TOEICは今や就職・転職の際に重要視される英語能力の指標として広く認知されています。しかし、定期的に受験する方々の間では「受験料が高すぎる」という声も少なくありません。特に近年、TOEIC受験料は何度も改定され、その都度値上がりする傾向にあります。
本記事では、2025年現在のTOEIC受験料の状況や、値上げの理由、そして少しでも安く受験するための方法について詳しく解説します。英語学習を始めたばかりの方にも分かりやすく説明していきますので、ぜひ参考にしてください。
TOEICとは?初心者向け基本情報

TOEICは「Test of English for International Communication」の略称で、国際的なビジネスコミュニケーションで必要とされる英語能力を測定するテストです。日本では一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が運営しています。
TOEIC Listening & Reading Test(以下、TOEIC L&R)は、リスニング(45分・100問)とリーディング(75分・100問)の合計2時間で200問を解くマークシート形式の試験です。スコアは10点から990点の範囲で評価され、点数が高いほど英語力が高いと判断されます。
ビジネスシーンでの英語力を測る指標として企業に広く認められており、就職活動や昇進・昇格の要件として活用されているほか、大学の単位認定にも利用されています。年間約10回の公開テストが実施され、日本では年間約190万人以上が受験する人気の英語資格試験となっています。
TOEICの種類と試験内容
TOEICにはいくつかの種類があります。
- TOEIC L&R公開テスト:一般に広く知られているテストで、IIBCが指定した会場で実施されます
- TOEIC L&R IPテスト(団体特別受験制度):企業や学校などの団体が主催して実施するテスト
- TOEIC Bridge:TOEIC L&Rより易しい内容で、初級~中級レベルの英語力を測定するテスト
- TOEIC Speaking & Writing Tests:話す・書く能力を測定するテスト
初心者の方は、まずTOEIC L&R公開テストを目標にするケースが多いでしょう。このテストは全世界共通の問題が出題され、国際的に通用するスコアを取得できるのが大きな特徴です。
【2025年最新】TOEIC公開テストの受験料はいくら?
2025年現在、TOEIC L&R公開テストの受験料は7,810円(税込)です。この金額は決して安くなく、特に学生や頻繁に受験する社会人にとっては大きな負担となっています。
TOEIC受験料はこれまでに何度か改定されており、その都度高くなる傾向にあります。受験料が高いと感じる方は多いものの、TOEICスコアの社会的評価は高く、キャリアアップのために定期的に受験する方も少なくありません。
過去の受験料の推移
TOEICの受験料は年々値上がりしています。過去の推移を見てみましょう。
- 2014年3月以前:5,565円(税込5%)
- 2019年9月まで:5,725円(税込8%)
- 2019年10月~2020年3月:5,830円(税込8%、消費税増税後)
- 2020年4月~2021年9月:6,490円(税込)
- 2021年10月~現在:7,810円(税込)
この推移を見ると、約10年で40%以上も値上がりしていることが分かります。特に2020年から2021年にかけての値上げ幅は大きく、短期間で1,320円も値上がりしています。
なぜTOEIC受験料は値上がりし続けているのか?
