英語での「弱い」という概念は、日本語よりもずっと多様な表現方法があります。場面や対象によって使い分けることで、より正確に自分の意図を伝えることができるのです。
本記事では、英語初学者の方でも理解しやすいように、「弱い」を表す様々な英単語の違いと使い分けについて詳しく解説します。それぞれの単語の特徴や適切な使用場面を知ることで、英語表現の幅を広げましょう。
「弱い」を表す英単語

まずは「弱い」を表す代表的な英単語とその基本的な意味を紹介します。
「弱い」を表す英単語
- weak(一般的な「弱い」、力や強さが足りない)
- fragile(壊れやすい、もろい)
- delicate(繊細な、デリケートな、華奢な)
- faint(かすかな、弱々しい)
- frail(虚弱な、体力がない)
- feeble(弱々しい、無力な)
- flimsy(薄っぺらな、もろい)
- brittle(もろい、砕けやすい)
- rickety(ぐらつく、不安定な)
- puny(小さく弱々しい、ひ弱な)
- infirm(病弱な、虚弱な)
- powerless(力のない、無力な)
- vulnerable(傷つきやすい、弱い立場にある)
- unsteady(不安定な、ぐらつく)
- anemic/anaemic(貧血の、活力のない)
「弱い」を表す英単語の発音・意味・特徴と使い分け【例文あり】
日本語の「弱い」という言葉は、状況や対象によって様々な英単語に置き換えることができます。以下では、それぞれの英単語について詳しく見ていきましょう。
発音、意味、特徴、使い分けのポイント、そして実際の例文を通して理解を深めていきます。
weak(ウィーク)
意味と特徴
weakは「弱い」を表す最も一般的な英単語です。力や強さが足りない状態、体力や気力がない状態、能力が低い状態など、幅広い「弱さ」を表現できます。また、濃度や味が薄い、音や光が弱いといった表現にも使われます。
使い分けのポイント
物理的な力の弱さ、体力の不足、能力の欠如など、広範囲の「弱さ」に使えます。特定の種類の弱さではなく、一般的な弱さを表現したいときに最も適しています。
例文
- I am too weak to carry this heavy box.(この重い箱を運ぶには私は力が弱すぎる。)
- He has a weak spot in English grammar.(彼は英文法に弱点がある。)
- This tea is too weak for me.(このお茶は私には薄すぎる。)
fragile(フラジャイル)
意味と特徴
fragileは「壊れやすい」「もろい」という意味の「弱さ」を表す単語です。主に物体が外部からの圧力や衝撃に耐えられない性質を表現します。また、精神的にもろい状態や、不安定な状況を表すこともあります。
使い分けのポイント
物理的に壊れやすいもの(ガラス製品など)や、不安定で崩れやすい状況(平和、関係性など)に使います。「取り扱い注意」という意味合いがあり、宅配便などでよく見かける表示でもあります。
例文
- This glass is very fragile, so be careful.(このガラスはとても壊れやすいので、気をつけてください。)
- Our new friendship is still fragile.(私たちの新しい友情はまだ壊れやすい状態だ。)
- She looks fragile but she is very strong inside.(彼女は外見は弱そうに見えるが、内面はとても強い。)
delicate(デリケート)
意味と特徴
delicateは「繊細な」「デリケートな」「華奢な」という意味があり、繊細さゆえに傷つきやすい、壊れやすいといったニュアンスの「弱さ」を表します。ネガティブな意味だけでなく、精巧で上品という良い意味も含みます。
使い分けのポイント
繊細で美しいが扱いに注意が必要なもの、敏感で特別なケアが必要なものに使います。fragileよりも良い印象を与えることが多い単語です。美術品や精密機器、繊細な肌などに使われます。
例文
- She has delicate skin that burns easily.(彼女は日焼けしやすい繊細な肌を持っている。)
- This is a delicate situation that needs careful handling.(これは慎重な扱いが必要なデリケートな状況だ。)
- The watch has a delicate mechanism inside.(その時計の内部には繊細な機構がある。)
faint(フェイント)
意味と特徴
faintは「かすかな」「弱々しい」という意味があります。主に音、光、色、匂いなどが弱くかすかな状態を表したり、意識がもうろうとした状態を表します。
使い分けのポイント
感覚で捉えられるものが弱い場合(音、光、色など)や、意識が薄れる場合に使います。また「faint-hearted(臆病な)」のような表現もあります。遠くの音や光、かすかな希望などを表現する際に適しています。
例文
- I heard a faint noise from the next room.(隣の部屋からかすかな音が聞こえた。)
- There was a faint light in the dark forest.(暗い森の中にかすかな光があった。)
- She felt faint and needed to sit down.(彼女はめまいを感じて座る必要があった。)
frail(フレイル)
意味と特徴
frailは主に「虚弱な」「体力がない」という身体的な弱さを表します。特に高齢者や病人などの体が弱っている状態によく使われます。また、構造的にもろい物にも使えます。
使い分けのポイント
