英語学習を深めようとする多くの方が、「実用英語技能検定」(通称:英検)の取得を目指しています。近年、従来型のペーパーテストだけでなく、コンピューターを使用して受験する「英検S-CBT」が選択肢として注目されています。しかし、どちらの形式を選ぶべきか迷われている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、英検S-CBTの基本情報から従来型との違い、メリット・デメリットまでを初学者の方にもわかりやすく解説します。英検受験を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
英検S-CBTとは?基本情報と特徴

英検S-CBTは「英検スピーキングコンピューターベースドテスト」の略称で、その名の通りコンピューターを使用して受験する英語試験です。従来型の英検とは異なり、テストセンターに設置されたパソコンを使用して試験が行われます。英検S-CBTの最大の特徴は、従来型英検では別日程で実施されていた1次試験(リーディング、ライティング、リスニング)と2次試験(スピーキング)をすべて1日で完結できる点です。
受験者はコンピューターの画面に表示される問題に解答していきますが、スピーキングテストではマイクを通じて回答を録音する方式を採用しています。このシステムにより、従来のように試験官と対面せずにスピーキング能力を評価できるようになりました。
また、英検S-CBTは年間最大6回実施されており、従来型の年3回に比べて受験機会が多いことも大きな特徴です。この柔軟性は、特定の時期までに資格取得を目指す学生や、自分のスケジュールに合わせて試験を受けたい社会人にとって大きなメリットとなっています。
なお、英検S-CBTで測定される英語能力は従来型と同じであり、取得できる資格も同等の価値を持ちます。つまり、どちらの形式で合格しても、同じ英検の資格として認められるのです。
英検S-CBTの試験内容と流れ
英検S-CBTの試験は、従来型とは異なる順序で実施されます。具体的には「スピーキング」→「リスニング」→「リーディング」→「ライティング」の順に行われ、すべての技能を一日で評価します。
この順序は従来型英検の「リーディング」→「ライティング」→「リスニング」(1次)、後日「スピーキング」(2次)という流れとは大きく異なります。
スピーキングテスト
スピーキングテストはパソコンに向かって話す形式で実施されます。試験官と対面するのではなく、画面に表示される質問やタスクに対して、マイクを通じて回答を録音していきます。
質問の難易度や内容は従来の英検と同等ですが、対面式ではないため、人前での緊張感が軽減される利点があります。
リスニング
リスニングではヘッドフォンを通じて音声を聴きます。
従来型ではCDプレーヤーからの音声を会場全体で聴く形式でしたが、S-CBTでは個別のヘッドフォンを使用するため、音量を自分で調整できるほか、周囲の雑音に影響されにくいという特徴があります。
リーディングセクション
リーディングセクションでは、画面上で英文を読みながら問題を解いていきます。
従来型の紙による試験と比べて、スクロールしながら読み進める必要がありますが、基本的な内容や難易度は同じです。
ライティングセクション
ライティングセクションでは、タイピングか手書きを選択できます。タイピングを選べば、文字の読みやすさを気にせず、また修正も容易にできるというメリットがあります。
タイピングに慣れている方であれば、手書きよりも効率的に英作文を完成させることができるでしょう。
試験時間は級によって異なりますが、全体で約2時間程度です。結果は試験日から約2~3週間後にウェブ上で確認できるようになります。
英検S-CBTと従来型英検の主な違い
英検S-CBTと従来型英検の間には、いくつかの重要な違いがあります。これらの違いを理解することで、自分に適した受験形式を選ぶことができるでしょう。
試験形式
まず、最も大きな違いは試験形式です。従来型英検はペーパーテストと対面式のスピーキングテストで構成されますが、S-CBTはすべてコンピューター上で実施されます。
このため、パソコン操作に慣れているかどうかが、試験のパフォーマンスに影響する可能性があります。
受験日程
