TOEICは転職に意味ない？何点から有利になるのかとおすすめの職種・業種を徹底解説

「TOEICの勉強を頑張っているけれど、本当に転職に役立つのだろうか」「何点あれば企業からの評価が高くなるのか」「TOEICスコアを活かせる仕事は何があるのか」——このような疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。英語力を証明するためにTOEICを受験する人は年々増えていますが、その努力が転職活動で実際に活きるのか不安に感じることもあるでしょう。

本記事では、TOEICスコアが転職においてどのような意味を持つのか、どの程度のスコアから転職に有利になるのか、そしてTOEICスコアを活かせる職種・業種について詳しく解説します。英語を学び始めたばかりの方にもわかりやすく説明しますので、ぜひ参考にしてください。

TOEICは転職で本当に意味がないのか

「TOEICは転職では意味がない」という意見を耳にしたことがある方も多いでしょう。まずはなぜそのような声があるのか、そして実際のところTOEICが転職活動で役立つのかについて見ていきましょう。

TOEICが転職で意味がないと言われる主な理由は次の3つです。

確かに、これらの指摘には一理あります。英語力だけで採用が決まることは稀で、専門知識や実務経験といった他のスキルとの組み合わせが重要です。また、一般的なTOEIC L&R（リスニング＆リーディング）テストは聞く力と読む力のみを測定するため、話す力や書く力は評価されません。

しかし、「TOEICは転職に意味がない」という考えは大きな誤解です。実際には、TOEICスコアは多くの企業で採用基準として活用されており、特に一定以上のスコアを持っていると転職活動において大きなアドバンテージになります。

国際ビジネスコミュニケーション協会（IIBC）の調査によれば、多くの企業が採用時にTOEICスコアを参考にしているという結果が出ています。特に英語を使用する部署での中途採用においては、50%以上の企業がTOEICスコアを採用要件や参考にしているというデータがあります。

また、英語を直接使わない部署や職種であっても、TOEICの高スコアは「努力できる人材」「学習能力の高い人材」として評価されることが多いのです。

TOEICが転職時に有利になる4つの理由

TOEICのスコアが転職活動において強みになる理由は複数あります。具体的に見ていきましょう。

アピールできる客観的な指標になる

TOEICは日本国内で非常に認知度が高く、英語力を示す指標として広く受け入れられています。TOEFLやIELTSなどの他の英語テストと比較しても、ビジネスシーンでの認知度はTOEICが圧倒的に高いといえます。

そのため、履歴書や職務経歴書にTOEICスコアを記載することで、客観的な英語力をアピールすることができます。特に700点や800点以上の高得点は、それだけで採用担当者の注目を集める効果があります。

継続的な努力の証明になる

一般的な日本人にとって、TOEICで高いスコアを獲得することは簡単なことではありません。そのため、700点や800点以上のスコアを持っていることは、英語学習に対する地道な努力の証明となります。

企業は常に努力のできる人材、学習意欲の高い人材を求めています。TOEICの高スコアは、そうした資質を持った人材であることをアピールする強力な材料となるのです。英語を直接使わない職種であっても、この「努力できる人材」という評価は大きな強みになります。

企業の採用判断基準として活用される

多くの企業が採用時の判断基準としてTOEICスコアを重視しています。IIBCの調査によると、英語を使用する部署の中途採用においては、50%を超える企業・団体がTOEICスコアを採用要件や参考にしているというデータがあります。

また、英語を日常的に使用しない職種でも、大手企業を中心に採用条件としてTOEICスコアを設定している例が増えています。例えば、以下のような事例があります。

このように、英語を直接使わない職種であっても、TOEICスコアが採用条件になっているケースは少なくありません。

グローバル人材として期待される

企業のグローバル化が進む中、英語ができる人材の需要は年々高まっています。IIBCの調査では、「今後ビジネスパーソンにとって重要なスキルは何か」という質問に対し、82.6%の企業が「英語」と回答しています。

インバウンド需要の増加や海外取引の拡大により、これまで英語を必要としていなかった企業でも、英語ができる人材を求めるケースが増えています。TOEICの高スコアは、そうしたグローバル人材としての素質があることを示す指標となります。

