TOEIC400点という数字を見て「やばい…」と感じている方も多いのではないでしょうか。しかし、このスコアは英語学習の道のりにおける通過点の一つであり、適切な学習法と継続によって着実にスコアアップが可能です。
この記事では、TOEIC400点のレベル感、スコアアップに必要な勉強時間の目安、そして初心者にも分かりやすい効果的な学習方法について詳しく解説します。就職や転職を考えている方、英語力向上を目指している方は、ぜひ参考にしてください。
TOEIC400点のレベルとは

TOEIC400点は、英語学習においては初級レベルに位置づけられます。しかし、英語学習を始めたばかりの方や、学校英語から離れていた方にとっては、決して悪いスタート地点ではありません。
英検で言えば準2級(高校2年生レベル)と同等とされることが多く、基本的な日常会話や簡単な文章の読解ができるレベルです。TOEICを運営するETSの評価では、「通常の日常会話ができるレベル」と位置づけられています。
400点レベルの英語力の特徴
TOEIC400点レベルの方は、次のような英語力を持っていると考えられます。
- 簡単な会話や短文を理解できる
- 基礎的な単語(3,000〜3,500語程度)を知っている
- 中学英語の文法をある程度理解している
- 最低限の日常的なコミュニケーションが可能
- 長文や複雑な会話の理解はまだ難しい
リスニングセクションでは、英語を英語のまま理解する能力がまだ発展段階にあり、ゆっくり話される簡単な英語なら理解できるものの、ネイティブスピードの会話は聞き取りに苦労することが多いでしょう。
リーディングセクションについては、時間内にすべての問題を解答するのは難しい段階です。文の構造や品詞の役割をしっかり理解することが、この先のスコアアップに重要となります。
社会的評価・企業の求めるレベル
ビジネスや就職活動の観点から見ると、TOEIC400点は残念ながら企業の採用基準としては低いスコアと言わざるを得ません。ETSの調査によれば、採用プロセスでTOEICスコアを参考にする企業は約70%にのぼり、多くの企業は600点以上を期待しています。
一般的に履歴書に記載できるのは600点以上からと言われており、400点では英語力が不足していると判断される可能性があります。特に外資系企業やグローバルなビジネスに関わる職種では、より高いスコアが求められることがほとんどです。
したがって、就職活動や転職を控えている方は、まずは600点達成を目指して学習を進めることをおすすめします。600点と400点では企業からの評価が大きく変わるため、その努力は必ず報われるでしょう。
TOEIC400点からの勉強時間の目安
「TOEIC400点から目標スコアを達成するには、どれくらいの勉強時間が必要なのか」というのは、多くの学習者が気になるポイントです。ここでは、具体的な時間の目安について見ていきましょう。
オックスフォード大学出版の資料によると、TOEICスコアアップに必要な勉強時間の目安は以下のようになっています。
- 100点アップさせるのに一般的に200〜300時間が必要
- 現在のスコアが高くなるほど、同じ点数を上げるために必要な時間は増える
- 450点から550点への100点アップには約225時間必要
- 400点から600点への200点アップには約450時間必要
これらはあくまで平均的な目安であり、個人の英語力の基礎や学習方法によって大きく変わることがあります。
スコア別に必要な勉強時間
より詳しく見ていくと、オックスフォード大学出版の資料によれば、
- 400点から500点:約225時間の学習
- 400点から600点:約450時間の学習
- 400点から700点:約700時間の学習
- 400点から800点:約1,250時間の学習
英検準2級や2級を持っている方の場合、すでに一定の英語力が備わっているため、TOEICに特化した学習をすることで、上記の時間よりも短い期間でスコアアップできるケースも多いようです。特に文法や語彙の基礎がしっかりしていれば、TOEICの出題形式に慣れることで比較的早くスコアが伸びる傾向があります。
1日の勉強時間と期間の目安
実際のTOEIC受験者へのアンケート調査によると、500〜600点台のスコアを持つ人の多くは1日2〜3時間の学習を行っていたことがわかっています。これを踏まえて、400点から600点を目指す場合の期間の目安を計算してみましょう。
- 1日1時間の学習:約15ヶ月
- 1日2時間の学習:約7.5ヶ月
- 1日3時間の学習:約5ヶ月
- 1日4時間の学習:約3.7ヶ月
もちろん、これらはあくまで機械的な計算であり、学習の質や効率、個人の適性によって変わります。特に重要なのは、短期間の集中よりも長期間の継続です。TOEICのスコアアップは「筋肉をつけるようなもの」であり、一夜漬けでは身につきません。
