TOEICのリーディングセクションで高スコアを目指すには、精読(内容を正確に深く理解する読み方)と速読(必要な情報を素早く読み取る読み方)の両方を効果的に使いこなすことが不可欠です。
75分間で100問という厳しい時間制限の中で、正確に内容を理解しながらも速く読み進める必要があるからです。
しかし、多くの受験者が「精読に時間をかけすぎて最後まで解けない」あるいは「速読を意識しすぎて内容が頭に入らない」という問題に直面しています。
本記事では、この二つのスキルをどのように両立させるか、英語初学者の方でも実践できる精読と速読のバランスの取り方について、具体的な方法と注意点を詳しく解説します。
このバランスをマスターし、スコアアップを実現しましょう。
TOEICのリーディングにおける精読と速読とは?基本を理解する

TOEICのリーディングセクションで高得点を取るためには、「速く読む力」と「正確に読む力」の両方が不可欠です。
時間制限という厳しい条件の中で、すべての問題を正確に解き終えるには、精読(正確な理解)と速読(スピード)のバランスが鍵となります。
このセクションでは、TOEICリーディング対策の土台となる「精読」と「速読」それぞれの基本的な特徴と役割を解説します。
これらは対立するスキルではなく、相互に補完し合う関係にあることを理解し、効果的な学習の順序を明確にしましょう。
精読と速読は相互に補完し合う関係
精読と速読のバランスを取る前に、まずそれぞれの読み方の特徴と役割を正しく理解することが重要です。この2つの読み方は対立するものではなく、相互に補完し合う関係にあります。
TOEICのリーディングでは、問題を正確に解くために内容を理解する必要がありますが、同時に時間制限という厳しい条件もあります。精読は正確な理解を担保し、速読は時間内に解き終えるための読み方です。
両方をバランスよく使い分けることで、正解率と解答スピードを同時に向上させることができます。初学者の方は「速く読まなければ」という焦りから、いきなり速読を試みてしまうことがあります。
しかし、精読の基礎ができていない状態での速読は、文字を目で追っているだけで内容が頭に残らない「上滑り現象」を引き起こします。
まずは精読で英文構造を理解する力を養い、その後に速読のスキルを積み上げていくという順序が大切です。
精読の特徴と効果
精読とは、英文を一文ずつ丁寧に読み、単語・文法・文構造を正確に理解していく読み方です。
わからない単語があれば調べ、文の主語・動詞・目的語などの関係を確認しながら、文章全体の意味を深く理解します。
英文を正確に読めるようになる
精読の最大の効果は、英文を正確に読めるようになることです。文法構造を意識して読む練習を繰り返すことで、複雑な文でも主語と動詞の関係を見抜けるようになります。
関係代名詞や分詞構文などが含まれる長文でも、どの部分が何を修飾しているのかを正しく把握できるようになるため、誤読が減少します。
知識の定着と実践的な理解
精読によって単語や文法の知識が定着しやすくなります。単語帳で機械的に覚えるよりも、文章の中で単語の使われ方を確認することで、その単語のニュアンスや用法まで理解できます。
同様に、文法も実際の英文の中で確認することで、理論だけでなく実践的な理解が深まります。
読解スピードの土台を築く
精読は、一見矛盾しているように思えますが、最終的に読解スピードの向上にもつながります。精読を繰り返すことで文構造を瞬時に把握する力が鍛えられます。
英語の文構造が頭に刻まれると、初見の英文でも文の展開を予測しながら読めるようになり、結果として読むスピードが速くなるのです。
速読の特徴と必要性
速読とは、文章を速く読みながら大意や要点を把握する読み方です。
TOEICのリーディングセクションでは、Part7だけで54問あり、制限時間内にすべて解き終えるためには速読のスキルが必須です。
短時間で多くの情報を処理する
速読の目的は、短時間で多くの情報を処理することです。TOEICで高得点を目指す場合、Part7に十分な時間を確保するには、1分間に約150語のペースで英文を読むことが求められます。
このスピードを実現するには速読の技術が不可欠です。
全体の流れや構造を把握する
速読では、すべての単語を完璧に理解しようとするのではなく、文章全体の流れや構造を把握することを重視します。各段落の主題や文章の論理展開を素早くつかむことが目標です。
