英語学習者を悩ませるポイントの一つが「who」と「whom」の使い分けです。この二つの単語は似ていますが、文法的な役割が異なります。
本記事では、英語初学者向けに「who」と「whom」の違いと正しい使い方を詳しく解説します。例文も豊富に用意しましたので、実践的に理解していきましょう。
「who」と「whom」の基本的な違い

「who」と「whom」はどちらも人を指す代名詞ですが、文中での役割が根本的に異なります。「who」は主に主語として使われるのに対し、「whom」は目的語として使われます。つまり、「who」は「〜する人」を表し、「whom」は「〜される人」を表すのです。
日本語では主語と目的語の区別が文法的にそれほど重視されないため、この違いを理解するのが難しいかもしれません。しかし、英語では主語と目的語の区別は非常に重要です。基本的な違いさえ掴めば、使い分けはそれほど困難ではありません。
「who」の使い方と役割
「who」には主に3つの使い方があります。疑問詞として、関係代名詞として、そして主語として使われる場合です。それぞれの用法を詳しく見ていきましょう。
「who」が主語として使われる場合
「who」は主語として使われる場合、文の中で動作を行う人を表します。
例文
- Who broke the window?(誰が窓を割りましたか?)
- Who lives in this house?(誰がこの家に住んでいますか?)
- I don’t know who took my pen.(誰が私のペンを取ったのか分かりません。)
これらの例文では、「who」が「割る」「住む」「取る」という動作の主体となっています。動詞の前に置かれて、「誰が~する」という意味を表現しています。
「who」が疑問詞として使われる場合
「who」は「誰が」「誰を」という意味の疑問詞として使われることが多いです。主に人についての情報を尋ねるときに使います。
例文
- Who is your best friend?(あなたの一番の友達は誰ですか?)
- Who do you want to invite to the party?(パーティーに誰を招待したいですか?)
- Who wrote this letter?(誰がこの手紙を書きましたか?)
最初の例では「who」が「is」の主語、2つ目の例では厳密には「whom」を使うべきですが、日常会話では「who」が一般的です。3つ目も「who」が主語です。
「who」が関係詞として使われる場合
「who」は関係代名詞として、先行詞(人)を修飾する節を導入する役割も果たします。
例文
- The man who lives next door is a doctor.(隣に住んでいる男性は医者です。)
- I know the girl who won the contest.(コンテストで優勝した女の子を知っています。)
- Students who study hard will succeed.(一生懸命勉強する学生は成功します。)
これらの例文では、「who」が導く節(「who lives next door」「who won the contest」「who study hard」)が、先行詞(「The man」「the girl」「Students」)を修飾しています。
「whom」の使い方と役割
「whom」も「who」と同様に、人を指す代名詞ですが、目的語として使用される点が異なります。
「whom」が目的語として使われる場合
「whom」は動詞や前置詞の目的語として使われます。
例文
- Whom did you meet yesterday?(あなたは昨日誰に会いましたか?)
- To whom should I give this letter?(誰にこの手紙を渡すべきですか?)
- The man whom I saw was tall.(私が見た男性は背が高かった。)
これらの例文では、「whom」が「meet」「give」「saw」という動詞の目的語、あるいは「to」という前置詞の目的語になっています。「whom」は動作を受ける人や、前置詞が関係する人を表しています。
「whom」が疑問詞として使われる場合
「whom」は疑問詞として使われる場合も、目的語の役割を果たします。
例文
- Whom are you looking for?(あなたは誰を探していますか?)
- Whom did they choose as the captain?(彼らは誰をキャプテンに選びましたか?)
- With whom are you going to the movies?(誰と映画に行くつもりですか?)