また、企業が英語教育に投じるコストも大きく、英語教育費（一般職員一人当たり・年間）の平均金額は77万円前後というデータもあります。TOEICスコアの高い人材を採用することで、この教育費を抑えられるというメリットもあるのです。

【点数別】転職が有利になるTOEICスコアの目安

TOEICスコアによって、転職時にどのような評価を受けるのか、点数別に見ていきましょう。

TOEIC600点未満の評価と可能性

IIBCの調査によると、2022年度のTOEIC受験者の平均スコアは608点とされています。つまり、600点未満のスコアは平均点以下ということになります。

600点未満のスコアでは、転職活動において特に強みとはならず、履歴書に記載するメリットはあまりないと言えるでしょう。この点数帯の方は、まずは基礎的な文法や語彙力を強化し、600点以上を目指すことをおすすめします。

ただし、英語をほとんど使用しない職種や、英語力より専門スキルを重視する職種であれば、600点未満でも十分に転職は可能です。英語力以外の強みをしっかりとアピールすることが大切です。

TOEIC600点台の評価と可能性

600点台のスコアは、平均的な英語力を持っていることを示します。しかし、平均点とほとんど差がないため、転職活動において大きなアドバンテージにはならない可能性があります。

ただし、業種や職種によっては600点台でも十分に評価されるケースがあります。例えば、以下のような職種では600点以上のスコアが求められることがあります。

特に、接客業や観光業など、日常的な英会話スキルが求められる職種では、600点台のスコアでも十分に活躍できる可能性があります。

TOEIC700点台の評価と可能性

700点台になると、ビジネスレベルの英語力を持っていると評価されます。この点数帯になると、多くの企業で高い評価を受けるようになります。

企業が採用時に求めるTOEICスコアは職種によって異なりますが、700点以上あれば多くの職種で有利に働くでしょう。英語を使う部門や外資系企業でなくても、700点を超えるスコアがあれば良い評価を得られる可能性が高まります。

700点以上のスコアで活躍できる職種には、以下のようなものがあります。

特に、海外とのやり取りがある職種や、英語の文書を扱う機会の多い職種では、700点台のスコアが大きな強みとなります。

TOEIC800点台の評価と可能性

800点台のスコアは、かなり高い英語力を持っていることを示します。このレベルになると、ほとんどの企業で高い評価を受けるでしょう。

800点以上のスコアを持つ人材は、英語を使った専門的な業務や、高度なコミュニケーションが求められる職種でも活躍できるポテンシャルがあると判断されます。

800点以上のスコアで活躍できる職種には、以下のようなものがあります。

特に、教育関連の職種や、専門的な英語スキルが求められる職種では、800点以上のスコアが求められることが多いです。

TOEIC900点以上の評価と可能性

900点以上のスコアは、ネイティブレベルに近い非常に高い英語力を持っていることを示します。この点数帯になると、通訳や翻訳者など、英語のプロフェッショナルとしてのキャリアも視野に入れることができます。

900点以上のスコアを持つ人材は、どのような企業や職種でも英語力に関しては最高評価を受けるでしょう。特に、以下のような職種では900点以上のスコアが求められることがあります。

900点以上のスコアを持つ人材は市場価値が非常に高く、英語力を活かした多様なキャリアパスを選択できる可能性があります。

TOEICスコア別におすすめの職種・業種

TOEICスコアに応じて、どのような職種・業種が向いているのかを詳しく見ていきましょう。

600点以上で目指せる職種

TOEIC600点は、日常会話ができるレベルの英語力と評価されます。このスコア帯で活躍できる職種には、以下のようなものがあります。

キャビンアテンダント（客室乗務員）

航空業界の花形職種であるキャビンアテンダントは、外国人クルーや乗客とのやり取りが業務に含まれるため、英語での日常会話能力が必須です。多くの航空会社では、採用条件としてTOEIC600点程度以上を設定しています。

キャビンアテンダントの平均年収は300万円から600万円程度です。英語力に加えて、接客スキルやコミュニケーション能力も重要視されます。

ホテルスタッフ

特に都心部や観光地にあるホテルでは、外国人宿泊客への対応が必要なため、英語力が求められます。宿泊部門で働く場合は、英語でのコミュニケーション能力が必須となるケースが多いです。

