「still」は英語で副詞と形容詞として使われる単語です。副詞としては「まだ」「依然として」という意味があり、形容詞としては「静かな」「動かない」という意味で使われます。日本語を話す英語学習者にとって、特に副詞の「still」と「yet」の使い分けが難しいポイントになります。
この記事では、初心者にも分かりやすく「still」の多様な使い方を例文と共に詳しく解説していきます。
stillとは?〜変わらない状態を表す便利な表現〜

「still」は英語の中でも非常に頻繁に使われる単語で、その基本的な意味は「動かない」「変化がない」ということです。このコアイメージから、「まだ同じ状態が続いている」という副詞的な使い方と、「静止している」「動きがない」という形容詞的な使い方が生まれました。
「still」を理解するためのキーワードは「動かない」です。何かが変化せず同じ状態を保っているとき、その状態を表現するのに「still」が使われます。たとえば、「まだ雨が降っている」「まだ勉強している」というように、ある状態が変わらず続いていることを示します。
例えば、次のような文で使われます。
例文
- I still love chocolate. (私はまだチョコレートが好きです。)
- The lake is still. (湖は静かです。)
「still」は中学英語でも頻出の単語であり、基本的な使い方を覚えておくことで表現の幅が広がります。これから「still」のさまざまな使い方を詳しく見ていきましょう。
stillの品詞別の意味と使い方
「still」は主に副詞と形容詞として使われます。それぞれの品詞での意味と使い方について、具体的な例文と共に詳しく解説します。
副詞としてのstill
副詞としての「still」は、主に「まだ」「依然として」という意味で使われます。何かが過去から現在まで変わらず続いていることを表現するときに使います。
副詞としての「still」は、通常、文の中で動詞の前に置かれます。be動詞がある場合は、be動詞の後に来るという特徴があります。
例文
- She is still sleeping. (彼女はまだ寝ています。)
- It is still raining. (まだ雨が降っています。)
- I still remember my first day at school. (私は最初の登校日をまだ覚えています。)
- My brother still plays baseball. (弟はまだ野球をしています。)
- We still live in Tokyo. (私たちはまだ東京に住んでいます。)
これらの例文では、すべて「ある状態や行動が過去から変わらず現在も続いている」ことを表しています。
形容詞としてのstill
形容詞としての「still」は、「静かな」「動かない」「静止した」という意味で使われます。何も動いていない状態を表現するときに使います。
形容詞としての「still」は、名詞を修飾したり、be動詞の後に来たりします。
例文
- The water was still. (水は静かでした。)
- Please keep still while I take your photo. (写真を撮るので、じっとしていてください。)
- The night was dark and still. (夜は暗く、静かでした。)
- He stood still and watched the sunset. (彼は動かずに立って、夕日を見ていました。)
- In the still of the night, I could hear every sound. (夜の静けさの中で、あらゆる音が聞こえました。)
これらの例文では、「still」が「動きがない」「静かな」状態を表しています。
stillの「まだ」という意味と使い方
「still」が「まだ」という意味で使われる場合、それは「ある状態や行動が過去から現在まで続いている」ことを表します。日本語の「まだ」と同じように、何かが変わらずに続いていることを強調します。
例文
- I am still studying. (私はまだ勉強しています。)
- He is still at work. (彼はまだ仕事中です。)
- They are still waiting for the bus. (彼らはまだバスを待っています。)
- My mother is still cooking dinner. (母はまだ夕食を作っています。)
- The children are still playing in the park. (子どもたちはまだ公園で遊んでいます。)
これらの例では、「勉強している」「仕事中である」「バスを待っている」などの状態が過去から現在まで続いていることを表しています。
「still」は否定文でも使うことができます。この場合、「まだ〜していない」という意味になります。
例文
- I still haven’t finished my homework. (私はまだ宿題を終えていません。)
- She still doesn’t understand the problem. (彼女はまだ問題を理解していません。)
- We still can’t find our keys. (私たちはまだ鍵を見つけられません。)
- He still hasn’t called me back. (彼はまだ私に電話をかけ直していません。)
- My sister still hasn’t arrived. (妹はまだ到着していません。)
これらの例では、「宿題を終えていない」「問題を理解していない」などの状態が継続していることを表しています。
stillとyetの違い
英語の学習者がよく混同するのが「still」と「yet」です。どちらも日本語では「まだ」と訳されることがありますが、使い方には明確な違いがあります。
