「at all」は英語でよく使われる表現の一つで、日本語では主に「全く」「少しも」「一切」などと訳されます。
シンプルな表現ながら、使い方によって微妙なニュアンスが変わり、日常会話やビジネスシーンで自然な英語表現をするために欠かせないフレーズです。
この記事では「at all」の基本的な意味から実際の使い方、類似表現との違いまで、例文を交えながら詳しく解説していきます。
「at all」の基本的な意味
「at all」は基本的に「どんな形でも」「少しでも」「全く」といった意味を持つ副詞句です。
特に否定文や疑問文で使われることが多く、発言を強調する効果があります。
単独で使われることは少なく、他の表現と組み合わせて使われます。
「at all」の様々な使い方
否定文での使い方 -「全く~ない」
最も一般的な使い方は、否定文で「全く~ない」という完全な否定を強調する場合です。
「not + 動詞 + at all」の形で使われることが多いです。
例文
- I don’t understand this math problem at all.
(この数学の問題が全く理解できません。) - She didn’t enjoy the concert at all.
(彼女はそのコンサートを全く楽しめませんでした。) - The medication didn’t help my headache at all.
(その薬は私の頭痛に全く効きませんでした。)
否定文で「at all」を加えることで、完全な否定、つまり「少しも~ない」というニュアンスが強調されます。
「at all」がない文と比較すると、強調の違いがよくわかります。
例文
- I don’t like coffee.
(コーヒーが好きではありません。)- 単なる事実の陳述 - I don’t like coffee at all.
(コーヒーが全く好きではありません。)- 強い嫌悪感を示す
疑問文での使い方 -「少しでも」
疑問文で使われる場合、「少しでも」「何か」というニュアンスになります。
相手に可能性を尋ねる際に使われ、肯定的な答えを期待していない場合が多いです。
例文
- Do you speak French at all?
(フランス語を少しでも話せますか?) - Is there any chance at all that you could help me?
(私を助けてくれる可能性は少しでもありますか?) - Did she explain the reason at all?
(彼女は理由を少しでも説明しましたか?)
疑問文での「at all」は、話し手が相手に対して「おそらく答えは否定的だろう」と予想しているニュアンスを含むことがあります。
ただし、言い方によっては失礼に聞こえることもあるので注意が必要です。
「Not at all」の特別な使い方
「Not at all」は特別なフレーズとして、お礼を言われた時の返答「どういたしまして」や、「Do you mind?(迷惑ですか?)」という質問に対する「いいえ、全然」という意味で使われます。
例文
- “Thank you for helping me.” “Not at all, it was my pleasure.”
(「手伝ってくれてありがとう。」「どういたしまして、喜んでお手伝いしました。」) - “Do you mind if I open the window?” “No, not at all.”
(「窓を開けても構いませんか?」「いいえ、全然構いませんよ。」)
この使い方は非常に一般的で、丁寧な応答として日常会話でよく使われます。「Not at all」だけで完結した返答として使えるのが特徴です。
肯定文での使い方(稀)
「at all」は通常、否定文や疑問文で使われますが、特定の肯定文でも使用されることがあります。
この場合、「全く」「完全に」という意味で、強調の効果があります。ただし、この使い方は比較的稀です。
例文
- This phone can be used anywhere at all.
(この電話はどこでも全く問題なく使えます。) - She was ready to try anything at all to save her business.
(彼女は自分のビジネスを救うためなら何でも試す準備ができていました。)
「at all」を含む一般的な表現
「If at all」(もしあるとしても)
「if at all」は「もしあるとしても」「そもそも可能なら」という条件を示す表現です。
何かの可能性が非常に低いことを示唆します。
例文
- We’ll arrive by 9 PM, if at all.
(9時までに到着します、そもそも到着できるとしたら。) - He rarely speaks in meetings, if at all.
(彼は会議ではほとんど話しません、そもそも話すとしても。)
「No problem at all」(全然問題ない)
「no problem at all」は「全く問題ない」「まったく大丈夫」という意味の一般的な表現です。
例文
- “Is it OK if I come a little late?” “No problem at all.”
(「少し遅れてもいいですか?」「全然問題ありませんよ。」) - Carrying those heavy bags was no problem at all for him.
(あの重いバッグを持つことは彼にとって全く問題ではありませんでした。)
「Nothing at all」(何もない)
「nothing at all」は「全く何もない」という完全な否定を表現します。
例文
- There was nothing at all in the refrigerator.
(冷蔵庫には全く何もありませんでした。) - He said nothing at all during the entire meeting.
(彼は会議の間中全く何も言いませんでした。)
「at all」を使用する際の注意点
肯定文での使用制限
基本的に、「at all」は肯定文ではあまり使われません。
「I like this movie at all」のような表現は通常は正しくありません。肯定文で使う場合は、特定の文脈に限られます。
質問での失礼な印象
「Do you exercise at all?」のような質問は、「あなたは少しでも運動をしますか?」という意味ですが、「運動していないように見える」というニュアンスを含むことがあります。
相手によっては失礼に聞こえる可能性があるので、関係性や状況に応じて使い分けましょう。
皮肉としての使用
「at all」は皮肉を込めて使われることもあります。
特に、「Do you read the news at all?」のような質問は、「ニュースを全く読まないの?」という皮肉を込めたニュアンスになることがあります。
親しい間柄でない限り、このような使い方は避けた方が無難です。
「at all」と類似表現の違い
「whatsoever」との違い
「whatsoever」は「at all」と似た意味を持ちますが、より強い強調を表します。
通常、否定文で使われます。
例文
- I have no idea at all.
(全く見当がつきません。) - I have no idea whatsoever.
(全く全く見当がつきません。)- より強い否定
「in any way」との違い
「in any way」も「at all」と似た意味を持ちますが、「どんな方法でも」というニュアンスが強いです。
例文
- Can I help you at all?
(何か手伝えることはありますか?) - Can I help you in any way?
(どんな方法でも手伝えることはありますか?)- 方法に焦点
「at all」を使った会話例
会話例1:カフェでの注文
例文
- A: Would you like sugar in your coffee?
(コーヒーに砂糖は入れますか?) - B: No, I don’t take sugar at all in my coffee.
(いいえ、コーヒーには全く砂糖を入れません。) - A: I see. And milk?
(なるほど。牛乳は?) - B: Just a little milk would be fine. Do you have soy milk at all?
(少しだけ牛乳で大丈夫です。豆乳は少しでもありますか?)
会話例2:お礼の場面
例文
- A: Thank you so much for helping me move these boxes.
(これらの箱を運ぶのを手伝ってくれてありがとう。) - B: Not at all. I was happy to help.
(どういたしまして。喜んでお手伝いしました。) - A: It would have taken me hours to do it alone.
(一人だとそれを終えるのに何時間もかかっていたでしょう。) - B: It was no trouble at all.(全く問題ありませんでしたよ。)
まとめ:「at all」の使い方のポイント

「at all」は英語で様々なニュアンスを表現できる便利な表現です。
この表現の主なポイントをまとめると、
- 基本的に否定文で「全く~ない」という完全な否定を強調します。
- 疑問文では「少しでも」という意味で使われ、可能性を尋ねます。
- 「Not at all」は「どういたしまして」や「全然構いません」という返答としてよく使われます。
- 肯定文での使用は限られていますが、特定の文脈では「完全に」という意味で使われることもあります。
- 言い方によっては失礼に聞こえることもあるので、状況や相手との関係性に注意して使いましょう。
「at all」をマスターすれば、より自然で豊かな英語表現ができるようになります。
日常会話でぜひ活用してみてください。