英語で「教える」という意味を持つ動詞にはいくつかありますが、中でも「teach」「instruct」「educate」は頻繁に使われる表現です。これらの単語は基本的に「教える」という意味を共有していますが、ニュアンスや使われる状況には明確な違いがあります。
この記事では、英語初学者の方でも理解しやすいように、これら3つの動詞の違いと適切な使い分け方を詳しく解説します。豊富な例文も交えながら、実践的な使い方を身につけていきましょう。
teach・instruct・educateの基本的な違い

「teach」「instruct」「educate」はすべて「教える」という行為を表しますが、それぞれ異なる特徴を持っています。まずは基本的な違いを理解しましょう。
「teach」は最も一般的で広く使われる「教える」を意味する動詞です。具体的な知識やスキルを伝える際に使用され、学校の先生から親、友人まで、あらゆる人が「教える」主体になれます。日常会話でも頻繁に使われる表現です。
「instruct」は「teach」よりも形式的で、具体的な指示や明確な手順を教えることを意味します。特定の技術や方法について詳細に指導する場合に適しています。権威や専門知識を持つ人が使うことが多い表現です。
「educate」は単なる知識やスキルの伝達を超えて、人の知性や能力を全体的に発達させることを意味します。長期的な教育過程や、価値観の形成なども含む包括的な「教育」を表す場合に使われます。
teachの基本的な意味と使い方
「teach」は最も汎用性の高い「教える」という意味の動詞です。具体的な知識やスキルを教える場合に広く使われます。特に以下のような特徴があります。
- 学校の授業から日常的な指導まで幅広く使える
- 特定の科目や技術を教えることに焦点を当てる
- 直接的な知識伝達を表す
- 「何を」教えるかが明確な場合が多い
例文
- My brother teaches science at a junior high school.(私の兄は中学校で理科を教えています。)
- She taught me how to cook rice.(彼女は私にご飯の炊き方を教えてくれました。)
- Can you teach me how to solve this problem?(この問題の解き方を教えてもらえますか?)
- I want to teach English to children in the future.(将来、子どもたちに英語を教えたいです。)
- My grandfather taught me how to fish when I was young.(祖父は私が幼い頃に釣りの仕方を教えてくれました。)
「teach」は文法的に「teach A B(AにBを教える)」や「teach A how to do(Aに~のやり方を教える)」などの形で使われることが多いです。
instructの基本的な意味と使い方
「instruct」は形式的な指導や明確な指示を与えることを意味します。専門的な技術や正確な手順が必要な場面でよく使われます。主な特徴は以下の通りです。
- より公式・専門的な教育場面で使用される
- 具体的な指示や手順の伝達に重点を置く
- 権威や専門知識を持つ人が使うことが多い
- 「どのように」行うかの詳細を教えることが多い
例文
- The swimming coach instructed us on proper breathing techniques.(水泳コーチは適切な呼吸法について私たちに指導しました。)
- The teacher instructed the students to open their textbooks.(先生は生徒たちに教科書を開くよう指示しました。)
- She was instructed in the art of flower arrangement.(彼女は花の生け方の技術について指導を受けました。)
- The manual instructs users to turn off the device before cleaning.(マニュアルは清掃前に装置の電源を切るよう利用者に指示しています。)
- The doctor instructed me to take the medicine three times a day.(医師は薬を1日3回飲むよう私に指示しました。)
「instruct」は「instruct A in B(AにBについて指導する)」「instruct A to do(Aに~するよう指示する)」「instruct A on/about B(AにBについて指導する)」などの形でよく使われます。
educateの基本的な意味と使い方
「educate」は単なる知識やスキルの伝達を超えて、人の知性や能力を全体的に発達させることを意味します。長期的な教育プロセスや価値観の形成に焦点を当てる場合に使われます。
- 全人的な発達や成長に焦点を当てる
- 知識だけでなく、価値観や社会性の育成も含む
- 長期的・包括的な教育プロセスを表す
- 特定のスキルよりも、意識や考え方の形成に関わることが多い
例文
- Parents should educate their children about the dangers of the internet.(親は子どもたちにインターネットの危険性について教育すべきです。)
- She was educated at a private school.(彼女は私立学校で教育を受けました。)
- The program aims to educate people about healthy eating habits.(そのプログラムは健康的な食習慣について人々を啓発することを目的としています。)
