TOEICのスコアアップを目指す方にとって、Part5は効率的に点数を稼げる重要なパートです。特に英語初学者の方は、このパートでしっかり得点することで全体スコアをアップさせることができます。
この記事では、Part5の問題形式から時間配分のコツ、効果的な勉強法まで詳しく解説していきます。Part5対策を徹底して、目標スコア達成へのカギを掴みましょう。
TOEICのPart5とは?基本情報を知ろう

TOEICのPart5は、リーディングセクションの最初に登場する短文穴埋め問題です。1つの短い英文の中に空欄があり、4つの選択肢(A、B、C、D)から最も適切なものを選ぶ形式になっています。
Part5は全部で30問出題され、リーディングセクションの100問中の30%を占める重要なパートです。2016年5月以前の旧形式では40問出題されていましたが、現行の新形式では30問に減りました。問題数が減ったとはいえ、その重要性は変わりません。
問題形式と特徴
Part5の問題は短文の穴埋め問題です。ビジネスからアカデミックな内容まで、様々なテーマの英文が出題されます。問題の指示文には「以下の文では、それぞれ1つの単語またはフレーズが欠けています。文を完成させるために、4つの選択肢から最も適切な答えを選んでください」と書かれています。
例文
- 「Customer reviews indicate that many modern mobile devices are often unnecessarily _____ .」
(顧客レビューによると、多くの最新モバイルデバイスはしばしば不必要に_____であることが示されている)
選択肢
- (A)complication(複雑さ)
- (B)complicates(複雑にする)
- (C)complicate(複雑にする)
- (D)complicated(複雑な)
この例題の正解は(D)complicatedです。文脈からすると「モバイルデバイスが複雑である」という意味になるため、形容詞のcomplicatedが適切です。
問題数と時間配分
Part5は30問出題されます。リーディングセクション全体(Part5、6、7)の制限時間は75分ですが、Part5にかける理想的な時間は10〜12分程度です。つまり、1問あたり平均20秒ほどのペースで解いていくことが望ましいでしょう。
Part5にかける時間を短縮できれば、後半のPart6や特に難易度の高いPart7により多くの時間を使うことができます。Part5は全体の30%を時間にして約13〜15%程度で終わらせるスピード感が理想的です。
Part5の問題パターンを理解しよう
Part5の問題は大きく分けて3つのパターンに分類できます。これらのパターンを理解することで、問題を素早く見極め、効率的に解答することができます。
語彙問題
語彙問題は、単語の意味を正確に理解しているかを問う問題です。空欄に入れるのにふさわしい単語を選択肢から選びます。
例文
- 「All clothing sold in Develyn’s Boutique is made from natural materials and contains no _____ dyes.」
(Develyn’s Boutiqueで販売されている全ての服は自然素材で作られており、_____染料を含んでいない)
選択肢
- (A)immediate(即時の)
- (B)synthetic(人工的な)
- (C)reasonable(合理的な)
- (D)assumed(想定された)
この問題の正解は(B)syntheticです。文脈から「自然素材」の対比として「人工的な染料」が入るのが適切です。
語彙問題は、文全体の意味を理解する必要があるため、全文をしっかり読むことが重要です。似た意味の単語が選択肢に並んでいることも多いので、単語のニュアンスの違いも理解しておく必要があります。
品詞問題
品詞問題は、空欄に入る単語の適切な品詞(名詞、動詞、形容詞、副詞など)を選ぶ問題です。選択肢には同じ語幹で語尾だけが異なる単語が並びます。
例文
- 「Gyeon Corporation’s continuing education policy states that _____ learning new skills enhances creativity and focus.」
(Gyeonコーポレーションの継続教育方針によると、_____新しいスキルを学ぶことは創造性と集中力を高める)
選択肢
- (A)regular(規則的な:形容詞)
- (B)regularity(規則性:名詞)
- (C)regulate(規制する:動詞)
- (D)regularly(定期的に:副詞)
この問題の正解は(D)regularlyです。空欄の後に動名詞「learning」が来ているため、それを修飾できる副詞が適切です。
品詞問題は、空欄の前後を確認するだけで解けることが多いです。例えば、名詞の前には形容詞が来ることが多く、動詞の前後には副詞が来ることが多いという基本的な文法知識を活用して解きます。
文法問題
文法問題は、前置詞、接続詞、代名詞、比較級など、様々な文法知識を問う問題です。
例文
- 「_____ of the packages show evidence of damage due to improper handling.」(荷物の_____は不適切な取り扱いによる損傷の跡を示している)
選択肢
- (A)Several(いくつかの)
- (B)Whichever(どれでも)
- (C)Something(何か)
- (D)Every(すべての)
この問題の正解は(A)Severalです。文の動詞が複数形の「show」であるため、主語も複数形でなければなりません。Severalは複数形の名詞と共に使われるので、文法的に正しいです。
文法問題を解くには、英文法の基本的なルール(時制、主語と動詞の一致、関係詞の用法など)を理解しておく必要があります。
Part5の効率的な解き方のコツ
Part5を効率的に解くためには、問題パターンごとの解き方のコツを理解し、時間配分を最適化することが重要です。
最適な時間配分
リーディングセクションの制限時間は75分間で、Part5に使う理想的な時間は10〜15分程度です。つまり、1問あたり約20〜30秒で解く計算になります。
この時間配分を実現するためには、問題の難易度に応じて時間を調整することが大切です。簡単な問題(特に品詞問題など)は5〜15秒程度で解き、難しい問題(語彙問題など)には少し多めの時間をかけるといった工夫をしましょう。
また、30秒考えてもわからない問題は、一度飛ばして後回しにするのも効果的です。時間内に全問解答することを優先し、余った時間で難しい問題に取り組むとよいでしょう。
全文を読むべきか?空欄前後だけでいいのか?
