英語学習において、似たような意味を持つ「while」と「whereas」は、初学者がつまずきやすいポイントの一つです。どちらも日本語に訳すと「〜である一方で」「〜だが」といった対比を表す表現になるため、その違いを理解して適切に使い分けることが大切です。
この記事では、「while」と「whereas」の基本的な違いから実践的な使い方まで、わかりやすく解説します。中学レベルの例文も多数紹介しながら、英語初心者の方でも理解できるよう丁寧に説明していきます。
「while」と「whereas」の基本的な違い

「while」と「whereas」は、どちらも対比や対照を表す接続詞として使われますが、いくつかの明確な違いがあります。
まず最も大きな違いは、「while」には「〜している間に」という時間を表す用法と「〜である一方で」という対比を表す用法の両方があるのに対し、「whereas」は対比・対照の意味だけを持っている点です。このため、同時進行の動作や状態を表したい場合は「while」しか使えません。
また、フォーマル度にも違いがあります。「whereas」は「while」と比べて格式ばった表現で、ビジネス文書や論文、法律文書などでよく使われます。一方、「while」はカジュアルな日常会話でも頻繁に使われる表現です。
対比の強さにも違いがあり、「whereas」はより強い対比や明確な対照を示す場合に使われることが多いです。「while」による対比は比較的穏やかで、単に異なる点を指摘するニュアンスがあります。
「while」の意味と使い方
「while」は非常に便利で多機能な接続詞です。主に「時間」と「対比」という2つの重要な概念を表現するために使われています。ここでは、それぞれの用法について詳しく見ていきましょう。
時間を表す「while」
「while」の最も基本的な用法は、「〜している間に」という時間的な意味です。2つの動作や状態が同時に進行していることを表します。この用法では、「while」の後には通常、継続的な動作や状態を表す表現が来ます。
例文
- I watched TV while my mother was cooking dinner.(母が夕食を作っている間、私はテレビを見ていました。)
- The phone rang while I was taking a shower.(シャワーを浴びている間に電話が鳴りました。)
- She fell asleep while reading a book.(彼女は本を読みながら眠りに落ちました。)
この時間を表す「while」の用法では、しばしば進行形(-ing)が使われますが、必ずしも進行形でなければならないわけではありません。状況に応じて単純現在形や単純過去形なども使われます。
対比を表す「while」
もう一つの重要な用法は、「〜である一方で」「〜だが」という対比や対照を表す意味です。この用法では、文の前半部分と後半部分の間に何らかの対照や相違点があることを示します。
例文
- I like coffee while my sister prefers tea.(私はコーヒーが好きですが、姉はお茶の方が好きです。)
- The morning was sunny while the afternoon was cloudy.(午前中は晴れていましたが、午後は曇っていました。)
- Some students enjoy math while others find it difficult.(数学を楽しむ生徒もいれば、難しいと感じる生徒もいます。)
対比を表す「while」は、強い対立というよりも、単に異なる点を示す穏やかな対比を表すことが多いです。
「while」を使った例文
「while」の理解を深めるために、さらにいくつかの例文を見てみましょう。
時間を表す「while」
- We saw a rainbow while walking in the park.(公園を歩いている間に虹を見ました。)
- The dog barked while the postman delivered our mail.(郵便配達人が郵便物を届けている間、犬が吠えていました。)
- I listened to music while doing my homework.(宿題をしながら音楽を聴きました。)
- My friend called me while I was eating lunch.(昼食を食べている間に友達から電話がありました。)
- He hurt his leg while playing soccer.(サッカーをしている間に彼は足を怪我しました。)
対比を表す「while」
- She is tall while her brother is short.(彼女は背が高いですが、弟は背が低いです。)
- I am good at English while my friend is good at math.(私は英語が得意ですが、友達は数学が得意です。)
- Cats like to sleep during the day while they are active at night.(猫は昼間に寝るのが好きですが、夜は活発です。)
- Boys played soccer while girls played basketball.(男子はサッカーをしていましたが、女子はバスケットボールをしていました。)
- Winter is cold while summer is hot.(冬は寒いですが、夏は暑いです。)
「whereas」の意味と使い方
