TOEICテストを受験する際、皆さんは午前と午後のどちらを選びますか?実は、この選択が思っている以上にあなたのスコアに影響するかもしれません。2020年以降、感染症対策として一日に午前と午後の2回に分けて実施されるようになったTOEIC。
この記事では、どちらの時間帯がおすすめなのか、メリットとデメリットを徹底的に解説していきます。英語学習を始めたばかりの方にもわかりやすく説明しますので、ぜひ参考にしてください。
TOEICの午前と午後の試験時間とスケジュール

TOEICテストは現在、一日に午前と午後の2回に分けて実施されています。まずは、それぞれの時間帯のスケジュールを確認しておきましょう。
午前の試験は、受付が9時25分から9時55分、試験自体は10時20分から12時20分までの2時間で行われ、12時35分頃に解散となります。一方、午後の試験は、受付が14時5分から14時35分、試験時間は15時から17時までの2時間で、17時15分頃に解散します。
この時間の違いは、単なるスケジュールの問題ではなく、あなたの集中力や体調、生活リズムにも大きく関わってきます。では、それぞれの時間帯のメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。
受験時間の選択肢と背景
TOEICが午前と午後の2回に分けて実施されるようになった主な理由は、感染症対策です。一度に受験する人数を減らし、受験者や試験官の安全に配慮するための変更でした。この変更により、受験者は自分のライフスタイルや学習習慣に合わせて時間帯を選択できるようになりました。
申し込み時には午前か午後のどちらかを選ぶ必要があり、両方を同時に受験することはできません。そのため、自分に合った時間帯を選ぶことが重要になってきます。
TOEIC午前受験のメリット
午前中の試験を選ぶことには、いくつかの明確なメリットがあります。朝型の生活を送っている方や、午前中のパフォーマンスが高い方は特に注目してみてください。
脳が最も効率よく働くゴールデンタイム
脳科学の研究によると、朝の起床後約3時間は脳が最も効率よく働く「ゴールデンタイム」と言われています。睡眠中に前日の記憶が整理され、朝は新しい情報を取り入れる準備が整った状態になっているのです。
午前のTOEIC試験は10時20分から始まりますので、7時頃に起床した場合、ちょうどこのゴールデンタイムに試験を受けることになります。脳が新鮮な状態で試験に臨めるため、特にリスニングセクションでの集中力維持に役立つでしょう。
集中力と注意力が高い状態で受験できる
一般的に、人間の集中力や注意力は午前中の方が高い傾向にあります。デンマーク国立社会研究所の調査によると、時間が経つにつれてテストの点数が下がる傾向があることが報告されています。1時間経過するごとに約1%ずつスコアが低下するというデータもあります。
TOEICは2時間の長丁場です。集中力が高い午前中に受験することで、特にリーディングセクションの後半でのケアレスミスを減らせる可能性があります。
午後の時間を有効活用できる
午前の試験は12時35分頃には終了します。つまり、午後の時間を自由に使うことができるのです。試験後のストレス発散や、翌日の予定の準備、あるいは休息のために時間を使うことができます。
社会人にとって週末は貴重な時間です。午前中に試験を終わらせることで、残りの週末を有意義に過ごせるのは大きなメリットと言えるでしょう。
体力面での優位性
午前中はまだ一日の活動が始まったばかりで、体力が十分に残っています。そのため、2時間という長時間の試験でも疲れにくく、最後まで集中力を保ちやすいという利点があります。
特に夕方になると自然と眠気が出てくる方は、午前の試験を選ぶことで、その問題を回避することができます。
TOEIC午前受験のデメリット
メリットがある一方で、午前の試験にはいくつかのデメリットも存在します。特に以下の点は注意が必要です。
早起きが必要
午前の試験の受付は9時25分から始まります。会場までの移動時間を考えると、多くの人は7時台には起床する必要があるでしょう。休日に早起きをするのは、特に普段夜型の生活をしている方にとっては大きな負担になるかもしれません。
寝坊のリスクがある
休日の朝は、平日より寝坊してしまう可能性が高くなります。寝坊してしまうと受付時間に間に合わず、試験を受けられなくなるリスクがあります。前日の睡眠をしっかり確保し、複数のアラームをセットするなどの対策が必要です。
朝が苦手な人は頭がボーっとする可能性
生まれつき朝型・夜型の傾向がある「クロノタイプ」という概念があり、これは自分の意志でなかなか変えることができません。夜型の方が無理に朝早く起きて試験を受けると、頭がボーっとして本来の実力を発揮できない可能性があります。
普段から夜に勉強している方が、突然朝の時間帯に試験を受けると、いつもの学習環境と大きく異なるため、パフォーマンスが低下する恐れがあります。
TOEIC午後受験のメリット
