「empathetic」は英語の形容詞で、他人の感情や経験を深く理解し、共感する能力を持つ人や態度を表す言葉です。日本語では「共感的な」「感情移入できる」などと訳されます。単なる同情とは異なり、相手の立場に立って感情を理解する深い共感力を意味します。
初学者の方でも理解しやすいよう、基本的な意味から実際の使い方まで詳しく解説していきます。
「empathetic」とは?共感力を表す形容詞

「empathetic」は、他者の感情や状況を自分のことのように理解し、感じることができる性質や態度を表す形容詞です。この言葉は「empathy(共感)」という名詞に由来しており、相手の立場に立って物事を考えられる能力を示します。
語源的には、ギリシャ語の「empatheia(感情移入)」に由来し、20世紀初頭から英語で使われるようになりました。「em-(中に)」と「pathos(感情、苦しみ)」が組み合わさった言葉で、「他者の感情の中に入る」という意味合いを持っています。
「empathetic」は特に心理学や対人コミュニケーションの分野でよく使われる言葉です。医療従事者、カウンセラー、教師など、人と深く関わる職業において重要な資質とされています。日常生活においても、友人や家族との良好な関係を築くために必要な要素です。
「empathetic」の基本的な意味
「empathetic」の核心にあるのは、単なる同情ではなく、相手の気持ちや経験を深いレベルで理解しようとする姿勢です。同情(sympathy)が「かわいそうに思う」という表面的な感情であるのに対し、共感(empathy)は相手の感情世界により深く入り込み、その人の視点から物事を見ようとする態度です。
例えば、友人が試験に失敗して落ち込んでいるとき、「それは残念だね」と言うのは同情(sympathetic)ですが、自分も同じような失敗を経験したことがあり、その気持ちがよく分かると伝え、友人の気持ちに寄り添うのが共感的(empathetic)な態度といえます。
「empathetic」の使い方と例文
「empathetic」は主に人の性格や態度を表現する際に使われます。また、「be empathetic to/toward/with someone(誰かに対して共感的である)」というように前置詞とともに使われることも多いです。
ここでは、日常生活でよく使われる例文をいくつか紹介します。
例文
- She is very empathetic to her students.(彼女は生徒たちに対してとても共感的です。)
- My friend was empathetic when I told him about my problems.(私が問題について話したとき、友達は共感してくれました。)
- The doctor has an empathetic approach to his patients.(その医師は患者に対して共感的なアプローチをしています。)
- We need to be more empathetic toward people from different cultures.(私たちは異なる文化の人々に対してもっと共感的になる必要があります。)
- Children can be very empathetic when they see someone crying.(子どもたちは誰かが泣いているのを見ると、とても共感的になることがあります。)
日常会話での使用例
日常会話では、「empathetic」は友人や家族との関係、職場でのコミュニケーションなど、様々な場面で使われます。以下は、より具体的な日常会話での例文です。
例文
- I try to be empathetic when my little brother is upset.(弟が動揺しているとき、私は共感的でいるよう心がけています。)
- My mother is the most empathetic person I know.(私の母は私が知っている中で最も共感的な人です。)
- Being empathetic helps me understand my friends better.(共感的であることで、友達のことをより理解できます。)
- We should learn to be more empathetic in our daily lives.(日常生活でもっと共感的になることを学ぶべきです。)
フォーマルな場面での使用例
ビジネスや学術的な場面でも、「empathetic」は重要な概念として使われます。特にリーダーシップ、カスタマーサービス、医療などの分野では、共感能力が高く評価されます。
例文
- Empathetic leadership is essential in modern management.(現代の経営では共感的なリーダーシップが不可欠です。)
- The company trains its staff to be empathetic to customers’ needs.(その会社は顧客のニーズに共感的であるよう従業員を訓練しています。)
- An empathetic approach often leads to better communication.(共感的なアプローチはしばしばより良いコミュニケーションにつながります。)
「empathetic」と「sympathetic」の違い
英語学習者がよく混同する「empathetic」と「sympathetic」は、どちらも他者の感情に関わる言葉ですが、意味とニュアンスに違いがあります。
「sympathetic」は主に「同情的な」という意味で、他者の不幸や困難に対して感じる哀れみや思いやりを表します。一方、「empathetic」は「共感的な」という意味で、相手の状況や感情を自分のことのように理解し、感じる能力を指します。
簡単に言えば、「sympathy」は「あなたの痛みを見て、かわいそうに思う」感情であり、「empathy」は「あなたの痛みを自分のことのように感じる」能力です。
使い分け方の例
以下の例を見ると、両者の違いがより明確になります。
例文
- I feel sympathetic toward her because she lost her job.(彼女が仕事を失ったため、彼女に同情します。)
- I feel empathetic toward her because I also lost my job once.(私も一度仕事を失ったことがあるので、彼女の気持ちに共感します。)
この違いを表にまとめると以下のようになります。
表現 | 基本的な意味 | 感情の深さ | 経験の共有 |
---|---|---|---|
Empathetic | 共感的な | 深い(相手の感情を自分のものとして感じる) | 必ずしも必要ではないが、あると共感しやすい |
Sympathetic | 同情的な | 表面的(相手に対して思いやりを感じる) | 必要ない |
「empathetic」の関連表現
「empathetic」をより深く理解するために、関連する表現も覚えておくと便利です。
「empathy」(名詞)について
「empathy」は「empathetic」の名詞形で、「共感、感情移入」という意味です。
例文
- He shows a lot of empathy for others.(彼は他者に多くの共感を示します。)
- The ability to feel empathy is important in human relationships.(共感を感じる能力は人間関係において重要です。)