主に人の身体的な弱さや老化による虚弱さを表現する場合に使います。weakよりも深刻な身体的衰弱を示すことが多いです。特に高齢者の身体的虚弱さを表現する際に適切です。
例文
- My grandfather is getting frail with age.(私の祖父は年をとって虚弱になってきている。)
- She looks frail after her long illness.(彼女は長い病気の後で虚弱に見える。)
- The frail old woman needed help to walk.(その虚弱な老婦人は歩くのに助けが必要だった。)
feeble(フィーブル)
意味と特徴
feebleは「弱々しい」「無力な」「力のない」という意味があります。身体的な力の弱さだけでなく、意志や主張の力強さに欠ける様子も表現します。
使い分けのポイント
力が極めて弱い状態、効果がほとんどない状態などを表現する場合に使います。weakよりも弱さの程度が強い場合が多いです。また、軽蔑的なニュアンスを含むこともあります。特に効果や影響力がほとんどないことを強調したい場合に使います。
例文
- His voice was feeble because of his cold.(彼は風邪のために声が弱々しかった。)
- She made a feeble attempt to solve the problem.(彼女はその問題を解決するために弱々しい試みをした。)
- The feeble light was not enough to read by.(その弱い光は読書するには十分ではなかった。)
flimsy(フリムジー)
意味と特徴
flimsyは「薄っぺらな」「もろい」「チャチな」という意味があり、材質が薄くて強度が足りない、または根拠が弱いという意味の「弱さ」を表します。
使い分けのポイント
物の構造的な弱さや、言い訳や理由などが説得力に欠ける場合に使います。品質の悪さを暗示することも多いです。特に薄い紙や布、説得力のない言い訳などを表現する際に適しています。
例文
- This tent is made of flimsy material.(このテントは薄っぺらな素材で作られている。)
- He gave a flimsy excuse for being late.(彼は遅刻したことに対して薄っぺらな言い訳をした。)
- Their argument is based on flimsy evidence.(彼らの議論は薄弱な証拠に基づいている。)
brittle(ブリトル)
意味と特徴
brittleは「もろい」「壊れやすい」という意味があり、硬いが衝撃に弱く、簡単に砕ける性質を表します。また、感情的にもろく、簡単に崩れるような性格も表現します。
使い分けのポイント
硬いが脆い物質(ガラス、氷など)の特性を表すときに使います。また、感情的に不安定で簡単に崩れる様子にも使えます。fragileとは違い、特に「硬さ」と「もろさ」が同時に存在する場合に使います。
例文
- These cookies are too brittle and break easily.(これらのクッキーはとてももろくて簡単に砕ける。)
- Dry hair becomes brittle and breaks easily.(乾燥した髪はもろくなり簡単に切れる。)
- He has a brittle temper and gets angry quickly.(彼はもろい気性で簡単に怒る。)
rickety(リケティ)
意味と特徴
ricketyは「ぐらつく」「不安定な」という意味があり、構造的に不安定でしっかりしていない状態を表します。主に家具や建物などに使われます。
使い分けのポイント
物の構造的な弱さ、特にぐらつきや不安定さを表現するときに使います。古くなって不安定になったものを表現するのに適しています。特に古い椅子、階段、橋などに使われることが多いです。
例文
- Be careful on that rickety old chair.(あのぐらつく古い椅子には気をつけて。)
- We crossed a rickety bridge over the river.(私たちは川の上の不安定な橋を渡った。)
- They live in a rickety old house that needs repairs.(彼らは修理が必要な不安定な古い家に住んでいる。)
puny(ピューニー)
意味と特徴
punyは「小さく弱々しい」「ひ弱な」という意味があり、サイズが小さく力がない状態を表します。軽蔑的なニュアンスを含むことが多いです。
使い分けのポイント
サイズや力が期待よりも著しく小さい、または弱い場合に使います。批判的な文脈で使われることが多いです。特に皮肉や批判を込めて何かの小ささや弱さを強調したい場合に適しています。
例文
- His puny arms couldn’t lift the heavy box.(彼のひ弱な腕ではその重い箱を持ち上げられなかった。)
- That was a puny effort to solve such a big problem.(それはそんな大きな問題を解決するためにはあまりにもひ弱な努力だった。)
- The kitten was puny but very active.(その子猫はひ弱だったがとても活発だった。)
infirm(インファーム)
意味と特徴
infirmは「病弱な」「虚弱な」という意味があり、主に年齢や病気が原因で体が弱っている状態を表します。やや古めかしい表現です。
使い分けのポイント
主に高齢者や病人の身体的な弱さを表現する場合に使います。frailとよく似ていますが、より医学的・公式的なニュアンスがあります。特に医療や福祉の文脈でよく使われます。
例文
- The hospital cares for the elderly and infirm.(その病院は高齢者と虚弱な人々の世話をしている。)