「still」は「ある状態が継続している」ことを表すのに対し、「yet」は「ある行動や状態がまだ始まっていない、または終わっていない」ことを表します。
「still」は主に肯定文で使われますが、否定文でも使うことができます。一方、「yet」は主に否定文や疑問文で使われるという特徴があります。
また、「still」は「ずっと続いている状態」を表すのに対し、「yet」は「まだ始まってもいない状態」を表すという違いがあります。
「still」を使った例
- I am still working. (私はまだ働いています。) – 働いている状態が続いている
- I still haven’t called her. (私はまだ彼女に電話していません。) – 電話していない状態が続いている
「yet」を使った例
- I haven’t finished my work yet. (私はまだ仕事を終えていません。) – 仕事をまだ終えていない
- Have you eaten dinner yet? (もう夕食を食べましたか?) – まだ食べていないかどうかを尋ねる
また、語順にも違いがあります。「still」は通常、文の中で動詞の前に置かれますが、「yet」は文末に置かれることが多いです。
例文
- She is still working on her project. (彼女はまだプロジェクトに取り組んでいます。)
- She hasn’t finished her project yet. (彼女はまだプロジェクトを終えていません。)
「yet」と「still」の違いを理解することで、より自然な英語表現ができるようになります。
stillの「それにもかかわらず」という意味と使い方
「still」には「まだ」以外にも、「それにもかかわらず」という意味があります。この用法は、予想や期待に反して何かが起こるという場合に使われます。
例文
- It was raining, but we still went to the park. (雨が降っていましたが、それにもかかわらず私たちは公園に行きました。)
- He was tired, but he still finished his homework. (彼は疲れていましたが、それにもかかわらず宿題を終えました。)
- Even though she was sick, she still came to school. (病気だったにもかかわらず、彼女はそれでも学校に来ました。)
- I studied hard, but I still failed the test. (一生懸命勉強しましたが、それにもかかわらず試験に失敗しました。)
- Although it was expensive, I still bought it. (高かったけれど、それにもかかわらず買いました。)
この用法では、「still」は「期待や予想に反して」という意味合いを持ち、逆接の接続詞(but, although, even thoughなど)と一緒に使われることが多いです。
stillを使った表現と慣用句
「still」は様々な表現や慣用句で使われています。ここでは、よく使われるものをいくつか紹介します。
still water runs deep(静かな水は深い)
この慣用句は、「静かな人ほど深い考えを持っている」という意味を表します。表面上は静かで目立たない人でも、内面は豊かで深い思考を持っていることを意味します。
例文
- Don’t underestimate him just because he is quiet. Still water runs deep. (彼が静かだからといって侮らないで。静かな水は深いのです。)
still life(静物画)
美術の用語で、動かない物体(花、果物、食器など)を描いた絵を「静物画(still life)」と言います。「静かな命」という直訳から、動かない物を描いた絵という意味になりました。
例文
- She painted a beautiful still life of flowers and fruits. (彼女は花と果物の美しい静物画を描きました。)
still and all(それでもなお)
「それにもかかわらず」「それでもなお」という意味の表現です。何か予想外のことや逆境があっても、なお何かが続くという意味を表します。
例文
- The weather was terrible, but still and all, we enjoyed our trip. (天気は最悪でしたが、それでもなお、私たちは旅行を楽しみました。)
sit still(じっと座る)
動かずに座っているという意味の表現です。特に子供に対して「おとなしく座っていなさい」という指示によく使われます。
例文
- The teacher told the children to sit still during the assembly. (先生は集会の間、子供たちにじっと座っているように言いました。)
stand still(立ち止まる)
動かずに立っているという意味の表現です。
例文
- The deer stood still when it saw us. (鹿は私たちを見ると立ち止まりました。
be still(静かにする)
静かにする、黙るという意味の表現です。騒がしい状況で誰かに静かにするよう求める際に使われます。
例文
- Be still! I can’t hear what she’s saying. (静かに!彼女が何を言っているのか聞こえません。)
stillのよくある間違いと注意点
英語学習者が「still」を使う際によくある間違いや注意点をいくつか見ていきましょう。
時間や年齢に関する「まだ」にstillを使う
日本語では「まだ4時です」「彼はまだ14歳です」と言いますが、これを直訳して「still」を使うと誤りになります。
