TOEICは世界中で認められている英語能力測定テストとして、特にビジネスシーンでの実践的な英語力を評価する指標として日本でも広く活用されています。このテストの基本を理解することは、英語学習を始めたばかりの方や就職・転職に向けてスコア取得を目指す方にとって重要なステップです。
本記事では、TOEICの基本情報から試験内容、効果的な学習方法まで、初心者の方にも分かりやすく詳しく解説していきます。
TOEICとは?基本概念と歴史的背景

TOEICは「Test of English for International Communication(国際コミュニケーション英語能力テスト)」の略称で、日常生活やビジネスシーンでの英語コミュニケーション能力を測定するために開発された世界共通のテストです。特徴的なのは、知識としての英語ではなく、実際のコミュニケーションに必要な「スキルとしての英語能力」を客観的に評価する点にあります。試験はマークシート方式の一斉客観テストで、英文のみで構成されており、英文和訳・和文英訳といった設問はありません。
現在、世界160か国以上で実施されており、約14,000の団体で受験されるほどの規模に広がっています。日本では一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が運営しており、年間約192万人(2023年度)が受験する人気の英語テストとなっています。
TOEICの歴史と発展
TOEICは意外にも日本発祥のテストであり、1979年に日本で初めて実施されました。その背景には、1970年代に円が変動相場制に移行し、日本経済が世界経済という枠に組み込まれたことがあります。製造業を中心とした日本企業の海外進出が急速に進み、貿易摩擦を緩和する目的もありました。
この時代、国際ビジネスの最前線で英語コミュニケーション能力の不足に悩むビジネスパーソンが多かったのです。
受験者数の推移
TOEICの受験者数の増加は驚異的で、1985年度に88,000人、1990年度に332,000人、そして2000年度には100万人を突破しました。この急増の背景には、経済のボーダレス化やIT化の進展により、企業活動のグローバル化が一気に加速したことがあります。
目標スコアを設定して英語研修を行ったり、人員採用や海外部門要因の選定、昇進・昇格の要件として活用したりするなど、TOEICを採用する企業が急増したのです。
TOEICの特徴と他の英語テストとの違い
TOEICの最大の特徴は、合格・不合格ではなくスコアで評価される点です。10点から990点までの範囲で自分の英語力を数値化できるため、現在の実力を客観的に把握したり、目標設定に活用したりすることができます。また、TOEICは学生時代に受けてきたテストのようにレベル別に試験の難易度が変わるものではなく、ビギナーであろうと990点満点を取る人であろうと、全受験者が同じ試験を受験します。
英検やTOEFLなどの他の英語テストと異なり、TOEICはビジネスや日常生活で実際に使われる実践的な英語を題材としています。テスト対策をすることで実生活でも役立つ英語力を身につけることができるのも大きな魅力です。ETSのテストは以下の特徴があります。
- 公平性: 言語や問題内容で受験者の有利・不利が生じない
- 信頼性: 何度受けても同じ基準で評価される
- 妥当性: 受験生の特徴や特性、知識やスキルを定義通り測定できる
TOEICの正しい読み方と表記について
TOEICの正式な読み方は「トーイック」です。TOEIC運営元のIIBCも公式に「トーイック」と表記しています。「トーイック」と発音する場合は、「トー」と伸ばして発音します。
「トイック」や「トエック」と読む方も少なくなく、IIBCによればこれらの読み方も間違いではないとされています。しかし、就職活動や転職時など、公の場では「トーイック」と発音するのが無難でしょう。
履歴書やビジネス文書などでは、大文字で「TOEIC」と表記するのが一般的です。スコアを記載する際は「TOEIC 750点」のように表記します。
TOEICテストの種類と形式
現在、TOEICテストと言えば「TOEIC Listening & Reading Test」を指すことが多いですが、実はこれもTOEIC Program全体の中の一つのテストに過ぎません。
