「upon(アポン)」は英語の前置詞の一つで、主に「〜の上に」「〜のときに」「〜に基づいて」などの意味を持ちます。日常会話ではあまり使われませんが、書き言葉や慣用表現では頻繁に登場する表現です。基本的には「on」のやや格式ばった形と考えることができますが、特定の状況では独自の使い方をします。
この記事では、「upon」の意味と使い方を例文を交えて分かりやすく解説していきます。
uponとは?英語の前置詞として知っておきたい基本

「upon」は「on」の少しフォーマルな言い方で、基本的には同じように「〜の上に」という位置関係を表します。しかし、「upon」は単なる位置関係だけでなく、時間的関係や因果関係を表すときにも使われる便利な前置詞です。
「upon」の使い方を理解することで、英語の表現の幅が広がり、より自然な英語を使えるようになるでしょう。
uponの基本的な意味
「upon」の最も基本的な意味は「〜の上に」という物理的な位置関係を表す用法です。この使い方は「on」とほぼ同じですが、より文学的または形式的な文脈で使われることが多いです。
例文
- The book is upon the table.(その本はテーブルの上にあります。)
- He placed the crown upon her head.(彼は彼女の頭に王冠をのせました。)
このように物の位置関係を示す基本的な使い方があります。
uponと類似語onの違い
「upon」と「on」は意味が非常に近く、多くの場合で互換的に使うことができますが、いくつかの違いがあります。
- 格式の違い:「upon」は「on」よりも格式ばった表現です。文学作品や公式文書などでよく見られます。
- 使用頻度:日常会話では一般的に「on」が使われ、「upon」はあまり使われません。
- 特定の熟語や表現:「once upon a time(むかしむかし)」のように「upon」が固定されている表現があります。
例文
- I put my hat on the shelf.(私は帽子を棚に置きました。)- 日常的な表現
- The king placed the crown upon the prince’s head.(王は王子の頭に王冠を置きました。)- より格式ばった表現
uponの主な使い方と例文パターン
「upon」には様々な使い方があります。ここでは主な使い方と、それぞれの例文を紹介します。初学者の方でも理解しやすいよう、シンプルな例文で説明していきます。
位置関係を表すupon
最も基本的な使い方は、物理的な位置関係を表す場合です。特に何かの「上に」あることを示します。
例文
- The cat is sitting upon the roof.(猫は屋根の上に座っています。)
- He put his hand upon my shoulder.(彼は私の肩に手を置きました。)
- The bird landed upon the branch.(鳥は枝の上に止まりました。)
この用法は「on」でも表現できますが、「upon」を使うとやや文学的な印象になります。
時間関係を表すupon
「upon」は「〜するとすぐに」「〜の時に」という意味で、ある出来事が起きた直後や同時に別の出来事が起こることを表します。
例文
- Upon hearing the news, she started crying.(そのニュースを聞くと、彼女は泣き始めました。)
- Upon arrival, please come to the reception desk.(到着したら、受付にお越しください。)
- Upon entering the room, I saw my old friend.(部屋に入るとすぐに、古い友人に会いました。)
この用法は「when」や「as soon as」などで言い換えることもできますが、「upon」を使うとより簡潔に表現できます。
基づく関係を表すupon
「〜に基づいて」「〜に依存して」という意味で使われることもあります。
例文
- The decision was made upon careful consideration.(その決定は慎重な検討に基づいて行われました。)
- Success depends upon hard work.(成功は努力にかかっています。)
- The story is based upon real events.(その物語は実際の出来事に基づいています。)
この使い方は、何かを判断したり決定したりする際の根拠や基盤を示すときに役立ちます。
その他のuponの使い方
その他にも、「upon」にはいくつかの使い方があります。
例文
- 方向性を表す
The army marched upon the castle.(軍隊は城に向かって行進しました。)
We came upon an old house in the forest.(森の中で古い家に出くわしました。) - 衝突や遭遇を表す
The ship ran upon the rocks.(船は岩に衝突しました。)
We stumbled upon the answer by accident.(私たちは偶然答えにたどり着きました。)
これらの用法は、特定の動詞と組み合わせることで独特の意味を生み出すことがあります。