特にTOEICでは、設問に答えるために必要な情報だけを効率的に見つける能力が求められます。
速読は精読の上に成り立つ
ただし、速読には前提条件があります。基礎的な単語力と文法力がないまま速読を試みても、文字を目で追っているだけで内容が理解できません。
速読は精読で培った読解力の上に成り立つスキルであり、両者は切り離せない関係にあります。
通読・スキミング・スキャニングの違い
精読と速読以外にも、英文を読む方法にはいくつかの種類があります。
それぞれの特徴を理解することで、TOEICの設問形式や目的に応じた適切な読み方を選択できるようになります。
| 読み方 | 目的 | 特徴 | TOEICでの活用例 |
| 通読 | 英文全体をざっくりと読んで大まかな内容を把握する | 精読と速読の中間的な読み方。全体の流れを把握したいときに有効。 | 文章を読み始める際の準備段階。 |
| スキミング | 文章の要点(主題・結論)をすくい取るように読む | 各段落の最初と最後の文などに注目し、素早く全体像をつかむ。 | Part7で「この文章の目的は何か」といった全体把握を問う問題。 |
| スキャニング | 文中から特定の情報だけを探し出す | 人名・日時・場所・数字など、設問で問われている具体的な情報を探す。 | 「いつミーティングが開催されるか」「誰が担当者か」といった詳細情報を問う問題。 |
精読のやり方と実践ステップ
精読は、単語や文法、文構造を深く理解し、英語の基礎力と読解力を向上させるための非常に効果的な学習法です。
ここでは、TOEICの英文を題材に、精読の効果を最大限に引き出すための具体的な手順と実践ステップを段階的に解説します。
正しい方法で継続的に取り組むことで、あなたの英語力は着実に伸びていくでしょう。
精読とは何か?—ゆっくり読むことではない
精読は単に時間をかけてゆっくり読むことではありません。
- 明確な目的: 文構造を分析し、単語や文法を確認し、文章全体の意味を深く理解するという明確な目的を持って取り組みます。
- 基礎力の向上: この過程を丁寧に行うことで、英語の骨格となる文法力、語彙力、そして構造理解力が着実に向上します。
精読に取り組む際は、TOEIC公式問題集や信頼できる参考書の英文を使いましょう。
TOEICの問題は非常に精巧に作られており、質の高い英文で練習することが、スコアアップへの近道です。
文構造を正しく理解する
精読の第一歩は、文の構造を正確に把握することです。
英文は主語・動詞・目的語・補語・修飾語という要素で構成されており、この構造を理解することが、正確な意味把握の鍵となります。
主語(S)と動詞(V)を見つける
まず、文の骨格となる主語と動詞を見つけましょう。主語が何で、その主語が何をしている(またはどんな状態にある)のかを明確にします。
英語では主語と動詞の位置が比較的固定されているため、この2つを素早く見つける訓練が重要です。
目的語・補語と修飾語の関係を把握する
- 目的語・補語の確認: 動詞の後ろに目的語や補語があるかを確認します。目的語は動詞の対象、補語は主語や目的語を説明するものです。
- 修飾語の分析: 前置詞句や関係代名詞節などの修飾語が「どこを」「どのように」修飾しているのかを把握します。これらの関係を正しく理解することで、複雑な文でも正確に意味を取れるようになります。
文型を意識して構造を明確にする
英文は第一文型から第五文型までの基本パターンで構成されています。文型を判断することで文の構造が明確になります。
この訓練を繰り返すことで、初見の文でも構造を瞬時に把握できるようになります。
わからない単語と文法を確認する
文構造の把握ができたら、次はわからない単語や文法を丁寧に調べます。
この作業を省略すると、精読の効果が半減してしまいます。
単語は意味だけでなく「使い方」も確認する
わからない単語があれば、必ず辞書で意味を調べましょう。その際、以下の点も一緒に確認します。
- 品詞、用法、コロケーション: 単語の意味だけでなく、品詞や文の中での用法、そしてコロケーション(一緒に使われやすい単語)を確認します。
- 実践的な知識: 文章の中で単語を確認することで、その単語がどのように使われるのかという実践的な知識が身につきます。
文法項目はその「役割」を理解する
使われている文法項目が理解できない場合は、文法書で確認します。
- 具体例で考える: 例として、現在完了形が使われていれば、「なぜ現在完了が適切なのか」を考えます。