誤:It is still 4 o’clock. (まだ4時です。)
正:It is only 4 o’clock. (まだほんの4時にすぎません。)
誤:He is still 14 years old. (彼はまだ14歳です。)
正:He is only 14 years old. (彼はまだほんの14歳です。)
「still」は「動かない」「変化がない」というコアの意味を持ちますが、時間や年齢は常に変化するもので止まることがないため、「still」とは相性が悪いのです。
この場合は、「ほんの〜にすぎない」という意味を持つ「only」を使うのが適切です。
stillとyetを混同する
前述したように、「still」と「yet」はどちらも「まだ」と訳されることがありますが、使い方が異なります。
誤:I still haven’t received your email yet. (重複)
正:I still haven’t received your email. または I haven’t received your email yet.
このように、「still」と「yet」を同じ文で重複して使うのは避けましょう。どちらか一方を選んで使うのが正しい英語表現です。
stillの位置が不適切
「still」は通常、助動詞の後、一般動詞の前に置かれます。be動詞がある場合は、be動詞の後に置かれます。
誤:I still am working.
正:I am still working.
誤:He still can swim.
正:He can still swim.
位置を間違えると不自然な英語になるので、正しい語順を覚えておきましょう。
文意に合わないstillの使用
「still」は継続的な状態を表現するので、一時的なイベントや単発の行為には適さないことがあります。
誤:I still went to the store yesterday. (昨日、まだ店に行きました。)
正:I went to the store again yesterday. (昨日、また店に行きました。)
「昨日、店に行った」という単発の行為に対して「still」は適切ではありません。繰り返しの行為を表現するには、「again」のような他の副詞を使うべきです。
否定のstillの位置
否定文で「still」を使う場合、「still」は否定語(not, don’tなど)の前に置くのが一般的です。
誤:I don’t still understand.
正:I still don’t understand.
誤:She has not still arrived.
正:She still has not arrived. または She hasn’t arrived yet.
否定文での「still」の正しい位置を覚えておくことで、より自然な英語表現ができるようになります。
stillに関する問題
この見出しでは、英単語「still」に関連する問題を作成します。「still」は「まだ」「それでも」「静止している」など、さまざまな意味や使い方を持つ単語です。
以下の問題では、「still」に関する理解を深めるために、文法や語彙の観点からクイズ形式で学べる内容を用意しました。ただし、すべての回答が「still」になるわけではありません。
- 次の文を完成させてください
“She is ___ waiting for your reply.” - 空欄に適切な語を入れてください
“The water in the lake was completely ___. There wasn’t a single ripple.” - 次の文の意味に合う単語を選んでください
“He was tired, but he ___ managed to finish the project on time.”
a) because
b) still
c) although - 次の文の空欄に適切な語を入れてください
“I haven’t finished my homework ___. I’ll do it after dinner.” - 次の文を完成させてください
“Even though it was raining, they ___ decided to go hiking.” - 次の文の意味に最も近いものを選んでください
“The room was so quiet and ___ that I could hear my own heartbeat.”
a) noisy
b) still
c) bright - 文法的に正しい選択肢を選んでください
“Are you ___ working on that project?”
a) yet
b) still
c) already - 次の空欄に入る適切な単語を選んでください
“I was late for the meeting, but they were ___ discussing the first topic when I arrived.” - 次の文を完成させてください
“He hasn’t called me back ___. I’m starting to get worried.” - 次の文の意味に最も合うものを選んでください
“The air in the countryside is fresh and ___. It’s very calming.”
a) polluted
b) still
c) windy
この問題セットでは、「still」の多様な使い方だけでなく、「yet」や他の関連する単語との違いについても学ぶことができます。
「still」に関するよくある質問
ここでは、「still」に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
- stillとyetの違いは何ですか?
