「throw up」は日常英会話でよく使われる表現ですが、その意味は文脈によって様々に変化します。最も一般的な意味は「吐く、嘔吐する」ですが、他にも「投げ上げる」「急に建てる」「問題を提起する」など複数の意味があります。
この記事では英語初学者向けに、「throw up」のさまざまな意味と使い方を例文とともに詳しく解説します。基本的な使い方から応用まで、段階的に理解を深めていきましょう。
「throw up」の基本的な意味

「throw up」は「throw(投げる)」と「up(上へ)」という二つの単語からなる句動詞(phrasal verb)です。句動詞とは、動詞と副詞や前置詞が組み合わさってできた表現で、元の動詞とは異なる意味を持つようになったものです。英語には多くの句動詞があり、日常会話でよく使われます。「throw up」もそのひとつで、単に「投げる」という意味だけでなく、文脈によって様々な意味を持ちます。
英語初学者にとって句動詞は難しく感じるかもしれませんが、実際の使用例を知ることで理解が深まります。「throw up」の場合、最も一般的な意味は「吐く」ですが、場面によって異なる意味になることを押さえておきましょう。
「throw up」の複数の意味と使い方
「throw up」には、主に以下の4つの意味があります。
- 吐く、嘔吐する
- 投げ上げる、放り投げる
- 急に作る、建てる
- 問題や困難を提起する
それぞれの意味を、例文を使って解説していきます。
吐く、嘔吐する
「throw up」の最も一般的な意味は「吐く、嘔吐する」です。病気や乗り物酔い、または過度の飲酒などによって胃の内容物を口から出すことを表します。医学的な表現である「vomit」よりも日常会話ではこちらの方がよく使われます。
例文
- I feel sick. I think I might throw up.(気分が悪い。吐きそうだ。)
- My little brother threw up after eating too much ice cream.(弟はアイスクリームを食べ過ぎた後、吐いてしまった。)
- She threw up three times during the boat trip.(彼女はボート旅行中に3回吐いた。)
- If you feel like throwing up, please use this bag.(もし吐き気を感じたら、このバッグを使ってください。)
- Tom threw up because he was nervous before his speech.(トムはスピーチの前に緊張して吐いてしまった。)
この意味での「throw up」は、特に口語表現として非常によく使われます。医療現場では「vomit」という単語が使われることが多いですが、日常会話では「throw up」の方が一般的です。子どもにも使える言葉で、「He’s going to be sick」(彼は気分が悪くなりそうだ)という表現よりも具体的です。
投げ上げる、放り投げる
「throw up」のもう一つの基本的な意味は、文字通り「上に投げる」という意味です。物を空中や高いところに投げ上げる動作を表します。
例文
- The children threw up the ball and tried to catch it.(子どもたちはボールを上に投げ上げて、それをキャッチしようとした。)
- She threw up her hands in surprise.(彼女は驚いて両手を上げた。)
- The magician threw up the cards into the air.(マジシャンはカードを空中に投げ上げた。)
- When the teacher asked a question, many students threw up their hands.(先生が質問したとき、多くの生徒が手を挙げた。)
- My father threw up the keys to me from the ground floor.(父は1階から私に鍵を投げ上げた。)
この意味での「throw up」は、「toss up」という表現でも置き換えられますが、「throw up」の方がより強い力や高さを連想させることが多いです。また、「throw up one’s hands」(両手を上げる)という表現は、驚きや降参、あるいは質問に答えるために手を挙げるという意味で使われます。
急に作る、建てる
「throw up」は「急いで作る」「急に建てる」という意味でも使われます。特に、一時的な建物や構造物を素早く建てる場合に用いられます。
例文
- The army threw up a temporary bridge across the river.(軍隊は川に仮の橋を急いで作った。)
- They threw up a wall around the garden.(彼らは庭の周りに壁を急いで建てた。)
- The workers threw up a shelter to protect them from the rain.(作業員たちは雨を避けるための避難所を急いで作った。)
- My father and I threw up a small tent in just ten minutes.(父と私は10分だけで小さなテントを立てた。)
- The company threw up a new building in less than six months.(その会社は6ヶ月もかからずに新しい建物を建てた。)
この用法は、「construct quickly」(素早く建設する)や「erect hastily」(急いで建てる)という表現と似ていますが、「throw up」の方がより口語的で、スピード感や即興性を強調する表現です。
問題や困難を提起する
「throw up」は抽象的な意味で「問題や困難を提起する」「新たな課題を生み出す」という意味でも使われます。何かの状況や出来事が新しい問題を引き起こすような場合に使います。
例文
- The new policy throws up many questions.(その新しい政策は多くの疑問を投げかける。)
- This situation throws up some interesting challenges.(この状況はいくつかの興味深い課題を提起している。)
- The research threw up some surprising results.(その研究はいくつかの驚くべき結果をもたらした。)
- His story throws up more questions than answers.(彼の話は答えよりも多くの疑問を生み出す。)
- This problem throws up the need for better communication.(この問題はより良いコミュニケーションの必要性を浮き彫りにする。)
この意味での「throw up」は、「raise」(提起する)や「present」(示す)という単語で置き換えることもできますが、「throw up」の方が問題が突然あるいは予期せず現れるニュアンスが強いです。
その他の意味