受験日程の違いも重要です。従来型英検は年に3回(1月、6月、10月)の固定された日程で実施されますが、S-CBTは年に最大6回実施され、日程の選択肢が多いのが特徴です。
この柔軟性は、特に忙しいスケジュールの中で英検受験を考えている方にとって大きなメリットとなります。
試験の順序
試験の順序も異なります。従来型では1次試験で「リーディング」「ライティング」「リスニング」の順に行われ、合格者のみが後日2次試験でスピーキングを受験します。一方、S-CBTでは「スピーキング」「リスニング」「リーディング」「ライティング」の順で一日ですべてを行います。
この順序の違いは、特にリスニングのパフォーマンスに影響を与える可能性があります。S-CBTでは比較的頭が冴えている状態でリスニングに臨めるため、有利と言えるかもしれません。
結果通知方法
結果通知方法も異なります。従来型では郵送での通知が基本ですが、S-CBTはウェブサイト上での確認となります。また、結果が出るまでの期間もS-CBTの方がやや短い傾向にあります。
受験料
受験料については、S-CBTの方が若干高めに設定されています。これはコンピューター設備やシステム維持のコストが反映されているためです。
しかし、1日で全てのテストを終えられる時間効率や、日程選択の柔軟性を考えると、トータルでのコストパフォーマンスは良い場合もあります。
これらの違いを踏まえ、自分の学習スタイルや目標、スケジュールに合った方を選ぶことが重要です。
英検S-CBTのメリット
英検S-CBTには従来型にはない様々なメリットがあります。これらを理解することで、自分に適した試験形式を選ぶ際の参考になるでしょう。
時間効率の良さ
最大の利点は、1日ですべての技能テストを完了できる点です。従来型では1次試験と2次試験の間に数週間の間隔があり、その間も勉強を継続する必要がありますが、S-CBTでは一日で全てが完結するため、集中力を維持したまま受験できます。
特に仕事や学業で忙しい方にとっては、この時間効率の良さは大きなメリットと言えるでしょう。
スケジュールの柔軟性
S-CBTは年間で最大6回実施されるため、自分の予定に合わせて受験日を選びやすいという利点があります。特に大学入試でのAO入試(総合型選抜)などで英検の資格を活用したい場合、試験のタイミングが重要になります。
S-CBTなら、締切直前でも受験チャンスがあるため、計画的に資格取得を目指せます。
リスニング環境の良さ
S-CBTではヘッドフォンを使用してリスニングを行うため、音量調整が可能で、周囲の雑音に左右されません。従来型ではCDプレーヤーからの音声を聞くため、座席位置によって聞こえ方に差が出ることがありますが、S-CBTではそうした心配がありません。
これにより、リスニングセクションでより実力を発揮しやすくなります。
ライティングの効率化
S-CBTではライティングでタイピングを選択できます。タイピングに慣れていれば、手書きよりも速く文章を作成でき、時間の節約になります。また、字の綺麗さを気にする必要がなく、内容に集中できるほか、文字の修正や文章の再構成も容易です。
これらの点から、特にタイピングに自信がある方には大きなアドバンテージとなります。
スピーキングでの緊張軽減
S-CBTのスピーキングテストは、試験官との対面ではなく、パソコンに向かって録音する形式です。これにより、対人でのコミュニケーションに緊張しやすい方でも、比較的リラックスした状態でスピーキングに臨めます。
人前で話すことに不安を感じる方にとっては、この形式は大きなメリットとなるでしょう。
試験セクションの順序
S-CBTでは、比較的頭が冴えている状態でリスニングに臨めるという利点があります。従来型では長時間のリーディングとライティングの後にリスニングを行うため、集中力が低下した状態での受験になりがちですが、S-CBTではその心配が少なくなります。
これにより、リスニングでより良いパフォーマンスを発揮できる可能性が高まります。
これらのメリットを総合すると、特にデジタル環境に慣れている方や、効率的に試験を終えたい方にとって、S-CBTは魅力的な選択肢と言えるでしょう。
英検S-CBTのデメリットと対策法
英検S-CBTには多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
