英語学習において、「too」と「enough」は頻繁に使われる表現ですが、意味や使い方が似ているため混乱しやすい単語です。
この記事では、英語初学者向けに「too」と「enough」の基本的な意味から使い分け方まで、わかりやすく解説します。それぞれの表現パターンや例文を通して、日常会話で活用できるレベルまで理解を深めていきましょう。
「too」と「enough」の基本的な意味

「too」と「enough」はどちらも量や程度を表す単語ですが、意味合いは大きく異なります。「too」は「~すぎる」という意味で、ある基準を超えていることを表します。一方、「enough」は「十分な」という意味で、必要な基準に達していることを表します。
「too」は基本的に否定的なニュアンスを持ち、「多すぎて困る」「大きすぎて使えない」など、望ましくない状況を表現することが多いです。対して「enough」は、「十分である」という肯定的なニュアンスを持ちます。
それでは、それぞれの使い方を詳しく見ていきましょう。
「too」の使い方と例文
「too」は副詞として使われ、主に形容詞や副詞を修飾します。また、名詞と一緒に使う場合は「too many」や「too much」といった形で使われます。
too + 形容詞/副詞
「too」は形容詞や副詞の前に置いて、「~すぎる」という意味を表します。
例文
- This bag is too heavy.(このカバンは重すぎます。)
- She speaks too fast.(彼女は話すのが速すぎます。)
- The water is too cold.(この水は冷たすぎます。)
too + 形容詞/副詞 + to 不定詞
「too + 形容詞/副詞 + to 不定詞」で「~すぎて…できない」という意味を表します。これは非常によく使われる表現パターンです。
例文
- I am too tired to study.(私は疲れすぎて勉強できません。)
- This problem is too difficult to solve.(この問題は難しすぎて解けません。)
- She is too young to watch this movie.(彼女はこの映画を見るには幼すぎます。)
さらに、「for + 人」を追加して、「~にとって~すぎて…できない」と表現することもできます。
例文
- This book is too difficult for me to read.(この本は私には難しすぎて読めません。)
- The shelf is too high for children to reach.(その棚は子どもには高すぎて届きません。)
too many と too much
「too」を名詞と一緒に使う場合、次のような形になります。
- too many + 数えられる名詞:「~が多すぎる」
- too much + 数えられない名詞:「~が多すぎる」
例文
- There are too many students in this class.(このクラスには生徒が多すぎます。)
- I have too many books in my bag.(私のカバンには本が多すぎます。)
- He drinks too much coffee.(彼はコーヒーを飲みすぎです。)
- There is too much sugar in this cake.(このケーキには砂糖が多すぎます。)
「enough」の使い方と例文
「enough」は、形容詞としても副詞としても使うことができます。形容詞の場合は名詞の前に置き、副詞の場合は形容詞や副詞の後ろに置きます。
enough + 名詞
「enough」を名詞の前に置くと、「十分な量の~」という意味になります。
例文
- I have enough money to buy a new pen.(私は新しいペンを買うのに十分なお金があります。)
- Do you have enough time to finish your homework?(宿題を終わらせるのに十分な時間はありますか?)
- There isn’t enough food for everyone.(みんなには十分な食べ物がありません。)
形容詞/副詞 + enough
「enough」を形容詞や副詞の後ろに置くと、「十分に~」という意味になります。これは「enough」の特徴的な使い方で、他の多くの副詞が形容詞の前に来るのとは異なります。
例文
- The room is big enough for ten people.(その部屋は10人には十分な広さです。)
- I am old enough to go to the movie alone.(私は一人で映画に行けるほど十分な年齢です。)
- He didn’t study hard enough for the test.(彼はテストのために十分に勉強しませんでした。)
形容詞/副詞 + enough + to 不定詞
「形容詞/副詞 + enough + to 不定詞」で「~するのに十分~」という意味を表します。
例文
- She is smart enough to solve this math problem.(彼女はこの数学の問題を解くのに十分賢いです。)
- The box is strong enough to hold all these books.(その箱はこれらの本すべてを入れられるほど十分丈夫です。)
- He doesn’t speak English well enough to study abroad.(彼は留学するほど十分に英語を話せません。)
同様に、「for + 人」を追加して、「~にとって~するのに十分~」と表現することができます。
例文
- Is this chair comfortable enough for you to sit on?(この椅子はあなたが座るのに十分快適ですか?)