「throw up」にはさらにいくつかの意味があります。これらは特定の文脈で使われる表現です。
仕事や機会を放棄する
- He threw up his job to travel around the world.(彼は世界一周旅行のために仕事を辞めた。)
- She threw up a great opportunity because she was afraid.(彼女は恐れていたため、素晴らしい機会を手放した。)
数字や統計が示す、明らかにする
- The survey threw up some interesting facts about teenage behavior.(その調査は10代の行動に関するいくつかの興味深い事実を明らかにした。)
- Our analysis threw up a pattern in the data.(私たちの分析でデータにパターンがあることが示された。)
唇やほっぺたを膨らませる(特に子供が不満を表すとき)
- The little girl threw up her lips when her mother said no.(小さな女の子は母親がノーと言ったとき、唇を膨らませた。)
これらの用法は上記の主要な意味ほど一般的ではありませんが、様々な場面で遭遇する可能性があるので覚えておくと便利です。
「throw up」と類似表現の違い
ここでは、「throw up」と似たような意味を持つ英語について解説していきます。
「throw up」と「vomit」の違い
「throw up」と「vomit」はどちらも「吐く」という意味ですが、使われる場面やニュアンスが異なります。
違い
- 「throw up」は日常会話でよく使われる口語表現です。子どもにも使える言葉で、カジュアルな場面で一般的です。
- 「vomit」はより医学的・専門的な表現です。医療現場や公式な文書でよく使われます。
- 「throw up」は婉曲表現(言い回しを柔らかくした表現)としての性質も持ちます。
- 「vomit」は「throw up」よりも直接的で生々しい印象を与えることがあります。
例文比較
- I think I’m going to throw up.(吐きそうだ。)- 日常会話
- The patient vomited blood.(患者は血を吐いた。)- 医療的な状況
「throw up」は友人との会話など、カジュアルな場面で使うのが適切です。一方、「vomit」は医師に症状を伝えるときなど、より正式な場面で使うことが多いです。
「throw up」と「throw away」の違い
「throw up」と「throw away」は似ているように見えますが、全く異なる意味を持ちます。
違い
- 「throw up」:主に「吐く」「上に投げる」「急に建てる」などの意味
- 「throw away」:「捨てる」「無駄にする」という意味
例文比較
- She threw up after eating bad food.(彼女は悪い食べ物を食べた後、吐いた。)
- She threw away the old newspaper.(彼女は古い新聞を捨てた。)
「throw away」は不要なものを処分する行為を表し、「throw up」とは全く異なる意味を持つことを覚えておきましょう。「throw away a chance」(チャンスを無駄にする)のような慣用表現もあります。
「throw up」と「toss up」の違い
「throw up」と「toss up」は一部の意味で重なりますが、用法に違いがあります。
違い
- 「throw up」:「吐く」「上に投げる」「急に建てる」など、多様な意味を持つ
- 「toss up」:主に「軽く投げ上げる」という意味で、「throw up」よりも軽い動作を表す
- 「toss up」には「同程度で甲乙つけがたい」という意味もある(名詞として)
例文比較
- He threw up the heavy box to his friend on the roof.(彼は重い箱を屋根の上にいる友人に投げ上げた。)- より力強い動作
- He tossed up the coin to decide who would go first.(彼は誰が先に行くか決めるためにコインを投げた。)- より軽い動作
- It’s a toss-up whether we’ll finish on time.(私たちが時間通りに終わるかどうかは五分五分だ。)- 名詞としての「toss-up」
「toss」は一般的に「throw」よりも軽い動作を表すため、「toss up」は「throw up」よりも軽く投げる様子を連想させます。
「throw up」を使った慣用表現
「throw up」を含むいくつかの慣用表現があります。これらは日常会話でよく使われるので、覚えておくと役立ちます。
「throw up one’s hands」(両手を上げる)
この表現は、驚き、降参、あるいは絶望を表すジェスチャーを示します。問題に対して「もうお手上げだ」という気持ちを表すことが多いです。
例文
- The teacher threw up her hands in despair when no one did the homework.(誰も宿題をしていなかったとき、先生は絶望して両手を上げた。)
- Don’t just throw up your hands and give up.(ただ手を上げて諦めないで。)
- When I explained the problem, my father threw up his hands and said he couldn’t help.(問題を説明したとき、父は両手を上げて助けられないと言った。)
「throw up a smokescreen」(煙幕を張る)
この表現は、真実を隠したり、注意をそらしたりするために意図的に混乱や誤解を作り出すことを意味します。
例文
- The politician threw up a smokescreen to avoid answering the direct question.(その政治家は直接的な質問に答えるのを避けるために煙幕を張った。)
- Don’t let him throw up a smokescreen – ask for clear answers.(彼に煙幕を張らせないで – 明確な答えを求めなさい。)
「throw up a red flag」(危険信号を上げる)
この表現は、問題や危険の可能性を警告するサインを指します。
例文
- His strange behavior threw up a red flag, and I decided not to trust him.(彼の奇妙な行動は危険信号となり、私は彼を信用しないことにした。)
- The sudden drop in sales threw up a red flag for the company’s management.(突然の売上低下は会社の経営陣にとって危険信号となった。)
これらの慣用表現は文字通りの意味ではなく、比喩的な意味で使われることが多いです。文脈から判断して理解することが大切です。
「throw up」に関するよくある質問
- 「throw up」は口語表現ですか?
