「vice(バイス)」は英語で名詞、形容詞、接頭辞として使われる多機能な単語です。主に「悪徳」や「悪習」を意味する名詞、または「副-」「次席の」を表す形容詞や接頭辞として使われます。
この記事では英語初学者向けに、viceの様々な意味と使い方を例文とともに詳しく解説していきます。
viceとは?多様な意味を持つ英単語

「vice」は文脈によって様々な意味を持つ単語です。最も一般的な使い方は、道徳的に問題のある行為や習慣を指す「悪徳」「悪習」という名詞としての用法です。また、役職名の前に付けて「副-」「次席の」という意味を表す形容詞や接頭辞としても広く使われています。
語源はラテン語の「vitium(欠点、欠陥)」に由来し、長い歴史を持つ単語です。日常会話からビジネス用語まで幅広い場面で使われるため、その多様な意味と使い方を理解することは英語学習において重要です。
viceの名詞としての意味
名詞としての「vice」には主に以下の意味があります。
- 悪徳、悪習、道徳的な欠点
- 悪い習慣、悪癖
- 欠点、短所
- バイス(工具の一種、万力)
例文
- Smoking is a bad vice. (喫煙は悪い習慣です。)
- Gambling became his worst vice. (ギャンブルが彼の最悪の悪習になりました。)
- Everyone has some vices. (誰にでも何らかの悪い習慣があります。)
- He used a vice to hold the wood. (彼は木材を固定するためにバイスを使いました。)
viceの形容詞・接頭辞としての使い方
「vice」は「副-」「次席の」という意味で、様々な役職名の前に付けて使われます。
- vice president(副社長、副大統領)
- vice principal(副校長)
- vice chairman(副議長)
- vice captain(副キャプテン)
例文
- She is the vice president of our company. (彼女は私たちの会社の副社長です。)
- Our school’s vice principal is very kind. (私たちの学校の副校長はとても親切です。)
- The vice captain will lead the team today. (今日は副キャプテンがチームを率います。)
viceを使った熟語・表現
「vice」を含む代表的な熟語や表現には以下のようなものがあります。
- vice versa(その逆もまた同様)
- in a vice(締め付けられた状態で、窮地で)
- vice squad(風紀取締班、警察の特殊部隊)
例文
- I help him with English, and vice versa. (私は彼の英語を手伝い、その逆もまた同様です。)
- His head felt as if it was in a vice. (彼の頭はまるでバイスで締め付けられているように感じました。)
- The vice squad arrested the drug dealers. (風紀取締班は麻薬密売人を逮捕しました。)
viceの日常的な使い方
「vice」は日常会話からビジネスシーンまで、様々な場面で使われる単語です。実際の使用例を見ていきましょう。
「vice」は特に「悪習」や「弱点」という意味で日常会話でよく使われます。
例文
- Chocolate is my one vice that I can’t give up. (チョコレートは私が諦められない唯一の弱点です。)
- What’s your biggest vice? Mine is staying up late. (あなたの最大の悪い習慣は何ですか?私のは夜更かしです。)
- Everyone has their own vices. (誰にでも自分なりの悪習があります。)
- I know it’s a vice, but I love watching TV all day. (悪い習慣だとわかっていますが、一日中テレビを見るのが好きです。)
ビジネスシーンでは、「vice」は主に役職名として使われます。
例文
- The vice manager will attend the meeting today. (副マネージャーが今日の会議に出席します。)
- Please give this report to our vice director. (このレポートを副ディレクターに渡してください。)
- She was promoted to vice president last month. (彼女は先月副社長に昇進しました。)
- As the vice chair, I will support the chairperson. (副議長として、私は議長をサポートします。)
viceの学校や組織での使い方
学校やスポーツチーム、組織などでも「vice」は頻繁に使われます。
例文
- Our school has a principal and two vice principals. (私たちの学校には校長と2人の副校長がいます。)
- The vice captain will lead today’s practice. (副キャプテンが今日の練習を率います。)
- I was elected as the vice president of the student council. (私は生徒会の副会長に選ばれました。)
- The vice leader is responsible when the leader is absent. (リーダーが不在の時は副リーダーが責任を負います。)
viceの類義語と対義語
「vice」の理解をさらに深めるために、類義語と対義語を見ていきましょう。
「悪徳・悪習」としてのviceの類義語
- sin(罪)
- weakness(弱点)
- fault(欠点)
- bad habit(悪い習慣)
