「thus」は英語の副詞であり、主に「そのように」「従って」「それゆえに」などの意味で使われる表現です。文章の論理的な流れを作る際に役立ち、特に書き言葉やフォーマルな文脈でよく使われます。
この記事では、英語初学者向けに「thus」の基本的な意味から実際の使い方まで、わかりやすい例文を交えながら詳しく解説していきます。
「thus」とは?基本的な意味と使い方

「thus」は英語の副詞で、主に書き言葉やフォーマルな表現で使われます。口語ではあまり使われないのが特徴です。発音は「ザス」に近い音で、「th」の音は舌を前歯の裏に軽く当てて発音します。
「thus」の基本的な役割は、前に述べた内容から導き出される結論や結果を示すことです。日本語の「だから」「従って」「このように」などに相当します。
文章の中で「thus」を使うと、論理的な繋がりが明確になり、読み手に筋道立てて内容を伝えることができます。特に論文やビジネス文書など、フォーマルな文章で重宝される表現です。
「thus」は文頭に置かれることが多く、その場合は通常カンマが後に続きます。また、文の途中に置く場合はセミコロン(;)の後や、「and thus」のように接続詞と組み合わせて使うことが一般的です。
「thus」の主な意味と表現
「thus」には主に3つの意味があります。それぞれの意味と使い方を例文と共に見ていきましょう。
「それゆえ、従って、だから」の意味での使い方
最も一般的な「thus」の使い方は、原因と結果をつなぐ「それゆえに、従って、だから」という意味です。前の文で述べた内容の結果や結論を導く際に使います。
例文
- He studied hard. Thus, he passed the test. (彼は一生懸命勉強した。それゆえに、彼はテストに合格した。)
- The weather was bad. Thus, we stayed at home. (天気が悪かった。そのため、私たちは家にいた。)
- She forgot her key. Thus, she could not enter her house. (彼女は鍵を忘れた。それゆえに、彼女は家に入れなかった。)
この使い方では、「thus」は原因と結果の関係を明確に示し、論理的な流れを作り出します。
「このようにして、こういう風に」の意味での使い方
「thus」の2つ目の意味は「このようにして、こういう風に」です。特定の方法や手段を指し示すときに使います。
例文
- The teacher showed us how to solve the problem, thus helping us understand math better. (先生は問題の解き方を見せてくれた、このようにして私たちが数学をよりよく理解するのを助けてくれた。)
- He spoke thus: “Never give up on your dreams.” (彼はこのように言った:「夢をあきらめないで。」)
- She held the pen thus and began to write. (彼女はこのようにペンを持って書き始めた。)
この用法では、「thus」は動作の方法や様子を説明する役割を果たします。特に後ろに動詞の現在分詞(-ing形)が続くことも多いです。
「このくらいまで、そのような程度まで」の意味での使い方
3つ目の意味は頻度は少ないですが、「このくらいまで、そのような程度まで」という程度を表す使い方です。
例文
- I have never been thus tired before. (私はこれまでこれほど疲れたことがなかった。)
- Why are you thus sad? (なぜあなたはそれほど悲しいのですか?)
- The work is thus far complete. (その仕事はここまで完了している。)
この使い方では、「thus」は形容詞や副詞を修飾して、その程度を強調する役割を果たします。
「thus」を含むよく使われる表現
「thus」を含む表現にはいくつかの定型句があります。特に頻繁に使われるものを見ていきましょう。
thus far (今までのところ)
「thus far」は「今までのところ、これまでのところ」という意味で、現在に至るまでの状況や進行状況を表します。「so far」と同じような意味ですが、「thus far」のほうがより形式的です。
例文
- She has done well thus far. (彼女はこれまでのところうまくやっている。)
- Thus far, we have had no problems. (今までのところ、私たちは問題を抱えていません。)
- I am happy with your work thus far. (私はあなたのこれまでの仕事に満足しています。)
ビジネスの場や学術的な文脈でよく使われる表現です。
thus and thus (かくかくしかじか)
「thus and thus」は「かくかくしかじか、このようなこと」という意味で、詳細を省略して概要だけを述べるときに使います。日本語の「云々(うんぬん)」に近い使い方です。
例文
- He explained the rules thus and thus. (彼はかくかくしかじかとルールを説明した。)
- She said thus and thus about the project. (彼女はそのプロジェクトについてかくかくしかじかと言った。)
- The teacher taught us thus and thus. (先生は私たちにかくかくしかじかを教えてくれた。)
この表現はあまり頻繁に使われませんが、詳細を省略したいときに便利な表現です。
「thus」と似ている表現との違い