しかし、適切な対策を取ることで、これらの問題を最小限に抑えることが可能です。
目の疲れと対策
長時間パソコン画面を見続けることによる目の疲れは、S-CBTの大きなデメリットの一つです。特にリーディングセクションでは大量の文章を画面上で読む必要があるため、目への負担が大きくなります。
【対策】
- 試験前の数週間は、日常的にパソコンでの学習時間を増やし、目を慣らしておく
- 試験中は定期的に遠くを見て目を休める習慣をつける
- 必要に応じて、ブルーライトカットメガネを使用する
- 試験前日は十分な睡眠をとり、目の疲労を回復させておく
タイピングスキルの必要性
ライティングセクションでタイピングを選択する場合、キーボード入力のスピードと正確さが重要になります。タイピングが苦手だと、時間内に十分な内容を書けない可能性があります。
【対策】
- 日頃からタイピング練習を行い、英文入力のスピードを向上させる
- オンラインのタイピング練習サイトを活用する
- 英作文の練習をパソコンで行い、実際の試験環境に近い状態で慣れておく
- タイピングに不安がある場合は、手書きを選択するという判断も必要
不慣れな試験環境
コンピューターを使った試験形式に馴染みがない人は、初めての環境で緊張したり、操作に戸惑ったりする可能性があります。
【対策】
- 英検協会が提供している模擬体験サイトを事前に利用する
- 可能であれば、類似のコンピューターベースの試験を体験してみる
- 試験の流れや操作方法を事前に十分理解しておく
- パソコン操作の基本(クリック、スクロール、タイピング)に慣れておく
受験料の高さ
S-CBTは従来型よりも受験料が高く設定されています。予算に制約がある場合は、負担になる可能性があります。
【対策】
- 長期的な視点で、時間効率や受験機会の多さなどのメリットと費用を比較検討する
- S-CBTの特性を活かして確実に合格できるよう準備を徹底し、再受験のリスクを減らす
- 学校や企業の補助制度があれば活用する
スピーキングが最初にある心理的プレッシャー
試験の最初にスピーキングがあるため、ここで自信を失うと残りのセクションにも悪影響を及ぼす可能性があります。
【対策】
- スピーキングの練習を十分に行い、S-CBT形式(録音式)に慣れておく
- 自宅でパソコンに向かって話す練習を重ね、本番の環境をシミュレーションする
- スピーキングが終わったら気持ちを切り替え、次のセクションに集中する心構えを持つ
これらのデメリットは確かに存在しますが、適切な準備と対策によって克服可能な課題ばかりです。特に英検S-CBTを初めて受験する方は、これらの点に注意して準備を進めることをおすすめします。
英検S-CBTの申し込み手順と準備
英検S-CBTを受験するためには、いくつかの手順を踏む必要があります。ここでは、スムーズな申し込みと試験当日までの準備について解説します。
申し込み方法
英検S-CBTの申し込みは、日本英語検定協会の公式ウェブサイトから行います。まずは「生涯学習アカウント」を作成する必要があります。アカウント作成には個人情報の入力が必要ですので、事前に準備しておくとスムーズです。
アカウント作成後は、以下の手順で申し込みを進めます。
- 受験したい級を選択する
- 試験日と会場を選択する(人気の日程や会場は早く埋まるため、早めの申し込みがおすすめ)
- 顔写真をアップロードする(規定に沿った写真を用意)
- 個人情報を確認・入力する
- 支払い方法を選択し、受験料を支払う(クレジットカード、コンビニ決済など複数の方法から選択可能)
- 申し込み完了後、マイページから受験票をダウンロードする
申し込みから支払いまでの流れはオンラインで完結するため、非常に便利です。ただし、受験票は自分で印刷して当日持参する必要があるため、この点は忘れないようにしましょう。
試験当日までの準備
申し込みが完了したら、試験当日までに以下の準備を進めていきましょう。
- 受験票を印刷する(A4サイズで、カラー・白黒どちらでも可)
- 身分証明書を用意する(学生証、運転免許証、パスポートなど顔写真付きのもの)
- 筆記用具を準備する(ライティングで手書きを選択する場合)
- 試験会場の場所と行き方を確認しておく(余裕をもって到着できるよう計画を立てる)
- 試験当日のスケジュールを確認する(受付時間、試験開始時間など)