- 役割と意味の理解: 受動態、関係代名詞、分詞構文など、文法項目ごとにその役割と意味を理解することで、文法の知識が定着していきます。
調べた内容はノートにまとめて復習に活かす
調べた単語や文法は、ノートやスマートフォンのメモ機能にまとめておくと効果的です。
間違えた箇所や理解が曖昧だった部分をリスト化しておけば、試験直前の見直しやスキマ時間の復習に活用できます。
英文を前から理解する訓練
精読では、英文を英語の語順のまま、前から理解する訓練が重要です。
日本語の語順に合わせて後ろから訳す「返り読み」は、読むスピードとリスニング力の向上を妨げます。
チャンクリーディングで意味のかたまりを捉える
チャンクリーディングは、英文を意味のかたまり(チャンク)ごとに区切って、前から順番に理解していく方法です。
- 例: 「The baseball player / in this old picture / is my grandfather」というように、意味のかたまりごとに前から理解していきます。
- 効果: 英語を英語の語順で理解する感覚が養われ、読むスピードが格段に向上します。
スラッシュリーディングで区切りを意識する
スラッシュリーディングは、文章の区切り目にスラッシュを入れながら読む方法で、チャンクリーディングとほぼ同じ技術です。
前置詞、接続詞、関係代名詞の前などでスラッシュを入れ、そのかたまりごとに意味を把握します。
継続することで、返り読みをせずに前から理解できるようになり、リスニング力にも良い影響があります。
精読の後に音読と再読を行う
精読で文章の内容を完全に理解したら、その英文を音読し、さらに何度も再読することで知識を定着させます。
理解した内容を繰り返しインプットすることで、単語や文法、文構造が長期記憶として定着します。
音読:口と耳を使って記憶を促進する
- 実践方法: 一文ずつ声に出して読み、内容をイメージしながらスムーズに読めるまで繰り返します。
- 効果: 目だけでなく口と耳も使うため、記憶の定着が促進されます。また、英語のリズムや発音に慣れることができ、リスニング力の向上にもつながります。
再読:流暢に読めるまで繰り返す
- 実践方法: 文章全体を頭から最後まで一気に読み直します。精読と音読で文章理解が進んでいるため、再読ではスムーズに読み進められるはずです。
- 回数: 10回から20回程度繰り返すと効果的です。一度に全部ではなく、一日5回など、分けて取り組むことで無理なく継続できます。
精読、音読、再読という一連のステップを復習のルーチンに組み込むことで、学んだ文法知識や語彙が確実に定着し、新たな問題でもその力を活かせるようになります。
速読のやり方と効果的なトレーニング方法
精読で英文を正確に理解する力を養ったら、次のステップとして速読のスキルを磨いていきましょう。
速読は精読という強固な基礎の上に成り立つため、基礎ができていない段階で速読を試みても効果は薄いと心得ておく必要があります。
速読を習得するためには、段階的なトレーニングが不可欠です。いきなり難解な英文を速く読もうとするのではなく、自分のレベルに合った英文から始め、徐々にスピードを上げていくことが重要です。
速読トレーニングで求められるのは、「理解度を保ちながらスピードを上げる」というバランスです。単に速く読むことだけに集中して内容が頭に入らなければ意味がありません。
常に理解度を確認しながら、一歩ずつスピードアップを図っていきましょう。
簡単な英文で多読の習慣をつける
速読力を高める最も効果的な方法の一つが、簡単な英文をたくさん読む「多読」です。自分のレベルよりやや易しい英文を大量に読むことで、英語を英語のまま理解する感覚が養われ、読むスピードが自然と向上します。
多読を行う際のポイントは、わからない単語があっても辞書を引かずに読み進めることです。前後の文脈から意味を推測し、大まかな内容を把握することを重視します。
この訓練を繰り返すことで、一つ一つの単語にこだわらず、文章全体の流れをつかむ力が育ちます。
教材としては、語彙数を制限した読み物である「グレーデッドリーダー」や、TOEICのPart3やPart4のスクリプトが適しています。
リスニングセクションの英文は、リーディングセクションに比べて文構造が比較的シンプルで、返り読みの癖を矯正するのにも効果的です。
