「unto」は英語の前置詞で、主に「〜に対して」「〜に向かって」「〜まで」という意味を持ちます。現代の日常英会話ではあまり使われず、聖書や古い文学作品、法律文書などで見られる古風な表現です。「to」に近い意味を持ちますが、より格式高い印象を与えます。
この記事では「unto」の意味や使い方について、例文を交えながら英語初学者にもわかりやすく解説していきます。
untoとは?基本的な意味と用法

「unto」は古英語に由来する前置詞で、現代英語の「to」に非常に近い意味を持っています。基本的には「〜に向かって」「〜に対して」「〜まで」という意味で使われます。現代の日常会話ではほとんど使われることはなく、代わりに「to」が一般的に使用されています。
「unto」が使われる主な場面は、聖書の英語訳や宗教的な文章、古い文学作品、伝統的な誓いの言葉、法律文書などです。特に聖書の「黄金律」として知られる「Do unto others as you would have them do unto you.(自分がしてもらいたいように他人にもしなさい)」という言葉は、「unto」を含む有名なフレーズです。
「unto」は古風で格式高い印象を与えるため、現代文では特別な効果を狙って使われることがあります。例えば、厳粛な雰囲気を出したい場面や、伝統的・宗教的な文脈で使われることが多いのです。
untoの具体的な使い方と例文
「unto」の基本的な使い方は「to」とほぼ同じですが、より古風で堅い印象を与えます。ここでは、いくつかの基本的な例文を通して「unto」の使い方を見ていきましょう。
例文
- I give this gift unto you.(私はこの贈り物をあなたに差し上げます)
- He spoke unto the children about being kind.(彼は子どもたちに親切であることについて話しました)
- The teacher explained the rules unto the students.(先生は生徒たちにルールを説明しました)
- We must be faithful unto death.(私たちは死に至るまで忠実でなければなりません)
- She dedicated her life unto helping others.(彼女は人を助けることに人生を捧げました)
これらの例文では、「unto」を「to」に置き換えても文法的には問題ありませんが、「unto」を使うことで古風で格式高い印象を与えることができます。特に宗教的な文脈や厳粛な場面での使用が適しています。
untoと似た表現の違い
「unto」は他のいくつかの前置詞と似た意味を持ちますが、それぞれに微妙な違いがあります。ここでは、「unto」と似た表現との違いを解説します。
untoとtoの違い
「unto」と「to」は最も近い意味を持ちますが、使用される文脈が大きく異なります。「to」は現代英語で最も一般的に使われる前置詞の一つで、日常会話や文章で頻繁に登場します。
一方、「unto」は古風で格式高い印象を与え、現代では主に宗教的な文脈や古い文学作品などに限られています。
例文
- I gave the book to my friend.(私は友達に本をあげました)- 日常的な表現
- I gave the book unto my friend.(私は友達に本を差し上げました)- 古風で格式高い表現
untoとtowardsの違い
「towards」(米語では「toward」)は「〜の方向へ」「〜に向かって」という意味で、物理的な方向性を示す場合によく使われます。「unto」は方向性だけでなく、受け取る対象を強調する傾向があります。
例文
- He walked towards the mountain.(彼は山の方向に歩いた)- 物理的な方向を示す
- He bestowed his blessing unto the people.(彼は人々に祝福を授けた)- 受け取る対象を強調
untoとforの違い
「for」は「〜のために」「〜に向けて」という意味で使われますが、「unto」よりも目的や利益を示す傾向があります。
例文
- This present is for you.(このプレゼントはあなたのためです)- 目的や利益を示す
- This crown was given unto the king.(この王冠は王に与えられました)- 受け取る対象を強調
untoが使われる文脈と表現
「unto」は特定の文脈で使われることが多い前置詞です。ここでは、「unto」がよく使われる代表的な文脈と表現を紹介します。
宗教的な文脈での使用
「unto」は聖書の英語訳で頻繁に使用されています。特にキング・ジェームズ版聖書(King James Version)では多く見られます。宗教的な文脈では、神や信仰に関する厳粛な表現に「unto」が使われることが多いです。
例文
- Glory be unto God.(神に栄光あれ)
- He prayed unto the Lord.(彼は主に祈りました)
- The angel appeared unto Mary.(天使はマリアの前に現れました)
結婚式や誓いの言葉