これらの疑問文では、「whom」が「looking for」「choose」「with」の目的語として機能しています。「誰を~する」「誰に~する」という意味を表現しています。
「whom」が関係詞として使われる場合
「whom」は関係代名詞としても使われ、この場合も目的語の役割を果たします。
例文
- The teacher whom we respect teaches English.(私たちが尊敬している先生は英語を教えています。)
- The woman whom I talked to yesterday is my aunt.(昨日話した女性は私の叔母です。)
- The students whom the principal praised worked hard.(校長が褒めた生徒たちは一生懸命勉強しました。)
これらの例では、「whom」が「respect」「talked to」「praised」の目的語として機能しています。関係詞として、先行詞を修飾する役割を果たしています。
「who」と「whom」の使い分けのポイント
「who」と「whom」の使い分けは、英語初学者にとって混乱しやすいものですが、以下のポイントを覚えておくと理解しやすくなります。
見分け方のコツ
「who」と「whom」を見分けるためのコツとして、以下の方法があります。
- 文の中で主語として機能する場合は「who」を使います。
- 文の中で目的語として機能する場合は「whom」を使います。
- 「彼(he)」か「彼を(him)」で置き換えてみる方法:置き換えて「he」が自然なら「who」を、「him」が自然なら「whom」を使います。
例文
- Who called you?(誰があなたに電話しましたか?)→ He called you.(彼があなたに電話しました。)
- Whom did you call?(あなたは誰に電話しましたか?)→ You called him.(あなたは彼に電話しました。)
この「he/him法」は、「who/whom」の使い分けを覚える際の便利な方法です。文中の「who/whom」を「he/him」に置き換えてみて、どちらが自然か考えてみましょう。
現代の英語における「whom」の使用傾向
現代の英語、特に日常会話においては、「whom」の使用頻度が減少している傾向があります。多くの場合、「whom」の代わりに「who」が使われることが増えています。ただし、フォーマルな文章や学術的な内容では、正確に「whom」を使用することが望ましいとされています。
例えば、日常会話では「Who did you see?」と言うことが一般的ですが、厳密な文法では「Whom did you see?」が正しいとされています。現代英語では、特に話し言葉において「whom」はやや硬い印象を与えることもあります。
「who」と「whom」の前置詞との関係
「whom」は前置詞と一緒に使われることが多くあります。一方、「who」は前置詞の直後には通常使用されません。
前置詞+whom の使い方
前置詞と「whom」が一緒に使われる場合、前置詞は「whom」の前に来ることが多いです。ただし、口語では前置詞を文末に置くこともあります。
例文
- To whom did you give the book?(あなたは誰に本を渡しましたか?)
- With whom are you going to the park?(誰と公園に行くつもりですか?)
- The person to whom I spoke was very kind.(私が話した人はとても親切でした。)
口語では、
例文
- Who did you give the book to?(誰に本を渡しましたか?)
- Who are you going to the park with?(誰と公園に行くつもりですか?)
- The person who I spoke to was very kind.(私が話した人はとても親切でした。)
フォーマルな場面では前置詞+whomの形を使いますが、日常会話ではwho+…+前置詞の形が一般的です。前置詞を文末に置く場合は「who」を使うことが多いです。
「who」と「whom」の使い分け練習問題
以下に「who」と「whom」の使い分けを練習するための問題を20問用意しました。各問題には解答と日本語訳も付けていますので、自分の回答と照らし合わせてみてください。
- _____ is knocking at the door?
- _____ did you meet at the station?
- The man _____ lives next door is friendly.
- The woman _____ I saw at the store is my teacher.
- _____ do you think will win the game?
- _____ are you going to invite to your birthday party?
- I don’t know _____ took my bag.
- _____ does this book belong to?
- The students _____ studied hard passed the exam.
- The people _____ we visited yesterday were very kind.
- _____ is your favorite singer?
- _____ would you like to speak to?
- The doctor _____ treated me was very skilled.
- The girl _____ I gave the flowers to was happy.
- _____ wrote this beautiful poem?
- _____ did the teacher praise in class?
- The boy _____ won the race is my brother.
- The actress _____ everyone admires is in the new movie.
- _____ do you think is responsible for this?
- To _____ should I address this letter?
「who」と「whom」に関連する他の表現
「who」と「whom」に関連して、以下のような表現も覚えておくと便利です。
whoever(誰でも~する人)
「whoever」は「who」に「-ever」をつけた形で、「誰でも~する人」という意味になります。
例文
- Whoever finds my keys will get a reward.(私の鍵を見つけた人には報酬があります。)
- You can invite whoever you want to the party.(あなたはパーティーに誰でも好きな人を招待できます。)
whomever(誰でも~される人)
「whomever」は「whom」に「-ever」をつけた形で、「誰でも~される人」という意味になります。これも目的語の役割を果たします。
例文
- Give this letter to whomever you see first.(最初に会った人に、このレターを渡してください。)
- She will help whomever needs assistance.(彼女は援助が必要な人は誰でも助けるでしょう。)
「whomever」は特に口語では使用頻度が低く、多くの場合「whoever」で代用されることが多いです。
「who」と「that」の違い
人を指す関係代名詞として、「who」の代わりに「that」が使われることもあります。
例文
- The man who lives next door is friendly.(隣に住んでいる男性は親切です。)
- The man that lives next door is friendly.(隣に住んでいる男性は親切です。)
両方とも正しいですが、「who」は人を指す場合に使われ、「that」は人にも物にも使うことができます。一般的に、人を指す場合は「who」の方が自然ですが、会話では「that」も頻繁に使われます。
「who」と「whom」の使い方の実践例
実際の会話や文章での「who」と「whom」の使い方を見てみましょう。以下に、日常的な状況で使われる例をいくつか紹介します。
学校での会話
例文
- 生徒:Who is teaching us English today?(今日は誰が英語を教えてくれますか?)
