「though」は英語において接続詞と副詞の二つの品詞を持つ多機能な単語です。主に「〜だけれども」「〜にもかかわらず」という逆接の意味を表し、文章の流れに異なる情報や予想外の展開を導入するときに使われます。
日常会話でも書き言葉でもよく使用される表現なので、英語学習者にとって理解しておくべき重要な単語の一つです。
本記事では「though」の使い方や様々な表現方法を、わかりやすい例文とともに解説していきます。
thoughとは?逆接を表す多用途な英単語

thoughは英語の中でも使用頻度の高い単語の一つで、主に逆接の関係を表現するために使われます。「〜だけれども」「〜にもかかわらず」というニュアンスを持ち、文の前半で述べた内容とは反対または予想外の内容を後半に導入するときに用いられます。
日本語では「しかし」「けれども」「それでも」などに相当し、文章の流れに対する例外や対比を示す役割を果たします。thoughは文頭・文中・文末のいずれの位置でも使うことができ、位置によって微妙にニュアンスが変わってくるという特徴があります。また、even thoughやas thoughなどの形で他の単語と組み合わせることで、様々な表現が可能になる便利な単語です。
初心者にとっては使い方が複雑に感じるかもしれませんが、基本的な用法を理解すれば、英語表現の幅が広がる重要な表現といえるでしょう。
thoughの基本的な意味と使い方
thoughの基本的な使い方は品詞によって異なります。まずは接続詞と副詞、それぞれの役割について詳しく見ていきましょう。
接続詞としてのthough
接続詞としてのthoughは「〜だけれども」「〜にもかかわらず」という逆接の意味を表します。文頭や文中に置かれ、二つの考えや状況をつなぐ役割を果たします。
例文
- Though it was raining, I went to school.(雨が降っていたけれども、私は学校に行きました。)
- I went to school though it was raining.(雨が降っていたけれども、私は学校に行きました。)
- Though she is young, she is very smart.(彼女は若いけれども、とても賢いです。)
- He played soccer though he was tired.(彼は疲れていたけれども、サッカーをしました。)
副詞としてのthough
thoughは副詞として文末に置かれることもあります。この場合、「でも」「もっとも」「やっぱり」といったニュアンスを表し、先に述べた内容に対して軽く反対意見や補足を加える役割を果たします。
日本語の「〜だけどね」という感覚に近いです。
例文
- The movie was good. It was a bit long, though.(その映画は良かった。でも、少し長かったけどね。)
- I will help you. I cant stay long, though.(手伝うよ。でも、長居はできないけどね。)
- The test was hard. I passed it, though.(そのテストは難しかった。でも、合格したけどね。)
thoughを使った文の作り方
thoughは文中の様々な位置で使うことができます。ここでは、文頭、文中、文末それぞれの使い方について詳しく見ていきましょう。
文頭でのthoughの使い方
thoughを文頭に置く場合、「〜だけれども」という意味で従属節を導入し、その後にカンマを置いて主節が続きます。
例文
- Though I am tired, I will finish my homework.(疲れているけれども、宿題を終わらせます。)
- Though it is cold today, we will go to the park.(今日は寒いけれども、公園に行きます。)
- Though he is only ten years old, he can speak three languages.(彼はまだ10歳ですが、3つの言語を話すことができます。)
文中でのthoughの使い方
文中でthoughを使う場合は、主節の後に従属節を続ける形になります。
例文
- She went to school though she was sick.(彼女は病気だったけれども、学校に行きました。)
- We played tennis though it was raining.(雨が降っていたけれども、私たちはテニスをしました。)
- The dog ran away though I called its name.(名前を呼んだけれども、その犬は走り去りました。)
文末でのthoughの使い方
thoughを文末に置く場合は、副詞として使われ、「でも」「もっとも」というニュアンスを添えます。この用法は特に会話でよく使われます。
例文
- I cant swim very well. I like the beach, though.(私はあまり上手に泳げません。でも、ビーチは好きですけどね。)
- The homework was difficult. I did it all, though.(宿題は難しかった。でも、全部やりましたけどね。)
- He didnt win first place. He did his best, though.(彼は一位になれなかった。でも、ベストを尽くしたけどね。)
thoughと他の類似表現の違い
thoughと似た意味を持つ表現には、although、but、howeverなどがあります。それぞれの違いについて見ていきましょう。
thoughとalthoughの違い
thoughとalthoughはどちらも「〜だけれども」という意味を持ちますが、使われる場面に若干の違いがあります。
thoughはalthoughよりもカジュアルで、日常会話でよく使われます。一方、althoughはやや形式的で、書き言葉でより多く見られます。また、thoughは副詞としても使えますが、althoughは接続詞としてのみ使用されます。
例文
- Though it was rainy, we played soccer.(雨だったけれども、私たちはサッカーをしました。)
- Although it was rainy, we played soccer.(雨だったけれども、私たちはサッカーをしました。)
- The food was delicious. It was expensive, though.(その食べ物はおいしかった。でも、高かったけどね。)
(※このように文末での使用はthoughのみ可能)