また、試験の形式に慣れるために、公式サイトで提供されている模擬体験コンテンツを活用することをおすすめします。
特にスピーキングセクションの流れやパソコン操作については、事前に理解しておくことで当日の緊張を軽減できます。
当日の持ち物チェックリスト
- 受験票(印刷したもの)
- 身分証明書
- 筆記用具(ライティングで手書きを選択する場合)
- 時計(会場内の時計だけでなく、自分でも時間を確認できるようにしておく)
- その他個人的に必要なもの(ティッシュ、飲み物など)
これらの準備を着実に進めることで、当日のトラブルを避け、スムーズに試験に臨むことができます。
特に初めてS-CBTを受験する方は、不安要素を減らすためにも、準備を怠らないようにしましょう。
英検S-CBTの対策方法
英検S-CBTに効果的に取り組むためには、従来型の英検対策に加えて、S-CBT特有の要素に慣れる準備が必要です。
ここでは、英検S-CBTの各セクションの対策方法を解説します。
全体的な対策
まず、パソコン環境に慣れることが重要です。日頃からパソコンを使った学習を取り入れ、画面を長時間見ることやキーボード入力に慣れておくと良いでしょう。また、英検協会の公式サイトにある模擬体験コンテンツを活用し、S-CBTの試験形式を事前に体験しておくことをおすすめします。
時間配分の練習も大切です。各セクションの制限時間を意識して練習することで、本番でも時間を有効に使えるようになります。また、集中力を長時間維持するトレーニングも効果的です。
スピーキング対策
S-CBTのスピーキングはパソコンへの録音形式のため、この環境に慣れることが重要です。
- スマートフォンやパソコンの録音機能を使って、自分の回答を録音し聞き直す練習をする
- 画面を見ながら話す練習をして、本番の環境に近い状態に慣れる
- 英検の過去問を使って、各級で出題されるような質問に対する回答パターンを準備する
- 聞き直しは基本的に各問題で1回まで可能だが、過度に頼らないようにする
- 限られた時間内で簡潔明瞭に自分の意見を述べる練習をする
リスニング対策
S-CBTではヘッドフォンを通じて音声を聞くため、その環境に適した練習が効果的です。
- ヘッドフォンやイヤホンを使った練習を日常的に取り入れる
- オンラインの英語リスニング教材を活用する
- 様々な速度や発音の英語を聞く機会を増やし、対応力を高める
- メモを取りながら聞く練習をして、集中力を養う
- リスニング直前の集中力を高めるための自分なりのルーティンを作る
リーディング対策
画面上での読解に慣れることが重要です。
- パソコンやタブレットの画面で英文を読む練習を取り入れる
- スクロールしながらの読解に慣れておく
- スキミング(全体を素早く読む)とスキャニング(特定の情報を探す)の技術を磨く
- 時間を計りながら読解問題を解く練習をする
- 長文読解の効率的な方法(段落ごとの主題把握など)を身につける
ライティング対策
タイピングを選択する場合は、英文入力の練習が必須です。
- オンラインのタイピング練習サイトで英語入力のスピードと正確さを高める
- 英作文のパターンを数多く練習し、素早く構成を考えられるようにする
- 制限時間内に適切な量と質の英文を書く練習をする
- 頻出テーマについて、自分の意見や根拠を事前に整理しておく
- 英文の基本的な構成(導入、本論、結論)を身につける
模擬試験の活用
総合的な対策として、模擬試験の活用は非常に効果的です。
- 市販の英検対策問題集を活用する
- オンラインで提供されているS-CBT形式の模擬試験を利用する
- 実際の試験に近い環境(時間設定、パソコン使用など)で練習する
- 模擬試験の結果を分析し、弱点を重点的に強化する
これらの対策を計画的に進めることで、英検S-CBTの特性を活かした効果的な準備が可能になります。
特に初めてS-CBTを受験する方は、試験形式の違いに戸惑わないよう、十分な準備をしておくことが成功の鍵となるでしょう。
英検S-CBTのよくある間違いと注意点
英検S-CBTを受験する際には、いくつかの典型的な間違いや見落としがちな注意点があります。
これらを事前に理解しておくことで、試験当日のトラブルを避け、より良いパフォーマンスを発揮できるでしょう。
試験形式の誤解
