「yirr」はスコットランド英語で使われる言葉で、動詞として「うなる」「うなり声を上げる」という意味があり、特に犬などの動物が発する音を表します。また名詞としても使われ、「うなり声」「唸り声」を意味します。
この記事では「yirr」の意味や用法、例文を初心者にもわかりやすく解説していきます。
「yirr」とは?スコットランド英語の特別な表現

「yirr」はスコットランド英語(Scottish English)に属する言葉で、主に動物、特に犬がうなったり唸ったりする様子を表現するのに使われます。一般的な英語の辞書には掲載されていないことも多く、地域限定の表現です。スコットランド英語は英国の北部スコットランド地方で話される英語の変種で、独特の語彙や発音を持っています。
この「yirr」という言葉は、18世紀後半から19世紀初頭(1780年〜1790年頃)に使われ始めたとされています。主にスコットランドの文学作品や詩などで見られ、有名なスコットランドの詩人ロバート・バーンズの作品にも登場しています。
「yirr」の語源と発音
「yirr」の語源は古英語(Old English)の「georran」(荒々しい音を立てる)に由来すると考えられています。音を模倣した擬音語(オノマトペ)としての側面も持ち合わせています。
発音については地域や時代によって若干の違いがありますが、一般的には以下のように発音されます。
- イギリス英語での発音:/jəː/ (ヤー)
- アメリカ英語での発音:/jər/ (ヤー)
- スコットランド英語での発音:/jɪr/ (イィル)
特にスコットランド英語での発音が本来の発音に近いとされています。「y」で始まる音は日本語の「イ」に近く、「irr」の部分は巻き舌のような「ル」の音です。
「yirr」の品詞と意味
「yirr」は動詞としても名詞としても使うことができる多機能な言葉です。それぞれの品詞における意味と使い方を見ていきましょう。
動詞としての「yirr」
動詞として使われる場合、「yirr」は主に「うなる」「唸る」「低く威嚇するような音を出す」という意味を持ちます。特に犬や他の動物が怒りや警戒の感情を示す際の音を表現します。
動詞としての活用形は以下の通りです。
- 原形:yirr
- 三人称単数現在形:yirrs
- 過去形・過去分詞:yirred
- 現在分詞:yirring
また、別の意味として「不平を言い続ける」「絶え間なく文句を言う」という人間の行動を表すこともあります。この場合は、うるさく繰り返し不満を表明するような状況を指します。
名詞としての「yirr」
名詞として使われる場合、「yirr」は「うなり声」「唸り声」を意味します。主に犬や動物が発する低い威嚇音を表します。
「The dog gave a yirr when the stranger approached.」(見知らぬ人が近づくと、犬はうなり声を上げた。)のように使われます。
「yirr」を使った例文
「yirr」の使い方をより理解するために、いくつかの簡単な例文を見てみましょう。これらは中学英語レベルの文章ですので、初学者の方でも理解しやすいでしょう。
動詞としての例文
例文
- The dog yirrs at strangers.(その犬は見知らぬ人に向かってうなります。)
- My puppy yirred when I took his toy away.(おもちゃを取り上げたとき、私の子犬はうなりました。)
- The old man yirrs all day about the weather.(その老人は一日中天気について文句を言い続けます。)
- Dogs yirr when they feel threatened.(犬は脅威を感じるとうなります。)
- She is yirring about her homework again.(彼女はまた宿題について不平を言っています。)
- The wolf yirrs at the moon.(オオカミは月に向かってうなります。)
- He was yirring so much that nobody listened to him.(彼はあまりにも文句ばかり言うので、誰も彼の話を聞きませんでした。)
名詞としての例文
例文
- I heard a yirr from the bushes.(茂みからうなり声が聞こえました。)
- The yirr of the dog scared the child.(犬のうなり声が子供を怖がらせました。)
- There was a low yirr coming from under the table.(テーブルの下から低いうなり声がしていました。)
- The constant yirr of complaints made everyone tired.(絶え間ない文句のうなり声は皆を疲れさせました。)
- We could hear the yirr of wolves in the distance.(遠くでオオカミのうなり声が聞こえました。)
「yirr」の実際の使用場面
「yirr」はどのような状況で使われるのでしょうか。現代でも使われる言葉なのでしょうか。実際の使用場面について見ていきましょう。
現代での使用頻度