thoughとbutの違い
thoughとbutはどちらも逆接を表しますが、文法的な役割が異なります。thoughは従属接続詞で、butは等位接続詞です。
thoughは主節と従属節の関係を作り、文の一部を補足説明する役割を持ちます。一方、butは二つの対等な文をつなぎ、完全な対比を表します。
例文
- Though he is young, he is wise.(彼は若いけれども、賢いです。)
- He is young, but he is wise.(彼は若いですが、賢いです。)
- The book is interesting, though it is long.(その本は長いけれども、面白いです。)
- The book is interesting, but it is long.(その本は面白いですが、長いです。)
thoughとhoweverの違い
thoughとhoweverも似た意味を持ちますが、使い方が異なります。howeverは接続副詞で、文と文をつなぐ役割をし、通常は文頭や文中でカンマの後に置かれます。
例文
- Though it was cold, I went out.(寒かったけれども、私は外出しました。)
- It was cold. However, I went out.(寒かった。しかし、私は外出しました。)
- She was tired. She kept working, though.(彼女は疲れていた。でも、仕事を続けたけどね。)
- She was tired. However, she kept working.(彼女は疲れていた。しかし、彼女は仕事を続けた。)
thoughを使った特別な表現
thoughは他の単語と組み合わせて、様々な表現を作ることができます。ここでは代表的な組み合わせ表現を紹介します。
even though(〜にもかかわらず)
even thoughは「〜にもかかわらず」という意味で、thoughよりも強い対比を表します。「〜だというのに」というニュアンスがあり、予想に反する状況を強調したい場合に使われます。
例文
- Even though it was raining hard, we went hiking.(激しく雨が降っていたにもかかわらず、私たちはハイキングに行きました。)
- I failed the test even though I studied hard.(一生懸命勉強したにもかかわらず、テストに失敗しました。)
- She smiled even though she was sad.(彼女は悲しかったにもかかわらず、微笑みました。)
as though(まるで〜のように)
as thoughは「まるで〜のように」「あたかも〜であるかのように」という意味で、仮定や比較を表します。実際にはそうではないが、そのように見えたり感じたりする状況を描写するときに使います。
例文
- He talks as though he knows everything.(彼はまるですべてを知っているかのように話します。)
- She looked at me as though I had said something wrong.(彼女は私が何か間違ったことを言ったかのように私を見ました。)
- The boy ran as though his life depended on it.(その少年は命がけであるかのように走りました。)
thoughのよくある間違いと注意点
thoughを使う際によくある間違いと注意点をいくつか紹介します。英語学習者がつまずきやすいポイントなので、しっかり理解しておきましょう。
- althoughとthoughを混同する
althoughとthoughはほぼ同じ意味ですが、thoughの方がカジュアルで、副詞としても使えます。althoughは文末に置くことができません。 - thoughの後にbutを使う
thoughとbutはどちらも逆接を表すので、一つの文で両方を使うと重複になります。
×Though it was raining, but I went out.
○Though it was raining, I went out.
○It was raining, but I went out. - 文末のthoughを使いすぎる
文末のthoughは会話では自然ですが、使いすぎると文章が散漫になることがあります。適度に使うようにしましょう。 - even thoughとeven ifの混同
even thoughは「〜にもかかわらず」で事実を述べる場合に使います。一方、even ifは「たとえ〜でも」と仮定の状況を述べる場合に使います。
例:Even though it’s raining, I’ll go.(実際に雨が降っている)
例:Even if it rains, I’ll go.(雨が降るかどうか分からない) - thoughの発音を間違える
thoughの発音は「ゾウ」に近く、「th」の音を正しく発音することが重要です。thの発音は舌を上下の歯の間に軽く挟んで「ゾ」と発音します。 - 副詞のthoughを文中で使う
副詞としてのthoughは主に文末に置かれます。文中で使う場合は接続詞として機能します。 - as thoughの後の時制を間違える
as thoughの後には、現実とは異なる状況を表すため、過去形や過去完了形がよく使われます。
例:He talks as though he were a doctor.(彼は医者であるかのように話す。実際は医者ではない)
thoughに関する問題
thoughの使い方を確認するための問題を10問用意しました。自分の理解度をチェックしてみましょう。
- Though it was raining, I ( ) to school.
a) go
b) went
c) goes
d) going - She is happy ( ) she is poor.
a) though
b) through
c) thought
d) thorough - ( ) though it may sound, the story is true.
a) Strange
b) Strangely
c) Stranger
d) Strangest - I dont like the movie. The actors are good, ( ).
a) although
b) though
c) even
d) if - ( ) though he tried, he couldnt solve the problem.