TOEICのスコアアップに効率的な勉強計画の立て方
TOEICのスコアアップを目指すには、効率的な勉強計画を立てることが不可欠です。「時間ができたら勉強する」という受け身の姿勢では、なかなか時間は確保できません。むしろ積極的に「時間を埋める」という意識が効果的です。
継続するためのコツ
勉強を継続するための最大のコツは、無理のないプランを立てることです。いきなり大きな計画を立てるのではなく、まずは3日分だけのスケジュールを作ってみましょう。たった3日分であれば、具体的にイメージしやすいはずです。
3日分のスケジュールを立てて実践し、うまくいったら次の3日分を計画します。うまくいかなかった場合は、スケジュールに無理があるため、次の3日分で調整しましょう。このように小さな目標を設定して達成していくことで、無理なく継続的な学習習慣を作ることができます。
飛行機の飛行経路と同じで、最初の計画通りに進むことは稀です。風向きや気流によって常に軌道修正が必要なように、学習計画も状況に応じて柔軟に調整していくことが大切です。
勉強時間を確保する方法
具体的に勉強時間を確保するための方法としては、
- 「いつ学習するか」「どこで学習するか」を明確に決める
- 通勤・通学時間などの移動中にリスニングや単語学習を行う
- 昼休みの15分でも単語カードを見る習慣をつける
- 夜の疲れた時間よりも、朝起きてすぐの時間を活用する
- 週末にはまとめた時間(2〜3時間)を確保する
- テレビを見る時間を減らし、その分を学習時間に充てる
- スマートフォンのアプリを活用して隙間時間に学習する
特に重要なのは、大きな時間を一度に確保しようとするのではなく、小さな時間でも積み重ねていく姿勢です。1日30分の学習でも、毎日続ければ1週間で3.5時間、1ヶ月で15時間の学習時間になります。
TOEICの単語力アップのための効果的な学習法
TOEIC400点レベルからスコアアップするためには、まず単語力の強化が欠かせません。基礎的な単語力がなければ、リスニングもリーディングも正確に理解することはできません。
必要な単語数とレベル
TOEIC400点レベルでは、約3,000〜3,500語程度の単語力があると言われています。これは中学から高校中級レベルまでに習う単語数に相当し、英検では準2級レベルです。
600点を目指すなら、約5,000語程度の単語力が必要になります。ただし、ただ無作為に単語を増やすよりも、TOEICで頻出の単語から優先的に覚えていくことが効率的です。
単語学習の効果的な方法
単語を効果的に覚えるためのポイントは以下の通りです。
- 中学・高校レベルの基礎単語をまず確実に押さえる
- 単語は必ず音声とともに学習し、正しい発音を覚える
- 単語帳で機械的に覚えるよりも、文脈の中で覚える
- 関連する単語をグループ化して覚える(例:会議関連、出張関連など)
- 覚えた単語を使って例文を作る練習をする
- 品詞(名詞、動詞、形容詞、副詞など)を意識して覚える
特に品詞を意識することは重要です。例えば「discuss(話し合う)」という単語を覚える際に、これが動詞であることを意識しておくと、文中での役割が理解しやすくなります。
TOEICの文法力を固めるための学習法
TOEICで400点以上のスコアを目指すためには、文法の基礎をしっかり固めることが非常に重要です。文法力があれば、長文を読む際の理解力が格段に向上します。
中学英文法からの復習の重要性
400点レベルの方は、まず中学英文法からの復習を始めることをおすすめします。社会人になってから英語学習を再開した方の多くが、中学英文法の復習から始めて着実にスコアアップを実現しています。
特に以下の項目は重点的に学習しましょう。
- 五文型(SV、SVC、SVO、SVOO、SVOCの基本文型)
- 時制(現在・過去・未来・現在完了など)
- 助動詞の使い方(can、may、must、shouldなど)
- 前置詞の正しい使い方
- 接続詞と接続副詞の違い
品詞の理解と接尾辞の活用
英文を正確に理解するためには、品詞の働きや役割を明確に理解することが大切です。各品詞の基本的な役割は以下の通りです。
- 名詞:人や物、ことの名前を表す言葉(例:Takeshi、dog、music)
- 動詞:動作や状態を表す言葉(例:run、eat、be)
- 形容詞:名詞を修飾する言葉(例:cute、small、white)
- 副詞:動詞、形容詞、副詞を修飾する言葉(例:really、slowly、quickly)
- 前置詞:名詞や代名詞とセットになって、時間・場所・方向を表す言葉(例:in、on、at)
また、接尾辞(単語の後ろにつく部分)を覚えることで、知らない単語でも品詞を推測できるようになります。例えば、
- -ly → 副詞(quickly、easily、carefully)
- -ment → 名詞(development、government、agreement)