多くの受験者が、S-CBTは従来型と同じ内容だと思い込んでいますが、試験の流れや形式は大きく異なります。特に、スピーキングセクションが最初にあることを知らずに受験すると、心の準備ができておらず、パフォーマンスに影響を与えることがあります。
試験の順序(スピーキング→リスニング→リーディング→ライティング)をしっかり把握し、各セクションの特徴を理解しておくことが重要です。また、試験の流れをシミュレーションしておくことで、当日の戸惑いを減らせます。
ライティングのタイピング選択に関する誤解
ライティングセクションではタイピングと手書きのどちらかを選択できますが、この選択肢を知らずに受験したり、タイピングを選んだものの実際のスピードが足りずに時間不足になったりするケースがあります。
自分のタイピングスキルを客観的に評価し、適切な選択をすることが重要です。日頃からタイピング練習を行い、英文入力に慣れておくことも大切です。特に、英文特有の記号やスペルに慣れておくと良いでしょう。
スピーキングでの「聞き直し」に関する誤解
英検S-CBTのスピーキングセクションでは、各問題で基本的に1回までの聞き直しが許可されていますが、この制限を知らずに何度も聞き直そうとして混乱するケースがあります。
聞き直しは必要な時だけ使うという意識を持ち、集中して問題を聞くようにしましょう。また、聞き直すと減点されるという誤解もありますが、聞き直し自体が減点対象になることはありません。ただし、過度な聞き直しは時間のロスになるため、注意が必要です。
試験当日の持ち物の不備
受験票の印刷を忘れたり、身分証明書を持参し忘れたりすると、受験できない可能性もあります。特に初めて受験する方は、必要なものを確認し忘れないようにしましょう。
試験前日には必ず持ち物をチェックし、受験票は印刷しておきましょう。また、身分証明書は顔写真付きのものが原則ですので、適切なものを用意してください。
時間管理の誤り
特にリーディングセクションでは、画面上での読解に慣れていないと時間配分を誤り、後半の問題に十分な時間を割けなくなることがあります。また、タイピングを選択したライティングでも、慣れていないと予想以上に時間がかかることがあります。
各セクションの制限時間を意識した練習を行い、時間配分の感覚を養っておくことが大切です。特に、難しい問題に時間をかけすぎないよう、全体のバランスを考えて解答する習慣をつけましょう。
パソコン操作への不安
試験中にパソコン操作に戸惑うと、集中力が散漫になり、実力が発揮できない可能性があります。特にパソコン使用に不慣れな方は注意が必要です。
事前に公式サイトの模擬体験コンテンツを活用して、操作方法に慣れておくことをおすすめします。また、基本的なクリック操作やスクロール、タイピングなどの練習も行っておくと安心です。
結果確認方法の誤解
従来型の英検では郵送で結果が通知されますが、S-CBTはウェブサイト上での確認が基本です。結果公開日を忘れたり、確認方法を知らなかったりすることで、結果を見逃すケースもあります。
申し込み時に結果公開予定日と確認方法をメモしておき、当日を忘れないようにしましょう。また、マイページへのログイン情報は安全に保管しておいてください。
これらの間違いや注意点を理解し、適切に対応することで、より効果的に英検S-CBTに取り組むことができるでしょう。特に初めての受験者は、試験形式の特徴をよく理解し、準備を進めることが成功への近道です。
英検S-CBTに関するよくある質問
英検S-CBTを検討している方々からは、さまざまな疑問が寄せられています。ここでは、そうした疑問に対する回答をまとめました。
- 英検S-CBTと従来型の英検では難易度に違いがありますか?
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基本的に両者の難易度は同じです。出題される問題のレベルや合格基準に違いはなく、どちらで取得した級も同等の価値があります。ただし、試験形式の違いから、個人によって感じる難しさには差があるかもしれません。例えば、タイピングが得意な人はS-CBTのライティングを簡単に感じるかもしれませんし、対人でのスピーキングに緊張する人はS-CBTのスピーキング形式を楽に感じるかもしれません。
- 英検S-CBTの結果はいつわかりますか?
