「Take with a grain of salt」は英語のイディオムで、「疑いの目を持って受け止める」「全面的に信じない」という意味を持ちます。情報や話を聞いたとき、それを100%信じるのではなく、少し懐疑的な態度で捉えるという考え方を表現しています。このフレーズは日常会話やビジネスシーンでよく使われ、英語学習者にとって理解しておくと便利な表現です。
本記事では、この表現の意味や歴史、実際の使い方について、分かりやすい例文と共に詳しく解説していきます。
「Take with a grain of salt」の基本的な意味

「Take with a grain of salt」というイディオムは、「ある情報や意見を完全に真実として受け取るのではなく、少し疑いを持って考える」という意味があります。日本語では「割り引いて考える」「鵜呑みにしない」という表現に近いでしょう。
例えば、噂話を聞いたとき、それをそのまま信じるのではなく、「この話は本当かどうか分からないから、少し疑いながら聞いておこう」という態度を表します。特に確かな根拠がない情報や、信頼性に欠ける人からの話を聞いたときに使われることが多いです。
現代社会では、インターネットやSNSで様々な情報が飛び交う中、全ての情報を「grain of salt(塩ひとつまみ)」を添えて受け取ることの重要性が高まっています。情報を批判的に考察する姿勢を表すこのイディオムは、日常英会話でもよく使われます。
「Take with a grain of salt」の日本語での意味
このイディオムの日本語での意味を具体的に考えると、以下のような表現に相当します。
- 「話半分に聞く」
- 「割り引いて考える」
- 「鵜呑みにしない」
- 「疑いの目を持って受け止める」
英語の「grain of salt(塩ひとつまみ)」というのは、ここでは「少しの疑い」や「批判的な見方」を意味する比喩表現として使われています。
「Take with a grain of salt」の語源と歴史
「Take with a grain of salt」というイディオムの起源は古代ローマにまで遡ります。古代ローマの博物学者プリニウスが著書の中で、毒に対する解毒剤として「塩ひとつまみ」を摂取することを推奨したという説があります。
つまり、何か有害なもの(この場合は情報や主張)を摂取する際に、その悪影響を和らげるために「塩ひとつまみ(少しの疑い)」を一緒に取り入れるという考え方になります。
このイディオムは17世紀のイギリスで一般的に使われるようになり、現代に至るまで英語圏で広く使われています。時代と共に意味は少し変化していますが、「全面的に信じない」という基本的な考え方は変わっていません。
この表現は長い歴史を持つため、英語のネイティブスピーカーにとっては非常に馴染み深いものです。文化的背景を理解しておくと、このイディオムをより深く理解できるでしょう。
類似表現との違い
「Take with a grain of salt」に似た表現として「Don’t believe everything you hear」(聞いたことを何でも信じてはいけない)や「Be skeptical」(懐疑的であれ)などがありますが、「grain of salt」を使う表現は、ほんの少しだけ疑いを持つというニュアンスを含んでいる点が特徴的です。
「Take with a grain of salt」の使い方と注意点
このイディオムを使う際の基本的な文法パターンは「take [something] with a grain of salt」です。[something]の部分には、疑いを持って受け止める「情報」や「話」などが入ります。
例えば、
例文
- Take his advice with a grain of salt.(彼のアドバイスは割り引いて考えた方がいい)
- I take everything she says with a grain of salt.(彼女の言うことは何でも少し疑って聞いている)
この表現はカジュアルな会話からフォーマルな文脈まで、幅広い場面で使用できます。ニュースを見るとき、噂話を聞くとき、誰かのアドバイスを受けるときなど、情報の信頼性について言及する際に役立ちます。
ただし、この表現を使う際は、あまりにも強い否定や不信感を表すわけではないことに注意が必要です。「完全に信じない」というよりは「慎重に考える」というニュアンスです。相手を強く批判する意図がある場合は、別の表現を選んだ方が適切かもしれません。
「Take with a grain of salt」をビジネスシーンで使う場合
ビジネスの場面でこの表現を使うこともあります。例えば、市場予測や業界の噂話、競合他社の情報などを扱う際に使われることがあります。
ただし、フォーマルな文書やプレゼンテーションでは、より直接的な表現(例:「We should be cautious about these figures」など)を使うことが多いでしょう。カジュアルな会議や同僚との会話では問題なく使えます。
「Take with a grain of salt」の例文と解説
ここでは、中学校レベルの英語を使った具体的な例文と解説を紹介します。
日常会話での例文
例文
- I heard Tom is moving to America, but take it with a grain of salt.