TOEIC Programは、2つのテストブランドから成る5つのテストの総称です。主要なテストとして以下のものがあります。
- TOEIC Listening & Reading Test (TOEIC L&R)
- TOEIC Speaking & Writing Tests (TOEIC S&W)
- TOEIC Bridge Listening & Reading Tests
次は、この3種類のテストについて詳しく解説します。
TOEIC Listening & Reading Test(L&R)
TOEIC L&Rは、一般的に単に「TOEIC」と呼ばれる最も有名なテストです。リスニングとリーディングの2つのセクションで構成され、合計約2時間で200問に答えるマークシート方式の一斉客観テストとなっています。
- 総問題数: 200問(リスニング100問、リーディング100問)
- テスト時間: 約2時間(リスニング約45分間、リーディング75分間)
- スコア範囲: 10~990点(5点刻み)
- 受験料: 7,810円(税込)
- 年間受験者数: 約220万人(2019年調べ)
リスニングセクション(約45分間・100問)
- Part 1: 写真描写問題(6問)
- 1枚の写真について4つの短い説明文が放送される
- 写真を最も的確に描写している説明文を選ぶ
- 写真の中心人物だけでなく、背景や小道具などにも注目する必要がある
- Part 2: 応答問題(25問)
- 1つの質問または文章と3つの答えが放送される
- 最もふさわしい答えを選ぶ
- 質問文の最初の部分(疑問詞の種類、助動詞・be動詞など)を聞き逃さないことが重要
- Part 3: 会話問題(39問)
- 2人または3人による会話が放送される
- 会話に関する質問に答える(各会話につき3問)
- 設問が印刷されているので、先に読んでおくとポイントを押さえやすい
- Part 4: 説明文問題(30問)
- アナウンスやナレーションのようなミニトークが放送される
- 各トークに関する質問に答える(各トークにつき3問)
- 選択肢の意味を理解しながら聞くスキルが必要
リーディングセクション(75分間・100問)
- Part 5: 短文穴埋め問題(30問)
- 不完全な文章を完成させるため、4つの答えから最も適当なものを選ぶ
- Part 6: 長文穴埋め問題(16問)
- 不完全な文章を完成させるため、4つの答え(単語や句または一文)から最も適当なものを選ぶ
- 各長文には設問が4問ずつある
- Part 7: 読解問題(54問)
- 1つの文書に関する問題(29問)
- 複数の文書に関する問題(25問)
- 文書内に新たな一文を挿入するのに最も適切な箇所を選ぶ設問もある
スコアの見方と評価基準
TOEIC L&Rのスコアは、リスニングとリーディングがそれぞれ5~495点、合計10~990点の範囲で表されます。
リスニングスコアの目安
- 375~495点: 幅広い語彙を理解し、長い文章や複雑な構文を聞いても詳細まで聞き取れる
- 275~370点: 中級レベルの語彙を理解し、話の主旨・目的・文脈をだいたい聞き取れる
- 5~270点: 基本的な語彙を理解し、短文や話の一部を聞き取れる
リーディングスコアの目安
- 425~495点: 幅広い語彙や慣用句的な用法を理解し、複雑な文法構造を読み取れる
- 325~420点: 中級レベルの語彙を理解し、文章の大意と詳細を推測できる
- 225~320点: 初級~中級レベルの語彙を理解し、よく使用される文法構造を理解できる
- 5~220点: 基本的な語彙を理解し、短い文章の要点を読み取れる
TOEIC Speaking & Writing Tests(S&W)
TOEIC S&Wは、英語での「話す力」と「書く力」を測定するテストです。パソコン上で実施され、録音や文章入力によって解答します。
- 総問題数: 19問(スピーキング11問、ライティング8問)
- テスト時間: 約1時間20分(スピーキング約20分間、ライティング約60分間)
- スコア範囲: 各0~200点(10点刻み)
- 受験料: 10,450円(税込)
- 年間受験者数: 約3.8万人(2019年調べ)
スピーキングセクション(約20分間・11問)