「問題文は全て読むべきか、それとも空欄の前後だけ見れば十分か」という疑問をよく聞きます。答えは「問題のタイプによる」です。
品詞問題は空欄の前後を確認するだけで解けることが多いです。例えば、be動詞の後には名詞や形容詞が来ることが多く、名詞の前には形容詞が来るといった基本ルールを知っていれば、全文を読まなくても判断できます。
一方、語彙問題は文脈を理解する必要があるため、全文をしっかり読む必要があります。特に、似た意味を持つ単語が選択肢に並んでいる場合は、文全体の意味から最適な単語を選ぶ必要があります。
最初は全文を読む習慣をつけ、慣れてきたら問題のタイプに応じて読み方を変えるとよいでしょう。
スピードアップのテクニック
Part5の解答スピードを上げるための具体的なテクニックをいくつか紹介します。
- 選択肢を先に確認する:問題文を読む前に選択肢を見ることで、何が問われているのかを把握し、問題文を読む際の焦点を絞ることができます。
- 問題パターンを素早く見極める:選択肢を見た時点で、それが語彙問題なのか品詞問題なのか文法問題なのかを判断します。例えば、同じ語幹で語尾だけが異なる選択肢が並んでいれば品詞問題と判断できます。
- 解きやすい問題から取り組む:品詞問題など解きやすい問題を先に解き、時間を確保した上で難しい問題に取り組むとよいでしょう。
- 読むスピードを上げる訓練をする:日頃から英文を音読する練習をすることで、読解スピードを向上させることができます。
Part5の効果的な勉強方法
Part5のスコアを効率的に上げるためには、語彙力と文法力の強化が不可欠です。ここでは、それぞれを効果的に強化する方法を紹介します。
語彙力強化の方法
Part5の語彙問題対策には、TOEIC頻出単語の学習が効果的です。以下のような方法で語彙力を強化しましょう。
- TOEIC専用の単語帳を活用する:TOEICでは特定分野の単語(ビジネス、旅行、広告など)が頻出します。TOEIC専用の単語帳で効率よく学習しましょう。
- 単語の品詞も一緒に覚える:「success(名詞)」「successful(形容詞)」「successfully(副詞)」のように、同じ語幹から派生する異なる品詞も一緒に覚えると効率的です。
- 熟語やイディオムも学習する:単語単独の意味だけでなく、「動詞+前置詞」の組み合わせ(句動詞)なども重要です。例えば「look for(探す)」「look after(世話をする)」など、前置詞によって意味が全く変わる表現も多いので、注意して学習しましょう。
- 単語を文脈の中で理解する:単に単語の意味を覚えるだけでなく、実際の例文の中で使い方を理解することが大切です。
文法力強化の方法
Part5の文法問題対策には、基本的な英文法の理解が必要です。以下のような方法で文法力を強化しましょう。
- 基本的な文法ルールを復習する:品詞の役割、時制、態(能動態・受動態)、関係詞など、基本的な文法項目を再確認します。
- TOEIC頻出の文法項目に絞って学習する:TOEICでは特に、前置詞の用法、時制、比較級・最上級、関係詞などが頻出します。これらを重点的に学習しましょう。
- 問題を解きながら文法を学ぶ:単に文法ルールを暗記するのではなく、実際の問題を解くことで応用力を養います。間違えた問題は丁寧に復習し、同じミスを繰り返さないようにしましょう。
実践的なトレーニング法
知識だけでなく、実践的なトレーニングも重要です。以下のような方法で実践力を養いましょう。
- 時間を計って問題を解く:実際のテスト環境に近い状態で練習することで、時間配分の感覚を養います。最初は1問30秒程度から始め、徐々に20秒を目指しましょう。
- 間違えた問題を分析する:単に答え合わせをするだけでなく、なぜ間違えたのかを分析し、自分の弱点を把握します。
- 解き方のプロセスを明確にする:「問題を見たら、まず選択肢を確認し、問題のタイプを判断する→空欄の前後を確認する→必要に応じて全文を読む→答えを選ぶ」といったプロセスを意識して問題を解きましょう。
- 音読練習を取り入れる:問題文を音読することで、文構造の理解を深め、読解スピードも向上します。
TOEIC初心者にありがちなPart5の間違いと対策
英語初学者がPart5対策で陥りがちな間違いとその対策を紹介します。
語彙力だけに頼りすぎる
単語の意味を知っているだけでは、Part5の問題を全て解くことはできません。文法の知識や、問題の解き方のテクニックも同様に重要です。
文脈を無視して単語を選ぶ