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英検S-CBTの結果は、試験日から約2〜3週間後にウェブサイト上で公開されます。従来型の英検が約1ヶ月かかるのに比べて、やや早く結果を知ることができます。具体的な結果公開日は申し込み時や受験票に記載されているので、確認しておくとよいでしょう。
- 英検S-CBTでタイピングと手書きのどちらを選ぶべきですか?
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タイピングが得意で、英文入力のスピードが十分にある場合は、タイピングを選ぶ方が時間効率が良いでしょう。タイピングなら文字の読みやすさを気にする必要がなく、書くスピードも通常は手書きより速いためです。ただし、タイピングに不安がある場合や、手書きの方が思考を整理しやすい方は、手書きを選択する方が良いかもしれません。
- 英検S-CBTのスピーキングで聞き直しはできますか?
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はい、基本的に各問題について1回までの聞き直しが許可されています。ただし、過度な聞き直しは時間の浪費になるため、必要な場合にのみ使用することをおすすめします。また、聞き直しをすると評価に影響するという誤解がありますが、聞き直し自体が減点対象になることはありません。
- 英検S-CBTは途中で休憩はありますか?
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セクション間に短い休憩時間がありますが、長時間の休憩は基本的にありません。全体で約2時間程度の試験ですので、体調管理には注意が必要です。特に、水分補給や体調不良に備えて、事前の準備を心がけましょう。
- 英検S-CBTで不合格だった場合、次はいつ受験できますか?
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英検S-CBTは年に複数回実施されているため、不合格でも比較的早い時期に再挑戦することが可能です。次回の試験日程は英検公式サイトで確認できます。また、S-CBTで1次試験のみ合格した場合は、従来型の英検で1次試験免除で2次試験を受けることも可能です。
- 英検S-CBTのスピーキングでは誰と話すのですか?
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英検S-CBTのスピーキングは、人との対話ではなく録音式です。パソコンの画面に質問が表示され、それに対して自分の回答をマイクに向かって録音する形式になります。この点が従来型の英検2次試験(面接官との対面式)と大きく異なります。
- 英検S-CBTの受験にはどのような身分証明書が必要ですか?
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原則として、顔写真付きの身分証明書(運転免許証、パスポート、学生証など)が必要です。未成年の場合は、健康保険証と学生証の組み合わせなども認められることがあります。詳細は英検公式サイトや受験票の注意事項で確認してください。
まとめ

本記事では、英検S-CBTの基本情報から従来型との違い、メリット・デメリットまで詳しく解説してきました。英検S-CBTはコンピューターを使用する新しい試験形式として、その柔軟性や効率性から多くの受験者に選ばれています。
しかし、従来型の英検とは異なる特徴もあるため、それぞれの特性を理解した上で、自分に合った形式を選ぶことが重要です。ここで、記事の主要ポイントをまとめておきましょう。
- 英検S-CBTは「英検スピーキングコンピューターベースドテスト」の略で、コンピューターを使用して受験する試験形式
- 従来型と異なり、4技能(読む・聞く・話す・書く)を1日で受験可能
- 試験の順序は「スピーキング→リスニング→リーディング→ライティング」
- S-CBTのメリットには、時間効率の良さ、スケジュールの柔軟性、良好なリスニング環境、タイピング選択可能なライティング、録音式スピーキングでの緊張軽減などがある
- デメリットとしては、目の疲れ、タイピングスキルの必要性、不慣れな環境などがあるが、適切な対策で克服可能
- 申し込みは英検公式サイトから行い、受験票や身分証明書などの準備が必要
- 効果的な対策としては、パソコン環境に慣れること、各セクションに特化した練習、模擬試験の活用などがある
- よくある間違いとしては、試験形式の誤解、持ち物の不備、時間管理の誤りなどがある
英検受験を検討している皆さんには、自分の学習スタイル、目標、スケジュールに合った試験形式を選ぶことをおすすめします。どちらを選んでも、しっかりとした準備と対策により、英検合格という目標を達成することができるでしょう。
本記事が皆さんの英検受験の一助となれば幸いです。