- We need to educate young people about environmental issues.(若者に環境問題について教育する必要があります。)
- He was well-educated in both science and arts.(彼は科学と芸術の両方についてよく教育を受けていました。)
「educate」は「educate A about B(AにBについて教育する)」「be educated in/at(~で教育を受ける)」などの形でよく使われます。
teach・instruct・educateの具体的な場面での使い分け
「teach」「instruct」「educate」は使われる場面によって、最も適切な選択が変わります。ここでは、日常生活、学校教育、ビジネスシーンという3つの場面での使い分けを見ていきましょう。
日常生活での使い分け
日常生活では、これら3つの動詞は異なる状況で使い分けられます。
「teach」は日常的に何かを教える場面で最も自然な選択です。
例文
- My mother taught me how to make curry.(母は私にカレーの作り方を教えてくれました。)
- Can you teach me that dance move?(そのダンスの動きを教えてくれる?)
「instruct」は日常生活ではあまり使われませんが、具体的な指示を与える場面では使われることがあります。
例文
- The lifeguard instructed swimmers to stay within the safety zone.(ライフガードは泳ぐ人たちに安全ゾーン内にとどまるよう指示しました。)
- I was instructed to wait outside the office.(オフィスの外で待つよう指示されました。)
「educate」は価値観や重要な知識に関する長期的な教育を指す場合に使われます。
例文
- It’s important to educate children about the value of money.(お金の価値について子どもたちを教育することは重要です。)
- We need to educate ourselves about different cultures.(私たちは異なる文化について自分自身を教育する必要があります。)
学校教育での使い分け
学校教育の場面では、3つの単語すべてが使用されますが、文脈によって最適な選択が異なります。
「teach」は学校での日常的な教育活動に最も適しています。
例文
- Ms. Yamada teaches English at our school.(山田先生は私たちの学校で英語を教えています。)
- He taught us how to solve equations.(彼は方程式の解き方を私たちに教えました。)
「instruct」は特定の技術や手順に関する指導に適しています。
例文
- The music teacher instructed us on proper piano techniques.(音楽の先生は適切なピアノの演奏技術について私たちに指導しました。)
- Students were instructed to complete the assignment by Friday.(生徒たちは金曜日までに課題を完成させるよう指示されました。)
「educate」は教育の全体的な目的や長期的な過程を表す場合に適しています。
例文
- Schools should educate students to think critically.(学校は批判的に考えるよう生徒たちを教育すべきです。)
- She was educated in a system that emphasized creativity.(彼女は創造性を重視する教育システムで教育を受けました。)
ビジネスシーンでの使い分け
ビジネスシーンでも状況に応じてこれらの単語の使い分けが必要です。
「teach」は新しいスキルや知識を伝える場合に使われます。
例文
- The supervisor will teach you how to use the new system.(上司が新しいシステムの使い方を教えてくれます。)
- We teach all new employees about our company history.(私たちはすべての新入社員に会社の歴史について教えています。)
「instruct」は業務上の正確な指示や手順を伝える場合に適しています。
例文
- The manager instructed the team to finish the project by next week.(マネージャーはチームに来週までにプロジェクトを終えるよう指示しました。)
- I was instructed to follow the new protocol.(新しい手順に従うよう指示されました。)
「educate」は従業員や顧客の意識向上や啓発に関わる場合に使われます。
例文
- Our company educates employees about diversity and inclusion.(私たちの会社は多様性と包括性について従業員を教育しています。)
- The campaign aims to educate customers about sustainable products.(そのキャンペーンは持続可能な製品について顧客を啓発することを目的としています。)
teach・instruct・educateの類似表現との比較
「教える」という概念に関連する表現は他にもあります。ここでは、teach、instruct、educateと関連する類似表現との違いを見ていきましょう。
teachとshowの違い
「teach」と「show」はどちらも何かを他者に伝える行為を表しますが、アプローチが異なります。