「thus」と似た意味を持つ単語には「therefore」「so」「consequently」「hence」などがあります。これらの違いを理解することで、「thus」をより正確に使えるようになります。
therefore との違い
「therefore」も「thus」と同様に「それゆえに、従って」という意味を持ちますが、ニュアンスに違いがあります。
「thus」は「~の結果として」というニュアンスが強く、ある行動や状況から自然に導かれる結果を示します。一方、「therefore」は「~の理由で」というニュアンスが強く、論理的な推論や結論を導くときに使われます。
例文
- The weather was bad. Thus, we stayed at home. (天気が悪かった。その結果、私たちは家にいた。)
- The weather was bad. Therefore, we decided to stay at home. (天気が悪かった。それゆえに、私たちは家にいることに決めた。)
「therefore」はより論理的な因果関係を強調し、「thus」はより直接的な結果を示す傾向があります。
so との違い
「so」は「thus」や「therefore」よりもカジュアルで、日常会話でよく使われます。最も重要な違いは、「so」は接続詞として使えるのに対し、「thus」は副詞(接続副詞)であるという点です。
例文
- It was raining, so we stayed home. (雨が降っていたので、私たちは家にいた。)
- It was raining. Thus, we stayed home. (雨が降っていた。そのため、私たちは家にいた。)
「so」は一つの文の中で独立した節と節をつなげることができますが、「thus」は基本的に独立した文をつなぐか、セミコロンを使うか、「and」などの接続詞と一緒に使う必要があります。
consequently との違い
「consequently」も「その結果として、従って」という意味で「thus」と似ていますが、より直接的な原因と結果の関係を示す傾向があります。
例文
- He didn’t study. Consequently, he failed the test. (彼は勉強しなかった。その結果、彼はテストに失敗した。)
- He didn’t study. Thus, he failed the test. (彼は勉強しなかった。それゆえに、彼はテストに失敗した。)
両者は互換性が高く、多くの場合で置き換えが可能です。「consequently」は「thus」よりも長い単語ですが、同様にフォーマルな文脈で使われます。
hence との違い
「hence」も「そのため、その結果」という意味で「thus」と似ていますが、「hence」はより古風で文学的な表現と見なされることが多いです。
例文
- The roads were icy. Hence, driving was dangerous. (道路は凍っていた。したがって、運転は危険だった。)
- The roads were icy. Thus, driving was dangerous. (道路は凍っていた。それゆえに、運転は危険だった。)
「hence」には「ここから」という空間的・時間的な意味もあり、これは「thus」にはない側面です。
「thus」のよくある間違いと注意点
「thus」を使う際にはいくつかの注意点があります。よくある間違いを避けるために、以下のポイントに気をつけましょう。
口語 vs 文語
最も重要な注意点は、「thus」は主に文語(書き言葉)として使われ、口語(話し言葉)ではあまり使われないという点です。日常会話では「so」や「that’s why」などのよりカジュアルな表現が好まれます。
誤った使い方
- “I’m tired, thus I’m going home.” (会話の中でこう言うと不自然)
自然な使い方
- “I’m tired, so I’m going home.” (会話ではこちらが自然)
論文やビジネス文書、フォーマルなスピーチなど、より格式高い場面で「thus」を使うようにしましょう。
位置と句読点の使い方
「thus」の位置と、それに伴う句読点の使い方も重要です。「thus」が文頭に来る場合、通常その後にカンマを置きます。
正しい使い方
- Thus, we can conclude that… (このように、私たちは〜と結論づけることができます。)
誤った使い方
- Thus we can conclude that… (カンマがないと読みにくい)
文中に「thus」を置く場合は、前にセミコロン(;)を置くか、「and thus」のように接続詞と組み合わせるのが一般的です。
正しい使い方
- “IHe studied hard; thus, he passed the exam.
- He studied hard, and thus he passed the exam.
誤った使い方
- He studied hard, thus he passed the exam. (この使い方は文法的に正確ではない)
接続詞と副詞の違い
「thus」は接続副詞であり、接続詞ではないという点も重要です。これが「so」(接続詞)との大きな違いです。接続詞は独立した節と節を直接つなげることができますが、接続副詞はそれができません。
誤った使い方
- The weather was bad, thus we stayed home. (直接2つの節をつなげるのは誤り)
正しい使い方
- The weather was bad. Thus, we stayed home.
- The weather was bad; thus, we stayed home.
- The weather was bad, and thus we stayed home.