uponを使った慣用表現と熟語
「upon」は多くの慣用表現や熟語に使われています。これらの表現は暗記しておくと、英語の理解と表現の幅が広がります。
once upon a time(昔々)
最も有名な表現の一つが「once upon a time」で、「むかしむかし」という意味です。おとぎ話や物語の導入部分でよく使われます。
例文
- Once upon a time, there lived a princess in a castle.(むかしむかし、あるお城にお姫様が住んでいました。)
- Once upon a time, before the internet existed, people used to write letters.(昔々、インターネットが存在する前、人々は手紙を書いていました。)
この表現は特に子供向けの物語の始まりを示す定型表現として定着しています。
upon arrival/upon reaching(到着したとき)
「upon」を使った熟語で、「〜に到着したとき」「〜に達したとき」という意味を表します。
例文
- Upon arrival at the hotel, please check in at the front desk.(ホテルに到着したら、フロントでチェックインしてください。)
- Upon reaching the top of the mountain, we took some photos.(山頂に着いたとき、私たちは写真を撮りました。)
このような表現は、特に指示や案内の文章でよく使われます。
他の一般的なupon慣用表現
その他にも「upon」を含む慣用表現がいくつかあります。
例文
- Upon reflection(よく考えてみると)
Upon reflection, I decided not to go to the party.(よく考えてみると、パーティーに行かないことにしました。) - Upon request(要求に応じて)
Documents are available upon request.(書類はご要望に応じて提供されます。) - Look upon(〜とみなす)
He looked upon her as his own daughter.(彼は彼女を自分の娘のように思っていました。) - Call upon(呼びかける、頼る)
In times of need, we can call upon our friends for help.(必要なときには、友達に助けを求めることができます。)
これらの表現は日常的な会話よりも、書き言葉やフォーマルな場面で使われることが多いです。
uponのよくある間違いと注意点
「upon」を使う際によくある間違いや注意点をいくつか紹介します。英語学習者がつまずきやすいポイントを理解しておきましょう。
onとuponの使い分け
「on」と「upon」の使い分けに迷うことがあります。基本的なルールとしては、
- 日常会話では「on」を使う
I put my book on the table.(私は本をテーブルの上に置きました。)- 正しい
I put my book upon the table.(私は本をテーブルの上に置きました。)- 不自然 - 文学的、形式的な文脈では「upon」を使う
The knight placed his sword upon the altar.(騎士は祭壇に剣を置きました。)- 適切
Once upon a time…(むかしむかし…)- 定型表現 - 特定の慣用表現では「upon」が固定されている
Upon arrival(到着したとき)
Based upon(〜に基づいて)
Upon request(要求に応じて)
これらのルールを理解し、適切な場面で適切な表現を選ぶようにしましょう。
uponの発音と強勢
「upon」の発音は「アポン」で、第二音節(pon)にアクセントがあります。発音記号では /əˈpɒn/ または /əˈpɑːn/ と表記されます。初学者がよく間違えるのは、両方の音節を同じ強さで発音してしまうことです。正しくは、最初の「ə」は弱く、「pon」の部分をはっきりと発音します。
また、文中では「upon」は通常強調されません。例えば「The book is upon the table.」では、「book」や「table」が強調され、「upon」は弱く発音されます。
前置詞としての使い方の混同
「upon」は前置詞なので、後ろには名詞や代名詞(の目的格)、動名詞が来ます。以下のような間違いに注意しましょう。
- Upon I arrived, I called him.(誤)
- Upon my arrival, I called him.(正)
または、
- Upon arrive, we will contact you.(誤)
- Upon arriving, we will contact you.(正)
このように、「upon」の後には名詞形や動名詞形を使う必要があります。
uponに関する問題
以下に「upon」の使い方に関する問題を10問用意しました。それぞれの問題に対して最適な答えを選び、理解を深めましょう。
- 次の文の空欄に入る最も適切な表現は?