- 音読問題(2問)
- アナウンスや広告などの短い英文を音読する
- 各45秒の解答時間(準備時間各45秒)
- 写真描写問題(2問)
- 写真を見て内容を説明する
- 各30秒の解答時間(準備時間各45秒)
- 応答問題(3問)
- インタビューや電話会話の設定で質問に答える
- 15秒または30秒の解答時間(準備時間なし)
- 提示された情報に基づく応答問題(3問)
- スケジュールなどの資料や文書に基づいて質問に答える
- 15秒または30秒の解答時間(準備時間45秒)
- 意見を述べる問題(1問)
- あるテーマについて自分の意見とその理由を述べる
- 60秒の解答時間(準備時間45秒)
ライティングセクション(約60分間・8問)
- 写真描写問題(5問)
- 与えられた2つの語(句)を使い、写真の内容に合う一文を作成する
- 5問で8分の解答時間
- Eメール作成問題(2問)
- 25~50語程度のEメールを読み、返信のメールを作成する
- 各10分の解答時間
- 意見を記述する問題(1問)
- 提示されたテーマについて、自分の意見を理由あるいは例とともに記述する
- 30分の解答時間
評価基準
スピーキングテストでは、発音の明瞭さ、語彙や文法の正確さ、内容の一貫性などが評価されます。ライティングテストでは、文法や語彙の正確さ、構成、内容の適切さなどが評価されます。
TOEIC Speaking Test
TOEIC Speaking Testは、S&Wテストからスピーキング部分だけを独立させた新しいテストです。短時間で英会話能力を評価できます。
- 問題数: 11問
- テスト時間: 約20分
- スコア範囲: 0~200点(能力レベル1~8で評価)
- テスト形式: パソコンにヘッドホンとマイクを使用
テスト内容と評価基準
テスト内容はS&Wテストのスピーキング部分と同じですが、スコアは8段階の能力レベルで評価されます
- レベル8(190~200点): 一般の職場にふさわしい継続的な会話ができ、内容が大変わかりやすい
- レベル7(160~180点): 的確に意見を述べたり複雑な要求に応えることができる
- レベル6(130~150点): 適切に応えることができるが、部分的に不明瞭な点がある
- レベル5(110~120点): ある程度意見を述べられるが、不正確さがある
- レベル4(80~100点): 意見を述べようとするが、うまくいかない
- レベル3(60~70点): 簡単なことは言えるが支障がある
TOEIC L&Rテストの詳細構成と出題傾向
TOEIC Listening & Reading Test(以下、TOEIC L&R)は最も一般的なTOEICテストで、990点満点のテストです。このテストは2つのセクションに分かれています。
TOEIC L&Rは合計約2時間で200問を解くマークシート形式のテストです。試験は全て英語で実施され、英文和訳や和文英訳といった問題はありません。問題は全部で7つのPartに分かれており、それぞれ異なる能力を測定します。
リスニングセクションは約45分間で100問に答える形式で、Part1〜4の4つのパートに分かれていて、リーディングセクションは75分間で100問に答える形式で、Part5〜7の3つのパートに分かれています。
Part 1:写真描写問題(6問)の詳細
1枚の写真について4つの短い説明文が読まれ、写真を正確に描写しているものを選ぶ問題です。写真は人物、風景、室内、物などさまざまなシチュエーションが使われます。
例えば、オフィスで働く人々の写真が表示され、「People are working at their desks(人々は机で作業をしています)」「The office is empty(オフィスは空です)」などの文が読まれます。このうち、写真の内容と一致するものを選びます。
Part 2:応答問題(25問)の出題パターン
1つの質問または文章に対して、3つの応答が読まれ、最も適切な応答を選ぶ問題です。質問のタイプには以下のようなものがあります。
- Yes/No質問:「Are you free this weekend?(今週末は空いていますか?)」
- 疑問詞を使った質問:「Where is the conference room?(会議室はどこですか?)」