「teach」は知識やスキルを体系的に教えることを意味し、理論や原理も含むことが多いです。
例文
- I will teach you how to solve these math problems.(これらの数学の問題の解き方を教えます。)
- He teaches history at my school.(彼は私の学校で歴史を教えています。)
「show」は実際に見せたり、実演したりして教えることを意味します。
例文
- Let me show you how to tie a necktie.(ネクタイの結び方を見せましょう。)
- She showed me the way to the library.(彼女は私に図書館への道を示してくれました。)
つまり、「teach」がより包括的な教育プロセスを表すのに対し、「show」は視覚的な実演や例示に焦点を当てています。
例文
- The coach taught us the rules of soccer, then showed us how to kick the ball properly.(コーチはサッカーのルールを教えてから、ボールの正しい蹴り方を見せてくれました。)
- Can you show me where the error is? I can teach you how to fix it later.(どこがエラーなのか見せてもらえますか?後で修正方法を教えます。)
instructとdirectの違い
「instruct」と「direct」はどちらも指示を与えることを意味しますが、ニュアンスが異なります。
「instruct」は教育的な目的を持って詳細な指示や指導を行うことを意味します。
例文
- The teacher instructed us on how to conduct the experiment.(先生は実験のやり方について私たちに指導しました。)
- I was instructed to complete the form carefully.(フォームを注意深く記入するよう指示されました。)
「direct」は方向性を示したり、行動を管理したりすることに焦点を当て、特に監督や管理の意味合いが強いです。
例文
- The police officer directed traffic at the busy intersection.(警察官は混雑した交差点で交通整理をしました。)
- She directed the choir during the performance.(彼女は公演中に合唱団を指揮しました。)
「instruct」が教育的なプロセスを含むのに対し、「direct」はより即時的な行動管理に関連することが多いです。
例文
- The flight attendant instructed passengers on safety procedures, then directed them to their seats.(客室乗務員は乗客に安全手順について指導し、それから彼らを席に誘導しました。)
- He was instructed in film techniques and later directed his first movie.(彼は映画技術について指導を受け、後に初めての映画を監督しました。)
educateとtrainの違い
「educate」と「train」はどちらも能力開発に関わりますが、焦点が異なります。
「educate」は知識、価値観、思考能力など、全人的な発達に焦点を当てています。
例文
- Universities educate students in various academic disciplines.(大学は様々な学問分野で学生を教育します。)
- The program aims to educate the public about health risks.(そのプログラムは健康リスクについて一般市民を啓発することを目的としています。)
「train」は特定のスキルや職業能力の開発に焦点を当て、実践的な側面が強いです。
例文
- The company trains new employees for three weeks.(会社は新入社員を3週間訓練します。)
- She was trained as a nurse.(彼女は看護師として訓練を受けました。)
「educate」がより広範な知識と人格形成に関わるのに対し、「train」は特定の技能習得に特化しています。
例文
- Schools should educate children about moral values, while also training them in practical skills.(学校は道徳的価値観について子どもたちを教育すると同時に、実用的なスキルも訓練すべきです。)
- He was educated at a top university and later trained as a pilot.(彼は一流大学で教育を受け、後にパイロットとして訓練を受けました。)
teach・instruct・educateの使い分け練習問題
以下の問題で、teach、instruct、educateの適切な使い分けを練習しましょう。空欄に最も適切な単語(teach、instruct、educate)を入れてください。
- The professor will _ us about Japanese history.
- She _ her students to arrive early for the exam.
- Parents should _ their children about the importance of honesty.
- Can you _ me how to play the guitar?