伝統的な結婚式の誓いの言葉や重要な約束の場面で「unto」が使われることがあります。
例文
- I pledge my loyalty unto you.(私はあなたに忠誠を誓います)
- Till death do us part, I will be faithful unto you.(死が私たちを分かつまで、私はあなたに忠実でありましょう)
古風な表現や文学作品
シェイクスピアなどの古典文学や、古風な雰囲気を出したい現代の作品でも「unto」が使われることがあります。
例文
- The king spake unto his subjects.(王は臣民に語りかけた)
- She gave her heart unto him.(彼女は彼に心を捧げた)
法律文書や公式文書
古い法律文書や伝統を重んじる公式文書でも「unto」が見られることがあります。
例文
- The property shall pass unto the heirs.(その財産は相続人に譲渡されるものとする)
- Rights and privileges granted unto the citizens.(市民に付与された権利と特権)
以下の表は、「unto」と現代英語での言い換え表現をまとめたものです。
unto を使った表現 | 現代英語での言い換え |
---|---|
Give unto others | Give to others |
Speak unto me | Speak to me |
Faithful unto death | Faithful until death |
Committed unto God | Committed to God |
Revealed unto him | Revealed to him |
untoのよくある間違いと注意点
「unto」を使う際には、いくつか注意すべき点があります。ここでは、よくある間違いと使用する際の注意点を解説します。
現代の日常会話での使用
最も一般的な間違いは、現代の日常会話で「unto」を使ってしまうことです。「unto」は古風な表現であり、カジュアルな会話で使うと不自然で堅苦しい印象を与えてしまいます。日常会話では「to」を使うのが適切です。
× I sent a message unto my friend.(私は友達にメッセージを送りました)
○ I sent a message to my friend.
ビジネス文書での過剰使用
ビジネス文書やメールなどで格式を高めようとして「unto」を使うケースがありますが、これも現代では不適切とされています。公式な文書でも「unto」よりも「to」の方が一般的です。
× We deliver our products unto our customers.
○ We deliver our products to our customers.
前置詞の後の形式
「unto」の後には名詞や代名詞の目的格が来ます。これは「to」と同じ用法です。
○ Give this book unto her.(この本を彼女に与えなさい)
× Give this book unto she.
宗教的な文脈以外での使用
現代英語では、「unto」は主に宗教的な文脈や古典文学、伝統的な表現として残っています。それ以外の文脈で使うと、古風すぎる印象を与えたり、不自然に聞こえたりすることがあります。
他の古語との混同
「unto」と他の古風な表現(例:「thee」「thou」「hither」など)を混ぜて使うときは、それらの正確な使い方を理解していることが重要です。不適切に混ぜて使うと、不自然な印象を与えてしまいます。
untoに関する問題
ここでは、「unto」の理解を深めるための問題を10問用意しました。まず問題を解いてみて、その後で解答を確認してください。
- 次の英文の( )に入る適切な前置詞を選びなさい。
The teacher spoke ( ) the students about the importance of studying.
a) unto b) at c) in d) with - 「unto」と最も意味が近い現代英語の前置詞はどれですか。
a) for b) with c) to d) from - 次の英文を現代的な表現に書き換えなさい。
“I give this ring unto you.” - 「unto」が最もよく使われる文脈はどれですか。
a) カジュアルな会話 b) ビジネスメール c) 宗教的な文章 d) スポーツ解説 - 次の英文の日本語訳として最も適切なものを選びなさい。
“Do unto others as you would have them do unto you.”
a) 他人がしていることをそのままやり返しなさい
b) 他人がしたことをよく観察しなさい
c) 自分がしてもらいたいように他人にもしなさい
d) 他人にするように自分自身にもしなさい - 次の日本語を「unto」を使った英語に訳しなさい。
「王は臣民に語りかけた」 - 次の文の( )に入る適切な語を選びなさい。
The property shall pass ( ) the eldest son.