- 依頼:「Could you help me with this report?(このレポートを手伝ってもらえますか?)」
この問題では、質問のタイプを素早く判断する能力が試されます。
Part 3:会話問題(39問)の特徴と分析
2〜3人による会話を聞き、その会話についての質問に答える問題です。1つの会話につき3つの質問があり、選択肢は音声ではなく問題用紙に書かれています。
会話の場面は、オフィスでの打ち合わせ、レストランでの注文、ホテルでのチェックインなど、ビジネスや日常生活でよくあるシチュエーションが設定されています。
Part 4:説明文問題(30問)の解法テクニック
アナウンスやスピーチなどの短い説明文を聞き、その内容についての質問に答える問題です。例えば、以下のような内容が出題されます。
- 会社の新製品発表
- 空港や駅でのアナウンス
- ラジオの天気予報
- 観光地の案内
これらの説明文を聞いて、話者が何を伝えようとしているのか、どこで行われるのか、いつまでに何をすべきかなどを理解する能力が問われます。
Part 5:短文穴埋め問題(30問)の文法・語彙ポイント
1つの文章の中の空欄に入る最も適切な語句を選ぶ問題です。文法や語彙の知識が問われます。出題される文法項目には以下のようなものがあります。
- 動詞の時制:「She ___ to work every day(彼女は毎日仕事に行きます)」
- 品詞の識別:「This is a ___ decision.(これは重要な決断です)」
- 接続詞:「I will attend the meeting ___ I have time.(時間があれば会議に出席します)」
- 前置詞:「The book is ___ the table.(本はテーブルの上にあります)」
Part 6:長文穴埋め問題(16問)の文脈理解の重要性
メールや記事などの長文の中の空欄に入る最も適切な語句を選ぶ問題です。文脈を理解する力が必要です。Part 5と似ていますが、複数の文からなる文書を読み、文脈に合った語句を選ぶ点が異なります。
例えば、ビジネスメールの一部に空欄があり、その前後の文脈から適切な語を選ぶ必要があります。文と文のつながりや段落の流れを理解する能力が試されます。
Part 7:長文読解問題(54問)の種類と難易度
メール、広告、記事などの文書を読み、設問に答える問題です。単一の文書に関する問題と、複数の文書を組み合わせた問題があります。
Part 7は最も問題数が多く、時間管理が特に重要なパートです。文書の種類によって難易度が異なり、特に「記事」の文書は内容が堅く、使われる単語のレベルも高いため、初心者にとっては難しいことが多いとされています。
一方、「チャット」や「広告」などは身近で想像しやすい内容が多く、比較的取り組みやすい傾向があります。
TOEICを受験する具体的なメリットと活用場面
TOEICを受験することには多くのメリットがあります。特に、英語学習を始めたばかりの方にとって、TOEIC受験は英語力向上と将来の可能性を広げるための効果的な手段です。
ここでは、英語初学者の方にとってのTOEIC受験の具体的なメリットを詳しく解説します。
客観的な英語力評価としての価値
TOEICのスコアは世界共通の基準であるため、自分の英語力を客観的に把握することができます。定期的に受験することで英語力の伸びを数値で確認でき、自分の成長を実感することができます。これは英語学習の初心者にとって特に重要で、「自分はこれだけの力がついた」という自信につながります。
TOEICの結果では項目別正答率(ABILITIES MEASURED)が分析できるため、自分の弱点を具体的に把握することも可能です。例えば、語彙の理解や文法の部分で正答率が低ければ、その分野に集中するなど、効率的な学習計画を立てることができます。
就職・転職活動での効果的なアピール方法
多くの企業がTOEICスコアを採用や昇進の基準として活用しています。履歴書やエントリーシートにスコアを記載することで、英語力を客観的にアピールすることができます。
英語を直接使わない業種でも、600点以上のスコアがあれば評価の対象になるでしょう。特に英語を使う仕事では750~800点以上が求められることが多いです。転職市場では即戦力が重視される傾向にあるため、英語力があることは大きなアドバンテージとなります。