「whereas」は、主に対比や対照を表す接続詞で、二つの事柄の間の明確な違いや対照を強調するために使われます。「while」の対比用法に似ていますが、より形式的で対比のニュアンスがより強いという特徴があります。
「whereas」のニュアンス
「whereas」は二つの状況や事実の間の明確な対比や矛盾を示すことが多く、「一方では〜だが、他方では〜だ」というように、はっきりとした対照を示します。特に論文やビジネス文書など、フォーマルな文脈でよく使われるのが特徴です。
「whereas」を使った文は、対比される二つの事柄が明確に異なっていることを強調します。また、「whereas」は通常、文頭に置かれて使われることが多いですが、文中に置くこともできます。
「whereas」を使った例文
「whereas」の使い方を理解するために、いくつかの例文を見てみましょう。
例文
- Tom loves sports, whereas his brother hates them.(トムはスポーツが大好きですが、彼の兄弟はスポーツが嫌いです。)
- I prefer reading books, whereas my friend likes watching movies.(私は本を読むことを好みますが、友達は映画を見ることが好きです。)
- She speaks three languages, whereas I can only speak one.(彼女は3つの言語を話しますが、私は1つしか話せません。)
- Cats are independent animals, whereas dogs need more attention.(猫は独立心のある動物ですが、犬はより多くの注目を必要とします。)
- In Japan people drive on the left, whereas in America people drive on the right.(日本では人々は左側を運転しますが、アメリカでは人々は右側を運転します。)
これらの例文からわかるように、「whereas」は明確な対比を示し、しばしば対照的な特性や行動を強調するために使われます。
「while」と「whereas」の使い分けのポイント
「while」と「whereas」を適切に使い分けるには、いくつかの重要なポイントを理解する必要があります。ここでは、フォーマル度、意味合い、文の構造という3つの観点から使い分けについて見ていきましょう。
フォーマル度による使い分け
「whereas」は「while」よりもフォーマルな表現です。そのため、学術論文、法律文書、ビジネスレターなど、より形式的な文脈では「whereas」が適しています。例えば、契約書や公式文書ではしばしば「whereas」が使われます。
一方、日常会話、友人とのメール、カジュアルなブログ記事などでは「while」の方が自然です。フォーマルすぎる表現を使うと不自然に聞こえる場合があるため、場面に応じた使い分けが大切です。
意味合いによる使い分け
「whereas」は強い対比や矛盾を示す場合に使われることが多く、二つの事柄の間の明確な違いを強調します。例えば「She is very outgoing, whereas her sister is shy.」(彼女はとても社交的ですが、彼女の姉妹は内気です)のように、明確な対照を示したい場合に適しています。
一方、「while」による対比はより穏やかで、必ずしも強い対立を示すわけではありません。「I like coffee while my friend prefers tea.」(私はコーヒーが好きですが、友達はお茶の方が好きです)のように、単に異なる好みや特性を示す場合によく使われます。
また、時間的な同時性を表したい場合は「while」のみが使えます。「I saw a shooting star while looking at the night sky.」(夜空を見ている間に流れ星を見ました)のように、二つの動作が同時に起こっていることを示す場合には「whereas」では代用できません。
文の構造による使い分け
「while」は文頭でも文中でも使えますが、「whereas」は主に文頭で使われることが多いです。
- While I enjoy swimming, my brother prefers running.(文頭の「while」)
- I enjoy swimming, while my brother prefers running.(文中の「while」)
- Whereas I enjoy swimming, my brother prefers running.(文頭の「whereas」)
また、「while」は時間を表す用法があるため、文脈によっては意味が曖昧になる可能性があります。例えば「I met my friend while shopping.」という文は、「買い物をしている間に友達に会った」という時間的な意味にも、「私は買い物をしましたが、友達は別のことをしていました」という対比の意味にも取れる可能性があります。
はっきりと対比のみを示したい場合は「whereas」を選ぶと意味が明確になります。
「while」と「whereas」に似た表現
英語には「while」や「whereas」以外にも、対比や対照を表す様々な表現があります。ここでは、「but」「although/though」「on the other hand」との違いについて見ていきましょう。
「but」との違い
「but」は最も一般的な対比を示す接続詞で、日常会話でよく使われます。「but」は単に「しかし」という意味で、前の文や節との対比を示します。