The book is _ the desk.
a) on
b) upon
c) at
d) in - 「むかしむかし」を英語で表すと?
a) long ago
b) once on a time
c) once upon a time
d) in the past time - 次の文を完成させなさい。
_ hearing the news, she started crying.
a) When
b) On
c) Upon
d) At - 「upon」の後に続くのは?
a) 動詞の原形
b) 名詞または動名詞
c) 形容詞
d) 副詞 - 次の文の「upon」の意味として最も適切なものは?
“Success depends upon hard work.”
a) 〜の上に
b) 〜するとすぐに
c) 〜に基づいて
d) 〜に向かって - 次の慣用表現のうち、「upon」を使うものはどれ?
a) look at
b) depend on
c) based upon
d) refer to - 「到着したとき」を表す表現として正しいのは?
a) when arrival
b) upon arrival
c) on arrive
d) at arriving - 次の文のuponは何と置き換えられる?
“Upon reflection, I decided not to go.”
a) After reflecting
b) Before reflecting
c) While reflecting
d) Instead of reflecting - 「upon」の発音で正しいのは?
a) アポン(第一音節にアクセント)
b) アポン(第二音節にアクセント)
c) ウポン
d) アパン - 次の文で「upon」の使い方が正しいのはどれ?
a) Upon I entered the room, I saw him.
b) Upon enter the room, I saw him.
c) Upon entering the room, I saw him.
d) Upon to enter the room, I saw him.
「upon」に関するよくある質問
- 「upon」は「on」と同じ意味ですか?
-
基本的には「on」と同じ「〜の上に」という意味を持ちますが、「upon」はより格式ばった表現です。日常会話では通常「on」が使われ、「upon」は文学的な文脈や特定の慣用表現で使われることが多いです。
- 「upon」と「on」はいつでも置き換えられますか?
-
すべての場合で置き換えられるわけではありません。特に「once upon a time」「upon request」などの慣用表現では、「upon」が固定されています。また、日常会話で「upon」を使うと不自然に聞こえることがあります。
- 「upon」の後には何が続きますか?
-
「upon」の後には名詞、代名詞の目的格、または動名詞が続きます。例えば「upon the table」「upon him」「upon arriving」などです。動詞の原形が直接続くことはありません。
- 「upon」はどんな時に使うべきですか?
-
フォーマルな文書、文学作品、特定の慣用表現(upon arrival, based upon, upon request)などで使うのが適切です。また、時間的関係(〜するとすぐに)を簡潔に表現したい場合にも便利です。
- 「upon」の発音のコツはありますか?
-
「アポン」と発音し、第二音節(pon)にアクセントを置きます。最初の「ア」は弱く発音します。/əˈpɒn/ または /əˈpɑːn/ と表記されます。
まとめ

この記事では、英語の前置詞「upon」の意味と使い方について詳しく解説しました。「upon」は基本的に「on」のより格式ばった形であり、位置関係、時間関係、因果関係などを表す多様な用法があります。
日常会話ではあまり使われませんが、文学的な表現や特定の慣用表現では重要な役割を果たします。以下に、この記事で学んだ「upon」についての重要なポイントをまとめます。
- 「upon」は主に「〜の上に」「〜のときに」「〜に基づいて」という意味を持つ前置詞である
- 「on」よりも格式ばった表現で、文学作品や公式文書でよく使われる
- 「once upon a time(むかしむかし)」「upon arrival(到着したとき)」などの慣用表現がある
- 時間的関係を表す場合、「〜するとすぐに」という意味になる
- 「upon」の後には名詞、代名詞の目的格、または動名詞が続く
- 発音は「アポン」で、第二音節にアクセントがある
- 日常会話では通常「on」が使われ、「upon」は特定の文脈や表現に限られる
「upon」の使い方を理解することで、より自然で洗練された英語表現が可能になります。特に読み書きの場面では、適切に「upon」を使うことで表現の幅が広がるでしょう。
この記事で紹介した例文や慣用表現を参考に、ぜひ実際の英語学習に役立ててください。