
- She told us about her trip.(彼女は私たちに旅行について話しました。)
- I told him the truth.(私は彼に真実を伝えました。)
「話す行為」と「話した内容」による分類
この4つの単語は「話す行為」と「話した内容」のどちらに焦点があるかによって分類できます。これを理解すると使い分けが簡単になります。
「話す行為」を表す:speak と talk
「speak」と「talk」は「話す行為」そのものに焦点があります。つまり、「話す」という動作を重視しています。
「speak」は一方的に話す行為を表し、「talk」は双方向のコミュニケーションを表します。
例文
- I need to speak to you.(あなたに話す必要があります。)[一方通行の会話]
- I need to talk to you.(あなたと話し合う必要があります。)[双方向の会話]
「話した内容」を表す:say と tell
「say」と「tell」は「話した内容」に焦点があります。何を言ったか、何を伝えたかが重要です。
「say」は言った内容をそのまま表現し、「tell」は整理されたメッセージとして伝えるイメージです。
例文
- He said he was tired.(彼は疲れていると言いました。)
- He told me he was tired.(彼は私に疲れていると伝えました。)
「speak」「talk」「say」「tell」の文法的な違い:他動詞・自動詞から見る違い
これらの単語の使い分けを文法的に理解するには、他動詞(目的語を取る動詞)と自動詞(目的語を取らない動詞)の観点から見るとわかりやすいです。
sayの文法的な特徴
「say」は基本的に他動詞で、言った内容が目的語になります。人に言う場合は「say to 人」の形になります。
例文
- She said something important.(彼女は重要なことを言いました。)
- He said to me that he would come.(彼は私に来ると言いました。)
tellの文法的な特徴
「tell」は他動詞で、人が目的語になります。「tell 人 内容」という形になります。
例文
- I told my mother the news.(私は母にそのニュースを伝えました。)
- She told me to clean my room.(彼女は私に部屋を掃除するように言いました。)
speakの文法的な特徴
「speak」は基本的に自動詞ですが、言語を目的語にとることができます。人に話す場合は「speak to/with 人」となります。
例文
- I can speak English a little.(私は少し英語を話せます。)
- The teacher spoke to us about history.(先生は歴史について私たちに話しました。)
talkの文法的な特徴
「talk」も基本的に自動詞で、目的語を取りません。「talk about 内容」や「talk to/with 人」の形で使います。
例文
- Let’s talk about music.(音楽について話しましょう。)
- I talked with my friend for an hour.(私は友達と1時間話しました。)
「speak」「talk」「say」「tell」それぞれの単語の詳しい用法
ここからは、それぞれの単語の用法をさらに詳しく見ていきましょう。
speakの詳しい用法
「speak」はフォーマルな場面や公式な会話でよく使われます。また、言語能力を表す場合にも使われます。
「〇〇語を話す」と言う場合
- She speaks three languages.(彼女は3つの言語を話します。)
- Do you speak French?(フランス語を話せますか?)
公式な場での発言
- The principal will speak at the ceremony.(校長先生が式典で話をします。)
- He spoke clearly and loudly.(彼ははっきりと大きな声で話しました。)
電話での会話
- May I speak to Mr. Tanaka?(田中さんとお話しできますか?)
- Who am I speaking to?(どちら様でしょうか?)
talkの詳しい用法
「talk」はカジュアルな場面での会話や対話に使われます。
日常会話について
- We talked about many things yesterday.(昨日は色々なことについて話しました。)
- She likes to talk on the phone.(彼女は電話で話すのが好きです。)
議論や相談の場面
- Let’s talk about our plans for the weekend.(週末の計画について話し合いましょう。)
- I need to talk to you about something important.(重要なことについてあなたと話す必要があります。)
sayの詳しい用法
「say」は発言内容そのものを伝える場合に使われます。
直接話法での使用
- He said, “I am happy to meet you.”(彼は「お会いできて嬉しいです」と言いました。)
- “I’m tired,” she said.(「疲れた」と彼女は言いました。)
間接話法での使用
- She said that she would help me.(彼女は私を手伝うと言いました。)
- He said he was sorry.(彼は申し訳ないと言いました。)
tellの詳しい用法
「tell」は情報を伝える、教える、命令するなどの場面で使われます。
情報を伝える場合
- Please tell me about your family.(あなたの家族について教えてください。)
- She told us the good news.(彼女は私たちによい知らせを伝えました。)
命令や指示の場合
- My mother told me to clean my room.(母は私に部屋を掃除するように言いました。)
- The teacher told us not to talk in class.(先生は授業中に話さないように言いました。)
物語を語る場合
- My grandfather often tells me interesting stories.(祖父はよく私に面白い話をしてくれます。)
- Can you tell me a story before bed?(寝る前にお話をしてくれますか?)