- He became infirm after the serious accident.(彼はその深刻な事故の後、病弱になった。)
- My infirm grandmother needs daily assistance.(私の病弱な祖母は毎日の介助が必要だ。)
powerless(パワーレス)
意味と特徴
powerlessは「力のない」「無力な」という意味があり、物理的な力だけでなく、権力や影響力がない状態も表します。状況をコントロールできない無力感を表現するのに適しています。
使い分けのポイント
力や権限がなく、状況を変える能力がない場合に使います。社会的、政治的な文脈でよく使われます。特に何かを変える力がないことを強調したい場合に適しています。
例文
- I felt powerless to help my sick friend.(私は病気の友達を助けるのに無力を感じた。)
- The small country was powerless against its larger neighbor.(その小さな国は大きな隣国に対して無力だった。)
- We were powerless to stop the flood.(私たちは洪水を止めるのに無力だった。)
vulnerable(バルネラブル)
意味と特徴
vulnerableは「傷つきやすい」「弱い立場にある」という意味があり、攻撃や危害を受けやすい状態を表します。身体的だけでなく、感情的、社会的な弱さも含みます。
使い分けのポイント
外的要因によって害を受けやすい状態にある場合に使います。保護が必要な状態を示すことが多いです。特に防御が不十分で攻撃を受けやすい状態や、社会的弱者を表現する際に適しています。
例文
- Small children are vulnerable to illness.(小さな子供たちは病気にかかりやすい。)
- The coastal areas are vulnerable to flooding.(沿岸地域は洪水の危険にさらされている。)
- She felt vulnerable after sharing her secret.(彼女は秘密を打ち明けた後、傷つきやすい気持ちになった。)
unsteady(アンステディ)
意味と特徴
unsteadyは「不安定な」「ぐらつく」という意味があり、安定性に欠け、揺れたりぐらついたりする状態を表します。
使い分けのポイント
物理的な安定性の欠如や、感情や行動の一貫性のなさを表現する場合に使います。特に足取りが不安定だったり、手が震えたりする状態を表現するのに適しています。
例文
- The old man walked with unsteady steps.(その老人は不安定な足取りで歩いた。)
- Her voice was unsteady because she was nervous.(彼女は緊張していたため声が不安定だった。)
- After drinking, he had unsteady hands.(飲酒の後、彼は手が不安定だった。)
anemic/anaemic(アニーミック)
意味と特徴
anemic/anaemicは「貧血の」「活力のない」という意味があり、元々は医学用語ですが、比喩的に力や活力が不足している状態も表します。
使い分けのポイント
力や活力が著しく不足している状態、特に色や表現が弱々しい場合に使います。医学的なニュアンスを含みます。特に経済成長や業績、パフォーマンスが期待より遥かに低い場合によく使われます。
例文
- The company reported anemic growth this year.(その会社は今年、貧弱な成長を報告した。)
- His anemic performance disappointed everyone.(彼の力のないパフォーマンスは皆を失望させた。)
- The painting had an anemic color scheme.(その絵画は活力のない配色だった。)
「弱い」を表す英単語の比較表
英単語 | 主な意味 | 使用対象 | ニュアンス |
---|---|---|---|
weak | 一般的な「弱い」 | 人、物、能力、光、音など幅広く | 中立的 |
fragile | 壊れやすい、もろい | 物体、関係性、状況 | 取り扱い注意 |
delicate | 繊細な、虚弱な | 精巧なもの、敏感なもの | やや肯定的 |
faint | かすかな、弱々しい | 音、光、色、匂い、意識 | 微弱さを強調 |
frail | 虚弱な、体力がない | 主に人の身体 | 身体的衰弱 |
feeble | 弱々しい、無力な | 力、効果、試み | やや否定的 |
flimsy | 薄っぺらな、もろい | 物の材質、理由や証拠 | 否定的 |
brittle | もろい、砕けやすい | 硬い物質、感情 | 脆さを強調 |
rickety | ぐらつく、不安定な | 構造物、家具 | 構造的不安定さ |
puny | 小さく弱々しい | サイズ、力、努力 | 軽蔑的 |
infirm | 病弱な、虚弱な | 主に高齢者や病人 | 医学的 |
powerless | 力のない、無力な | 人、国、影響力 | 社会的・政治的 |
vulnerable | 傷つきやすい | 攻撃や危害を受ける可能性 | 保護の必要性 |
unsteady | 不安定な、ぐらつく | 歩行、声、感情 | 安定性の欠如 |
anemic | 貧血の、活力のない | 成長、パフォーマンス、色 | 医学的比喩 |
「弱い」を表す英単語の使い分け練習問題
以下の文章の空欄に最も適切な「弱い」を表す英単語を入れてください。
- The old bridge looks very __ and might collapse.