ホテルスタッフの平均年収は、雇用形態や業務内容によって異なりますが、おおよそ350万円から450万円程度とされています。

英文事務

英文事務は、英語を用いた事務職です。電話やメールでの対応、資料作成などの基本的な事務作業を英語で行います。勤務先によっては、より高度な通訳・翻訳業務が含まれることもあります。

英文事務の平均年収は、業務内容や勤務先によって幅がありますが、約350万円から700万円程度です。

貿易事務

輸出入に関わる事務作業を行う貿易事務は、英語の書類を扱うことが多いため、読み書き能力が特に重要です。海外との取引に関する知識も求められるため、専門性の高い仕事と言えます。

貿易事務の平均年収は、360万円から700万円程度です。経験や専門知識によって年収に差が出る傾向があります。

700点以上で目指せる職種

TOEIC700点は、ビジネスレベルの英語力があると評価されます。このスコア帯で活躍できる職種には、以下のようなものがあります。

ITエンジニア

IT業界ではグローバル化が進んでおり、英語のドキュメントや技術情報を読み解く能力が求められます。また、多国籍チームでの開発プロジェクトも増えているため、英語でのコミュニケーション能力も重要です。

ITエンジニアの採用では、TOEIC700点程度が評価指標とされることが多いです。特に外資系IT企業や、グローバルに展開する日本のIT企業では、英語力が重視されます。

バイヤー・マーチャンダイザー

商品や原材料の買い付け、市場調査、販売戦略の立案などを行うバイヤーやマーチャンダイザーは、海外とのやり取りが多い職種です。通訳なしで交渉できるレベルの英語力とビジネススキルが求められます。

バイヤーやマーチャンダイザーの平均年収は、350万円から650万円程度です。経験やネットワーク、交渉力によって年収に差が出ます。

海外営業

海外の顧客や取引先とのやり取りを行う海外営業は、英語でのコミュニケーション能力が必須です。商談や契約書の作成、プレゼンテーションなど、様々な場面で英語を使いこなす必要があります。

海外営業の平均年収は、経験や実績によって大きく異なりますが、400万円から800万円程度と幅広くなっています。

800点以上で目指せる職種

TOEIC800点は、かなり高い英語力を持っていると評価されます。このスコア帯で活躍できる職種には、以下のようなものがあります。

米国公認会計士（USCPA）

米国公認会計士（USCPA）は、アメリカの会計制度に精通した専門家として、国際的な会計業務に携わります。試験自体が英語で行われるため、高い英語力が必要です。

USCPAの資格を持つ会計士の平均年収は、600万円から1,000万円以上と高水準です。特に外資系の会計事務所や企業では、重宝される資格です。

英語教師（中学校・高校）

中学校や高校の英語教師として働くには、教員免許に加えて高い英語力が求められます。特に近年は、授業を英語で行うことが推奨されているため、スピーキング能力も重要です。

英語教師の平均年収は、公立学校の場合は450万円から650万円程度、私立学校ではそれ以上になることもあります。

英会話スクール講師（社会人対象）

社会人を対象とした英会話スクールの講師は、ビジネス英語や専門的な内容も教えられる高い英語力が求められます。ネイティブ講師とチームを組んで指導することも多いです。

英会話スクール講師の平均年収は、勤務形態や経験によって異なりますが、300万円から600万円程度です。

900点以上で目指せる職種

TOEIC900点以上は、ネイティブレベルに近い非常に高い英語力を持っていると評価されます。このスコア帯で活躍できる職種には、以下のようなものがあります。

通訳

会議や商談、イベントなどで、リアルタイムで言語を訳す通訳は、最も高い英語力が求められる職種の一つです。瞬時に内容を理解し、正確に訳す能力が必要です。

通訳の年収は、フリーランスか企業所属か、また扱う分野によって大きく異なりますが、経験豊富な通訳者では年収1,000万円を超えることもあります。

翻訳者

書籍、論文、ビジネス文書、映画字幕など、様々な文書を訳す翻訳者も、高い英語力が求められる職種です。正確さはもちろん、文化的な背景も理解した翻訳が求められます。

翻訳者の年収も通訳同様、フリーランスか企業所属か、専門分野などによって大きく異なりますが、技術翻訳や医学翻訳など専門性の高い分野では高収入を得られる可能性があります。