a) unto b) until c) under d) upon - 「unto」が使われた有名な表現として正しいものはどれですか。
a) Unto infinity and beyond
b) From dust to dust
c) Till death do us part
d) Glory be unto the highest - 次の英文を日本語に訳しなさい。
“She dedicated her life unto helping the poor.” - 「unto」を使った次の文の誤りを指摘し、正しい文に直しなさい。
“I sent an email unto she yesterday.”
untoに関するよくある質問
- 「unto」は現代英語でも使われていますか?
-
「unto」は現代の日常英会話ではほとんど使われていません。主に聖書や宗教的な文脈、古い文学作品、伝統的な結婚式の誓いの言葉などで見られます。現代英語では通常「to」が使われます。ただし、格式高い雰囲気や古風な印象を与えたい場合には、意図的に使われることもあります。
- 「unto」と「to」はどう違いますか?
-
基本的な意味は同じですが、「unto」は古風で格式高い印象を与えます。「to」は現代英語で最も一般的に使われる前置詞の一つで、日常会話や文章で使われます。「unto」は主に宗教的な文脈や古典文学などで見られ、より厳粛さや重みを表現したい場合に使われます。
- 「unto」を使った有名な表現はありますか?
-
最も有名な表現は、聖書の「黄金律」と呼ばれる「Do unto others as you would have them do unto you.(自分がしてもらいたいように他人にもしなさい)」です。また、伝統的な結婚式の誓いの言葉や宗教的な祈りの言葉にも「unto」が使われることがあります。
- 「unto」は文法的にどのように使いますか?
-
「unto」は前置詞として使われ、後ろには名詞や代名詞の目的格が続きます。使い方は「to」と同じで、「〜に対して」「〜に向かって」「〜まで」という意味を表します。例えば、「He gave the book unto me.(彼は私に本をくれました)」のように使います。
- 英語の試験や論文で「unto」を使っても良いですか?
-
一般的な英語の試験や現代的な論文では、「unto」よりも「to」を使う方が適切です。「unto」は古風な表現なので、特別な理由(宗教的なテーマを扱っている、古典文学を引用しているなど)がない限り、使用は避けた方が無難です。ただし、歴史的な文脈や宗教的なテーマを扱う場合には適切な場合もあります。
- 「unto」は他の言語にも同様の表現がありますか?
-
多くの言語には、時代とともに使われなくなった古風な表現があります。例えばフランス語の「envers」や日本語の「〜に対して」の古風な表現「〜に向かひて」なども、現代ではあまり使われない表現です。言語は時代とともに変化し、一部の表現は特定の文脈でのみ残っていくものです。
まとめ

この記事では、英語の前置詞「unto」について詳しく解説してきました。「unto」は現代の日常英会話ではあまり使われなくなった古風な表現ですが、聖書や古典文学、伝統的な表現の中で今も生き続けている言葉です。
以下に、この記事の主なポイントをまとめます。
- 「unto」は「〜に向かって」「〜に対して」「〜まで」という意味を持つ前置詞である
- 現代英語では主に「to」が使われ、「unto」は宗教的な文脈や古典文学で見られる
- 最も有名な表現は聖書の「Do unto others as you would have them do unto you.」
- 「unto」は格式高く厳粛な印象を与えるため、特別な効果を狙って使われることがある
- 日常会話や現代的な文章では「unto」よりも「to」を使うのが適切
- 「unto」の後には名詞や代名詞の目的格が続く
- 古典的な英語表現に興味がある場合や、古風な雰囲気を出したい場合には有用な表現
英語には「unto」のように、時代とともに使用頻度が変わっていく表現が数多くあります。こうした表現の歴史的背景や使い方を知ることで、英語の豊かな表現の歴史や文化的側面について理解を深めることができます。
特に古典文学や聖書などの古い文章を読む際には、「unto」のような古風な表現の知識が役立つでしょう。