「utterly」は英語で「完全に」「全く」「徹底的に」を意味する副詞です。特に物事の程度が極端であることを強調したい時に使われる表現で、英語の表現力を高めるのに役立つ単語です。
この記事では、utterly の基本的な意味から実践的な使い方まで、英語初学者の方にもわかりやすく解説していきます。
「utterly」とは?完全を表す強力な副詞

「utterly」は「完全に」「全く」「まったく」「とことんまで」といった意味を持つ副詞です。日本語に訳すと単に「完全に」となりますが、英語では特に否定的な文脈や極端な状況を強調する際に使われることが多い表現です。何かが「徹底的に」あるいは「極度に」という状態を表現したい時に非常に役立ちます。
「utterly」は形容詞「utter」から派生した単語で、「utter」自体も「完全な」「全くの」という意味を持っています。「utterly」を使うことで、話し手や書き手が状況や感情の強さを特に強調したい場合に効果的です。
「utterly」の語源と発音
「utterly」の語源は古英語の「ūterra」(外側の)に由来し、その後「完全に外まで」という意味から「完全に」という意味に発展しました。発音は「ˈʌtərli」で、「ア」にアクセントがあり、「タリー」と続きます。
日本人学習者は「アタリー」と発音しがちですが、正しくは「アッタリー」に近い発音になります。
「utterly」の主な意味
「utterly」には主に以下のような意味合いがあります。
- 完全に、全く(completeness):ある状態が100%であることを示す
- 絶対的に(absolutely):例外なく、疑いの余地なく
- 徹底的に(thoroughly):とことんまで、隅々まで
- 極度に(extremely):程度が極端である
特に注目すべき点は、「utterly」は多くの場合、否定的な文脈で使われることです。「utterly disappointed(完全に失望した)」「utterly shocked(完全に衝撃を受けた)」などのように、マイナスのイメージを強調する際に効果的です。
ただし、肯定的な文脈で使われることもあります。
「utterly」の正しい使い方
「utterly」は主に形容詞や動詞(過去分詞)を修飾します。文中での位置は通常、修飾する単語の直前に置かれます。文法的には程度を表す副詞として機能し、主に以下のパターンで使われます。
例文
- be動詞 + utterly + 形容詞
例:She is utterly beautiful.(彼女は完全に美しい。) - utterly + 過去分詞
例:I am utterly confused.(私は完全に混乱している。) - utterly + 動詞
例:He utterly failed the test.(彼はテストで完全に失敗した。)
「utterly」は強い意味を持つ副詞なので、文脈に合わせて適切に使用することが重要です。何かを強調したい時に過剰に使ってしまうと、表現が大げさになってしまう可能性があります。
「utterly」と一緒によく使われる表現
「utterly」はいくつかの特定の単語と特によく一緒に使われます。これらのコロケーション(連語)を知っておくと、より自然な英語表現ができるようになります。
よく使われる組み合わせには以下のようなものがあります。
- utterly confused(完全に混乱した)
- utterly disappointed(完全に失望した)
- utterly exhausted(完全に疲れ果てた)
- utterly ridiculous(まったくばかげている)
- utterly useless(まったく役に立たない)
- utterly devastated(完全に打ちのめされた)
- utterly speechless(言葉を失うほど驚いた)
- utterly different(まったく異なる)
これらの表現を覚えておくと、「utterly」を自然に使いこなせるようになります。
「utterly」を使った基本例文
ここでは、中学英語レベルの簡単な例文を使って「utterly」の基本的な使い方を紹介します。
例文
- I am utterly tired after the long walk.(長い散歩の後、私はすっかり疲れている。)
- She was utterly happy when she got the present.(彼女はプレゼントをもらってとても喜んだ。)
- The movie was utterly boring.(その映画は全くつまらなかった。)
- I am utterly confused by this math problem.(私はこの数学の問題に完全に混乱している。)
- He was utterly surprised by the news.(彼はそのニュースに完全に驚いた。)
- The house was utterly clean.(その家は隅々まで清潔だった。)
- I utterly forgot about the meeting.(私は会議のことをすっかり忘れていた。)
- The teacher was utterly disappointed with our test results.(先生は私たちのテスト結果にとても失望した。)
これらの例文からわかるように、「utterly」は状態や感情の強さを強調するのに効果的です。
「utterly」の応用例文
基本的な使い方に慣れたら、次はより多様な状況での「utterly」の使い方を見ていきましょう。様々な文脈での例文を通して、この副詞の応用力を高めていきます。
例文
- The explanation was utterly clear, so everyone understood it.(その説明は完全に明確だったので、みんな理解できた。)
- I found his behavior utterly unacceptable.(私は彼の行動が全く受け入れられないと思った。)