反対に、午後の試験を選ぶことにも様々なメリットがあります。特に以下の点は、午後受験を検討する上で重要なポイントです。
朝の時間を有効活用できる
午後の試験を選ぶと、朝の時間を自由に使うことができます。試験直前の最終確認や復習に時間を充てることもできますし、リラックスして心の準備を整えることもできます。
特に、前日に十分な睡眠が取れなかった場合でも、朝にゆっくり起きて体調を整えることができるのは大きなメリットです。
早起きのストレスがない
休日にゆっくり過ごしたい方にとって、午後の試験は魅力的です。午後の受付は14時5分からなので、朝はそれほど早く起きる必要がありません。普段から夜型の生活を送っている方にとっては、自然なリズムで試験に臨めるでしょう。
時間に余裕を持って準備できる
午後の試験を選ぶと、当日の朝から余裕を持って準備することができます。忘れ物に気づいても対応する時間があり、交通機関のトラブルなどにも対処しやすくなります。
精神的な余裕を持って試験に臨めることは、特に初めてTOEICを受験する方にとって重要なポイントです。
体調管理がしやすい
午後の試験であれば、朝から体調を確認して調整する時間があります。例えば、頭痛や軽い不調があっても、朝から対処することで午後には回復している可能性があります。
また、朝食と昼食の両方をしっかり取ることで、エネルギー補給も十分にできます。
TOEIC午後受験のデメリット
午後の試験にも注意すべきデメリットがいくつかあります。以下の点を考慮した上で、選択を検討しましょう。
集中力の低下
人間の集中力は、一般的に時間が経つにつれて低下する傾向があります。午後3時から始まる試験では、特にリーディングセクションの後半で集中力が切れてしまう可能性があります。
デンマークの研究によると、午前8時以降、1時間ごとにテストの点数が平均約1%下がることが報告されています。午前と午後の時間差は約4時間40分なので、単純計算では約4.7%のスコア低下が予想されます。
休日が丸一日潰れる
午後の試験は15時から始まり、解散は17時15分頃です。つまり、一日中TOEICのために時間を割くことになります。午前中も試験のことを考えて過ごすことになるでしょうし、試験後は夕方になっていて、他の予定を入れにくくなります。
特に日曜日の試験では、翌日が仕事という方も多いため、休日を十分に楽しむことができなくなるかもしれません。
眠気のリスク
睡眠・覚醒リズムによると、起床から約8時間後(例えば6時起床なら14時頃)は眠気が生じやすい時間帯と言われています。午後の試験時間はちょうどこの時間帯と重なることがあり、試験中に眠気と戦うことになるかもしれません。
特に、昼食後の眠気も加わると、リスニングセクションでの集中力維持が難しくなる可能性があります。
疲労の蓄積
一日の活動を通して疲労は蓄積されていきます。午後の時間帯は、既に様々な活動で疲れが溜まっている可能性があり、それが試験のパフォーマンスに影響するかもしれません。
特に、試験前に様々な情報を詰め込もうとすると、脳が疲労してしまう恐れもあります。
TOEIC午前と午後の平均スコア比較
TOEICの公式データを見ると、一般的に午前の試験の方が平均スコアが高い傾向があります。例えば、直近5回の試験では、午前の平均スコアが午後よりも約2.6〜21.3点高かったというデータがあります。
回数 | 午前の平均スコア | 午後の平均スコア | 平均スコアの差 |
---|---|---|---|
2024/6/8 | 629.7点 | 608.4点 | 21.3点 |
2024/5/26 | 610.0点 | 607.4点 | 2.6点 |
2024/4/21 | 626.6点 | 614.0点 | 12.6点 |
2024/3/17 | 608.3点 | 598.6点 | 9.7点 |
2024/3/10 | 627.7点 | 622.2点 | 5.5点 |
ただし、このスコア差は試験の難易度の違いではなく、受験者の状態や環境による影響が大きいと考えられています。TOEICのスコアは統計処理により問題の難易度に関わらず現在の英語力が反映される仕組みになっています。
スコア差の原因分析
午前と午後の平均スコアに差がある理由としては、以下のような要因が考えられます。
- 午前は本気でTOEICに取り組んでいる社会人や熱心な学習者が多い可能性
- 午後は早起きしたくない大学生などの割合が高いかもしれない
- 時間帯による集中力の自然な変化
- 食事や体調管理の違い
つまり、単純に「午前の方がスコアが取りやすい」とは言い切れませんが、自分の最も集中できる時間帯を選ぶことが重要だと言えるでしょう。
TOEIC受験時間の自分に合った選び方
ここまで午前と午後それぞれのメリット・デメリットを見てきましたが、結局のところ、どちらが自分に合っているのでしょうか。以下のポイントを参考に、自分に最適な時間帯を選びましょう。
生活リズムを考慮する
まず最も重要なのは、あなた自身の生活リズムです。あなたは朝型ですか、それとも夜型ですか?