-
「still」は「ある状態が継続している」ことを表し、主に肯定文で使われますが、否定文でも使えます。一方、「yet」は「ある行動や状態がまだ始まっていない、または終わっていない」ことを表し、主に否定文や疑問文で使われます。また、「still」は通常文中に置かれますが、「yet」は文末に置かれることが多いです。
- stillとalreadyを一緒に使うことはできますか?
-
「still」と「already」は異なる時間の概念を表すため、通常は同じ文で一緒に使うことはありません。「still」は「まだ続いている」ことを表し、「already」は「すでに完了した」ことを表します。ただし、「それにもかかわらず」という意味の「still」と組み合わせて、「すでに〜したが、それにもかかわらず〜」という意味で使うことはできます。
例:I have already eaten, but I am still hungry. (私はすでに食べましたが、それでもまだお腹が空いています。)
- stillを文のどこに置けばいいですか?
-
「still」は通常、助動詞の後、一般動詞の前に置かれます。be動詞がある場合は、be動詞の後に置かれます。否定文の場合は、否定語(not, don’tなど)の前に置かれることが多いです。
- She is still working. (彼女はまだ働いています。)
- I still don’t understand. (私はまだ理解していません。)
- They can still hear the music. (彼らはまだ音楽を聞くことができます。)
- 「まだ〜していない」はstillとyetのどちらを使えばいいですか?
-
「まだ〜していない」と言いたい場合、「still」も「yet」も使えますが、ニュアンスが異なります。
「still」を使うと、「依然として〜していない」というニュアンスになり、状態の継続を強調します。
例:I still haven’t finished my homework. (私はまだ宿題を終えていません。)「yet」を使うと、「まだ〜していないが、将来的には〜する予定」というニュアンスになります。
例:I haven’t finished my homework yet. (私はまだ宿題を終えていません。) - 「静物画」は英語で何と言いますか?
-
「静物画」は英語で「still life」と言います。これは「静かな命」という直訳から来ており、動かない物(花、果物、食器など)を描いた絵のことを指します。
例:She is famous for her still life paintings. (彼女は静物画で有名です。)
- stillは否定文でも使えますか?
-
はい、「still」は否定文でも使えます。「まだ〜していない」という意味で使われます。この場合、「still」は否定語(not, don’tなど)の前に置かれます。
例:I still don’t understand the question. (私はまだ質問を理解していません。)
- stillを比較級と一緒に使うとどうなりますか?
-
「still」を比較級と一緒に使うと、「さらに〜」「一層〜」という意味になります。比較級をさらに強調する効果があります。
例:The next day was still warmer. (次の日はさらに暖かかった。)
まとめ

この記事では、英語の「still」の意味と使い方について詳しく解説しました。「still」は多義語で、副詞としては「まだ」「依然として」「それにもかかわらず」という意味、形容詞としては「静かな」「動かない」という意味を持っています。
コアの意味は「動かない」「変化がない」であり、これがさまざまな用法の基礎となっています。以下に、この記事のポイントをまとめます。
- 「still」は副詞と形容詞として使われる
- 副詞の場合は「まだ」「依然として」「それにもかかわらず」という意味
- 形容詞の場合は「静かな」「動かない」という意味
- 「still」のコアの意味は「動かない」「変化がない」
- 「still」は通常、動詞の前または助動詞の後、be動詞の後に置かれる
- 「still」と「yet」は似ているが、使い方とニュアンスが異なる
- 時間や年齢に関する「まだ」には、「still」ではなく「only」を使う
- 「still」は様々な表現や慣用句で使われる(still water runs deep, still life など)
- 否定文では「still」は否定語の前に置く
英語学習において、「still」の正しい使い方を理解することは重要です。この記事で紹介した例文や注意点を参考にして、実際の会話や文章で積極的に使ってみてください。
「still」を正しく使えるようになれば、より自然で豊かな英語表現ができるようになるでしょう。