「while」や「whereas」と比べて構造がシンプルで、対比の度合いも様々です。また、「but」は通常、二つの文や節をつなぐために使われ、一つの文の中で二つの事柄を対比させるのには適していません。
例文
- I wanted to go to the beach, but it started raining.(海に行きたかったですが、雨が降り始めました。)
- She tried hard, but she couldn’t solve the problem.(彼女は一生懸命努力しましたが、問題を解くことができませんでした。)
「but」は「while」や「whereas」よりも広い範囲の対比を表すことができますが、文の構造としては単純です。
「although」「though」との違い
「although」と「though」は「〜だけれども」という譲歩を表す接続詞です。これらは、予想に反する内容を導入する際に使われることが多く、単なる対比よりも「予想外」や「意外性」のニュアンスがあります。
「while」や「whereas」が単に対比を示すのに対し、「although/though」はある事実を認めつつも、それに反する内容を述べる場合に使います。
例文
- Although it was raining, we went for a walk.(雨が降っていましたが、私たちは散歩に出かけました。)
- She went to school though she was sick.(彼女は病気でしたが、学校に行きました。)
これらの例文では、普通なら雨の日は散歩に行かない、病気なら学校に行かないという予想がありますが、予想に反して行動したことを示しています。
「on the other hand」との違い
「on the other hand」は「一方では」という意味のフレーズで、通常は前の文で一つの側面について述べた後、別の側面について述べる際に使います。
「while」や「whereas」が一つの文の中で対比を示すのに対し、「on the other hand」は通常、別の文として対比する内容を導入します。
例文
- The car is expensive. On the other hand, it is very reliable.(その車は高価です。一方で、とても信頼性があります。)
- Some people prefer to work from home. On the other hand, others enjoy going to the office.(在宅勤務を好む人もいます。一方で、オフィスに行くことを楽しむ人もいます。)
「on the other hand」は、議論や説明の中で異なる視点や側面を提示する際によく使われます。
「while」と「whereas」の使い分け練習問題
ここでは、「while」と「whereas」の使い分けを練習するための問題を20問用意しました。各文の括弧内に適切な語(while または whereas)を入れてみましょう。
- I was reading a book ( ) my brother was watching TV.
- Cats are independent animals, ( ) dogs are more social.
- Mary likes to wake up early, ( ) John prefers to sleep late.
- He saw a strange man ( ) walking home last night.
- The west side of the city is modern, ( ) the east side has many old buildings.
- She was cooking dinner ( ) listening to the radio.
- This phone costs $200, ( ) that one costs $300.
- My sister is very tall, ( ) I am rather short.
- The children played in the garden ( ) their parents were talking.
- Summer is hot and humid, ( ) winter is cold and dry.
- I work as a teacher, ( ) my wife works as a doctor.
- He found his keys ( ) cleaning his room.
- She speaks three languages, ( ) I can only speak one.
- The movie was interesting, ( ) the book was boring.
- My brother drank juice ( ) I drank water.
- I need to finish this report, ( ) you can go home now.
- In England people drive on the left, ( ) in America they drive on the right.
- The children were laughing ( ) watching the cartoon.
- The north of the country is mountainous, ( ) the south is flat.
- Please wait here ( ) I go to buy tickets.