この違いを理解することで、より正確に「thus」を使えるようになります。
「thus」の効果的な使い方
「thus」を効果的に使うためのコツをいくつか紹介します。適切な場面で適切に使うことで、あなたの英語表現はより豊かになります。
フォーマルな文章での使い方
「thus」はフォーマルな文章で特に効果的です。ビジネスレターやレポート、学術論文などで使うと、プロフェッショナルな印象を与えることができます。
例文
- The company has increased its sales by 20%. Thus, we expect higher profits this year. (会社は売上を20%増加させました。従って、今年はより高い利益が期待できます。)
- We have completed the first phase of the project. Thus, we can now move on to the second phase. (私たちはプロジェクトの第一段階を完了しました。それゆえに、今や第二段階に進むことができます。)
フォーマルな文章では、「so」のようなカジュアルな表現よりも「thus」を使うことで、より洗練された印象を与えることができます。
アカデミックな文章での使い方
学術論文や研究レポートなどのアカデミックな文章でも「thus」は重宝されます。論理的な繋がりを明確に示すことができるからです。
例文
- The experiment showed positive results. Thus, our hypothesis is supported. (実験は肯定的な結果を示した。従って、私たちの仮説は支持される。)
- The data indicates a strong correlation between the two variables. Thus, we can infer a causal relationship. (データは2つの変数間の強い相関関係を示している。それゆえに、因果関係を推測することができる。)
アカデミックな文章では、論理的な流れを作ることが重要です。「thus」を適切に使うことで、あなたの論理展開をより明確にすることができます。
「thus」を使った例文
「thus」の使い方をより深く理解するために、さまざまな例文を見ていきましょう。中学英語レベルの簡単な例文を中心に紹介します。
例文
- He didn’t do his homework. Thus, he got in trouble. (彼は宿題をしなかった。それゆえに、彼はトラブルに巻き込まれた。)
- She practiced every day. Thus, she improved her skills. (彼女は毎日練習した。そのため、彼女は技術を向上させた。)
- It was raining heavily. Thus, the game was cancelled. (激しく雨が降っていた。そのため、試合は中止された。)
- We studied the map carefully. Thus, we didn’t get lost. (私たちは地図を注意深く調べた。それゆえに、私たちは迷わなかった。)
- The boy broke the window. Thus, his parents had to pay for it. (その少年は窓を壊した。そのため、彼の両親がそれを支払わなければならなかった。)
- She speaks English well. Thus, she can communicate with foreigners. (彼女は英語を上手く話す。それゆえに、彼女は外国人とコミュニケーションを取ることができる。)
- The bus was late. Thus, I was late for school. (バスが遅れた。そのため、私は学校に遅刻した。)
- The test was difficult. Thus, many students failed. (テストは難しかった。それゆえに、多くの学生が不合格だった。)
- The food was delicious. Thus, we ate everything. (食べ物はおいしかった。そのため、私たちはすべてを食べた。)
- We have finished our work. Thus, we can go home now. (私たちは仕事を終えた。それゆえに、私たちは今家に帰ることができる。)
- The medicine worked well. Thus, he recovered quickly. (薬はよく効いた。そのため、彼は速やかに回復した。)
- She spoke thus about her experience abroad. (彼女は自分の海外経験についてこのように話した。)
- They arranged the chairs thus for the meeting. (彼らは会議のために椅子をこのように配置した。)
- Thus far, I have read five books this month. (今月は今までのところ、5冊の本を読んだ。)
- We have thus far completed half of the project. (私たちはこれまでのところ、プロジェクトの半分を完了している。)
「thus」に関する問題
「thus」は英語で「したがって」「このように」「それゆえに」といった意味を持つ副詞で、文脈によってさまざまな使い方がされます。今回の問題では、「thus」の正しい使い方や意味を問う問題を中心に、類似表現や文法的な観点からも学べるように構成しました。
なお、回答はすべて「thus」にはならず、バランスよく他の選択肢も含めています。
- 次の文を完成させるのに最も適切な語句を選びなさい。
“He forgot to set an alarm, and ___ he overslept.”
a) thus
b) because
c) although
d) yet - 次の文の空欄を埋めるのに適切な語句を選びなさい。
“The experiment failed, ___ proving the hypothesis wrong.”
a) however
b) thus
c) therefore
d) despite - 次の文を完成させるために最も適切な語句を選びなさい。
“She studied hard for the exam; ___, she scored the highest in her class.”
a) however
b) although
c) thus
d) unless - 以下の文で空欄に入る最も適切な語句を選びなさい。
“The weather was terrible, ___ we decided to stay indoors.”
a) so
b) thus
c) but
d) despite - 次の文で「thus」の意味として最も近いものを選びなさい。
“He worked diligently and ___ earned his promotion.”