- She utterly rejected his proposal.(彼女は彼の提案を完全に拒否した。)
- The book was utterly different from the movie.(その本は映画とまったく異なっていた。)
- He utterly failed to understand the situation.(彼はその状況を理解することに完全に失敗した。)
- I am utterly convinced that he is innocent.(私は彼が無実だと完全に確信している。)
- The answer to this question is utterly simple.(この質問の答えは極めて単純だ。)
- Her solution was utterly brilliant.(彼女の解決策は本当に素晴らしかった。)
日常会話での「utterly」の使い方
「utterly」は日常会話でも使われますが、特に強い感情や印象を表現したい時に効果的です。以下は、日常生活で使える「utterly」を含む会話例です。
例文
- How was the concert? It was utterly amazing!(コンサートはどうだった?完全に素晴らしかったよ!)
- I’m utterly exhausted after working all day.(一日中働いた後、私はすっかり疲れ果てている。)
- The new restaurant was utterly disappointing.(その新しいレストランはとても残念だった。)
- I was utterly shocked when I heard the news.(そのニュースを聞いた時、私は完全にショックを受けた。)
- This explanation makes utterly no sense to me.(この説明は私にはまったく意味をなさない。)
- She looked utterly beautiful in her wedding dress.(彼女はウェディングドレス姿で本当に美しかった。)
- I am utterly grateful for your help.(あなたの助けに本当に感謝しています。)
ビジネスやフォーマルな場面での「utterly」
ビジネスやフォーマルな文脈でも「utterly」は使われますが、より慎重に使う必要があります。特に否定的な文脈では強すぎる印象を与える可能性があるためです。
例文
- The proposal was utterly rejected by the board.(その提案は役員会によって完全に却下された。)
- We are utterly committed to customer satisfaction.(私たちは顧客満足に完全にコミットしています。)
- The report was utterly comprehensive.(そのレポートは完全に包括的だった。)
- Our team is utterly dedicated to this project.(私たちのチームはこのプロジェクトに完全に専念している。)
- The new system is utterly different from the previous one.(新しいシステムは以前のものとは全く異なる。)
- I am utterly certain that this strategy will succeed.(私はこの戦略が成功すると完全に確信している。)
「utterly」と類似表現の違い
英語には「utterly」と似た意味を持つ副詞がいくつかあります。それぞれ微妙なニュアンスの違いがありますので、状況に応じて適切な表現を選ぶことが重要です。
副詞 | 主な意味 | 特徴 |
---|---|---|
utterly | 完全に、全く | 極端な状況や強い感情を表現する際によく使われる |
completely | 完全に、すべて | より一般的で広く使える |
entirely | 全部、完全に | 「全体の」という意味合いが強い |
absolutely | 絶対に、間違いなく | 確信や強調を表現する際に使われる |
thoroughly | 徹底的に、完全に | プロセスの完全性を強調する |
「utterly」と「completely」の違い
「utterly」と「completely」はどちらも「完全に」という意味を持ちますが、使用されるニュアンスが若干異なります。
「completely」は中立的で、幅広い状況で使えるのに対し、「utterly」はより強い感情や極端な状態を表現する際に使われることが多いです。
例文
- She completely finished her homework.(彼女は宿題を完全に終えた。)- 中立的
- She was utterly exhausted after the marathon.(彼女はマラソン後、完全に疲れ果てていた。)- より強い表現
「utterly」は否定的なコンテキストでよく使われますが、「completely」はより汎用性があります。
「utterly」と「absolutely」の違い
「utterly」と「absolutely」もよく似た意味を持ちますが、使い方に違いがあります。
「absolutely」は「間違いなく」「確実に」という確信を表すニュアンスがあり、肯定的な文脈でも気軽に使えます。一方、「utterly」は状態や感情の極端さを強調することが多いです。
例文
- I absolutely love this movie!(私はこの映画が本当に大好きです!)- 肯定的で一般的
- I am utterly devoted to my family.(私は家族に完全に尽くしている。)- より深い感情
また、「absolutely」は単独で答えとして使うことができますが、「utterly」は通常そのようには使いません。
例文
- Did you enjoy the party? Absolutely!(パーティーを楽しみましたか?もちろん!)