- failing(欠点)
- shortcoming(短所)
例文
- Laziness is often considered both a vice and a sin. (怠惰はしばしば悪徳であり罪とみなされます。)
- Smoking is his biggest weakness. (喫煙は彼の最大の弱点です。)
- Everyone has faults and vices. (誰にでも欠点や悪習があります。)
「悪徳・悪習」としてのviceの対義語
- virtue(美徳)
- strength(強み)
- good quality(良い資質)
- merit(長所)
例文
- Honesty is a virtue, while dishonesty is a vice. (正直さは美徳であり、不正直さは悪徳です。)
- Patience is a virtue that many people lack. (忍耐は多くの人が欠いている美徳です。)
- His kindness is a strength that everyone admires. (彼の優しさは誰もが称賛する強みです。)
「副-」としてのviceの類義語
- deputy(代理の)
- assistant(補佐の)
- sub-(副-)
- second in command(次席の)
例文
- The deputy manager and vice manager have similar roles. (副支配人と副マネージャーは似た役割を持っています。)
- She works as an assistant director. (彼女は補佐監督として働いています。)
- The sub-committee is led by the vice president. (小委員会は副社長によって率いられています。)
以下は「vice」の様々な意味と関連する単語をまとめた表です。
viceの意味 | 類義語 | 例文 |
---|---|---|
悪習・悪徳(名詞) | sin, weakness, bad habit | Smoking is a common vice. (喫煙は一般的な悪習です。) |
欠点・短所(名詞) | fault, failing, shortcoming | Impatience is his greatest vice. (焦りは彼の最大の欠点です。) |
副-・次席の(形容詞) | deputy, assistant, sub- | She is the vice president of the club. (彼女はそのクラブの副会長です。) |
バイス・万力(名詞) | clamp, grip | He secured the wood in a vice. (彼は木材をバイスで固定しました。) |
viceのよくある間違いと注意点
「vice」は多義語であるため、いくつかの混乱や間違いが起こりやすい単語です。以下に、よくある間違いと注意点を紹介します。
発音の間違い
「vice」の正しい発音は /vaɪs/ で、「バイス」に近い音です。以下のような間違いに注意しましょう。
- 「voice(声)」と混同して /vɔɪs/ と発音してしまう
- 「vise」(アメリカ英語でのバイス=工具)と混同する
正しい発音を覚えるために、次のような短いフレーズを練習するとよいでしょう。
例文
- “The vice president has a nice voice.”(副社長は素敵な声を持っています。)
スペルの間違い
「vice」と似た単語との混同によるスペルミスもよくあります。
- 「vise」(アメリカ英語でのバイス=工具)との混同
- イギリス英語では工具も「vice」と綴るが、アメリカ英語では「vise」
- 「wise」(賢い)と混同する
意味の混同
「vice」の複数の意味を混同することもよくある間違いです。
- 「He has many vices in the company.」(彼は会社で多くの副役職を持っている)と言いたいところを、「悪習」の意味に取られる可能性がある
- 「vice versa」の使い方を間違える(単に「逆に」という意味ではなく、「その逆もまた同様」という意味)
正しい前置詞の使用
「vice」を使う際の前置詞の選択も重要です。
- “addicted to a vice”(悪習に耽っている)
- “suffering from a vice”(悪習に苦しんでいる)
- “a person with many vices”(多くの悪習を持つ人)
- “promoted to vice president”(副社長に昇進した)
例文
- He is addicted to the vice of gambling. (彼はギャンブルという悪習に耽っています。)
- She was promoted to vice principal last year. (彼女は去年副校長に昇進しました。)
- People with many vices often find it hard to change. (多くの悪習を持つ人々はしばしば変わることが難しいです。)
viceに関する問題
ここでは、英単語「vice」に関連するさまざまな問題を用意しました。「vice」は「悪徳」「副〜」など複数の意味を持つ単語です。
問題を通じて、「vice」の意味や使い方、そして似た単語との違いを学びましょう。
- 「悪徳」や「悪い習慣」という意味で使われる英単語は何ですか?
- 「副大統領」を英語で何と言いますか?
- 「美徳」の英単語を答えてください。
- 「vice」の反対語は何ですか?
- 「副社長」を英語で表すと?
- 「犯罪」や「悪事」という意味で使われる単語は次のうちどれですか?(a. virtue b. vice c. vision)
- 「副〜」という意味で使われる接頭語は何ですか?
- 「副警察署長」を英語で何と言いますか?