社内での昇進・海外赴任の基準
企業によっては、昇進・昇格の際に規定のTOEICスコアが必要な場合があります。グローバル企業では特に、管理職への昇進や海外赴任の条件としてTOEICスコアを設定していることが多いです。
TOEICで高いスコアを取得していれば、「海外赴任」という貴重な機会を得られる可能性も高まります。また、資格手当や報奨金が支給される企業もあるため、経済的なメリットも期待できます。
大学入試・単位認定での利用
近年では、大学入試や大学院入試においてもTOEICスコアが活用されています。一定以上のスコアを取得していれば、英語の試験が免除されたり、加点対象になったりする場合があります。
また、多くの大学では単位認定制度を設けており、一定以上のスコアを取得すると英語科目の単位として認められることがあります。これは学生にとって大きなメリットとなります。
公務員試験での活用
国家公務員採用総合職試験では、TOEICスコアが加点対象となっています。具体的には、600点以上で15点、730点以上では25点が加算されるケースもあり、試験突破の大きな助けとなります。
視野の拡大と自己啓発
英語力がつくことで、情報収集の幅が日本語だけでなく英語にも広がります。英語は世界的に使われている言語のため、世界中の様々な人の考えを知ることができ、視野を広げることができます。
広い視野を持つことで新たなアイデアも生まれやすくなり、仕事や日常生活にも良い影響をもたらします。また、「英語ができる人」という周囲からの評価も変わり、「優秀」「勤勉」というポジティブなイメージを持たれるようになります。
具体的な目標設定による学習効果
漠然と英語を勉強するよりも、「次のTOEICで○○点取る」という具体的な目標を設定することで、学習効果が高まります。特に英語初学者にとっては、短期間で実力の伸びを実感できる点が大きなモチベーションになります。
ビジネスで活かせる実用的な英語力
TOEICの問題には、会社での場面をイメージした問題が多く出題されます。実際に英語圏で生活や仕事をしている人が問題作成に関わっているため、ネイティブな英語表現を学ぶ機会にもなります。
TOEICの勉強を通じて、ビジネスで使える表現や単語が自然と身につくため、身に付けた英語力を実際の仕事で活かすことができます。例えば、リスニングでは会議や電話応対などのビジネスシーンの会話が多く、リーディングではビジネスメールや報告書などの読解力が養われます。
TOEICに関するよくある質問
TOEICに関して初心者の方がよく持つ疑問について、詳しく回答します。
- 年齢制限はありますか?
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TOEICには年齢制限はありませんが、一般的には高校生以上が対象です。中学生でも受験は可能ですが、問題の難易度や内容を考慮すると高校生以上が適していると言えます。
- 英語初心者でも受験できますか?
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はい、英語初心者でも受験可能です。TOEICは10点から990点までの幅広いスコア帯で評価されるため、どのレベルの方でも自分の英語力を測定できます。ただし、初心者の場合はまず「TOEIC Bridge Test」から始めることも一つの選択肢です。
- どのテストから始めるべきですか?
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英語初学者の方には、まずTOEIC L&Rから挑戦することをお勧めします。最も一般的で、就職・昇進などでも評価されることが多いテストです。ある程度のスコア(例えば500点以上)を取得できるようになったら、S&WやSpeaking Testにも挑戦してみるとよいでしょう。
- 受験料と申込方法は?
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TOEIC L&Rテストの受験料は7,810円(税込)です。申込方法は以下の通りです。
- インターネットでの申し込み(IIBC公式サイトから)
- コンビニ端末での申し込み
- テスト実施頻度と会場情報は?