TOEICの受験料が値上がりし続けている理由にはいくつかの要因があります。主な理由について詳しく見ていきましょう。
コロナ禍の影響による運営コスト増
2020年以降の大幅な値上げの背景には、新型コロナウイルスの流行があります。感染予防対策のため、2020年10月以降、テストは午前・午後の2回に分けて実施されるようになりました。
これにより、会場使用料が増加しただけでなく、感染予防のための資材費や人件費も増加。TOEIC運営団体のIIBCは「安心・安全な試験環境のもとでテストの品質や信頼性を維持していくため」の価格改定であると説明しています。
その他の運営コスト増加要因
コロナ禍の影響以外にも、以下のような要因が受験料上昇に寄与しています。
- テスト資材の運搬費の高騰
- テスト制作費の増加
- テスト実施に関わる人件費の上昇
- 個人情報保護対応に伴うセキュリティ強化のためのITコスト増加
これらのコスト増加を受け、IIBCは「今後も受験者に品質と信頼性の高いテストを継続的に提供するためには、受験料の改定が必要」との判断に至ったようです。
TOEICの受験料を安くする方法5選
TOEICの受験料は高くなる一方ですが、少しでも安く受験するための方法がいくつか存在します。ここでは、5つの方法を詳しく紹介します。
2025年更新!リピート受験割引制度を活用する
TOEICには「リピート受験割引制度」があり、これを利用すると通常より安く受験できます。この制度は2024年10月に大幅にリニューアルされ、さらにお得になりました。
【リニューアル前】
- 割引価格:7,150円(通常価格から660円引き)
- 適用開始時期:受験した月の6ヶ月後から
- 有効期間:最大7ヶ月間
【リニューアル後(現行)】
- 割引価格:6,710円(通常価格から1,100円引き)
- 適用開始時期:受験した次の試験日から
- 有効期間:最大12ヶ月間(翌年同月まで)
このリニューアルにより、割引額が660円から1,100円に増額され、適用開始時期も大幅に前倒しされました。例えば、2025年4月に受験した場合、次回の試験から翌年4月までの間に1回、割引価格で受験できます。
リピート割引を利用する際の注意点として、申し込み時と同じアカウントを利用する必要があります。また、団体バウチャーや振替受験バウチャーを利用した場合は適用されません。
学校や会社の賛助会員制度を利用する
所属する学校や会社がIIBCの賛助会員である場合、TOEICの受験料が割引される制度があります。
賛助会員とは、会社や学校が入会金と会費を支払うことで、所属者の受験料が安くなる制度です。賛助会員価格は公開テストの場合6,710円(税込)となり、通常価格より1,100円お得になります。
賛助会員の割引を受けるには、バウチャーコードを発行してもらう必要があります。所属する組織が賛助会員かどうかを確認し、該当する場合はコードを入手して活用しましょう。
団体特別受験制度(IPテスト)を利用する
TOEIC L&R IPテスト(団体特別受験制度)は、学校や企業が団体で実施するTOEICテストです。公開テストと比較して大幅に安く受験できるのが特徴です。
IPテストの受験料:4,230円~4,500円(税込)
公開テストと比較すると約3,300円も安く受験できるため、かなりお得です。IPテストの内容は基本的に公開テストと同じですが、いくつか異なる点があります。
- 試験会場は主催団体が用意した場所(会社や大学など)
- 公式認定証は発行されない(スコアシートのみ)
- スコアの有効性は公開テストと同等(履歴書やエントリーシートには記載可能)
IPテストを受験するには、実施している団体(学校や会社など)に所属している必要があります。所属する組織でIPテストが実施されているか確認してみましょう。
オンライン形式のIPテストを検討する
2020年4月より、IPテストにはオンライン形式も導入されました。従来の筆記形式とは異なり、約1時間で受験できる短時間版です。
特徴
- 受験料は筆記形式と同じ約4,230円(税込)
- リスニング:25分/45問
- リーディング:37分/45問
- 試験終了後すぐに結果が確認できる
時間が限られている方や、自宅やオフィスで受験したい方には便利なオプションです。ただし、こちらも実施している団体に所属している必要があります。
クレジットカード・電子決済で支払いポイントを獲得する
直接的に受験料が安くなるわけではありませんが、TOEIC受験料をクレジットカードや楽天ペイなどの電子決済で支払うことで、ポイントが還元される場合があります。
例えば、ポイント還元率1%のクレジットカードで支払えば、7,810円の支払いで約78円分のポイントが貯まります。金額は大きくありませんが、小さな節約も積み重ねれば効果的です。
TOEIC受験料の支払い方法には以下の選択肢があります。
- クレジットカード(VISA、マスターカード、JCB)
- コンビニエンスストア支払い
- 楽天ペイ