「yirr」は主にスコットランド英語の文学作品や詩で見られる言葉で、現代の日常会話ではあまり使われなくなっています。オックスフォード英語辞典のデータによると、19世紀から20世紀初頭にかけてわずかながら使用例があり、21世紀に入ってからも非常に少ない頻度(100万語あたり0.00007回程度)で使用されているようです。
つまり、「yirr」は主に文学的な表現や伝統的なスコットランド英語の文脈で出会う可能性が高い言葉だと言えます。
文学作品での使用例
スコットランドの詩人や作家の作品には「yirr」が登場することがあります。例えば、以下のような用例があります。
例文
- 「Ye yirr and yowl-ye bark, but daurna bite.」
(あなたはうなり、泣き叫ぶ-吠えるが、噛む勇気はない。) - 「When idly goavan whyles we saunter Yirr, fancy barks, awa’ we canter」
(私たちがぶらぶらと散歩しているとき、空想のうなり声とともに、私たちは駆け出す)
「yirr」のよくある間違いと注意点
「yirr」のような地域限定の言葉を使う際には、いくつか注意すべきポイントがあります。
使用場面の誤解
「yirr」はスコットランド英語特有の表現であるため、国際的な英語のコミュニケーションではほとんど通じません。一般的な英語の会話で使用すると、相手に伝わらず混乱を招く可能性があります。
特に英語を学び始めたばかりの日本人学習者は、まずは標準的な英語表現をマスターすることが重要です。「growl」(うなる)や「snarl」(唸る)などの一般的な英単語を優先的に覚えましょう。
発音の間違い
「yirr」の発音は英語の母音と子音の組み合わせとしては珍しいものです。特に「rr」の部分は巻き舌のような発音になるため、日本人には難しいかもしれません。
発音を試みる場合は、「イィル」と発音するのが近いでしょう。ただし、実際にスコットランド訛りで発音するとなると、それなりの練習が必要です。
語形変化の誤解
「yirr」の活用形(yirrs, yirred, yirring)を使う際にも注意が必要です。英語の規則的な動詞の変化に従いますが、使用頻度が低いため例文が少なく、正確な使い方を確認するのが難しい場合があります。
「yirr」に関連する他の表現
「yirr」と似た意味や用法を持つ言葉がいくつかあります。それらについても簡単に見ていきましょう。
類義語
- growl(うなる):最も一般的な表現で、「yirr」の標準英語での言い換えとして使えます。
例:The dog growled at me.(その犬は私にうなりました。) - snarl(唸る):怒りや攻撃性を示す鋭いうなり声を表します。
例:The cat snarled when I tried to pick it up.(私が抱き上げようとしたとき、猫は唸りました。) - grumble(不平を言う):人間が不満を表明する様子を表す言葉で、「yirr」の「絶え間なく文句を言う」という意味に近いです。
例:He always grumbles about the food.(彼はいつも食べ物について不平を言います。)
関連する方言表現
スコットランド英語には「yirr」以外にも、独特の表現が多くあります。例えば、
- yowl(泣き叫ぶ):猫などが大きな声で鳴く様子を表します。
例:The cat yowls at night.(その猫は夜に泣き叫びます。) - yammer(やかましく話す):絶え間なく話し続ける様子を表します。
例:Stop yammering and let me sleep.(やかましく話すのをやめて、寝させてください。)
「yirr」の語形変化表
「yirr」の語形変化についてまとめると以下のようになります。
時制・形式 | 形 |
---|---|
原形 | yirr |
三人称単数現在形 | yirrs |
過去形 | yirred |
過去分詞 | yirred |
現在分詞 | yirring |
命令形 | yirr |
また、進行形、完了形、未来形などは以下のように表現されます:
時制 | 一人称単数の例 |
---|---|
現在進行形 | I am yirring |
過去進行形 | I was yirring |
現在完了形 | I have yirred |
過去完了形 | I had yirred |
未来形(will) | I will yirr |
未来形(be going to) | I am going to yirr |
未来完了形 | I will have yirred |
このように、「yirr」は基本的に規則動詞と同じ活用パターンに従います。
「yirr」に関する問題
ここでは「yirr」に関する問題を10問用意しました。これらの問題を解くことで、「yirr」についての理解を深めることができます。問題を解いた後、解答と解説を確認してください。
- 「yirr」はどの地域の英語で主に使われますか?
- 「yirr」が動詞として使われる場合の主な意味は何ですか?
- 「yirr」の過去形はどれですか?
a) yirred b) yirr c) yirring d) yirrs - 「The dog yirrs at the cat.」の文の和訳として最も適切なものはどれですか?
- 「yirr」の名詞としての意味は何ですか?