- She lacks empathy for people in difficult situations.(彼女は困難な状況にある人々への共感が欠けています。)
「empathize」(動詞)について
「empathize」は「共感する、感情移入する」という意味の動詞です。通常、「empathize with someone」(誰かに共感する)という形で使われます。
例文
- I can empathize with how you feel.(あなたの気持ちに共感できます。)
- It’s difficult to empathize with someone you don’t know well.(よく知らない人に共感するのは難しいです。)
- She always tries to empathize with her children.(彼女はいつも子どもたちに共感しようとしています。)
他の関連表現
- 「empathetic listener」(共感的な聞き手)
- 「empathetic understanding」(共感的理解)
- 「empathetic response」(共感的な反応)
- 「lack of empathy」(共感の欠如)
- 「show empathy」(共感を示す)
これらの表現を知っておくと、より豊かな英語表現ができるようになります。
「empathetic」のよくある間違いと注意点
「empathetic」を使う際によくある間違いや注意点をいくつか紹介します。
スペリングの間違い
「empathetic」と「sympathetic」のスペリングは似ているため、混同しやすいです。特に注意すべきは以下の点です。
- 「empathetic」は「emp-」で始まります(「symp-」ではない)
- 「-the-」の部分のスペルに注意(「-thi-」と間違えやすい)
また、「empathetic」には「empathic」というほぼ同じ意味の別形があります。どちらも正しい表現ですが、現代では「empathetic」の方がより一般的です。
意味の誤解
「empathetic」は単なる「優しさ」や「思いやり」ではなく、より深いレベルでの理解と共感を表す言葉です。以下のような誤解に注意しましょう。
- 「empathetic」≠「nice」(優しい):共感的であることは優しいことと必ずしも同じではありません
- 「empathetic」≠「agreeing with someone」(誰かに同意する):相手の気持ちを理解することは、必ずしもその意見に賛成することではありません
使い方の注意点
「empathetic」は通常、人やその態度、行動を描写する際に使われます。物や概念を「empathetic」と表現することはあまりありません。
また、前置詞との組み合わせにも注意が必要です。
- empathetic to/toward/with someone(誰かに対して共感的)
- empathetic about something(何かについて共感的)
「empathetic」の様々な使用場面
「empathetic」は日常会話だけでなく、様々な専門分野でも重要な概念として使われています。ここでは、異なる文脈での「empathetic」の使われ方を紹介します。
ビジネスにおける「empathetic」
ビジネスの世界では、「empathetic leadership(共感的リーダーシップ)」や「empathetic marketing(共感的マーケティング)」といった概念が注目されています。
顧客や従業員の気持ちを理解し、それに基づいた対応や戦略を立てることが成功につながるとされています。
例文
- The CEO is known for his empathetic approach to management.(そのCEOは経営における共感的アプローチで知られています。)
- Empathetic companies often have higher customer satisfaction.(共感的な企業はしばしば顧客満足度が高いです。)
教育における「empathetic」
教育現場でも、「empathetic teaching(共感的教育)」は効果的な指導法として重視されています。生徒の気持ちや状況を理解し、個々に合わせた対応をすることで、学習効果を高めることができます。
例文
- Empathetic teachers can better connect with their students.(共感的な教師は生徒とより良くつながることができます。)
- Learning to be empathetic is part of social education.(共感的になることを学ぶことは社会教育の一部です。)
医療における「empathetic」
医療分野では、「empathetic care(共感的ケア)」が患者の回復や満足度に大きく影響するとされています。症状だけでなく、患者の気持ちや不安にも目を向けることが重要です。
例文
- Empathetic doctors often have better patient outcomes.(共感的な医師はしばしばより良い患者の治療結果を得ます。)
- Nurses are trained to be empathetic to patients’ fears.(看護師は患者の恐怖に共感的であるよう訓練されています。)
「empathetic」の反対語と類義語
言葉の理解を深めるために、「empathetic」の反対語と類義語についても知っておくと役立ちます。
反対語
- unsympathetic(無神経な、冷淡な)
- indifferent(無関心な)
- callous(冷酷な)
- insensitive(鈍感な)
- cold-hearted(冷たい心を持った)
例文
- He seemed completely unsympathetic to her problems.(彼は彼女の問題に対して完全に無神経なようでした。)
- The manager was indifferent to the staff’s concerns.(マネージャーはスタッフの懸念に無関心でした。)
類義語
- compassionate(思いやりのある)
- understanding(理解のある)
- sensitive(敏感な、繊細な)
- considerate(思いやりのある)
- sympathetic(同情的な)
例文
- She is a very compassionate person who always helps others.(彼女はいつも他人を助ける非常に思いやりのある人です。)
- My teacher is understanding when I have difficulties with homework.(私が宿題で困難があるとき、先生は理解してくれます。)
この中で、「empathetic」に最も近い意味を持つのは「compassionate」と「understanding」ですが、「empathetic」には「相手の立場に立って感じる」というより深いニュアンスがあります。
「empathetic」に関する問題
以下に「empathetic」の理解度を確認するための問題を10問用意しました。それぞれの問題に取り組んでみてください。
- 他人の気持ちを理解し、寄り添う態度を持つ人を英語で何と言いますか?
