「That ship has sailed」は英語のイディオム(慣用句)の一つで、直訳すると「その船はもう出航してしまった」という意味ですが、実際には「もうその機会は過ぎてしまった」「その選択肢はもう存在しない」というニュアンスで使われます。
この記事では、英語初学者の方にも分かりやすく、このイディオムの意味や使い方、実際の会話での例文などを詳しく解説していきます。中学英語レベルの例文も多数紹介するので、ぜひ参考にしてください。
「That ship has sailed」の基本的な意味

「That ship has sailed」は、何かをする機会や可能性がすでに過ぎ去ってしまい、もう手遅れであることを表現するイディオムです。昔、船は特定の時間に港を出発し、一度出航してしまうと追いかけることができないという状況から生まれた表現です。現代では、様々な状況で「もうその選択肢はない」「その機会はもう逃してしまった」というときに使われます。
この表現は英語のネイティブスピーカーが日常会話でよく使うフレーズの一つで、映画やドラマ、歌詞などでも頻繁に登場します。日本語では「もう手遅れだ」「今さら遅い」「その列車はもう行ってしまった」などに相当する表現と言えるでしょう。
イディオムの由来と歴史
このイディオムは、港から出航する船を例えたものです。昔は交通手段として船が重要であり、決まった時間に出航してしまうと、次の機会を待つしかありませんでした。一度港を離れた船を追いかけることはほぼ不可能だったことから、「取り返しのつかない状況」や「過ぎ去った機会」を表す表現として定着しました。
18世紀頃から使われ始めたと言われていますが、近代においても非常に一般的な表現として定着しています。特にビジネスの場面や人間関係についての会話で使われることが多いイディオムです。
「That ship has sailed」の使い方と場面
この表現は主に過去に逃してしまった機会や、もはや実現不可能になってしまった状況について使われます。単に「手遅れ」というだけでなく、「もうその選択肢を考える意味がない」というニュアンスも含まれています。
使用される一般的な場面としては以下のようなものがあります。
- 期限が過ぎてしまったとき
- チャンスを逃してしまったとき
- 関係が修復不可能になったとき
- 状況が完全に変わってしまったとき
「That ship has sailed」は通常、会話の中で相手に何かが不可能であることを伝える際に使います。他の人の提案や希望に対して、「それはもう無理だ」と伝える場合にも適しています。
文法的な使い方
このイディオムの基本形は「That ship has sailed」ですが、状況に応じて様々なバリエーションがあります。
- The ship has sailed(その船は出航してしまった)
- This ship has sailed(この船は出航してしまった)
- That ship sailed long ago(その船はずっと前に出航してしまった)
主語や時制を変えることで、微妙にニュアンスを変えることができますが、基本的な意味は変わりません。
「That ship has sailed」を使った例文
ここでは、中学英語レベルの簡単な例文を紹介します。日常生活でよく使われる状況に焦点を当てています。
基本的な使い方の例文
例文
- I wanted to buy tickets for the concert, but that ship has sailed. They are all sold out.(コンサートのチケットを買いたかったけど、もう手遅れだ。全部売り切れてしまった。)
- She tried to apologize, but that ship has sailed. He doesn’t want to talk to her anymore.(彼女は謝ろうとしたけど、もう手遅れだ。彼はもう彼女と話したくないんだ。)
- We can’t change our vacation plans now. That ship has sailed.(今は休暇の計画を変更できない。もうその機会は過ぎてしまった。)
日常会話での例文
例文
- Tom: Can I still join the soccer team?(まだサッカーチームに入れますか?)
- Coach: I’m sorry, but that ship has sailed. We closed registration last week.(すみませんが、もう手遅れです。先週で登録を締め切りました。)
例文
- Mother: Did you do your homework?(宿題はやったの?)