一日15分程度でも構いませんので、継続することが大切です。毎日英語に触れる時間を確保し、読む量を徐々に増やしていきましょう。
短期間では劇的な変化は感じられないかもしれませんが、2週間から3週間続けると、英文を読むスピードが明らかに向上していることに気づくはずです。
スキミングとスキャニングを使い分ける
TOEICのPart7のようにすべての英文を精読する時間がない状況では、設問の種類に応じてスキミングとスキャニングを使い分けることで、効率的に正解を導き出すことができます。
| 読み方 | 目的 | 有効な問題 | 主な着眼点 |
| スキミング | 文章全体の目的や主張を素早く把握する | 要約や主題を問う問題 | 各段落の最初と最後の文、文章全体の最初と最後の段落 |
| スキャニング | 特定の具体的な情報を探し出す | 詳細情報を問う問題 | 設問のキーワードやその言い換え表現 |
スキミングは、文章全体の目的や主張を問う問題に有効です。英語の文章では、重要な情報が段落や文章の冒頭と末尾に置かれることが多いため、これらの部分に注目することで要点を素早く把握できます。
スキャニングは、具体的な情報を問う問題に使います。設問を先に読んで、何を探すべきかを明確にしてから本文を読みます。
ただし、設問のキーワードが本文でそのまま使われているとは限らないため、「reschedule」が「put off」や「postpone」のように言い換え表現を理解することも重要です。
類義語や言い換え表現の知識を増やすことで、スキャニングの精度が向上します。
WPMを意識した速読トレーニング
速読力を客観的に測る指標として、WPMが役立ちます。WPMとは「Words Per Minute」の略で、1分間に読める単語数を表します。自分のWPMを把握し、目標を設定することで、計画的に速読力を向上させることができます。
TOEICのリーディングセクションを時間内に解き終えるためには、一般的に1分間に約150語のスピードが必要とされています。900点以上を目指す場合は、さらに速い読解スピードが求められます。
まずは現在の自分のWPMを測定し、目標とのギャップを認識することから始めましょう。
WPMを測定する方法は簡単です。英文の総単語数を数え、その英文を読むのにかかった時間を計測します。
『WPM = 総単語数÷読了にかかった分数』という式でWPMが算出できます。定期的に測定することで、速読力の向上を実感できます。
速読トレーニングでは、制限時間を設けることが効果的です。たとえば、TOEICの英文記事を5分で読むと決めて、その時間内に内容の70パーセントから80パーセントを理解することを目標にします。
完璧に理解しようとせず、前に進むことを意識することが速読のコツです。
返り読みを防止するテクニック
速読の最大の障害となるのが返り読みです。英文を一度前から読んだ後、日本語の語順に合わせて後ろから訳し直してしまう癖は、読むスピードを著しく低下させます。
この癖を矯正することが、速読力向上の鍵となります。
返り読みを防ぐ効果的な方法の一つが、音声を使った訓練です。リスニング音声を流しながらスクリプトを目で追うことで、前から順番に理解する感覚が養われます。
音声は巻き戻せないため、強制的に前から理解せざるを得ない状況を作り出すことができます。
具体的な手順は以下の通りです。
- 精読: リスニングセクションのスクリプトを、単語や文法を確認しながら完全に理解する(この段階では返り読みをしてもよい)。
- 音読: 返り読みをせずに何度もスクリプトを読み、前から理解する訓練をする。
- 音声に合わせる: リスニング音声を流しながらスクリプトを目で追い、前から理解する感覚を定着させる。
また、シャドーイングも返り読み防止に効果的です。英語の音声に続いて同じように発音する訓練で、一定のリズムで文を追わなければならないため、テンポの良い読解力が養われます。
音声を真似ることで、英語の語順やリズムに慣れ、読むスピードが自然と向上します。
精読と速読のバランスを取る実践的な戦略
TOEICのスコアアップを目指す上で、英文の正確な理解を促す「精読」と、処理速度の向上に欠かせない「速読」は、どちらも欠かせないスキルです。
しかし、この二つのスキルをどのように組み合わせて学習すれば良いのか、具体的な方法で迷う方も多いでしょう。
ここでは、TOEICのスコアレベル別、およびパート別の最適な学習バランスと、効果的な学習の段階的な進め方について、実践的な戦略を具体的に解説します。