朝型の方で、朝は集中力が高いけれど、時間が経って午後になるとだんだん集中力が落ちるという方は、午前受験が向いています。反対に、朝は頭がボーっとしていて、午後から調子が上がってくるという方は、午後受験の方が合っているでしょう。
クロノタイプ(生まれつきの体内時計の傾向)は自分の意志で簡単に変えることは難しいと言われています。自分の特徴を受け入れ、それに合わせた選択をすることが大切です。
普段の学習時間に合わせる
普段どの時間帯に英語を勉強しているかも重要なポイントです。普段から朝早くに勉強している方は午前受験を、夜に勉強する習慣がある方は午後受験を選ぶと、いつもと同じ状態で試験に臨めます。
脳は習慣化された時間帯に最もよく働く傾向があります。突然違う時間帯に切り替えると、パフォーマンスが低下する可能性があります。
模擬試験で確認する
可能であれば、試験前に午前と午後の両方の時間帯で模擬試験を解いてみて、自分のパフォーマンスを比較してみることをおすすめします。
例えば、TOEIC公式問題集を使って、ある週末の午前中に一回、次の週末の午後に一回解いてみて、どちらが集中できてスコアが良かったかを確認してみましょう。
試験後の予定も考慮する
試験後の予定も選択の重要な要素です。午前に受験すれば午後は自由に使えますし、午後に受験すれば朝はゆっくりできます。あなたの週末の過ごし方や、翌日の予定なども含めて総合的に判断しましょう。
特に社会人の方は、貴重な週末をどう使いたいかという視点も大切です。試験後にリフレッシュする時間が必要か、それとも試験前に十分な準備時間が欲しいか、自分の優先順位を考えてみてください。
TOEICの午前・午後の選択についてよくある質問
TOEICの午前・午後の選択について、よくある質問とその回答をまとめました。
- 午前と午後で問題の難易度は違いますか?
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午前と午後では出題される問題は異なりますが、難易度は同じレベルになるように作成されています。TOEICは統計処理により、試験の難易度に関わらず現在の英語力が正確に反映されるようになっています。
そのため、どちらの時間帯を選んでも、問題の難易度によってスコアが大きく変わることはありません。ただし、あなた自身の集中力や体調によるパフォーマンスの差は出る可能性があります。
- 午前と午後の両方を同じ日に受けることはできますか?
-
いいえ、できません。TOEICの申し込み時点で午前か午後のどちらかを選択する必要があり、同じ日に両方受験することはできません。別の日程であれば、もちろん午前と午後の両方の経験を積むことは可能です。
- 抽選方式の場合、午前と午後どちらが当選確率が高いですか?
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公式には公表されていませんが、一般的に午後の方が申込者数が少なく、倍率が低い傾向にあるようです。ただし、地域や時期によって状況は異なります。
東京などの大都市では試験会場が多いため、ほぼ全員が当選しますが、地方では競争率が高くなる場合があります。2〜3回継続的に申し込めば、1回は当選する計算になるとも言われています。
- 当日の持ち物や注意点は時間帯によって違いますか?
-
基本的な持ち物(受験票、身分証明書、筆記用具など)は同じですが、午後受験の場合は昼食をどうするかを考える必要があります。また、午前受験では朝の交通機関の遅延リスクを考慮し、余裕を持った行動計画を立てるべきでしょう。
どちらの時間帯でも、試験開始の約30分前までに受付を済ませる必要があります。受付時間内に受付できない場合は受験不可となるので注意が必要です。
- 食事のタイミングはどうすべきですか?
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午前受験の場合は、試験前に軽めの朝食を取ることをおすすめします。消化に良いものを選び、カフェインは適度に摂取すると集中力アップに効果的です。
午後受験の場合は、試験の約2〜3時間前に昼食を取るのが理想的です。重たい食事は眠気を誘うので避け、タンパク質とビタミンを含むバランスの良い食事を心がけましょう。
- 体調管理のコツはありますか?
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どちらの時間帯を選んでも、試験の約1ヶ月前から本番と同じ生活リズムに調整し始めるのが効果的です。特に夜型の方が午前受験を選ぶ場合は、徐々に起床時間を早めていくことをおすすめします。
また、試験前日は十分な睡眠を取り、過度な飲酒や夜更かしは避けましょう。試験当日は水分補給を適切に行い、軽い運動で体をほぐすのも良いでしょう。
まとめ

TOEICの午前と午後、どちらを選ぶべきかについて詳しく解説してきました。最後に重要なポイントをまとめておきましょう。
- TOEICは午前(10:20〜12:20)と午後(15:00〜17:00)の2回実施されている
- 午前のメリットは脳のゴールデンタイムでの受験、集中力の高さ、午後の時間活用ができること
- 午前のデメリットは早起きが必要、寝坊リスク、朝が苦手な人には不向き
- 午後のメリットは朝の時間活用、早起き不要、時間的余裕、体調管理のしやすさ
- 午後のデメリットは集中力低下、休日の時間消費、眠気のリスク
- 統計的には午前の方が平均点が高い傾向があるが、個人差が大きい
- 最適な選択は自分の生活リズム(朝型か夜型か)と普段の学習習慣による
- 模擬試験で両方の時間帯を試してみるのも効果的
- 約1ヶ月前から試験時間に合わせた生活リズムに調整することが重要
結論として、「自分が最も集中できる時間帯を選ぶ」ことが最も重要です。統計データや一般論に惑わされず、自分自身の特性を理解し、それに合った選択をすることで、最高のパフォーマンスを発揮できるでしょう。
TOEICは英語力を測るテストですが、それだけでなく自己管理能力も試されています。自分に合った時間帯を選び、万全の状態で試験に臨んでください。あなたの英語学習の成果が最大限に発揮されることを願っています。