「while」と「whereas」についてよくある質問
英語学習者からよく寄せられる「while」と「whereas」に関する質問について、わかりやすく回答していきます。
- 「while」は必ず文頭に置かれるの?
-
いいえ、「while」は文頭にも文中にも置くことができます。
- While I was cooking, the phone rang.(料理をしている間に電話が鳴りました。)
- The phone rang while I was cooking.(料理をしている間に電話が鳴りました。)
どちらも正しい表現です。文脈や強調したい部分に応じて位置を選ぶことができます。ただし、文頭に置く場合はコンマで区切るのが一般的です。
- 「whereas」と「while」はいつも置き換え可能?
-
いいえ、常に置き換えられるわけではありません。「while」には時間を表す用法があり、この場合は「whereas」で置き換えることはできません。
- I saw my friend while shopping at the mall.(ショッピングモールで買い物をしている間に友達に会いました。)
この文を「whereas」に置き換えると、意味が変わってしまいます。
また、カジュアルな会話では「whereas」は堅苦しく聞こえることがあります。対比を表す場合でも、「whereas」はより強い対比を示す傾向があるため、文脈によっては適切でない場合があります。
- 「whereas」の発音のコツは?
-
「whereas」の発音は「ウェアアズ」に近いです。”wear”(着る)という単語に”as”を付けたような発音です。アクセントは最初の音節「wear」の部分に置かれます。日本人学習者は特に最後の「as」の部分を「アス」と発音するよう意識すると良いでしょう。英語の「r」の発音が難しい場合は、「ウェアアズ」と発音しても通じます。
- 「while」は現在進行形と一緒に使うべき?
-
時間を表す「while」は、継続的な動作や状態を表すため、現在進行形(~ing形)とよく一緒に使われます。
- While I was studying, my friend called me.(勉強している間に友達から電話がありました。)
ただし、必ず進行形でなければならないわけではなく、状況に応じて単純過去形などを使うこともあります。
- While I lived in Tokyo, I often went to Akihabara.(東京に住んでいた間、私はよく秋葉原に行きました。)
この場合、「lived」は状態を表す動詞なので、進行形ではなく単純過去形が使われています。
- 「whereas」は話し言葉でも使える?
-
「whereas」は主にフォーマルな文脈や書き言葉で使われる表現です。日常会話ではあまり頻繁には使われません。カジュアルな会話では、代わりに「but」「while」「on the other hand」などの表現が好まれることが多いです。
ただし、教育的な場面や議論の中では話し言葉でも使われることがあります。特に明確な対比を強調したい場合や、より正式な話し方をしたい場合には「whereas」が選ばれることもあります。
まとめ

この記事では、「while」と「whereas」の意味の違いと使い分けについて詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめておきましょう。
- 「while」には「〜している間に」という時間的な意味と「〜である一方で」という対比の意味がある
- 「whereas」は対比・対照のみを表し、より強い対比を示す傾向がある
- 「whereas」は「while」よりもフォーマルな表現である
- 時間の同時性を表したい場合は「while」のみが使える
- 「while」は日常会話で頻繁に使われるが、「whereas」は主に書き言葉やフォーマルな場面で使われる
- どちらも文の前半部分と後半部分の間の対比や相違を示すために使われる
- 文の構造としては、「while」は文頭でも文中でも使えるが、「whereas」は主に文頭で使われることが多い
- 意味の明確さを重視する場合は「whereas」を選ぶとよい
- 「while」と「whereas」以外にも、対比を表す表現として「but」「although/though」「on the other hand」などがある
- 状況や文脈に応じて適切な表現を選ぶことが、自然な英語表現につながる
これらの違いを理解し、適切に使い分けることで、より正確で豊かな英語表現ができるようになります。「while」と「whereas」は日常会話からビジネス文書まで幅広く使われる重要な表現ですので、ぜひ積極的に使ってみてください。
英語の対比表現をマスターすることで、あなたの英語力はさらに向上するでしょう。