現在の実力と目標に合わせて、精読と速読を使い分ける力を身につけましょう。
スコア別の学習バランス:段階的なアプローチ
精読と速読のバランスは、現在のスコアレベルや目標スコアによって変える必要があります。
初級者は精読を重視し、上級者になるほど速読の比重を高めていくという段階的なアプローチが効果的です。
| スコアレベル | 学習の重点 | 精読の割合 | 速読の割合 | ポイント |
| 400〜600点(初級者) | 精読を最優先 | 80〜90% | 10〜20% | 文構造の正確な理解と基礎力養成に集中。 |
| 600〜800点(中級者) | 精読と速読を併用 | 60% | 40% | 基礎力を活かし、速読の訓練を取り入れ始める。 |
| 800点以上(上級者) | 速読の比重を高める | 40% | 60% | スピードアップが最大の課題。難易度の高い英文は精読で知識を補強。 |
TOEIC400点から600点レベル:精読を最優先
この段階では、基礎的な単語力と文法力が不足しているため、速読を試みても内容を理解できません。学習時間の80〜90%を精読に充て、英文の構造を正しく理解する力を養うことが最優先です。
TOEIC公式問題集の英文を使って、一文ずつ文構造を分析し、単語や文法を徹底的に調べて理解を深めましょう。
TOEIC600点から800点レベル:精読と速読の併用
基礎的な読解力がついてきたため、速読の訓練を取り入れ始めます。学習時間の配分は、精読が60%、速読が40%程度が目安です。
精読で文構造の理解を深めたら、同じ英文を使って制限時間を設けて速く読む訓練を行います。これにより、理解度を保ちながらスピードを上げる感覚をつかめます。
また、簡単な英文の多読(大量に読むこと)も取り入れ、英語を英語のまま理解する訓練を積み重ねます。
TOEIC800点以上の上級者:速読の比重を高める
基礎的な読解力は身についているため、読むスピードを上げることが最大の課題です。学習時間の配分は、精読が40%、速読が60%程度が適切です。
ただし、難易度の高い英文や新しい語彙が含まれる文章では、引き続き精読で正確に理解することが重要です。精読で新たな知識を吸収し、速読で実践的なスピードを維持するというバランスが理想的です。
パートごとの読み方の使い分け
TOEICのリーディングセクション(Part5, Part6, Part7)は、それぞれ問われるスキルが異なるため、最適な読み方も異なります。
パートごとの特性を理解し、適切な読み方を選択することが高得点への近道です。
Part5(短文穴埋め問題)
- 読み方:速読的なアプローチ
- 目標:1問あたり20秒程度
- 文法的に正しいかどうかを素早く判断するため、必要な部分だけを精読し、それ以外は速読で処理します。全文を読むことも基本ですが、素早い判断が求められます。
Part6(長文穴埋め問題)
- 読み方:速読と精読のメリハリ
- 目標:一つの文章につき2分程度
- 基本的には全文を読んで回答しますが、設問と選択肢を先読みすることで、どの情報に注目すべきかが分かり、効率化できます。
Part7(長文読解問題)
- 読み方:設問の種類に応じた使い分けが必須
- 最も精読と速読のバランスが重要になります。
- 文章全体の目的を問う問題:スキミング(全体把握の速読)
- 具体的な情報を問う問題:スキャニング(特定情報の探し出し)
- 詳細な内容理解が必要な問題:該当部分を精読
学習段階に応じた取り組み方
精読と速読のバランスは、学習の進行段階(初期、中期、仕上げ)によっても変化させることで、より効果的な学習計画が立てられます。
- 目標:英文を正確に理解する力をつける。
- 実践:TOEIC公式問題集を使い、一文ずつ丁寧に精読し、単語や文法を徹底的に調べる。音読や再読も取り入れ、知識を定着させる。焦らず、一つの英文を完全に理解してから次に進む姿勢が大切です。
- 目標:「質」(精読)と「量」(速読)のバランスを意識する。
- 実践:精読で完全に理解した英文を、制限時間を設けて速く読む練習をする。また、簡単な英文の多読を取り入れ、読む量を増やしていく。
- 目標:時間配分の感覚を養い、総合的な読解力を完成させる。
- 実践:時間を計りながら模擬試験形式で問題を解く。間違えた問題や理解が曖昧だった部分は精読で復習し、知識の穴を埋める。本番を想定した速読の訓練と、弱点補強の精読を組み合わせます。