TOEIC公開テストとIPテストの違いを徹底比較
TOEICを受験する際、公開テストとIPテストのどちらを選ぶべきか迷う方も多いでしょう。ここでは両者の違いを詳しく比較します。
受験料の差額
最も大きな違いは受験料です。
- 公開テスト:7,810円(税込)
- IPテスト:4,230円~4,500円(税込)
差額は約3,300円と大きく、頻繁に受験する方にとっては大きな節約になります。
テスト内容と問題の違い
基本的なテスト内容は同じですが、細かい点で違いがあります。
- 公開テスト:最新の問題が出題される
- IPテスト(筆記):過去の公開テストで使用された問題が出題される
- IPテスト(オンライン):問題数が少なく、試験時間が短い
どちらのテストも10~990点の同じスケールでスコアが評価されますが、オンライン形式のIPテストは問題数が少ないため、精度に若干の違いがある可能性があります。
公式認定証と結果の扱い
公式認定証の有無は重要な違いの一つです。
- 公開テスト:公式認定証が発行される
- IPテスト:公式認定証は発行されない(スコアレポートのみ)
ただし、どちらのスコアも履歴書やエントリーシートには記載可能です。企業や学校によっては公式認定証の提出を求める場合があるため、そのような場合は公開テストを受験する必要があります。
受験場所と頻度
受験機会の頻度も異なります。
- 公開テスト:年間約10回、全国の指定会場で実施
- IPテスト:実施団体によって異なる(年数回~不定期)
IPテストは実施団体ごとにスケジュールが異なるため、自分の所属する組織がどのようなタイミングで実施しているか確認する必要があります。
学生必見!TOEICに学割はあるのか?
多くの英語資格試験やサービスには学生割引がありますが、TOEICには残念ながら一般的な意味での学割制度はありません。学生も社会人も同じ受験料を支払う必要があります。
学生が利用できる割引制度
直接的な学割はありませんが、学生が活用できる割引方法はいくつかあります。
- 大学のIPテスト:多くの大学ではTOEIC IPテストを実施しており、公開テストよりも安く受験できます。
- 大学独自の補助制度:一部の大学では独自にTOEIC受験料の補助制度を設けている場合があります。
- 賛助会員としての割引:大学がIIBCの賛助会員である場合、割引価格で受験できます。
これらの制度を利用することで、学生も受験料負担を軽減できる可能性があります。自分の大学でどのような制度があるか確認してみましょう。
大学生におすすめのTOEIC受験戦略
限られた学生の予算でTOEICスコアを効率的に向上させるためには、戦略的な受験計画が重要です。
- まずは大学のIPテストで現在の実力を確認する
- 十分に勉強して実力がついたと感じたときに公開テストを受験する
- 公開テストで良いスコアを取得したら、リピート割引を活用して1年後に再挑戦する
このように計画的に受験することで、無駄な受験料を抑えつつ、必要なスコアを効率的に取得できます。
TOEICの値上げ歴史と今後の予測
TOEICの受験料は過去何度も改定されてきました。ここでは値上げの歴史を振り返り、今後のトレンドを予測します。
過去20年のTOEIC受験料改定履歴
TOEICの受験料は上下動を繰り返していますが、特に近年は値上がり傾向が顕著です。
- 2009年9月以前:6,615円(税込5%)
- 2009年9月~2011年1月:5,985円(税込5%)※値下げ
- 2011年1月~2014年3月:5,565円(税込5%)※値下げ
- 2014年3月~2019年9月:5,725円(税込8%)
- 2019年10月~2020年3月:5,830円(税込10%)※消費税増税
- 2020年4月~2021年9月:6,490円(税込)※値上げ
- 2021年10月~現在:7,810円(税込)※値上げ
興味深いのは、2009年から2014年にかけて2度の値下げが行われていることです。当時IIBCは「30年を迎え、これまで多くの方に受験いただいたことで協会の安定的な運営が見込めるようになった」として値下げを実施していました。
値上げの背景と今後の予測
近年の値上げトレンドを考えると、今後もさらなる値上げの可能性は否定できません。以下の要因が今後の価格動向に影響する可能性があります。
- インフレや物価上昇:日本全体で続く物価上昇は、テスト運営コストにも影響します
- デジタル化とセキュリティ対策:オンラインテストの拡充やセキュリティ強化に伴うコスト増加
- 国際競争力の維持:グローバルな英語テストとしての品質維持のためのコスト
これらの要因から考えると、今後数年間でさらなる値上げがあっても不思議ではありません。ただし、受験者数の減少を避けるため、IIBCは割引制度の拡充など受験者負担を軽減する施策も同時に行っていくと予想されます。
TOEICの受験料などに関するよくある質問
- TOEICを受験するのに最適な頻度はどれくらいですか?
