英語学習において、似た意味を持つ単語の違いを理解することは非常に重要です。「valuable」と「precious」はどちらも「貴重な」「価値のある」という意味を持ちますが、使われる状況やニュアンスには明確な違いがあります。
この記事では、英語初学者向けに両単語の違いと適切な使い分け方を詳しく解説します。
「valuable」と「precious」の基本的な違い

「valuable」と「precious」はどちらも「貴重な」という意味を持ちますが、その価値の種類が異なります。この違いを理解することで、より自然な英語表現ができるようになります。
「valuable」は主に金銭的または実用的な価値を表します。つまり、物の有用性や経済的な価値に焦点を当てた表現です。例えば、高価な美術品や役立つ情報などを表現する際に使われます。
一方、「precious」は感情的または個人的な価値を表します。感傷的なつながりや代替不可能性を強調する表現です。大切な人や思い出など、感情的に重要なものを表現する際に使われます。
例えば、古い時計について話す場合、「This watch is valuable」と言えば、その時計が高価であることを意味します。一方、「This watch is precious to me」と言えば、その時計があなたにとって個人的に大切であることを意味します。
「valuable」の意味と使い方
「valuable」は「価値のある」「有用な」「貴重な」という意味を持つ形容詞です。
この単語は名詞「value(価値)」から派生したもので、主に物事の客観的な価値や有用性を表現するのに使われます。
「valuable」が使われる場面
「valuable」が使われるのは、以下のような場合です。
- 金銭的に価値がある物を表現する場合
- 実用的な価値や有用性を強調する場合
- 時間やリソースのような抽象的な概念の価値を表現する場合
「valuable」は特にビジネスや教育の場面で頻繁に使われます。
例えば、「valuable information(価値ある情報)」「valuable experience(価値ある経験)」「valuable time(価値ある時間)」といった表現はよく耳にします。
「valuable」を使った例文
「valuable」を使った例文を見てみましょう。
例文
- This old coin is very valuable.(この古いコインはとても価値があります。)
- My teacher gave me valuable advice about English.(先生は英語について価値のあるアドバイスをくれました。)
- Time is a valuable resource.(時間は価値のある資源です。)
- She has many valuable skills.(彼女は多くの価値あるスキルを持っています。)
- This book contains valuable information for students.(この本は学生にとって価値ある情報を含んでいます。)
これらの例文では、「valuable」が物の金銭的価値や情報、経験、時間などの実用的価値を表しています。
「valuable」の発音と語形変化
「valuable」の発音は「ヴァリュアブル」で、アクセントは最初の「ヴァ」にあります。
形容詞の比較級と最上級は次のようになります。
- 原級:valuable(価値のある)
- 比較級:more valuable(より価値のある)
- 最上級:most valuable(最も価値のある)
「precious」の意味と使い方
「precious」は「貴重な」「大切な」「かけがえのない」という意味を持つ形容詞です。この単語は主に感情的な価値や個人的な重要性を表現するのに使われます。
また、希少性や代替不可能性も強調します。
「precious」が使われる場面
「precious」が使われるのは、以下のような場合です。
- 感情的に大切なものや人を表現する場合
- 希少で入手困難なものを表現する場合
- 個人的に特別な意味を持つ瞬間や思い出を表現する場合
「precious」は特に個人的な関係や感情を表現する場面で使われます。
また、宝石や貴金属を表現する際にも使われ、「precious stones(宝石)」「precious metals(貴金属)」といった表現があります。
「precious」を使った例文
「precious」を使った例文を見てみましょう。
例文
- The time I spend with my family is precious.(家族と過ごす時間は大切です。)
- She keeps her mother’s photo as a precious memento.(彼女は母親の写真を大切な形見として持っています。)
- Water is a precious resource in Africa.(水はアフリカでは貴重な資源です。)
- These precious moments with my baby will not come back.(この赤ちゃんとの大切な時間は二度と戻ってきません。)
- My friendship with Tom is precious to me.(トムとの友情は私にとって大切です。)
これらの例文では、「precious」が感情的な価値や希少性を強調しています。
「precious」の発音と語形変化
「precious」の発音は「プレシャス」で、アクセントは最初の「プレ」にあります。
形容詞の比較級と最上級は次のようになります。
- 原級:precious(貴重な)
- 比較級:more precious(より貴重な)
- 最上級:most precious(最も貴重な)
「valuable」と「precious」の使い分け
「valuable」と「precious」の使い分けは、表現したい価値の種類によって決まります。
以下に、両者を比較した特徴をまとめます。
価値の種類による違い
「valuable」は金銭的・実用的価値を強調します。例えば、高価な美術品や役立つ情報、時間などを「valuable」と表現します。価値が客観的に評価できるものに使われることが多いです。