(トムがアメリカに引っ越すと聞いたけど、話半分に聞いておいた方がいいよ) - You should take weather forecasts with a grain of salt.
(天気予報は少し疑って受け止めた方がいいよ) - My grandfather tells many stories about his youth, but we take them with a grain of salt.
(祖父は若い頃の話をたくさんするけど、私たちはそれを少し割り引いて聞いている)
学校生活での例文
例文
- Many students say the math test will be easy, but I take that with a grain of salt.
(多くの生徒が数学のテストは簡単だと言っているけど、私はそれを少し疑っている) - The teacher said we might have a surprise quiz, but take it with a grain of salt.
(先生は抜き打ちテストがあるかもしれないと言ったけど、話半分に聞いておいた方がいい) - Jack always says he studies a lot, but I take his words with a grain of salt.
(ジャックはいつも「たくさん勉強している」と言うけど、私は彼の言葉を少し疑っている)
家族や友人との会話での例文
例文
- My sister says this movie is the best, but take her opinion with a grain of salt.
(姉はこの映画が最高だと言っているけど、彼女の意見は少し割り引いて考えた方がいい) - My friend told me about a secret path in the park, but I took it with a grain of salt.
(友達が公園の中の秘密の道について教えてくれたけど、私はそれを少し疑って聞いた) - Mom said we might go to the beach this weekend, but take it with a grain of salt.
(ママは今週末に海に行くかもしれないと言ったけど、話半分に聞いておいた方がいい)
「Take with a grain of salt」に関するよくある質問
ここでは、「Take with a grain of salt」に関してよく寄せられる質問にお答えします。
- 「Take with a grain of salt」は失礼な表現ですか?
-
基本的には失礼な表現ではありませんが、使い方によっては相手に不信感を示すことになるため、注意が必要です。例えば、目の前にいる人の発言に対して「I’ll take that with a grain of salt」と言うと、「あなたの言うことは信用できない」と言っているようなものなので、失礼に当たる場合があります。
一般的な情報や、その場にいない人の発言について話す際に使うのが安全です。また、自分自身が情報を受け取る態度として使うなら、ほとんど問題ありません。
- 「Take it with a pinch of salt」との違いは何ですか?
-
「Take it with a pinch of salt」はイギリス英語でよく使われる表現で、「Take it with a grain of salt」と全く同じ意味です。「grain(粒)」と「pinch(つまみ)」の違いだけで、どちらも「塩少々」を意味しています。アメリカでは主に「grain of salt」が使われ、イギリスでは「pinch of salt」がよく使われますが、どちらも世界中の英語圏で通じる表現です。
- 「Take with a grain of salt」は正式な文書でも使えますか?
-
この表現はややカジュアルなイディオムなので、非常にフォーマルな文書や学術論文では避けた方が無難です。ただし、新聞記事やブログ記事、ビジネスメールなど、やや堅苦しくない文書では問題なく使用できます。より公式な場面では「We should be skeptical about…」「This information should be approached with caution」などの表現を使うとよいでしょう。
まとめ

今回の記事では「Take with a grain of salt」について詳しく解説しました。ポイントをまとめると、
- 「Take with a grain of salt」は「疑いを持って受け止める」「全面的に信じない」「話半分に聞く」という意味のイディオム
- 語源は古代ローマの解毒剤としての「塩ひとつまみ」に由来している
- 基本的な文法パターンは「take [something] with a grain of salt」
- 日常会話からビジネスまで幅広い場面で使われる表現
- イギリス英語では「Take with a pinch of salt」という表現も使われる
- 目の前の相手に対して使うと失礼に当たる場合があるので注意が必要
- 正式な文書よりも、カジュアルからセミフォーマルな場面で使うのが適切
このイディオムを適切に使いこなせるようになると、英語でのコミュニケーション力がより豊かになります。特に情報があふれる現代社会では、情報に対する健全な懐疑心を表現するこのフレーズは、とても役立つでしょう。