-
最適な受験頻度は英語学習の目的やペースによって異なります。スコアアップを目指している場合は、3~6ヶ月に1回程度の受験が効果的でしょう。十分な学習期間を確保しつつ、定期的に実力を測定することで着実な成長が期待できます。リピート割引制度を活用すれば、コスト面でも効率的です。
- IPテストのスコアは就職活動で公開テストと同等に評価されますか?
-
基本的にIPテストのスコアも公開テストと同等に評価されることが多いです。両者とも同じ採点基準でスコアが算出されるため、スコアの信頼性に大きな違いはありません。ただし、企業によっては公式認定証の提出を求める場合があります。その場合はIPテストのスコアでは対応できないため、公開テストの受験が必要です。就活前に志望企業の要件を確認しておくと安心です。
- TOEICのスコアは有効期限がありますか?
-
公式には、TOEICスコアに明確な有効期限は設定されていません。しかし、一般的には「2年程度」が目安とされています。これは英語力が時間とともに変化する可能性があるためです。多くの企業や教育機関でも、2年以内のスコアの提出を求めることが多いです。キャリアアップや進学のためには、定期的に最新のスコアを取得することをおすすめします。
- 大学によるTOEIC受験料の補助制度はどこで確認できますか?
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大学のTOEIC受験料補助制度は、各大学の国際交流センター、キャリアセンター、言語教育センターなどで確認できることが多いです。大学の公式ウェブサイトの「資格取得支援」や「語学学習支援」のページも参考になります。また、学内のTOEIC説明会や英語学習に関するガイダンスでも情報が得られるでしょう。不明な点は直接これらの窓口に問い合わせることをおすすめします。
- リピート割引と賛助会員割引は併用できますか?
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残念ながら、リピート割引と賛助会員割引の併用はできません。TOEICではさまざまな割引制度が提供されていますが、一度の受験につき適用できる割引は1つだけです。したがって、リピート割引(6,710円)と賛助会員割引(同じく6,710円)のどちらかを選ぶ必要があります。どちらも同額の割引なので、利用できる状況に応じて選択するとよいでしょう。
まとめ

今回は「TOEICの受験料は高すぎる?学割やリピート割引から値上げ情報まで徹底解説」というテーマで解説してきました。記事のポイントを以下にまとめます。
- TOEIC L&R公開テストの現在の受験料は7,810円(税込)
- 過去10年で約40%値上がりしている
- 値上げの主な理由はコロナ対策や運営コスト増加
- 安く受験する方法
- リピート受験割引(6,710円)
- 賛助会員割引(6,710円)
- IPテスト(4,230円~4,500円)
- 学校や会社の補助制度
- 電子決済でのポイント獲得
- 学割制度はないが、大学のIPテストや補助制度を活用できる
- IPテストはスコアとして使えるが公式認定証は発行されない
- 今後も値上げの可能性はあるが、割引制度の拡充も期待できる
TOEICの受験料は確かに高くなってきていますが、リピート割引や団体受験など、賢く活用できる制度も充実しています。自分の目標や状況に合わせて最適な受験方法を選び、効率的にスコアアップを目指しましょう。
定期的な受験でスコアの変化を測定することは、英語学習のモチベーション維持にも役立ちます。費用対効果を考慮しながら、計画的にTOEIC受験を進めていくことが大切です。