- Did you enjoy the party? Utterly! (この使い方は一般的ではない)
「utterly」のよくある間違いと注意点
「utterly」を使う際によく見られる間違いや注意すべき点をいくつか紹介します。特に日本人学習者が混乱しがちなポイントを中心に解説します。
まず、「utterly」は強い意味を持つ副詞なので、使いすぎると大げさな印象を与えてしまうことがあります。日常会話では「really」や「very」などのより一般的な副詞を使うことが多く、「utterly」は特に強調したい場合に限定して使うのが自然です。
「utterly」の誤用例
- ❌ I am utterly a little tired.
⭕ I am utterly tired. / I am a little tired.
(「utterly」と「a little」のような弱い表現は矛盾するため、一緒に使えません) - ❌ The food tastes utterly.
⭕ The food tastes utterly delicious.
(「utterly」は単独で使えず、必ず修飾する語が必要です) - ❌ Utterly, I don’t understand.
⭕ I utterly don’t understand. / I don’t understand at all.
(「utterly」は文頭に置かれる副詞ではなく、修飾する語の直前に置きます) - ❌ She utterly always studies hard.
⭕ She always studies utterly hard.
(「utterly」の位置が不適切です) - ❌ The movie was utterly good.
⭕ The movie was extremely good. / The movie was utterly amazing.
(「good」のような一般的な形容詞より、より強い形容詞と組み合わせる方が自然です)
「utterly」使用時の文法的注意点
「utterly」を使う際の文法的な注意点もいくつかあります。
- 品詞の組み合わせ:「utterly」は主に形容詞や分詞を修飾します。名詞を直接修飾することはできません。
❌ He is utterly genius.
⭕ He is utterly brilliant. / He is a complete genius. - 程度の一貫性:「utterly」は極端な程度を表すため、部分的な程度を表す表現(somewhat, a bit, a little など)と一緒に使うと矛盾します。
- 位置:「utterly」は修飾する語の直前に置くのが基本です。文頭に置いて文全体を修飾することはあまりありません。
- 適切な文脈:「utterly」は形式ばった文脈や書き言葉でより一般的です。カジュアルな会話では、使いすぎると不自然に感じられることがあります。
これらの点に注意することで、「utterly」をより自然に使いこなせるようになります。
「utterly」に関する問題
ここでは「utterly」の理解度を測るための問題を10問用意しました。ぜひチャレンジしてみてください。
- 次の文の空欄に「utterly」を入れるのが適切かどうか判断してください。
She was _ tired after running the marathon. - 「utterly」の正しい品詞は何ですか?
a) 名詞 b) 動詞 c) 形容詞 d) 副詞 - 次の文の「utterly」を適切な位置に入れてください。
I was disappointed by the movie. - 「utterly」と最も自然に結びつくのはどの単語ですか?
a) nice b) devastated c) a bit d) sometimes - 次の文は文法的に正しいですか?