時間配分を意識した練習方法
TOEICのリーディングセクションで高得点を取るためには、適切な時間配分が不可欠です。
制限時間内に全問解き終える訓練を積みましょう。
理想的な時間配分(合計75分)
- Part5:10分
- Part6:10分
- Part7:55分
- ポイント:問題数が多く難易度も高いPart7に多くの時間を残すことが重要です。
練習の進め方
- タイマーを使用し、各パートに制限時間を設けて問題を解く練習を繰り返します。
- 最初は時間内に終わらなくても、徐々に解けるようになることを目指します。
- 時間が足りない場合は、どこに時間がかかっているのかを分析し、改善策を考えましょう。
- 理解度を70〜80%程度維持しながら、少しずつスピードアップしていくという段階的なアプローチが効果的です。時間を意識しすぎて内容が理解できなければ本末転倒です。
精読と速読に関するよくある間違い
精読と速読のスキルは、英語学習、特にTOEIC対策において欠かせない要素です。この2つのスキルをバランス良く習得することが目標となりますが、その過程で多くの学習者が陥りがちな間違いがあります。
誤った学習方法を続けても成果は出にくく、場合によっては悪い癖がついてしまいます。ここでは、効率的な学習を妨げる「精読と速読に関するよくある間違い」とその具体的な対策を紹介します。
自分の学習方法を振り返り、当てはまる点がないか確認してみましょう。これらの間違いを避けることで、両方のスキルを効果的に伸ばすことができます。
精読なしでいきなり速読を始める
最も多い間違いが、精読の基礎ができていない段階で速読を始めてしまうことです。「TOEICは時間が足りない」という情報から、焦って速読の訓練を始める人がいますが、これは非常に非効率的です。
問題点 精読なしの速読は、文字を目で追っているだけで内容が頭に残らない「目が滑る」状態を引き起こします。
単語の意味が分からない、文構造が理解できていない状態で速く読もうとしても、表面的な理解しかできず、設問に答えることはできません。基礎的な読解力がない段階では、まず精読に集中すべきです。
対策
- TOEIC 700点未満の方は精読を最優先し、基礎的な読解力をつけることに専念しましょう。
- 一文一文を丁寧に理解し、文構造を把握する訓練を積み重ねることで、速読の土台が作られます。
- 文構造をしっかり理解できるようになってから、徐々に速読の訓練を取り入れるという段階的なアプローチが効果的です。遠回りのように感じるかもしれませんが、精読で基礎を固めることが速読力向上の最も確実な方法です。
速読ばかりで精読をおろそかにする
逆に、上級者に多い間違いが、速読ばかりに偏って精読をおろそかにすることです。ある程度英文が読めるようになると、「精読は必要ない」と考えてしまう人がいますが、これも問題です。
問題点 精読は新しい語彙や文法を学ぶための重要な手段です。速読だけでは、知らない単語や複雑な文構造を深く理解することができません。
特に、難易度の高い英文や専門的な内容の文章では、精読による丁寧な理解が必要です。また、精読を継続することで、読解力の質が向上し、細部まで正確に理解する力が維持されます。
対策
- 上級者でも定期的に精読の時間を設けることが推奨されます。
- 新しい英文や難しい内容の文章に出会ったときは、精読で丁寧に理解する習慣をつけましょう。
- 速読と精読の比率を完全に固定せず、状況に応じて柔軟に調整することが大切です。両方のスキルをバランスよく維持することで、総合的な読解力が高まります。
単語を一つ一つ訳しながら読む
精読の段階で陥りがちな間違いが、英文を日本語に訳しながら読むことです。特に初学者は、単語を一つ一つ日本語に置き換えて理解しようとしますが、これは効率的ではありません。
問題点 英語と日本語では語順が異なるため、日本語に訳しながら読むと返り読みが習慣化してしまいます。英文を前から読んで、後ろから日本語に訳し直すという作業を繰り返すことになり、読むスピードが著しく低下します。
また、リスニング力の向上も妨げられます。精読の目的は、英語を英語の語順で理解することです。
対策
- チャンクリーディングやスラッシュリーディングを使って、意味のかたまりごとに前から理解していく訓練が重要です。
- 日本語に訳すとしても、できるだけ英語の語順に近い形で理解するよう心がけましょう。