語彙問題では、単語の意味だけでなく、文脈に合った単語を選ぶ必要があります。例えば、「fast」と「quick」はどちらも「速い」という意味ですが、使われる状況が異なります。
品詞の基本を理解していない
品詞問題は比較的解きやすい問題ですが、品詞の基本的な知識(名詞、動詞、形容詞、副詞など)がないと解くことができません。
時間配分が適切でない
Part5に時間をかけすぎると、後半のPart6、7に時間が足りなくなる恐れがあります。逆に、焦って問題を読み飛ばすと、簡単な問題でも間違えてしまう可能性があります。
わからない問題に時間をかけすぎる
1つの問題に固執して時間をかけすぎると、全体の時間配分が狂ってしまいます。
TOEIC Part5に関するよくある質問
Part5対策に関するよくある質問と回答をまとめました。
- Part5の問題はすべて全文を読むべきですか?
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問題のタイプによります。品詞問題のような一部の問題は、空欄の前後だけを確認すれば解けることが多いです。一方、語彙問題は文全体の文脈を理解する必要があるため、全文を読むことをおすすめします。問題のタイプを素早く見極め、それに応じたアプローチをとるのが効率的です。
- Part5で最低限覚えるべき単語数はどれくらいですか?
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TOEIC頻出単語を中心に、約2000~3000語を目安に覚えるとよいでしょう。ただし、単に単語数を増やすだけでなく、頻出単語や重要単語を優先的に覚え、それらを文脈の中で使えるようになることが大切です。
- Part5の点数を効率的に上げるためには、どの問題タイプから対策すべきですか?
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まずは品詞問題から対策することをおすすめします。品詞問題は比較的解きやすく、基本的な文法知識があれば正答率が高くなります。品詞問題に慣れたら、次に文法問題、最後に語彙問題と段階的に対策を進めるとよいでしょう。
- Part5で時間が足りなくなってしまいます。どうすれば時間内に解けるようになりますか?
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時間短縮のためには、以下の方法を試してみてください。
- 問題のパターンを素早く見極める練習をする
- 品詞問題などの解きやすい問題は素早く解答する
- 難しい問題は後回しにして、解ける問題から解いていく
- 定期的に時間を計りながら練習問題を解く
- Part5の対策に効果的なアプリや学習ツールはありますか?
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TOEIC公式のサンプル問題や、TOEIC対策専用のアプリ、オンライン学習サイトなどが有効です。また、スマートフォンの隙間時間に単語を覚えられる単語帳アプリも便利です。信頼性の高い問題を提供しているサービスを選ぶことをおすすめします。
まとめ

TOEIC Part5対策のポイントを以下にまとめます。
- Part5は短文穴埋め問題で30問出題され、リーディングセクション全体の30%を占める重要なパートです
- 理想的な解答時間は10~15分(1問あたり平均20~30秒)です
- 問題パターンは大きく「語彙問題」「品詞問題」「文法問題」の3つに分類できます
- 品詞問題は空欄の前後を確認するだけで解ける場合が多く、時間短縮につながります
- 語彙問題は文脈を理解する必要があり、文全体を読むことが重要です
- 効率的な学習のためには、TOEIC頻出の単語と文法項目を優先的に学ぶことがおすすめです
- 時間を計りながら問題を解く練習をすることで、本番での時間配分の感覚を養いましょう
- わからない問題に時間をかけすぎず、解ける問題から解いていくことが重要です
- 単語の暗記だけでなく、文法の理解や問題演習もバランスよく行いましょう
TOEICのPart5はパターンを理解して効率的に解けば、リーディングセクション全体のスコアアップにつながります。特に英語初学者の方は、まずはPart5でしっかり点数を取れるように対策することで、自信をつけていきましょう。
継続的な学習と実践を通じて、着実にスコアアップを目指していきましょう!