一方、「precious」は感情的・個人的価値を強調します。例えば、家族との時間や思い出、大切な人などを「precious」と表現します。価値が主観的で感情的なものに使われることが多いです。
使用される文脈の違い
「valuable」はビジネス、教育、経済など、実用的な文脈で使われることが多いです。例えば、「valuable skills(価値あるスキル)」「valuable information(価値ある情報)」といった表現がよく使われます。
一方、「precious」は個人的な関係、感情、思い出に関連する文脈で使われることが多いです。例えば、「precious memories(大切な思い出)」「precious friendship(大切な友情)」といった表現がよく使われます。
対象物の違い
「valuable」は資産、情報、時間、スキルなどの実用的な価値を持つものに使われます。
一方、「precious」は思い出、関係、宝石、希少資源などの感情的な価値や希少性を持つものに使われます。
「valuable」と「precious」の使い分け例
以下に、同じ対象に対して「valuable」と「precious」を使い分けた例を示します。
時間について
- This meeting is a valuable use of our time.(このミーティングは私たちの時間の価値ある使い方です。)
→ ビジネス的・実用的な価値を強調 - The time we spent together was precious to me.(一緒に過ごした時間は私にとって大切でした。)
→ 感情的・個人的な価値を強調
贈り物について
- This old book is very valuable.(この古い本はとても価値があります。)
→ 金銭的価値を強調 - This handmade card is precious to me.(この手作りカードは私にとって大切です。)
→ 感情的価値を強調
人物について
- She is a valuable member of our team.(彼女は私たちのチームの価値あるメンバーです。)
→ 実用的な価値や貢献を強調 - My daughter is precious to me.(私の娘は私にとって大切です。)
→ 感情的なつながりを強調
「valuable」と「precious」の類似表現との違い
「valuable」と「precious」以外にも、「貴重な」や「価値がある」という意味を持つ英単語があります。
ここでは、代表的な類似表現との違いを解説します。
invaluable(計り知れない価値がある)
「invaluable」は「価値を計ることができないほど貴重である」という意味を持ちます。
「in-」という否定の接頭辞がついていますが、「価値がない」という意味ではなく、むしろ「価値が非常に高くて計れない」ということを表します。
例文
- Her advice was invaluable to me.(彼女のアドバイスは私にとって計り知れない価値がありました。)
- His experience is invaluable to our team.(彼の経験は私たちのチームにとって非常に貴重です。)
「valuable」が「価値がある」という意味なのに対し、「invaluable」は「価値が計れないほど貴重である」というさらに強い意味を持ちます。
priceless(値段がつけられないほど貴重な)
「priceless」は「価格がつけられないほど貴重である」という意味を持ちます。
「price(価格)」と「-less(〜がない)」からなる単語で、お金では買えないほど価値があることを表します。
例文
- The smile on my baby’s face is priceless.(赤ちゃんの笑顔は値段がつけられないほど貴重です。)
- This experience was priceless.(この経験は値段がつけられないほど貴重でした。)
「valuable」が金銭的価値を含む表現なのに対し、「priceless」はお金で評価できないほどの価値があることを強調します。
important(重要な)
「important」は「重要な」という意味で、何かが注目に値する、または特別な注意が必要であることを表します。
例文
- This is an important document.(これは重要な文書です。)
- It is important to study every day.(毎日勉強することは重要です。)
「valuable」や「precious」が価値に焦点を当てているのに対し、「important」は重要性や必要性に焦点を当てています。
valued(評価される)
「valued」は「value」の過去分詞形で、「高く評価される」という意味を持ちます。
例文
- She is a valued customer.(彼女は大切にされているお客様です。)
- Your opinion is highly valued.(あなたの意見は高く評価されています。)
「valuable」が対象自体の価値を表すのに対し、「valued」は他者から評価されていることを表します。
「valuable」と「precious」の使い分け練習問題
ここでは、「valuable」と「precious」の使い分けを練習するための問題を20問用意しました。括弧に適切な単語(valuable または precious)を入れてください。
- This old book is ( ) because it was published 200 years ago.
- The time I spend with my children is ( ) to me.
- She gave me some ( ) advice about my future.
- Diamonds are ( ) stones.
- Experience is a ( ) asset for any job.
- The photos of my wedding are ( ) memories for me.
- Water is a ( ) resource in desert areas.