- リスニング音声を聞きながらスクリプトを目で追うなど、音声を使った訓練が効果的です。前から理解する感覚が養われます。
- 簡単な英文の多読を取り入れることで、英語を英語のまま理解する習慣が身につきます。
同じ問題を繰り返し解くだけで満足する
多くの学習者が、同じTOEIC問題集を何度も解き直すことに時間を費やしますが、これだけでは不十分です。問題の答えを覚えてしまうだけで、実際の読解力が向上しているとは限りません。
問題点 最も重要なのは、問題を解いた後の復習です。間違えた問題や理解が曖昧だった部分を精読で丁寧に分析し、「なぜ間違えたのか」「何が理解できていなかったのか」を明確にする必要があります。
単に答え合わせをして次に進むのではなく、一つ一つの英文を完全に理解することが大切です。復習で音読や再読を省略してしまうと、せっかく学んだ内容もすぐに忘れてしまいます。
対策
- 問題を解く時間と復習する時間の比率を1対2程度にすることが推奨されます。問題を解くことよりも、復習に多くの時間を割くことで、学習効果が最大化されます。
- 精読で理解した英文を音読し、何度も読み直すことで、知識が定着します。
- 間違えた単語や文法をノートにまとめ、定期的に見直す習慣をつけましょう。
理解度を犠牲にして速度だけを追求する
速読の訓練で陥りやすい間違いが、理解度を犠牲にして読むスピードだけを上げようとすることです。TOEICでは時間が足りないという焦りから、とにかく速く読もうとする人がいますが、内容が理解できなければ正解できません。
問題点 速読の目的は、理解度を保ちながら読むスピードを上げることです。内容を理解せずに目で文字を追うだけでは、設問に答えることができず、結果的にスコアは上がりません。
速読の訓練では、常に理解度を確認しながら進めることが重要です。適切な速読とは、大まかな内容を把握できる程度のスピードで読むことです。
対策
- 速読の訓練後に内容を要約する習慣をつけることが効果的です。読んだ英文の内容を日本語で2、3行にまとめることで、本当に理解できているかを確認できます。
- 理解度が70%から80%程度を維持することを目標にしましょう。
- 理解度が低い場合は、スピードを少し落として、確実に内容をつかめるペースを見つけることが大切です。
精読と速読に関するよくある質問
精読と速読の学習バランスに悩む方は少なくありません。多くの学習者が共通して抱く疑問を解消し、より効果的にリーディングスキルを向上させるための実践的な回答をまとめました。
これらの疑問への明確な回答を知ることで、あなたは自身の学習方法に確信を持ち、学習を進める上での迷いや不安を解消することができるでしょう。
実際の学習経験に基づいた具体的なアドバイスを提供しますので、ご自身の状況に当てはめて参考にしてください。
- 精読と速読のどちらを先に学ぶべきですか?
-
必ず精読から始めるべきです。精読は速読の土台となるスキルです。
精読で英文の構造を正確に理解し、単語や文法の知識を固めることで、速読に必要な基礎力が養われます。基礎が不十分な状態で速読を試みても、文字を目で追うだけで内容が理解できない「空読み」の状態に陥ってしまいます。
まずは精読に集中し、一定の読解力がついてから速読の訓練を取り入れるという段階的なアプローチが正しい方法です。
- 目安: TOEIC 600点程度までは精読を中心に学習し、600点を超えたあたりから徐々に速読の訓練を取り入れていくのが効果的です。個人差はありますが、精読である程度の英文を理解できるようになってから速読に移行することが重要です。
- 精読にどのくらいの時間をかけるべきですか?
-
完全に理解できるまで粘り強く取り組むことが、時間よりも重要です。
時間的な目安としては、TOEIC Part7の一つの文章(150語〜200語程度)の精読に、30分から60分程度かけるのが適切です。
- 最も重要なこと: わからない単語や文法を全て調べ、文構造を正確に把握し、内容を完全に理解するまで粘り強く取り組んでください。焦って先に進むよりも、一つの英文を完璧に理解することを優先しましょう。
- 教材のレベル: あまりに時間がかかりすぎる場合は、その英文が自分のレベルに合っていない可能性があります。精読の教材は、8割から9割程度は理解できるレベルのものを選ぶことが効果的です。
- 速読でどのくらいのスピードを目指すべきですか?