- 「yirr」の発音として正しいのはどれですか?
a) /yɪər/ b) /jəː/ c) /waɪr/ d) /zɪr/ - 「He is always yirring about something.」のような使い方の場合、「yirr」はどのような意味ですか?
- 「yirr」の語源と考えられている古英語の単語は何ですか?
- 「yirr」の現在分詞形はどれですか?
a) yirred b) yirrs c) yirring d) yirrment - 「I heard a _ from the dark alley.」の空所に入れるのに最も適切な単語はどれですか?
a) yirr b) yirrs c) yirred d) yirring
「yirr」に関するよくある質問
「yirr」は英語を勉強している人にとってはあまり馴染みのない単語かもしれません。ここでは、「yirr」に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
- 「yirr」は現代でも使われていますか?
-
「yirr」は現代では非常に使用頻度が低い言葉です。主にスコットランドの文学作品や伝統的な表現の中で見られることがありますが、日常会話ではほとんど使われません。オックスフォード英語辞典のデータによると、100万語あたり0.00007回程度の出現頻度しかありません。
- 「yirr」はどのような発音ですか?
-
イギリス英語では /jəː/(ヤー)、アメリカ英語では /jər/(ヤー)、スコットランド英語では /jɪr/(イィル)と発音されます。特にスコットランド英語での発音が本来の発音に近いとされています。
- 「yirr」と似た意味の一般的な英単語は何ですか?
-
「growl」(うなる)や「snarl」(唸る)が「yirr」と似た意味を持つ一般的な英単語です。人間の行動を表す場合は「grumble」(不平を言う)や「complain continuously」(絶え間なく文句を言う)が近い意味になります。
- 「yirr」は英語の試験に出ますか?
-
「yirr」はスコットランド英語の方言表現であり、一般的な英語の試験(TOEIC、TOEFL、英検など)には出題されません。標準英語の語彙力を測る試験では、より一般的に使われている単語が優先されます。
- 「yirr」はどのような文学作品に登場しますか?
-
主にスコットランドの詩人や作家の作品に登場します。特に有名なスコットランドの詩人ロバート・バーンズの作品には「yirr」の使用例が見られます。
- 「yirr」は他の言語にも同様の表現がありますか?
-
多くの言語には動物のうなり声を表す擬音語や擬態語があります。例えば日本語の「うなる」「唸る」、ドイツ語の「knurren」、フランス語の「gronder」などがあります。これらは「yirr」と概念的に似ていますが、語源や発音は異なります。
- 「yirr」を日常会話で使うことはできますか?
-
技術的には使用可能ですが、ほとんどの英語話者には通じない可能性が高いです。特に英語圏以外の人々とのコミュニケーションでは、より一般的な表現を使うことをお勧めします。
- 「yirr」の名詞と動詞の違いは何ですか?
-
動詞としての「yirr」は「うなる」「唸る」という行為を表し、名詞としての「yirr」は「うなり声」「唸り声」という音そのものを表します。使い分けは文脈によります。
まとめ

この記事では、スコットランド英語の特殊な表現である「yirr」について詳しく解説しました。「yirr」は主に動物、特に犬がうなったり唸ったりする様子を表す言葉で、動詞としても名詞としても使われます。
「yirr」の主なポイントは以下の通りです。
- スコットランド英語特有の表現で、現代ではあまり使われていない
- 動詞として「うなる」「唸る」という意味がある
- 名詞として「うなり声」「唸り声」を意味する
- 発音は主に /jəː/(英国)、/jər/(米国)、/jɪr/(スコットランド)
- 語源は古英語の「georran」(荒々しい音を立てる)と関連がある
- 過去形・過去分詞は「yirred」、現在分詞は「yirring」
- 一般的な英語では「growl」や「snarl」が同様の意味で使われる
「yirr」のような地域限定の表現を知ることは、英語の多様性や文化的背景を理解する上で役立ちます。特にスコットランド文学に興味がある方や、英語の語彙を広げたい上級学習者にとって、このような特殊な表現を知っておくことは有意義でしょう。
ただし、日常的な英語コミュニケーションでは、より一般的な表現を使うことをお勧めします。英語学習の基本としては、まず広く通用する標準的な表現をマスターし、その上で地域特有の表現に触れていくことが効果的です。
「yirr」という一見マイナーな単語から、英語の奥深さや地域による言語の多様性を感じ取っていただければ幸いです。言語は常に進化し、地域によって異なる表情を見せる生きた文化なのです。