- 「悪徳」ではなく「美点」を表す単語は何ですか?
- 「vice」と同じ発音だが、意味が異なる単語を1つ挙げてください。
それぞれの問題と回答を通じて、「vice」に関する知識を深めてください。
「vice」に関するよくある質問
- 「vice」と「vise」の違いは何ですか?
-
「vice」と「vise」は同じ物を指す異なるスペルです。「vice」はイギリス英語で、「vise」はアメリカ英語で使われることが多いです。どちらも工具としての「バイス(万力)」を指します。ただし、「vice」には「悪習」や「副-」という他の意味もあります。
- The carpenter used a vice to hold the wood firmly. (大工は木材をしっかり固定するためにバイスを使いました。)(イギリス英語)
- The carpenter used a vise to hold the wood firmly. (大工は木材をしっかり固定するためにバイスを使いました。)(アメリカ英語)
- 「vice versa」の正しい使い方は?
-
「vice versa」はラテン語由来の表現で、「その逆もまた同様」という意味です。二つの項目や状況が相互に適用される場合に使います。「また逆に」や「反対に」というニュアンスよりも、「双方向に当てはまる」というニュアンスが強いです。
- Parents teach children, and vice versa. (親は子供に教え、その逆もまた同様です。)
- I help him with English, and he helps me with math, vice versa. (私は彼の英語を手伝い、彼は私の数学を手伝います、またその逆も同様です。)
- ビジネスでの「vice」の役職はどのような権限を持っていますか?
-
ビジネスでの「vice」がつく役職(副社長、副部長など)は、通常、正の役職者(社長、部長など)の次に位置し、正の役職者が不在の際にその職務を代行する権限を持ちます。また、正の役職者をサポートし、特定の業務領域に責任を持つことがあります。ただし、具体的な権限や責任は会社や組織によって異なります。
- When the president is away, the vice president takes over. (社長が不在の時、副社長が引き継ぎます。)
- Our vice manager is responsible for the sales team. (私たちの副マネージャーは営業チームを担当しています。)
- 「vice」の名詞としての複数形は?
-
「vice」の名詞としての複数形は「vices」です。発音は /ˈvaɪsɪz/ で、「バイシズ」に近い音になります。
- He has many vices, including smoking and drinking. (彼は喫煙や飲酒を含む多くの悪習があります。)
- Society often criticizes the vices of young people. (社会はしばしば若者の悪習を批判します。)
- 「vice」を使った他の一般的な表現はありますか?
-
はい、「vice」を使った一般的な表現にはいくつかあります。
- vice squad(風紀取締班、警察の特殊部隊)
- vice grip(強い握り、または特定の工具の名前)
- vice chancellor(副学長、特に英国の大学で)
例文
- The vice squad raided several illegal casinos. (風紀取締班はいくつかの違法なカジノを急襲しました。)
- He has a vice grip on the company’s finances. (彼は会社の財政を強く握っています。)
まとめ

この記事では、英単語「vice」の様々な意味と使い方について詳しく解説しました。「vice」は名詞、形容詞、接頭辞として使われ、主に「悪習」「悪徳」という意味の名詞、または「副-」「次席の」という意味の形容詞・接頭辞として使われることを学びました。
以下に、この記事で学んだ重要なポイントをまとめます。
- 「vice」の主な意味と用法
- 名詞としての「vice」:悪習、悪徳、欠点、バイス(工具)
- 形容詞・接頭辞としての「vice」:副-、次席の(vice president など)
- 熟語としての使用:vice versa(その逆もまた同様)
- 「vice」の使用場面
- 日常会話:主に悪習や弱点を表す
- ビジネスシーン:主に役職名に使われる
- 「vice」に関する注意点
- 発音の混同に注意(voice との混同など)
- スペルの混同に注意(vise との違いなど)
- 意味の混同に注意(複数の意味があるため)
- 「vice」の関連表現
- 類義語:sin(罪)、weakness(弱点)、deputy(代理の)など
- 対義語:virtue(美徳)、strength(強み)など
「vice」は英語の中でも様々な文脈で使われる便利な単語です。この記事で学んだ内容を活かして、読解や会話の中で「vice」の意味を正確に理解し、適切に使いこなせるようになりましょう。また、例文を参考にして、自分でも文を作ってみることで、より理解が深まります。
英語学習の旅において、一つ一つの単語をしっかりと理解することは大切な一歩です。「vice」のような多義語を理解することで、英語表現の幅がさらに広がることでしょう。