-
最終目標は、内容を理解しながら「1分間に約150語」です。
TOEICのリーディングセクションを時間内に解き終えるためには、1分間に約150語 (WPM: Words Per Minute) のスピードが最低限必要です。
- 理解度との両立: ただし、これは内容の70%〜80%を理解した状態での速度です。ただ文字を目で追うだけでは意味がありません。
- 上級者の目標: 900点以上を目指す場合は、さらに速い1分間に180語から200語程度のスピードで読めるようになることを目指しましょう。現在のWPMを測定し、目標とのギャップを認識した上で、段階的にスピードアップしていくことが大切です。
- 効果を実感できるまでの期間はどれくらいですか?
-
精読は約2週間〜1ヶ月、速読は1ヶ月〜2ヶ月程度が目安です。
効果が出るまでの期間には個人差がありますが、一般的には以下の期間で変化を感じ始められます。
- 精読の効果: 2週間から1か月程度で現れ始めます。最初は理解に時間がかかった英文が、徐々にスムーズに読めるようになることを実感できるはずです。
- 速読の効果: 精読で基礎力をつけた上で訓練を始めた場合、1か月から2か月程度で読むスピードの向上を感じられることが多いです。
重要なのは、効果を焦らず毎日継続することです。短期間での劇的な変化を期待せず、日々の小さな進歩を積み重ねることが大切です。週に一度程度、WPMを測定するなどして客観的に進歩を確認しましょう。
- 精読と速読以外に必要なスキルはありますか?
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語彙力と文法力という二つの基礎スキルが不可欠です。
リーディング力を総合的に高めるためには、この二つのスキルが不足していると、精読も速読も効果的に行うことができません。
- 語彙力: TOEIC頻出単語を中心に覚え、単語帳での学習と、精読の中で出会った単語を文脈と一緒に覚える学習を組み合わせましょう。
- 文法力: 中学レベルの基礎文法を確実に理解することから始めます。特に、文型、時制、受動態、関係代名詞、分詞構文などは、精読で文構造を把握する上で必須の知識です。文法書で理論を学び、精読で実際の英文の中で確認するという両面からのアプローチが効果的です。
まとめ

TOEICのリーディングで精読と速読のバランスを取ることは、高得点を目指す上で非常に重要なスキルです。本記事で解説した内容を踏まえて、自分のレベルや目標に合った学習方法を実践していきましょう。
精読と速読は対立するものではなく、相互に補完し合う関係にあります。精読で正確な理解力を養い、速読で実践的なスピードを身につけることで、TOEICのリーディングセクションを時間内に高い正答率で解き終えることができるようになります。
最後に、本記事の重要なポイントを振り返ります。これらを日々の学習に取り入れることで、着実にリーディング力が向上していくはずです。
- 精読は速読の土台となるスキルであり、必ず精読から始めること
- 精読では文構造を正確に把握し、単語や文法を徹底的に確認すること
- 英文を英語の語順のまま前から理解する訓練を重視すること
- 速読は精読で基礎力をつけた後に段階的に取り入れること
- スキミングとスキャニングを設問の種類に応じて使い分けること
- 返り読みの癖を矯正し、英語を英語のまま理解する習慣をつけること
- スコアレベルに応じて精読と速読の比率を調整すること
- TOEICのパートごとに最適な読み方を選択すること
- 理解度を保ちながら徐々に読むスピードを上げていくこと
- 問題を解くだけでなく、精読・音読・再読を含む丁寧な復習を行うこと
精読と速読のバランスを取ることは、一朝一夕には実現できません。しかし、正しい方法で継続的に取り組むことで、確実に読解力は向上していきます。焦らず、自分のペースで学習を進めていきましょう。
毎日少しずつでも英語に触れることで、気がつけば驚くほど読むスピードと理解力が向上しているはずです。
TOEICのリーディングセクションは、適切な戦略と十分な練習があれば必ず攻略できます。本記事で紹介した精読と速読のバランスを意識しながら、目標スコア達成に向けて頑張ってください。