- -tion/-sion → 名詞(information、discussion、conclusion)
- -ful → 形容詞(useful、beautiful、careful)
これらを意識して学習することで、TOEICの問題でも単語の意味がわからなくても文構造から正解を導き出せるようになります。
TOEICのリスニング力を向上させる方法
リスニングセクションでは、英語を英語のまま理解する能力が求められます。400点レベルからリスニング力を向上させるためには、以下の方法が効果的です。
音声を聞く習慣づくり
まずは英語の音声に触れる機会を増やすことが大切です。以下のような方法で日常的に英語を聞く習慣をつけましょう。
- 単語帳や教材の音声を毎日聞く
- 英語のポッドキャストやラジオを通勤・通学中に聞く
- 英語のニュースや映画を字幕付きで視聴する
- 簡単な英語の歌を聴いて歌詞を覚える
- TOEICの公式問題集のリスニング部分を繰り返し聞く
最初は聞き取れないことが多くても、継続することで少しずつ理解できる範囲が広がっていきます。
シャドーイングとディクテーション
リスニング力を効果的に向上させる練習方法として、シャドーイングとディクテーションがあります。
シャドーイングは、英語の音声を聞きながら、少し遅れて同じように発音する練習方法です。これにより、英語のリズムやイントネーションが身につき、リスニング力の向上につながります。
ディクテーションは、聞こえた英語をそのまま書き取る練習です。最初は短い文から始め、徐々に長い文や会話に挑戦していきましょう。書き取った後は音声を聞きながら正解と照らし合わせ、聞き取れなかった部分を確認します。
発音の学習の重要性
発音を学ぶことは、リスニング力向上に直結します。特に以下の点に注意しましょう。
- 英語の母音と子音の正確な発音
- 強弱アクセントのパターン
- 音の連結(リンキング)
- 音の同化・脱落
発音記号を覚えるのが難しいと感じる場合は、まずは「聞いて、そして、自分でも言ってみる」ことから始めましょう。文法書や単語帳に付属の音声を活用して、繰り返し練習することが効果的です。
TOEICのリーディング力を高める効果的な学習法
リーディングセクションでは、限られた時間内に正確に英文を理解する力が求められます。400点レベルからリーディング力を向上させるための効果的な学習法を紹介します。
文構造の把握と速読のコツ
英文を素早く理解するためには、文の構造を把握することが重要です。具体的には、
- 主語と動詞を素早く見つける練習をする
- 一文一文を訳すのではなく、文のかたまりごとに意味をとらえる
- 接続詞(and、but、because、if、whenなど)に注目して文の関係性を把握する
- 代名詞が何を指しているかを意識する
- パラグラフの最初と最後に注目し、主題を把握する
また、すべての単語の意味にこだわらず、文脈から重要な情報を拾い読みする習慣をつけることも大切です。英字新聞の見出しや短い記事から始めて、徐々に長い文章に挑戦していきましょう。
TOEICリーディング問題の特徴と対策
TOEICのリーディングセクションは、大きく分けて以下の3つのパートがあります。
- 短文穴埋め問題:文法・語彙の知識を問う問題
- 長文穴埋め問題:文章の流れを理解する力を問う問題
- 読解問題:文章全体の理解力を問う問題
それぞれのパートに効果的な対策があります。
短文穴埋め問題対策
- 品詞の働きをしっかり理解する
- 頻出の文法項目(時制、前置詞、接続詞など)を復習する
- 選択肢の品詞に注目する
長文穴埋め問題対策
- 前後の文脈から適切な語を推測する練習をする
- 接続詞や接続副詞(however、therefore、in additionなど)の使い方を覚える
- 文と文のつながりを意識して読む
読解問題対策
- スキミング(文章全体を素早く読んで概要をつかむ)の練習をする
- スキャニング(必要な情報を素早く探し出す)の練習をする
- 問題文をよく読み、何を問われているのかを正確に把握する
実践的な読解トレーニング
リーディング力を向上させるための実践的なトレーニング方法としては、
- TOEICの過去問や模擬問題を時間を測って解く
- 解答後に間違えた問題を分析し、なぜ間違えたのかを理解する
- 同じ問題を何度も解いて、確実に理解する
- 英字新聞やウェブサイトなどの本場の英文に触れる機会を増やす
- 英語の記事を毎日少しずつ読む習慣をつける
特に重要なのは、量より質です。たくさんの問題を一度だけ解くよりも、少ない問題を何度も繰り返し解いて完全に理解する方が効果的です。
TOEIC400点に関するよくある質問
TOEIC400点レベルの学習者からよく寄せられる質問に回答します。
- TOEIC400点から600点に上げるのにどれくらいかかる?