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公開テストは年に10回(1・3・4・5・6・7・9・10・11・12月)、全国80都市で実施されています。大都市では毎回開催されますが、地方では実施回数が限られる場合もあります。
- スコアの有効期限と通知時期は?
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TOEICスコアに公式な有効期限はありませんが、一般的には2年程度と考えられています。企業や教育機関によっては独自の基準を設けている場合もあります。
スコアは試験日から約2週間後に郵送で通知されます。オンラインでの結果確認サービスを利用すれば、さらに早く結果を知ることができます。
TOEIC初心者が陥りがちな誤解と対処法
TOEIC学習を始めたばかりの方は、効率的な学習法や試験攻略について様々な情報に触れることになります。しかし、その中には誤解も多く、非効率な学習につながることがあります。
ここでは、TOEIC初心者が陥りがちな4つの誤解とその対処法について詳しく解説します。
「単語をたくさん覚えればスコアが上がる」という誤解
多くのTOEIC初心者は、単語帳を片手に孤立した単語をひたすら暗記すれば、自動的にスコアが上がると考えがちです。確かに語彙力はTOEICスコアの基盤となる重要な要素ですが、単語を機械的に覚えるだけでは効果的なスコアアップは難しいのが現実です。
単語を孤立して覚えるよりも、文章の中で使われる単語を覚える方が効果的です。文脈の中で覚える利点は以下の通りです。
- 記憶の固定化: 脳は物語性やストーリーを好み、文脈の中の単語は物語の一部として記憶されやすくなります
- 関連語彙の学習: 単語を取り巻く関連表現も一緒に学ぶことができ、語彙のネットワークが豊かになります
- 記憶の持続性: 文脈の中で学んだ単語は、孤立して学んだ単語よりも長く記憶に残りやすいです
効率的な単語学習のためには、以下の方法が有効です。
- TOEIC問題集から単語を学ぶ: 問題集に出てきた分からない単語を調べ、ノートに書き出す方法は、TOEICに関連性の高い単語を効率的に覚えられます
- TOEIC専用の単語帳を活用する: 大学受験用ではなく、ビジネス関連の語彙が豊富なTOEIC専用の単語帳を使うことが推奨されます
- 効率的な単語帳の使い方:
- 英語を見て5秒で意味が出てこなかったらチェックする
- 高速で確認し、1日100個程度をカバーする
- 復習は「チェックした単語のみ」を中心に行う
単語や文法を知っているだけでは不十分です。言葉のニュアンスや流れを理解し、「英語を英語として」把握する能力の養成が重要です。
「ネイティブのように発音できなければならない」という誤解
TOEICはリスニングとリーディングのテストであり、スピーキング能力は直接評価されません。しかし、「完璧な発音ができないとTOEICで高得点は取れない」と考え、発音学習を避けたり過度にこだわったりする初心者は少なくありません。
発音の知識はリスニング力向上に直結します。その理由は以下の通りです。
- 音声知覚の精度向上: 発音を知っていると、英語の音声を正確にキャッチできるようになります
- リスニングの二段階プロセス: リスニングは「音声をキャッチする」→「意味を理解する」という流れで、最初の段階で発音の知識が重要になります
英語力がどのレベルであっても、発音学習は早い段階で始めるべきです。
- 早期学習のメリット: 誤った発音の定着を避け、長期間にわたって正確なリスニング能力を育てられます
- 初心者でも取り組める: TOEICの初期段階から発音の基礎を学ぶことで、後の学習がスムーズになります
発音学習のポイントは以下の通りです。
- シャドーイング: 音声を聞きながら同時に発声する練習法で、リスニングと発音の両方を鍛えられます
- 特定の音の違いに注目: 特に「t」「n」「l」などの子音の発音規則を理解することが重要です
- リスニング素材を活用: TOEICの問題音声を使って発音練習することで、試験に直結した練習になります
「全ての問題を解かなければならない」という誤解