a) consequently
b) although
c) instead
d) meanwhile - 次の文で「thus」を使うのが適切かどうか判断し、正しい場合は”Yes”、間違っている場合は”No”と答えなさい。
“The two companies merged, thus creating a stronger market presence.” - 次の文の空欄を埋めるために最も適切な語句を選びなさい。
“She missed the bus; ___, she arrived late to the meeting.”
a) therefore
b) because of this
c) thus
d) all of the above - 「thus」が使われている次の文について、その意味として最も近い表現を選びなさい。
“The data was incomplete, thus making it difficult to draw conclusions.”
a) as a result of this
b) despite this fact
c) in contrast to this - 次の文で「thus」の代わりに使える語句を選びなさい。
“The road was closed, thus forcing us to take a detour.”
a) consequently
b) however
c) moreover - 次の文章中で「thus」が正しく使われているかどうか判断し、理由とともに答えなさい。
“He didn’t prepare well for the interview, and thus he got the job.”
「thus」に関するよくある質問
- 「thus」と「therefore」はどう違いますか?
-
「thus」と「therefore」はどちらも「従って、それゆえに」という意味ですが、微妙なニュアンスの違いがあります。「thus」は「結果として」というニュアンスが強く、「therefore」は「理由によって」というニュアンスが強いです。また、「therefore」はより論理的な結論を導く際に使われる傾向があります。
- 「thus」は会話で使っても良いですか?
-
「thus」は主に書き言葉やフォーマルな場面で使われる表現です。日常会話ではあまり使われず、代わりに「so」や「that’s why」などのよりカジュアルな表現が好まれます。しかし、フォーマルなスピーチやプレゼンテーションでは「thus」を使うことで、より洗練された印象を与えることができます。
- 「thus」の後にはカンマが必要ですか?
-
「thus」が文頭に来る場合は、通常その後にカンマを置きます(例:Thus, we decided to…)。文中で使う場合は、前にセミコロンを置いてカンマを後ろに置くのが一般的です(例:He was late; thus, he missed the meeting.)。「and thus」のように接続詞と組み合わせる場合は、カンマは省略されることもあります。
- 「thus far」と「so far」の違いは何ですか?
-
「thus far」と「so far」はどちらも「今までのところ、これまでのところ」という意味ですが、「thus far」のほうがより形式的な表現です。学術論文やビジネス文書では「thus far」が好まれ、日常会話では「so far」が使われることが多いです。
- 「thus」を使った文でよくある間違いは何ですか?
-
最もよくある間違いは、「thus」を接続詞のように使って独立した節と節を直接つなげようとすることです(例:He was late, thus he missed the meeting.)。これは文法的に正確ではありません。「thus」は接続副詞なので、文をつなげる場合は、ピリオドを使うか、セミコロンを使うか、接続詞(and, butなど)と組み合わせる必要があります。
- 「thus」の意味を他の単語で代用することはできますか?
-
はい、「thus」の代わりに使える単語はいくつかあります。「therefore」「consequently」「hence」などが「それゆえに、従って」という意味で代用できます。カジュアルな場面では「so」が最もよく使われます。また、「このように」という意味では「in this way」「like this」などが代用可能です。
まとめ

「thus」は英語の重要な表現ですが、使い方を正しく理解することが大切です。この記事では「thus」の意味、使い方、似た表現との違い、よくある間違いなどについて詳しく解説しました。
以下に主なポイントをまとめます。
- 「thus」は主に副詞として使われ、「それゆえに、従って」「このようにして」という意味を持ちます。
- 「thus」は主に文語(書き言葉)として使われ、口語ではあまり使われません。
- 「thus far」は「今までのところ」、「thus and thus」は「かくかくしかじか」という意味です。
- 「thus」は接続副詞であり、接続詞ではないため、独立した節と節を直接つなげることはできません。
- 「thus」と似た表現には「therefore」「so」「consequently」「hence」などがあり、それぞれニュアンスが異なります。
- 「thus」はフォーマルな文章やアカデミックな文脈で効果的に使うことができます。
「thus」を適切に使えるようになると、あなたの英語表現はより豊かで正確になります。特に論文やビジネス文書など、フォーマルな文章を書く際に役立つでしょう。上記の例文や問題を参考に、ぜひ実際に使ってみてください。
この記事が皆さんの英語学習の一助となり、「thus」の意味と使い方について理解が深まれば幸いです。英語の語彙を増やすことは、より洗練された表現力につながります。ぜひ「thus」を自分の英語表現のレパートリーに加えてみてください。