- After her illness, she still feels __ and needs rest.
- Be careful with that vase, it’s very __.
- I heard a __ sound coming from the attic.
- The __ child couldn’t lift the heavy book.
- His arguments were so __ that nobody believed him.
- The ice is too __ to walk on.
- The __ government couldn’t control the situation.
- She has __ eyesight and needs glasses.
- After running the marathon, his legs were __ and shaking.
- The __ chair creaked when I sat on it.
- Young children are __ to certain diseases.
- This is a __ issue that needs careful handling.
- The economy showed __ growth last year.
- The tea tastes too __ and needs more tea leaves.
- Her voice was __ with emotion as she told the story.
- The __ light of the candle wasn’t enough to read by.
- The elderly are often __ and need special care.
- His __ excuse didn’t convince the teacher.
- Dry leaves become __ in autumn and break easily.
「弱い」を表す英単語に関するよくある質問
- 「weak」と「fragile」の違いは何ですか?
-
「weak」は一般的な弱さを表す広い意味を持ち、力や能力の不足を示します。一方「fragile」は特に壊れやすさを強調し、衝撃や圧力に耐えられない性質を表します。例えば、年配の方の体力は「weak」、ガラス製品は「fragile」と表現するのが適切です。
- 人の体が弱いことを表す最適な英単語は何ですか?
-
状況によって異なりますが、一般的な体力の弱さは「weak」、年齢や病気による虚弱さは「frail」か「infirm」、繊細で傷つきやすい体質は「delicate」が適切です。高齢者の場合は特に「frail」がよく使われます。
- 「delicate」は必ずしもネガティブな意味ではないのですか?
-
はい、「delicate」は繊細さや精巧さという肯定的な意味合いも持ちます。例えば「delicate features(繊細な顔立ち)」や「delicate craftsmanship(精巧な職人技)」のように、美しさや価値を含意することもあります。
- 「feeble」と「weak」の違いは何ですか?
-
「feeble」は「weak」よりも弱さの程度が強く、時に軽蔑的なニュアンスを含むことがあります。また、「feeble」は特に効果や影響力がほとんどないことを強調するときに使われます。「weak excuse(弱い言い訳)」よりも「feeble excuse(極めて弱々しい言い訳)」の方が、その言い訳の弱さが強調されます。
- 建物や構造物の弱さを表す最適な単語は何ですか?
-
建物や構造物の場合、「rickety(ぐらつく)」が特に古くて不安定な構造物に適しています。また、一般的な強度不足は「weak」、薄くてもろい材質は「flimsy」が適切です。建物の基礎の強度が不十分な場合は「unsound(不健全な)」も使われます。
- 「vulnerable」はどのような状況で使うべきですか?
-
「vulnerable」は主に攻撃や危害、損害を受けやすい状態を表します。例えば、「vulnerable to attack(攻撃を受けやすい)」「vulnerable population(弱い立場にある人々)」などの表現があります。特に保護や配慮が必要な状況を示す場合に適しています。
まとめ

日本語の「弱い」という一言で表される概念は、英語では状況や対象によって様々な単語で表現されます。最も一般的な「weak」をはじめ、壊れやすさを表す「fragile」や「brittle」、繊細さを含む「delicate」、構造的な不安定さを表す「rickety」など、多様な単語があります。
これらの英単語を適切に使い分けることで、より正確に「弱さ」のニュアンスを伝えることができます。例えば、お年寄りの体の弱さは「frail」、ガラス製品の壊れやすさは「fragile」、かすかな音は「faint」と表現することで、英語での表現がより豊かになります。
また、これらの単語は形容詞としての使用だけでなく、「weakness(弱点、弱さ)」「fragility(もろさ)」「vulnerability(弱さ、傷つきやすさ)」などの名詞形でも使われます。
英語初学者の方は、まず「weak」の基本的な使い方をマスターし、徐々に他の単語の微妙なニュアンスの違いを学んでいくとよいでしょう。日常会話でよく使われる「fragile」「delicate」「faint」などから覚え始めるのがおすすめです。
状況に応じた適切な「弱い」を表す英単語を使いこなすことで、より豊かで正確な英語表現が可能になります。ぜひ、この記事で紹介した様々な「弱い」を表す英単語を覚えて、英語表現の幅を広げてください。
このように「弱い」という日本語を英語で表現する場合、多くの選択肢があります。状況や文脈に応じて最適な単語を選ぶことで、より的確に自分の意図を伝えることができるでしょう。