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はい、特に「吐く」という意味では「throw up」は日常会話でよく使われる口語表現です。医療現場や公式な文書では「vomit」という単語が使われることが多いですが、友人との会話など日常的な状況では「throw up」の方が一般的です。子どもにも使える表現で、直接的な言葉よりも婉曲的な言い方として受け入れられています。
- 「throw up」と「bring up」の違いは何ですか?
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「throw up」と「bring up」は似ているように見えますが、意味が異なります。「throw up」の主な意味は「吐く」「上に投げる」などですが、「bring up」は主に以下の意味で使われます。
- 育てる、養育する(子どもなど):She was brought up by her grandparents.(彼女は祖父母に育てられた。)
- 話題にする、持ち出す:He brought up an interesting point during the meeting.(彼は会議中に興味深い点を持ち出した。)
- 引き上げる、上げる:The divers brought up some treasure from the shipwreck.(ダイバーたちは難破船からいくつかの宝物を引き上げた。)
「bring up」が「吐く」という意味で使われることもありますが、「throw up」ほど一般的ではありません。
- 「throw up」の代わりに使える表現はありますか?
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「吐く」という意味での「throw up」の代わりに使える表現はいくつかあります。
- vomit(より医学的・専門的):The patient vomited after taking the medicine.(患者は薬を飲んだ後に嘔吐した。)
- be sick(特にイギリス英語で一般的):I was sick three times during the night.(夜中に3回吐いた。)
- puke(非常にカジュアルでスラング的):He puked all over the bathroom floor.(彼はバスルームの床一面に吐いた。)
- upchuck(カジュアルな口語表現):She upchucked her dinner.(彼女は夕食を吐き出した。)
状況やコミュニケーションの相手によって、適切な表現を選ぶことが大切です。
- 「I’m throwing up」と「I’m going to throw up」の違いは何ですか?
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これらの表現には時制の違いがあります。
- 「I’m throwing up」(現在進行形):今まさに吐いている最中であることを表します。現在起きている動作です。
- 「I’m going to throw up」(未来形):まだ吐いていないが、吐きそうな状態であることを表します。「今にも吐きそうだ」という意味です。
通常、吐き気を感じた時に「I think I’m going to throw up」(吐きそうだ)と言うことが多く、実際に吐いている最中に会話することは少ないでしょう。
- 子どもに「throw up」という表現を教えても大丈夫ですか?
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はい、「throw up」は子どもにも使える適切な表現です。実際、多くの親は子どもに「吐く」という行為を説明する際に「throw up」という表現を使います。医学的な「vomit」よりも柔らかい印象があり、スラングの「puke」よりも丁寧な表現です。子どもが気分が悪いときに「Do you feel like you’re going to throw up?」(吐きそうな気分?)と尋ねるのは自然な言い方です。
まとめ

今回は「throw up」の多様な意味と使い方について解説しました。以下がこの記事の主なポイントです。
- 「throw up」は最も一般的には「吐く、嘔吐する」を意味する口語表現である。
- その他にも「上に投げる」「急に建てる」「問題を提起する」など複数の意味がある。
- 「throw up」と「vomit」はどちらも「吐く」を意味するが、「throw up」はより日常的な表現。
- 「throw up one’s hands」(両手を上げる)のような慣用表現もある。
- 文脈によって「throw up」の意味が変わるので、状況から判断することが大切。
- 「throw away」(捨てる)や「toss up」(軽く投げ上げる)など、似た表現との違いを理解することが重要。
- 「I’m going to throw up」(吐きそうだ)と「I’m throwing up」(吐いている最中だ)では時制に違いがある。
- 「throw up」は子どもにも使える適切な表現である。
句動詞は英語学習において重要な要素です。「throw up」のように一つの句動詞が複数の意味を持つことは珍しくありません。実際の会話や文章の中で使われる例を多く見て、文脈から意味を理解する練習をすることが大切です。
この記事で学んだ「throw up」の様々な意味と使い方を、ぜひ英語学習に役立ててください。