- This information is very ( ) for our research.
- My grandmother’s ring is ( ) to me because she gave it to me.
- He has many ( ) skills that our company needs.
- Every moment with my baby is ( ).
- The antique furniture is very ( ).
- Her friendship is ( ) to me.
- This is a ( ) opportunity to learn from experts.
- Gold is a ( ) metal.
- The feedback from customers is ( ) for improving our service.
- The letters from my childhood friend are ( ) to me.
- Time is the most ( ) resource we have.
- These artifacts are ( ) to our understanding of ancient culture.
- His trust is ( ) to me, and I don’t want to lose it.
「valuable」と「precious」に関するよくある質問
- 「valuable」と「precious」は互換性がありますか?
-
場合によっては互換性がありますが、完全に置き換え可能ではありません。例えば、「This diamond is valuable/precious」のように、高価な宝石について述べる場合は両方使えますが、「This experience is valuable to my career」(この経験は私のキャリアにとって価値があります)という場合は、preciousよりもvaluableの方が適切です。逆に、「The time with my dying father was precious to me」(余命わずかな父との時間は私にとって大切でした)というような感情的な文脈では、valuableよりもpreciousの方が適切です。
- 「valuable lesson」と「precious lesson」の違いは何ですか?
-
「valuable lesson」は、実用的で有益な教訓を指します。将来の成功や成長に役立つような教訓について使われます。一方、「precious lesson」は、感情的に重要で心に残る教訓を指します。人生観や価値観に影響を与えるような深い教訓について使われることが多いです。
- 「valuable time」と「precious time」はどう違いますか?
-
「valuable time」は、生産的に使える時間や効率的に活用すべき時間を指します。ビジネスやプロジェクトの文脈でよく使われます。一方、「precious time」は、感情的に大切な時間や特別な瞬間を指します。家族との時間や特別なイベントなど、感情的な価値がある時間について使われます。
- 「valuable person」と「precious person」の違いは何ですか?
-
「valuable person」は、スキルや知識、貢献などの観点から価値のある人を指します。チームやグループにとって有用な人物について使われます。一方、「precious person」は、感情的なつながりがあり、個人的に大切な人を指します。家族や親しい友人など、感情的な絆がある人について使われます。
- 宝石や金属を表現する場合、どちらを使うのが適切ですか?
-
宝石や貴金属を表現する場合、一般的には「precious」を使います。例えば、「precious stones(貴石)」や「precious metals(貴金属)」のように使います。ただし、投資や取引の文脈では「valuable stones/metals」と言うこともあります。
- 「valuable information」と「precious information」はどう使い分けますか?
-
「valuable information」は、実用的で有用な情報を指します。ビジネスや研究、学習に役立つ情報について使われます。一方、「precious information」は、個人的に重要で入手困難な情報を指します。秘密の情報や特別な知識など、感情的な価値がある情報について使われることがあります。
- 「valuable experience」と「precious experience」の違いは何ですか?
-
「valuable experience」は、キャリアや技能開発に役立つ経験を指します。将来の成功に貢献する実用的な経験について使われます。一方、「precious experience」は、感情的に重要で忘れられない経験を指します。人生の特別な瞬間や心に残る体験について使われます。
まとめ

この記事では、「valuable」と「precious」の意味の違いと使い分けについて詳しく解説しました。以下に、主なポイントをまとめます。
- 「valuable」は主に金銭的・実用的な価値を強調する言葉で、客観的な評価を表す。
- 「precious」は主に感情的・個人的な価値を強調する言葉で、感傷的なつながりや代替不可能性を表す。
- 「valuable」は資産、情報、時間、スキルなどの実用的な価値を表現するのに適している。
- 「precious」は思い出、関係、宝石、希少資源などの感情的な価値を表現するのに適している。
- 「invaluable」や「priceless」など、類似の表現もあり、それぞれ微妙なニュアンスの違いがある。
- 文脈や表現したい価値の種類によって、適切な単語を選ぶことが重要である。
- 両方の単語は比較級と最上級の形があり、more/most を使って表現する。
- 練習問題を解くことで、両単語の使い分けに慣れることができる。
英語の形容詞の使い分けは、英語の表現力を豊かにするために重要です。「valuable」と「precious」の違いを理解することで、より正確に自分の気持ちや状況を伝えることができるようになります。
日常会話や作文、読解などで、これらの単語に出会ったときは、その単語が持つニュアンスを意識して理解してみてください。また、自分で英文を作る際にも、伝えたい価値の種類によって適切な単語を選ぶよう心がけましょう。