-
TOEIC400点から600点への200点アップには、オックスフォード大学出版の資料によると約450時間の学習が必要とされています。1日の学習時間によって達成期間は変わりますが、目安としては、
- 1日1時間の学習:約15ヶ月
- 1日2時間の学習:約7.5ヶ月
- 1日3時間の学習:約5ヶ月
ただし、これはあくまで平均的な目安であり、以下の要因によって個人差があります。
- 現在の英語の基礎力
- 学習の効率性と質
- 継続性と集中力
- 使用する教材の適切さ
- 学習方法の効果
効率的な学習方法を採用し、継続的に取り組むことで、この期間を短縮できる可能性もあります。
- 独学でTOEIC600点は取れる?
-
はい、独学でもTOEIC600点を達成することは十分可能です。多くの学習者が独学で600点以上のスコアを獲得しています。独学で成功するためのポイントは、
- 適切な教材を選ぶ(基礎からしっかり学べるもの)
- 計画的に学習を進める(具体的な目標と期限を設定する)
- 継続する(毎日少しでも学習する習慣をつける)
- 自分の弱点を分析して集中的に対策する
- 定期的に模擬テストを受けて進捗を確認する
ただし、モチベーションの維持が難しいと感じる場合は、オンライン講座や通学スクールなどの外部リソースを活用することも検討しましょう。学習仲間を作ることも効果的です。
- 社会人がTOEICの勉強時間を確保するコツは?
-
忙しい社会人が効果的に勉強時間を確保するコツとしては、
- 朝型の学習習慣を作る(出勤前の30分〜1時間)
- 通勤時間を活用する(電車内でのリスニングや単語学習)
- 昼休みの一部を学習に充てる
- 「勉強する日」を週単位でスケジュールに組み込む
- 週末にまとまった時間(2〜3時間)を確保する
- スマートフォンの英語学習アプリを活用して隙間時間に学習する
- テレビやSNSを見る時間を減らして学習時間に充てる
重要なのは、大きな時間を一度に確保しようとするのではなく、小さな時間でも積み重ねていく姿勢です。1日30分の学習でも、毎日続ければ1週間で3.5時間、1ヶ月で15時間の学習時間になります。
まとめ

TOEIC400点は英語学習の道のりの中での一つの通過点であり、適切な学習法と継続によって、600点以上のスコアを目指すことが十分可能です。この記事のポイントをまとめると、
- TOEIC400点は英検準2級相当で、基本的な日常会話や簡単な文章理解ができるレベル
- 履歴書に記載できるのは一般的に600点以上からとされている
- 100点アップさせるのに約200〜300時間の学習が必要
- 400点から600点に上げるには約450時間の学習が目安(1日2時間で約7.5ヶ月)
- 効率的な学習計画を立て、継続することが重要
- 勉強時間は「時間ができたら」ではなく「時間を埋める」意識で確保する
- 3日分のスケジュールから始め、徐々に習慣化していく
- リスニング、リーディング、単語、文法のバランスの取れた学習が必要
- 中学・高校レベルの基礎英語から復習することが大切
- 1冊の教材を繰り返し学習することが、多くの教材に手を出すよりも効果的
- 社会人は隙間時間を活用し、小さな時間でも積み重ねていく姿勢が大切
TOEICのスコアアップは一朝一夕には達成できませんが、適切な学習方法と継続的な努力によって、必ず結果につながります。この記事を参考に、自分に合った学習計画を立て、コツコツと実践していきましょう。
スコア400点は決して「やばい」レベルではなく、これからの成長のための出発点です。今日からの努力が、未来のあなたのTOEICスコアと英語力を大きく変えていくでしょう。