- Son: No, I forgot.(いいえ、忘れていました。)
- Mother: Well, that ship has sailed. Your teacher won’t accept it now.(もう手遅れね。先生はもう受け付けてくれないわよ。)
ビジネスシーンでの例文
例文
- We could have bought those stocks when they were cheap, but that ship has sailed.(安いうちにあの株を買えたかもしれないけど、もうその機会は過ぎてしまった。)
- If you wanted to apply for the position, that ship has sailed. The deadline was yesterday.(もしその職位に応募したかったなら、もう手遅れだ。締め切りは昨日だった。)
「That ship has sailed」と似た表現
英語には「That ship has sailed」と似た意味を持つイディオムがいくつかあります。これらを知っておくと、より豊かな表現ができるようになります。
類似表現とその違い
「It’s too late」(もう遅すぎる)は最も基本的な表現で、「That ship has sailed」よりも直接的です。より柔らかい言い方が必要な場面では「That ship has sailed」の方が適していることもあります。
「You missed the boat」(ボートに乗り遅れた)も似た意味を持ちますが、こちらは「機会を逃した」というニュアンスが強く、まだ別の機会があるかもしれないという含みがあります。
「The horse has already left the barn」(馬はすでに厩舎を出てしまった)も同様の意味を持つイディオムで、特にアメリカ英語でよく使われます。
「That ship has sailed」を使うときの注意点
このイディオムを使う際には、いくつか注意点があります。相手に対して「もう手遅れだ」と伝えるため、場合によっては少し冷たい印象を与えることがあります。
状況によっては、より丁寧な言い方や、希望を残す表現を選ぶ方が良い場合もあります。例えば、ビジネスの場では「Unfortunately, we’ve already moved past that point」(残念ながら、すでにその段階は過ぎてしまいました)などの表現の方が適切かもしれません。
また、このイディオムは通常、何か残念なことや否定的な状況について使われることが多いため、明るい話題や前向きな会話の中では使わないよう注意しましょう。
間違いやすい使い方
初学者がよく間違える点として、「sail」の発音があります。「セイル」と発音し、「sell(売る)」と混同しないようにしましょう。また、「That ship has sailed away」のように余計な単語を付け加えるのも間違いです。
このイディオムは「That ship has sailed」がシンプルで正確な形です。
「That ship has sailed」に関するよくある質問
- 「That ship has sailed」は失礼な表現ですか?
-
基本的に失礼な表現ではありませんが、使い方や口調によっては冷たい印象を与えることがあります。特にビジネスや公式な場では、より丁寧な言い回しを選ぶこともあります。例えば「I’m afraid that opportunity is no longer available」(残念ながら、その機会はもうありません)などです。
- 「The ship has sailed」と「That ship has sailed」の違いは何ですか?
-
基本的な意味は同じですが、「That ship has sailed」の方がより特定の状況や機会を指しています。「The ship has sailed」は一般的な状況を指すことが多いです。どちらも日常会話では頻繁に使われ、意味の違いはほとんどありません。
- このイディオムは現在形でも使えますか?
-
このイディオムは通常、完了形(has sailed)で使われますが、「That ship sails at noon」(その船は正午に出航する)のように現在形を使うと、字義通りの意味になり、イディオムとしての「機会が過ぎた」という意味ではなくなります。イディオムとして使う場合は、完了形を使うのが一般的です。
- 日本語でのぴったりの訳し方はありますか?
-
日本語で最も近い表現は「もう手遅れだ」「今更遅い」「その列車はもう行ってしまった」などです。状況によっては「水に流した話」「覆水盆に返らず」のような表現が適切な場合もあります。
まとめ

「That ship has sailed」について学んだポイントをまとめます。
- 「That ship has sailed」は「もうその機会は過ぎてしまった」「その選択肢はもうない」という意味のイディオム。
- 港から出航してしまった船を追いかけられないという状況から生まれた表現。
- 主に手遅れになった状況や、取り返しのつかない機会について使われる。
- 基本形は「That ship has sailed」だが、「The ship has sailed」や「That ship sailed long ago」などのバリエーションもある。
- 使い方によっては冷たい印象を与えることがあるため、状況に応じた表現を選ぶことが大切。
- 類似表現として「It’s too late」「You missed the boat」などがある。
- 日本語では「もう手遅れだ」「今更遅い」などに相当する。
このイディオムを使いこなせるようになれば、英語での表現の幅が広がります。実際の会話の中で使ってみて、ネイティブらしい表現力を身につけましょう。