- The explanation was simple enough for children to understand.(その説明は子どもたちが理解できるほど十分シンプルでした。)
「too」と「enough」の違いと使い分け
「too」と「enough」は似たような場面で使われますが、意味合いは逆といえます。以下に、その違いと使い分けをまとめます。
意味の違い
- 「too」:「~すぎる」という意味で、基準を超えている状態を表します。通常は望ましくない状況を表現します。
- 「enough」:「十分な」という意味で、必要な基準に達している状態を表します。一般的には満足できる状況を表現します。
位置の違い
- 「too」:形容詞や副詞の前に置きます。
例:too hot(暑すぎる)、too quickly(速すぎる) - 「enough」:形容詞や副詞の後ろに置きます。ただし、名詞の場合は前に置きます。
例:hot enough(十分に暑い)、quickly enough(十分に速く)、enough water(十分な水)
否定表現の違い
- 「too」の否定:「not too + 形容詞/副詞」で「それほど~ではない」という意味になります。
例:It’s not too cold today.(今日はそれほど寒くありません。) - 「enough」の否定:「not + 形容詞/副詞 + enough」で「十分に~ではない」という意味になります。
例:The room is not big enough.(その部屋は十分に広くありません。)
「too」と「enough」の対比例文
同じ状況を「too」と「enough」で表現するとどう変わるか、対比例文で見てみましょう。
- 「too」を使った否定的表現
- This coffee is too hot to drink.(このコーヒーは熱すぎて飲めません。)
- 「enough」を使った肯定的表現
- This coffee is cool enough to drink.(このコーヒーは飲めるほど十分に冷めています。)
- 「not enough」を使った否定的表現
- This coffee is not hot enough to enjoy.(このコーヒーは楽しむほど十分に熱くありません。)
「too」と「enough」を使った表現パターン
「too」と「enough」はさまざまな表現パターンで使われます。ここでは代表的なパターンとその使い方を解説します。
too…to… 構文
「too…to…」構文は「~すぎて…できない」という意味を表します。この構文は、何かができない理由を説明する際によく使われます。
例文
- I am too busy to help you today.(今日は忙しすぎてあなたを手伝えません。)
- The box is too heavy to carry alone.(その箱は一人で運ぶには重すぎます。)
- She was too nervous to speak in front of the class.(彼女はクラスの前で話すには緊張しすぎていました。)
enough to… 構文
「enough to…」構文は「~するのに十分~」という意味を表します。この構文は、何かができる条件を説明する際によく使われます。
例文
- He is strong enough to lift that table.(彼はそのテーブルを持ち上げられるほど十分強いです。)
- I have enough money to buy a new notebook.(私は新しいノートを買うのに十分なお金があります。)
- She doesn’t speak loudly enough to be heard in the back.(彼女は後ろの方で聞こえるほど十分に大きな声で話していません。)
「so…that…」との書き換え
「too…to…」構文と「enough to…」構文は、「so…that…」構文に書き換えることができます。
- 「too + 形容詞 + to + 動詞」→「so + 形容詞 + that + 主語 + can’t + 動詞」
- 「形容詞 + enough + to + 動詞」→「so + 形容詞 + that + 主語 + can + 動詞」
例文
- This box is too heavy to carry.(この箱は重すぎて運べません。)
→ This box is so heavy that I can’t carry it.(この箱はとても重いので、私は運べません。) - She is old enough to go to school alone.(彼女は一人で学校に行けるほど十分な年齢です。)
→ She is so old that she can go to school alone.(彼女はとても大きくなったので、一人で学校に行けます。)
日常会話でよく使われる「too」と「enough」の表現
「too」と「enough」は日常会話でもよく使われます。以下に、日常でよく使われる表現をいくつか紹介します。
「too」を使った日常表現
例文
- Too bad!(残念だね!)
- Too much!(やりすぎだよ!)
- Me too.(私もです。)
- It’s never too late to learn.(学ぶのに遅すぎることはない。)
「enough」を使った日常表現
例文
- That’s enough.(それで十分です。)
- Fair enough.(まあ、それでいいでしょう。)
- I’ve had enough.(もうたくさんです。/もう十分です。)
- Enough is enough.(もうたくさんだ。/いい加減にしろ。)
「too」と「enough」の使い分け練習問題集
「too … to」と「… enough to」は英語の重要な構文で、「あまりに~なので…できない」と「~するほど十分に…」という意味をそれぞれ表します。これらの構文は特に書き換え問題でよく出題されます。この練習問題集では、これらの表現の使い分けを20問通して練習しましょう。
以下の日本語を英語に訳すために、( )内に適切な語を入れなさい。
- 1. 彼女はあまりに疲れていて、歩くことができませんでした。
She was ( ) ( ) ( ) walk. - 2. この本は私には難しすぎて理解できません。
This book is ( ) ( ) ( ) ( ) to understand. - 3. 彼は十分な年齢なので車を運転できます。
He is ( ) ( ) ( ) drive a car. - 4. その少年は十分に背が高くてバスケットボールのゴールに届きます。
The boy is ( ) ( ) ( ) reach the basketball hoop. - 5. 私たちは忙しすぎて映画を見に行くことができませんでした。
- We were ( ) ( ) ( ) go to the movies.
- 6. 彼女は親切にも私の宿題を手伝ってくれました。
- She was ( ) ( ) ( ) help me with my homework.