a) Just
b) Even
c) So
d) As - The book was interesting, ( ) it was long.
a) though
b) although
c) either
d) a と b - He speaks ( ) though he were a native speaker.
a) even
b) just
c) as
d) like - I will go swimming tomorrow ( ) though it’s cold.
a) just
b) so
c) even
d) quite - ( ) I like coffee, I prefer tea in the morning.
a) Even though
b) Though
c) As though
d) a と b - She looks ( ) though she has seen a ghost.
a) even
b) just
c) as
d) if
thoughの使用場面による比較表
thoughの様々な使い方を比較してみましょう。以下の表で違いを確認できます。
表現 | 意味 | 使用位置 | 例文 |
---|---|---|---|
though(接続詞) | 〜だけれども | 文頭・文中 | Though it was cold, I went out. |
though(副詞) | でも、もっとも | 文末 | I’m tired. I’ll help you, though. |
even though | 〜にもかかわらず(強調) | 文頭・文中 | Even though I was late, I got the job. |
as though | まるで〜のように | 文中 | She acted as though nothing happened. |
although | 〜だけれども(やや形式的) | 文頭・文中 | Although it was cold, I went out. |
「though」に関するよくある質問
- thoughとalthoughの違いは何ですか?
-
thoughとalthoughはほぼ同じ意味ですが、thoughの方がカジュアルで会話でよく使われます。althoughはやや形式的で書き言葉で多く見られます。また、thoughは副詞として文末に置くこともできますが、althoughはそのような使い方はできません。
- thoughを文末に置くとどういう意味になりますか?
-
文末に置かれたthoughは副詞として機能し、「でも」「もっとも」「やっぱり」といったニュアンスを表します。日本語の「〜だけどね」というような軽い反対意見や補足を示す場合に使われます。
- even thoughとthoughの違いは何ですか?
-
even thoughはthoughを強調した表現で、「〜にもかかわらず」という意味がより強くなります。何か予想に反する状況や条件があっても、ある行動や状態が続くことを強調したい場合に使います。
- as thoughはどういう意味ですか?
-
as thoughは「まるで〜のように」「あたかも〜であるかのように」という意味で、実際にはそうではないが、そのように見えたり感じたりする状況を表現します。
- thoughとbutを一緒に使っても良いですか?
-
thoughとbutはどちらも逆接を表すので、通常は一つの文で両方を使うことは避けるべきです。「Though it was raining, but I went out.」ではなく、「Though it was raining, I went out.」または「It was raining, but I went out.」と表現します。
- thoughの発音のコツはありますか?
-
thoughの発音は「ゾウ」に近く、「th」の音は舌を上下の歯の間に軽く挟んで「ゾ」と発音します。最後の「gh」は発音しません。
- 文章を書く際、thoughとalthoughどちらを使うべきですか?
-
フォーマルな文章ではalthoughの方が適していることが多いです。カジュアルな文章や会話ではthoughが自然です。また、文末に置きたい場合はthoughしか使えません。
- even though と even if の使い分けはどうすれば良いですか?
-
even thoughは現実の事実について「〜にもかかわらず」と言う場合に使います。一方、even ifは「たとえ〜だとしても」と仮定の状況を述べる場合に使います。
- thoughは日常会話でどれくらい使われますか?
-
thoughは日常会話で非常によく使われる表現の一つです。特に文末のthoughはカジュアルな会話で頻繁に登場します。
- thoughの類義語には他にどのようなものがありますか?
-
thoughの類義語としては、although, nevertheless, however, but, still, yet, despite this/that, in spite of this/that などがあります。文脈や使いたいニュアンスによって使い分けると良いでしょう。
まとめ

今回は英語の「though」についてその意味と使い方を詳しく解説しました。thoughは接続詞と副詞の二つの品詞を持ち、「〜だけれども」「〜にもかかわらず」という逆接の意味を表す便利な単語です。
文頭、文中、文末と様々な位置で使うことができ、even thoughやas thoughなどの表現も作れます。thoughの重要ポイントをまとめると、
- thoughは接続詞として「〜だけれども」「〜にもかかわらず」という意味を持つ
- 副詞としては文末に置かれ「でも」「もっとも」「やっぱり」というニュアンスを表す
- althoughよりもカジュアルで、日常会話でよく使われる
- 文頭、文中、文末のどの位置でも使うことができる(althoughは文末には置けない)
- even thoughで「〜にもかかわらず」と強調した表現になる
- as thoughで「まるで〜のように」という意味になる
- butとの併用は避ける
- 発音は「ゾウ」に近い
thoughは英語の日常会話で非常によく使われる表現なので、ぜひ今回紹介した使い方や例文を参考に、実際の会話や文章で使ってみてください。
最初は文頭で使う基本的な使い方から始めて、徐々に文末での使い方も取り入れていくと自然な英語表現が身につくでしょう。