- 「冷淡な」や「無関心な」という意味で、「empathetic」と反対の意味を持つ英単語は何ですか?
- 「She is very ________; she always listens to her friends’ problems and tries to help.」空欄に入る最も適切な単語は?
- 他人の立場に立って考えることができる人を表す形容詞は何ですか?
- 「共感的な人」と「自己中心的な人」を対比する場合、「自己中心的な人」を英語で何と言いますか?
- 「He showed no interest in her feelings. He was quite ________.」空欄に入る適切な単語は?
- 「empathetic」と同じような意味を持つ単語を1つ挙げてください。
- 「無関心な態度」を表す英単語は何ですか?
- 「She is not only kind but also ________; she understands how others feel.」空欄に入る最も適切な単語は?
- 「empathetic」の名詞形は何ですか?
この問題集を通じて、「empathetic」やその関連語について理解を深めてください。
「empathetic」に関するよくある質問
ここでは、「empathetic」に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
- 「empathetic」と「sympathetic」はどう違いますか?
-
「empathetic」は相手の感情や経験を自分のことのように理解し、感じる能力を表します。一方、「sympathetic」は相手の困難や悲しみに対して哀れみや思いやりを感じる状態を表します。「empathetic」はより深い理解と感情の共有を意味します。
- 「empathetic」になるにはどうすればいいですか?
-
共感力を高めるには、積極的に他者の話を聴く、自分と異なる経験や背景を持つ人々に関心を持つ、自分の先入観や判断を一時的に横に置く、などの実践が効果的です。また、小説や映画を通じて異なる人生や視点を体験することも役立ちます。
- 「empathetic」は生まれつきの能力ですか?
-
共感力には生まれつきの要素もありますが、多くの研究では、適切な教育や訓練によって発達させることができると示されています。つまり、意識的な努力と練習によって、誰でもより共感的になることができます。
- ビジネスで「empathetic」であることの利点は何ですか?
-
ビジネスにおいて共感的であることは、顧客のニーズをより深く理解し、より良い製品やサービスを提供することにつながります。また、チーム内の信頼関係を築き、コミュニケーションを改善し、従業員のモチベーションと満足度を高める効果もあります。
- 「empathetic」であることのデメリットはありますか?
-
過度に共感的であると、他者の感情に圧倒されたり、自分の感情と他者の感情の境界があいまいになったりすることがあります。これは特に医療やカウンセリングなどの分野で「共感疲労」と呼ばれる状態につながることがあります。健全な共感には、自己と他者を区別する能力も重要です。
まとめ

この記事では、「empathetic」の意味や使い方、例文について詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめておきましょう。
「empathetic」は英語学習において重要な語彙の一つであり、人間関係やコミュニケーションに関する会話でよく使われます。単なる同情とは異なる深い理解と共感を表す言葉として、様々な場面で活用できます。
以下が、この記事で学んだ主なポイントです。
- 「empathetic」は形容詞で、他者の感情や経験を深く理解し、共感する能力を持つことを表す
- 「empathy」(名詞)と「empathize」(動詞)は「empathetic」の関連語
- 「sympathetic(同情的な)」とは意味が異なり、より深いレベルでの理解と感情の共有を意味する
- ビジネス、教育、医療など様々な分野で重要な概念として認識されている
- 生まれつきの要素もあるが、訓練や意識的な努力によって発達させることができる
- 「empathetic to/toward/with」のように特定の前置詞と組み合わせて使われることが多い
- 反対語には「unsympathetic(無神経な)」「indifferent(無関心な)」などがある
- 類義語には「compassionate(思いやりのある)」「understanding(理解のある)」などがある
「empathetic」という言葉を理解し、適切に使えるようになることは、英語でのコミュニケーション能力を高めるだけでなく、より深い人間関係を築くことにもつながります。
日常会話やビジネスシーンで積極的に使ってみてください。