TOEICは200問という膨大な問題数があり、時間との戦いでもあります。多くの初心者は「全ての問題に回答しなければならない」と考え、難しい問題に時間を費やし、結果的に解ける問題まで手が回らなくなるというミスを犯します。
TOEICのReading Sectionでは、パートごとに以下のような時間配分が推奨されています。
- Part 5: 13分20秒(30問)
- Part 6: 6分40秒(16問)
- Part 7: 55分(54問)
特にPart 7では、問題の難易度を考慮して解く順番を工夫することが効果的です。
- 簡単な問題(153-161)から解く: 配点は同じなので、確実に得点できる簡単な問題を優先します
- ダブルパッセージに取り組む: 比較的取り組みやすいダブルパッセージを次に解きます
- 普通の問題(162-171)に進む: 中程度の難易度の問題に取り組みます
- 難しい問題(172-180)は最後に: 時間が余った場合のみ挑戦します
TOEICは「Graduated Test」と呼ばれ、パート内で問題が進むにつれて難易度が上がっていく特性があります。この特性を理解し、確実に解ける問題から取り組むことが高得点への近道です。
「リスニングとリーディングは同じくらい重要」という誤解
TOEICはリスニングとリーディングのスコアを合計して評価します。多くの初心者は両セクションを均等に勉強すべきだと考えますが、学習効率や点数取得の容易さには違いがあります。特に、リーディングだけに焦点を当て、リスニングを軽視することは大きな誤解です。
統計的に見ると、リスニングパートの方がリーディングパートよりも平均点が高い傾向にあります。
年度 | リスニング | リーディング | 差 |
---|---|---|---|
2018年 | 321点 | 259点 | 62点 |
2019年 | 323点 | 265点 | 58点 |
2020年 | 337点 | 282点 | 55点 |
多くの受験者にとって、リスニングパートの方が点数を取りやすい傾向があるため、リスニング強化は効率的なスコアアップ戦略になり得ます。
リスニングパートが点を取りやすい理由は以下の通りです。
- パート別対策の容易さ: リスニングは各パートの特徴がはっきりしており、対策が立てやすい
- テクニック活用の機会: 質問文の疑問詞だけを聞き取るなど、テクニックで解ける問題が多い
- 直感的な解答: 全文を聞き取れなくても、キーワードだけで答えられる問題がある
とはいえ、リスニングだけを強化するのではなく、両方のセクションをバランスよく学習することが重要です。特に初心者は、リーディングだけでなくリスニングにも同等の時間を割くべきでしょう。
まとめ:TOEICマスターへの第一歩

TOEICは世界共通の英語能力測定テストであり、特にビジネスにおける英語力の評価に広く活用されています。この記事のポイントを以下にまとめます。
TOEICの基本情報の総括
- TOEICの正式名称は「Test of English for International Communication(国際コミュニケーション英語能力テスト)」で、正式な読み方は「トーイック」
- TOEICには5種類のテストがあり、最も一般的なのはTOEIC Listening & Reading Test(L&R)
- TOEIC L&Rは200問(リスニング100問、リーディング100問)を約2時間で解く形式
- スコアは10〜990点で評価され、合格・不合格ではなく英語力の指標となる
長期的な英語力向上のためのアドバイス
- TOEICの勉強は単なる試験対策ではなく、実践的な英語力を身につけるプロセスと捉える
- 定期的にTOEICを受験し、スコアの変化を確認する
- 英語学習のモチベーションを維持するために、小さな目標を設定して達成感を味わう
- TOEIC以外の英語学習(映画鑑賞、英会話など)も取り入れ、バランスの取れた英語力を養う
TOEICは単なる試験ではなく、実践的な英語力を身につけるためのツールでもあります。この記事で紹介した基本情報と対策法を参考に、着実に英語力を向上させていきましょう。地道な努力が実を結び、目標スコアの達成につながることを願っています。