- 先生:Ms. Brown, whom you met last week, will teach you today.(先週会ったブラウン先生が今日教えます。)
この例では、最初の「Who」は主語として使われています。二つ目の「whom」は「you met」の目的語です。
家族との会話
例文
- 母親:Who left the door open?(誰がドアを開けっ放しにしたの?)
- 子供:I don’t know whom to ask about it.(誰にそれについて聞けばいいのかわかりません。)
この例では、「Who」は動作主(主語)、「whom」は「ask」の目的語として使われています。質問と答えの両方で適切に使い分けられています。
オフィスでの会話
例文
- 同僚:Who is the new manager?(新しいマネージャーは誰ですか?)
- 上司:The person to whom you’ll report is Mr. Johnson.(あなたが報告する相手はジョンソンさんです。)
ここでは、「Who」が疑問詞として使われ、「whom」が前置詞「to」の目的語として使われています。フォーマルな職場での会話では、このように正確に使い分けることが多いです。
「who」と「whom」に関するよくある質問
- 「who」と「whom」の基本的な違いは何ですか?
-
「who」は主語として使用され、「する人」を指します。一方、「whom」は目的語として使用され、「される人」を指します。簡単に言えば、「who」は動作を行う人、「whom」は動作を受ける人を表します。
- 日常会話で「whom」は本当に必要ですか?
-
現代の日常英会話では、「whom」の使用頻度は減少しており、多くの場合「who」で代用されています。ただし、フォーマルな文書や学術的な場面では、正確に「whom」を使うことが望ましいです。
- 「who」と「whom」の見分け方を簡単に覚える方法はありますか?
-
「he/him法」が便利です。文中の「who/whom」を「he/him」に置き換えてみて、「he」が自然なら「who」を、「him」が自然なら「whom」を使います。例えば、「Who called?」は「He called?」になるので「who」が正しく、「Whom did you call?」は「You called him?」になるので「whom」が正しいです。
- 前置詞の後には常に「whom」を使うのでしょうか?
-
伝統的な文法では、前置詞の直後には「whom」を使います(例:「to whom」「with whom」)。しかし、口語では前置詞を文末に置き、「who」を使うことも一般的です(例:「who did you talk to?」)。
- 「who’s」と「whose」の違いは何ですか?
-
「who’s」は「who is」または「who has」の短縮形です。一方、「whose」は所有を表す疑問詞や関係詞で、「誰の」という意味です。例えば、「Who’s coming to the party?(誰がパーティーに来ますか?)」と「Whose book is this?(これは誰の本ですか?)」のように使います。
- 「whom」は古い英語なのでしょうか?
-
「whom」自体は古い英語というわけではありませんが、使用頻度は時代とともに減少しています。特に口語では「who」で代用されることが多いですが、フォーマルな文脈では今でも使用されています。
まとめ

この記事では、「who」と「whom」の違いと使い分けについて解説しました。以下が主なポイントです。
- 「who」は主語として使われ、動作を行う人を指します。
- 「whom」は目的語として使われ、動作を受ける人を指します。
- 「who」は「~する人は誰?」、「whom」は「~される人は誰?」という意味で使われます。
- 「who」と「whom」を見分けるには、「he/him法」が便利です:「he」に置き換えられるなら「who」、「him」に置き換えられるなら「whom」を使います。
- 前置詞の後には伝統的に「whom」を使いますが、現代の口語では「who」も広く使われています。
- 現代の英語、特に日常会話では「whom」の使用頻度が減少しており、多くの場合「who」で代用されています。
- フォーマルな文書や学術的な場面では、正確に「who」と「whom」を使い分けることが望ましいです。
- 「whoever」と「whomever」はそれぞれ「who」と「whom」の強調形で、「誰でも~する人」「誰でも~される人」という意味です。
- 人を指す関係代名詞として「who」の代わりに「that」が使われることもありますが、「who」の方が自然です。
「who」と「whom」の使い分けは初心者にとって難しいかもしれませんが、基本的な違いと使い方のポイントを押さえておけば、徐々に自然に使えるようになるでしょう。日常会話では「who」を優先的に使っても問題ありませんが、正確な英語を身につけたい方は、「whom」の使い方も覚えておくとよいでしょう。