転職でTOEICスコアを活かすためのポイント

TOEICで高いスコアを取得することは重要ですが、それを転職活動でどう活かすかも同様に大切です。ここでは、TOEICスコアを転職活動で効果的に活用するためのポイントを紹介します。

履歴書での効果的なアピール方法

TOEICスコアを履歴書や職務経歴書に記載する際は、単にスコアを書くだけでなく、以下のポイントを意識するとより効果的です。

また、TOEICスコアだけでなく、英検やTOEFL、IELTSなど他の英語資格も持っている場合は、併せて記載するとより英語力をアピールできます。

面接でのTOEICスコアの活かし方

面接では、TOEICスコアについて質問されることがあります。その際、単に「点数を取りました」だけでなく、以下のような点をアピールすると良いでしょう。

面接官は、単にスコアの高さだけでなく、あなたの学習への姿勢や、そのスキルを実務でどう活かせるかに関心を持っています。

スコアだけでなく実践的英語力もアピールする方法

TOEICのL&Rテストはリスニングとリーディングのみを測定するため、スピーキングやライティングの能力は評価されません。そのため、実践的な英語力をアピールする工夫も必要です。

実際の業務で英語をどう使えるかという点が、企業にとっては最も重要です。TOEICスコアはあくまでその一つの指標に過ぎないことを理解し、総合的な英語力をアピールすることが大切です。

転職とTOEICに関してよくある質問

転職とTOEICに関して、よくある質問とその回答をまとめました。

TOEICのスコアだけで転職できますか？

TOEICのスコアだけで転職できることはほとんどありません。英語力は確かに重要なスキルの一つですが、企業が採用を決める際には、専門スキルや実務経験、人間性など、多角的な要素を総合的に判断します。

TOEICスコアは、あなたの英語力を客観的に示す一つの指標として活用し、他のスキルや経験と合わせてアピールすることが大切です。

TOEICと英検はどちらが転職に有利ですか？

一般的なビジネスシーンでは、TOEICの方が英検よりも認知度が高く、転職活動では有利に働くことが多いです。特に、企業の採用条件として「TOEIC○○点以上」と明記されていることが多く見られます。

ただし、教育関連の職種や、より総合的な英語力が求められる職種では、4技能（読む・聞く・話す・書く）を測定する英検の方が評価されることもあります。目指す職種や業界によって、どちらの資格が有利かは変わってきます。

TOEICのスコアが低くても転職に成功する方法はありますか？

TOEICのスコアが低くても、以下のような方法で転職を成功させることは可能です。

• 英語力以外の専門スキルや強みを徹底的にアピールする
• 英語をあまり使わない職種や業界を選ぶ
• 英語学習への意欲や計画をアピールする
• 実際の英語使用経験（海外旅行や外国人との交流など）をアピールする
• 小規模な企業やスタートアップなど、柔軟な採用基準を持つ企業を狙う

転職市場では、英語力だけでなく、あなたの持つ他のスキルや経験、人間性なども重要な判断材料となります。自分の強みを最大限にアピールすることが大切です。

短期間でTOEICスコアを上げるコツはありますか？

短期間でTOEICスコアを上げるためには、以下のようなコツが効果的です。

• TOEICの出題形式や傾向を徹底的に研究する
• 過去問や模擬試験を繰り返し解く
• 弱点分野（リスニングやリーディングのどちらか）を集中的に強化する
• TOEIC頻出の語彙や表現を重点的に学習する
• 時間配分の練習を行い、本番での時間管理を意識する

ただし、本当の英語力を向上させるためには、短期的なテスト対策だけでなく、長期的かつ継続的な英語学習が不可欠です。特に実務で英語を使う場合は、リスニングやリーディングだけでなく、スピーキングやライティングの練習も重要になります。

まとめ

本記事では、TOEICと転職の関係について詳しく解説してきました。主なポイントを以下にまとめます。

TOEICスコアを上げることは確かに大変な努力が必要ですが、その努力は転職活動において十分に報われる可能性が高いです。自分の目指す職種や業界に必要なスコアを目標に、計画的に英語学習を進めていきましょう。

最後に、TOEICスコアはあくまで英語力を測る一つの指標に過ぎません。実際の業務で英語を使いこなせる実践力を身につけることも同様に重要です。TOEICの勉強と並行して、スピーキングやライティングなど、総合的な英語力の向上も目指しましょう。