“The explanation was utterly.” - 次の日本語を英語に訳してください。
「彼は試験に完全に失敗した。」 - 次の文の「utterly」を同じ意味の別の副詞に置き換えてください。
“She was utterly shocked by the news.” - 次の文の意味として最も適切なものを選んでください。
“His behavior was utterly unacceptable.”
a) 彼の行動は少し受け入れられなかった
b) 彼の行動は全く受け入れられなかった
c) 彼の行動はとても素晴らしかった
d) 彼の行動は普通だった - 「utterly」と「completely」の主な違いを説明してください。
- 次の文を完成させてください。
“After studying for hours, I was _ exhausted.”
「utterly」に関するよくある質問
- 「utterly」はどのような場面で使うのが適切ですか?
-
「utterly」は何かを強く強調したい場面、特に極端な状況や強い感情を表現したい時に使うのが適切です。否定的な文脈(utterly disappointed, utterly useless など)でよく使われますが、肯定的な文脈(utterly beautiful, utterly amazing など)でも使えます。ただし、日常会話ではやや強い表現になるため、「really」や「very」などの一般的な副詞の方がカジュアルな場面では自然なことが多いです。
- 「utterly」と「completely」はどう使い分ければいいですか?
-
「utterly」はより強い感情や極端な状況を表現する際に使われ、特に否定的な文脈で効果的です。一方、「completely」はより汎用性が高く、中立的な状況でも自然に使えます。例えば、「The task is completely finished」(タスクは完全に終わっている)は中立的な事実を述べていますが、「I am utterly exhausted」(私は完全に疲れ果てている)は強い感情を表現しています。
- 「utterly」は文頭に置くことができますか?
-
「utterly」は通常、修飾する語(形容詞や動詞)の直前に置かれるのが一般的です。文頭に置いて文全体を修飾することは比較的まれです。例えば、「Utterly confused, I left the room」(完全に混乱して、私は部屋を出た)のように分詞構文の一部として使われることはありますが、「Utterly, I don’t understand」のような使い方は一般的ではありません。
- 「utterly」はどのような単語と相性が良いですか?
-
「utterly」は強い感情や極端な状態を表す単語と特に相性が良いです。例えば、
- 感情表現:disappointed(失望した)、amazed(驚いた)、exhausted(疲れ果てた)
- 否定的状態:useless(役に立たない)、impossible(不可能な)、ridiculous(ばかげた)
- 極端な状態:different(異なる)、changed(変わった)、destroyed(破壊された)
肯定的な文脈では、beautiful(美しい)、perfect(完璧な)、brilliant(素晴らしい)などとも使えます。
- 「utterly」は名詞を修飾できますか?
-
「utterly」は直接名詞を修飾することはできません。例えば、「He is utterly genius」は文法的に正しくありません。「genius」は名詞なので、「utterly」で直接修飾することはできないのです。正しくは「He is utterly brilliant」(形容詞を修飾)または「He is a complete genius」(名詞には別の適切な修飾語を使う)となります。
まとめ

この記事では「utterly」の意味と使い方について詳しく解説しました。英語の表現力を高める上で、このような強調表現を適切に使いこなせることは重要です。
「utterly」は「完全に」「全く」という意味を持つ副詞で、特に強い感情や極端な状況を表現する際に効果的です。ここで学んだポイントをまとめます。
- 「utterly」は「完全に」「全く」を意味する副詞
- 主に否定的な文脈で使われることが多いが、肯定的な文脈でも使える
- 形容詞や過去分詞の直前に置いて使用する
- 「completely」「entirely」「absolutely」などの類似表現と比べて、より強い感情や極端な状況を表現する
- 日常会話ではやや強い表現になるため、状況に応じて使い分けが必要
- 「utterly confused」「utterly disappointed」「utterly different」などのコロケーションを覚えておくと便利
「utterly」を適切に使いこなすことで、あなたの英語表現はより豊かになり、伝えたい感情や状況をより正確に表現できるようになるでしょう。
日常会話からビジネスシーンまで、場面に応じて効果的に活用してみてください。