- The manual _ users on how to assemble the furniture.
- Schools should _ students to become responsible citizens.
- My father _ me how to ride a bicycle when I was six.
- The coach _ the team on new strategies before the game.
- The campaign aims to _ the public about health issues.
- The dance instructor _ us to practice every day.
- She was well _ at a famous university.
- My brother _ English at a junior high school.
- The swimming coach _ me how to breathe properly in water.
- The company _ all employees about new safety procedures.
- The chef _ his apprentice to cut the vegetables carefully.
- We must _ children about the dangers of drugs.
- Can you _ me the way to the station?
- The director _ the actors on how to perform the scene.
- The doctor _ patients about the importance of regular exercise.
- My grandmother _ me how to make traditional food.
teach・instruct・educateに関するよくある質問
- 教師と先生を英語で表現する場合、teacher、instructor、educatorの違いは何ですか?
-
これらの名詞も動詞と同様にニュアンスが異なります。Teacherは最も一般的で、特に学校で教える人を指します。Instructorは特定の技術や分野を指導する専門家を指すことが多く、スポーツインストラクターなどが例です。Educatorはより広い意味で、教育に携わる専門家全般を指し、教師だけでなく教育行政者なども含みます。
- self-taughtとself-educatedの違いは何ですか?
-
Self-taughtは特定のスキルや知識を独学で身につけたことを強調し、「彼は独学でピアノを学んだ」などと使います。一方、self-educatedはより広範な学びや教養を独自に築いたことを意味し、公式の教育を受けていなくても幅広い知識を持つ人を表すのに使われます。
- teachとlearnを混同しないためのコツはありますか?
-
Teachは「教える」側の行為で、learnは「学ぶ」側の行為です。英語の初学者が間違えやすいポイントですが、「私は英語を学んでいます」はI am learning English、「彼女は私に英語を教えています」はShe is teaching me Englishとなります。主語が行う行為に注目することで区別できます。
- educateとraiseの違いは何ですか?
-
Educateは知識や価値観などを教えることに焦点があるのに対し、raiseは子どもを育てる全般的な過程を指します。「彼らは3人の子どもを育てた」はThey raised three childrenと言いますが、「彼らは子どもたちに道徳的価値観を教えた」はThey educated their children about moral valuesとなります。
- instructとcommandの違いは何ですか?
-
Instructは教育的な目的を持って指示することを意味しますが、commandはより強い権威や力を持って命令することを意味します。Instructは通常、学びを目的とした指示に使われますが、commandは軍隊や緊急時など、即時の服従が求められる状況で使われることが多いです。
まとめ

- 「teach」は最も一般的で広く使われる「教える」を表す動詞で、知識やスキルを直接的に伝達することを意味する
- 「instruct」はより形式的で、具体的な指示や手順を与えることを意味する
- 「educate」は知識だけでなく、価値観や社会性も含めた全人的な発達に焦点を当てる
- 日常生活では「teach」が最も頻繁に使われ、「instruct」は公式な指示、「educate」は価値観の形成に関わる場面で使う
- 学校教育では、日常的な教育活動に「teach」、特定技術の指導に「instruct」、人格形成に「educate」が適している
- ビジネスシーンでは、スキル伝達に「teach」、業務指示に「instruct」、啓発活動に「educate」が適している
- 「teach」と「show」の違いは、体系的な教育か視覚的な実演かという点にある
- 「instruct」と「direct」の違いは、教育的指導か即時的な行動管理かという点にある
- 「educate」と「train」の違いは、全人的発達か特定スキルの習得かという点にある
- 英語学習者は文脈に応じた適切な使い分けを意識することで、より自然な英語表現が可能になる
英語の「教える」に関する表現は、このように微妙なニュアンスの違いがあります。状況や目的に応じて適切な単語を選ぶことで、より正確で豊かな表現ができるようになります。
この記事で紹介した基本的な違いと使い分けのポイントを参考に、日々の英語学習に役立ててください。