「speak」「talk」「say」「tell」の混同しやすい使い方の違い
特に混同しやすいポイントについて確認しましょう。
「speak to」と「talk to」の違い
「speak to」は少し距離感があり、フォーマルな印象を与えます。上司から部下への発言や重要な話に使われることが多いです。
「talk to」はより親しみやすく、友達や家族など近い関係での会話に使われます。
例文
- I need to speak to you about your work.(あなたの仕事について話す必要があります。)[フォーマル]
- I want to talk to you about our plans.(私たちの計画について話したいです。)[カジュアル]
「say to」と「tell」の違い
「say to」と「tell」はどちらも「人に〜と言う」という意味ですが、構文が異なります。
例文
- He said to me that he was busy.(彼は私に忙しいと言いました。)
- He told me that he was busy.(彼は私に忙しいと伝えました。)
「tell」の方が情報を伝達するニュアンスが強く、「say to」は単に言ったことを示します。
「speak」「talk」「say」「tell」の例文集
ここでは各単語の使い方がよくわかる例文をさらに紹介します。中学英語レベルの簡単な文を中心にしています。
speakの例文
例文
- My father speaks English and Japanese.(父は英語と日本語を話します。)
- Please speak more slowly.(もう少しゆっくり話してください。)
- She didn’t speak to me yesterday.(彼女は昨日私に話しかけませんでした。)
- The teacher spoke about Japanese history.(先生は日本の歴史について話しました。)
- I want to speak to the manager.(マネージャーと話したいです。)
talkの例文
例文
- I talked with my friend after school.(放課後、友達と話しました。)
- Let’s talk about our homework.(宿題について話し合いましょう。)
- They are talking in the garden.(彼らは庭で話しています。)
- My mother and I talked for a long time.(母と私は長い間話しました。)
- Don’t talk during the movie.(映画の間に話さないでください。)
sayの例文
例文
- She said “Thank you” to me.(彼女は私に「ありがとう」と言いました。)
- What did you say? I couldn’t hear you.(何と言いましたか?聞こえませんでした。)
- He says he likes baseball.(彼は野球が好きだと言っています。)
- My mother always says “Study hard.”(母はいつも「一生懸命勉強しなさい」と言います。)
- I said goodbye to my friends.(私は友達にさようならを言いました。)
tellの例文
例文
- Please tell me your address.(あなたの住所を教えてください。)
- She told us a funny story.(彼女は私たちに面白い話をしました。)
- My teacher told me to do my homework.(先生は私に宿題をするように言いました。)
- Can you tell me the way to the station?(駅への道を教えていただけますか?)
- He told the truth to his parents.(彼は両親に真実を話しました。)
「speak」「talk」「say」「tell」の使い分け練習問題
ここでは4つの単語の使い分けを練習する問題を20問用意しました。それぞれの空欄に最も適切な単語(speak, talk, say, tell)を入れてください。
- Can you _____ English?
- She _____ to her friend on the phone.
- The teacher _____ us to be quiet.
- He _____ “Hello” when he saw me.
- Let’s _____ about our plans for tomorrow.
- Please _____ me your name.
- My father _____ at the school meeting yesterday.
- She _____ that she likes summer.
- I want to _____ to the manager.
- Could you _____ me how to get to the library?
- We _____ about many things yesterday.
- “I am tired,” he _____.
- The doctor _____ me to take medicine three times a day.
- Can I _____ to Mr. Smith, please?
- She _____ a story to the children every night.
- He didn’t _____ anything during the meeting.
- We _____ to each other for hours.
- My grandmother often _____ interesting stories.
- He _____ that he will come tomorrow.
- Don’t _____ during class.
「speak」「talk」「say」「tell」に関するよくある質問
ここでは、よくある質問とその回答をまとめました。
- 「speak」と「talk」はいつも置き換え可能ですか?
-
いいえ、常に置き換えられるわけではありません。「speak」はより公式な場面や一方的な発言、「talk」はより親しみやすい双方向の会話に適しています。例えば、「speak English」は「talk English」とは言いません。
- 「say」と「tell」の最大の違いは何ですか?
-
最大の違いは構文です。「tell」は必ず人を目的語にとり(tell someone)、「say」は内容を目的語にします(say something)。人に何かを言う場合、「say」は「say to someone」となります。
- 電話で「〜さんはいらっしゃいますか?」と聞く場合はどの単語を使いますか?
-
「May I speak to 〜?」または「Can I speak to 〜?」が一般的です。電話での会話の初期段階は一方的なコミュニケーションなので「speak」が適しています。
- 「tell a story」と「say a story」はどう違いますか?
-
「tell a story」が正しい表現です。「story」は整理された内容を伝えるものなので「tell」を使います。「say a story」とは言いません。
- 「I want to talk/speak with you」のニュアンスの違いは?
-
「I want to talk with you」はカジュアルで、友達や家族との会話で使われます。「I want to speak with you」はより公式で、上司や目上の人との会話、または重要な話がある場合に使われます。
まとめ

「speak」「talk」「say」「tell」の違いと使い分けについて解説しました。主なポイントをまとめます。
- 「speak」と「talk」は「話す行為」に焦点があり、「say」と「tell」は「話した内容」に焦点がある。
- 「speak」は一方的に話す行為で、フォーマルな場面や言語能力を表す場合に使う。
- 「talk」は双方向のコミュニケーションで、親しみやすい会話に使われる。
- 「say」は言った内容そのものを表し、直接話法でよく使われる。
- 「tell」は情報を伝える、教える意味合いが強く、必ず人を目的語にとる。
- 文法的には「say」と「tell」は他動詞、「speak」と「talk」は基本的に自動詞として使われる。
- 「speak」はフォーマルな場面で、「talk」はカジュアルな場面で使うことが多い。
- 電話での会話や公式な場での発言には「speak」がよく使われる。
- 日常会話や議論には「talk」がよく使われる。
- 「tell」は人に情報を伝えるだけでなく、命令や指示、物語を語る場合にも使われる。
これらの違いを意識して使い分けることで、より自然な英語表現ができるようになります。まずは基本的な使い方をしっかり覚えて、実際の会話の中で少しずつ使い分けられるようになりましょう。