- 7. この問題は子供たちにとって難しすぎて解けません。
- This problem is ( ) ( ) ( ) ( ) to solve.
- 8. 彼は十分に強くて重い荷物を持ち上げることができます。
- He is ( ) ( ) ( ) lift heavy bags.
- 9. 天気があまりに悪くて外出できませんでした。
- The weather was ( ) ( ) ( ) go outside.
- 10. その部屋は私たちが快適に過ごせるほど十分広いです。
- The room is ( ) ( ) ( ) us ( ) stay comfortably.
以下の単語を並べ替えて、日本語の意味に合う英文を作りなさい。
- 11. 暗すぎて写真が撮れませんでした。
[ too / dark / it / to / was / take / pictures ] - 12. この椅子は子供が座るのに十分小さいです。
[ enough / is / chair / small / this / for / children / to / sit / on ] - 13. 彼女はあまりに忙しくて電話に出ることができませんでした。
[ busy / she / answer / to / was / too / phone / the ] - 14. 私たちは賢くてその難しい問題を解くことができました。
[ enough / we / clever / to / were / solve / that / difficult / problem ] - 15. そのコーヒーは熱すぎて飲めませんでした。
[ was / hot / coffee / too / to / the / drink ]
以下の英文を、指示に従って書き換えなさい。
- 16. The music was too loud for us to talk.
The music was so _______ that we _______ _______. - 17. She is old enough to travel alone.
She is _______ _______ that she _______ travel alone. - 18. It was too cold for the children to swim in the sea.
It was _______ _______ that the children _______ _______ in the sea. - 19. He is strong enough to carry this heavy box.
He is _______ _______ that he _______ carry this heavy box. - 20. The book was too difficult for beginners to read.
The book was _______ _______ that beginners _______ _______ read it.
「too」と「enough」に関するよくある質問
- 「too」と「very」の違いは何ですか?
-
「too」は「~すぎる」という意味で、望ましくない状況や不満を表します。一方、「very」は単に「とても」という意味で、肯定的にも否定的にも使えます。
- This soup is very hot.(このスープはとても熱いです。)← 単に状態を説明
- This soup is too hot.(このスープは熱すぎます。)← 熱すぎて困っている状況
- 「enough」と「sufficient」の違いは何ですか?
-
「enough」と「sufficient」はどちらも「十分な」という意味ですが、「sufficient」はより形式的で、専門的な文脈でよく使われます。日常会話では「enough」の方が一般的です。
- I have enough money to buy lunch.(昼食を買うのに十分なお金があります。)← 日常会話
- The company has sufficient funds to expand.(その会社は拡大するのに十分な資金があります。)← ビジネス文脈
- 「not too」と「not enough」の違いは何ですか?
-
「not too」は「それほど~ではない」という意味で、程度が極端ではないことを示します。「not enough」は「十分ではない」という意味で、必要な量や程度に達していないことを示します。
- The weather is not too cold today.(今日の天気はそれほど寒くありません。)← 許容範囲内
- The room is not warm enough.(その部屋は十分に暖かくありません。)← 必要な暖かさに達していない
- 「too」と「enough」を使った質問はどのように作りますか?
-
「too」と「enough」を使った質問は、通常の疑問文の形に従います。
- Is this book too difficult for you?(この本はあなたには難しすぎますか?)
- Do you have enough time to finish your work?(仕事を終わらせるのに十分な時間がありますか?)
- Is the water warm enough to swim in?(その水は泳ぐのに十分暖かいですか?)
- 「too」と「enough」を使った否定文はどのように作りますか?
-
「too」を否定する場合は「not too」、「enough」を否定する場合は「not enough」または「not … enough」の形になります。
- The movie was not too long.(その映画はそれほど長くありませんでした。)
- I don’t have enough pencils.(私は十分な数の鉛筆を持っていません。)
- The room is not big enough.(その部屋は十分に広くありません。)
まとめ

この記事では、「too」と「enough」の基本的な意味から使い方、さらに両者の違いについて詳しく解説しました。以下にポイントをまとめます。
- 「too」は「~すぎる」という意味で、基準を超えている状態を表します。通常は否定的なニュアンスを持ちます。
- 「enough」は「十分な」という意味で、必要な基準に達している状態を表します。通常は肯定的なニュアンスを持ちます。
- 「too」は形容詞や副詞の前に置き、「enough」は形容詞や副詞の後ろに置きます(ただし名詞の場合は前)。
- 「too…to…」構文は「~すぎて…できない」、「enough to…」構文は「~するのに十分~」という意味を表します。
- 「too」と「enough」は「so…that…」構文に書き換えることができます。
- 日常会話では「too bad」「that’s enough」など、慣用表現としても多く使われています。
英語の「too」と「enough」は、日常会話でよく使われる重要な表現です。この記事で紹介した基本ルールと例文を参考に、実際の会話で積極的に使ってみてください。使いこなせるようになれば、より自然で豊かな英語表現ができるようになります。