「by no means」は英語でよく使われる表現の一つで、日本語では主に「決して~ではない」「絶対に~ない」「いささかも~ない」などと訳されます。シンプルな表現ながら、強い否定を表現するのに非常に役立つフレーズです。
この記事では「by no means」の基本的な意味から実際の使い方、類似表現との違いまで、例文を交えながら詳しく解説していきます。
「by no means」の基本的な意味
「by no means」の基本的な意味は「決して~ではない」「絶対に~ない」です。何かを強く否定する際に使われ、英語では「not at all」や「definitely not」と同じような意味を持ちます。
「means」は「手段」という意味があり、直訳すると「どんな手段を使っても~ではない」というニュアンスになり、それが「絶対に~ない」という強い否定につながっています。
例文
- This book is by no means boring.
(この本は決して退屈ではありません。) - She is by no means a beginner in cooking.
(彼女は料理において決して初心者ではありません。) - My opinion is by no means the only correct one.
(私の意見が唯一正しいというわけでは決してありません。)
「by no means」の文法と構造
「by no means」は副詞句として機能し、文中のさまざまな位置に置くことができます。
文頭、文中、文末のどこにでも置けるという点で非常に柔軟な表現です。
文中での使用
最も一般的な使い方は文中に置くパターンです。特に be動詞や助動詞の後によく置かれます。
例文
- Learning a new language is by no means easy.
(新しい言語を学ぶことは決して簡単ではありません。) - The project was by no means a failure despite some challenges.
(いくつかの課題があったものの、そのプロジェクトは決して失敗ではありませんでした。) - This restaurant is by no means cheap, but the quality justifies the price.
(このレストランは決して安くありませんが、品質が価格に見合っています。)


文頭での使用(倒置構文)
「by no means」を文頭に置く場合、否定の倒置構文を使います。
つまり、助動詞(または be動詞)と主語が入れ替わります。
例文
- By no means should you give up your dreams.
(決してあなたの夢を諦めるべきではありません。) - By no means do I suggest that you ignore the rules.
(決して規則を無視するよう提案しているわけではありません。) - By no means was the concert disappointing.
(そのコンサートは決して disappointing ではありませんでした。)
文末での使用
「by no means」は文末に置くこともできますが、この使い方は比較的少ないです。
例文
- I agree with your opinion by no means.
(あなたの意見に決して同意しません。) - The task can be completed in one day by no means.
(その仕事は決して1日で完了できません。)
「by no means」を使った様々な表現
能力や特性の否定
誰かの能力や特性について強く否定する場合によく使われます。
例文
- He is by no means stupid; he just learns differently.
(彼は決して愚かではありません。ただ学び方が違うだけです。) - She is by no means a poor speaker; she just gets nervous sometimes.
(彼女は決して下手なスピーカーではありません。ただ時々緊張するだけです。) - Their house is by no means small; it’s actually quite spacious.
(彼らの家は決して小さくありません。実際かなり広いです。)
状況や事実の否定
状況や事実について強く否定する場合にも使えます。
例文
- The situation is by no means hopeless; we still have options.
(状況は決して絶望的ではありません。まだ選択肢があります。) - This problem is by no means unique to our company.
(この問題は決して私たちの会社だけのものではありません。) - The project is by no means complete; we still have a lot of work to do.
(そのプロジェクトは決して完了していません。まだやるべきことがたくさんあります。)
意見や立場の否定
自分の意見や立場が特定のものではないことを強調する場合にも使われます。
例文
- I am by no means an expert on this subject.
(私はこの件に関して決して専門家ではありません。) - We are by no means opposed to change; we just want it to be carefully planned.
(私たちは決して変化に反対しているわけではありません。ただ慎重に計画されることを望んでいるだけです。) - She is by no means satisfied with the current solution.
(彼女は現在の解決策に決して満足していません。)
「by no means」と類似表現の違い
「by no means」と似た意味を持つ表現はいくつかありますが、ニュアンスや使い方に違いがあります。
「by no means」と「not at all」
「not at all」も「全く~ない」という意味ですが、「by no means」の方がより強い否定を表します。
また、「not at all」は主に応答として使われることが多いです。
例文
- This task is by no means easy.
(このタスクは決して簡単ではありません。)- より強い否定 - Are you upset? Not at all.
(怒っていますか?全然そんなことありません。)- 応答として
「by no means」と「in no way」
「in no way」も「決して~ない」という意味ですが、「方法」や「やり方」に関連した否定をする場合に使われることが多いです。
例文
- The report is by no means complete.
(そのレポートは決して完成していません。)- 一般的な強い否定 - In no way does this solution address the root problem.
(この解決策は根本的な問題に対処するものでは決してありません。)- 特定の方法や方式に関する否定
「by no means」と「by all means」の対比
「by no means」の対義語として「by all means」があります。
「by all means」は「ぜひ」「どうぞ」「もちろん」という肯定的な意味を持ち、「definitely」や「certainly」と同じ意味です。
例文
- Can I borrow your dictionary?
(辞書を借りてもいいですか?) - By all means! Feel free to use it.
(もちろんです!どうぞ自由に使ってください。) - Would you like to join us for dinner?
(夕食に一緒にいかがですか?) - By all means, I’d love to!
(ぜひぜひ、喜んで!)
「by no means」を含む一般的な表現
「by no means」を含むよく使われる表現をいくつか紹介します。
「by no means all」(すべてというわけでは決してない)
例文
- By no means all students enjoy studying mathematics.
(すべての学生が数学の勉強を楽しんでいるわけでは決してありません。) - By no means all experts agree with this theory.
(すべての専門家がこの理論に同意しているわけでは決してありません。)
「last but by no means least」(最後だが決して重要でないわけではない)
例文
- Last but by no means least, I would like to thank my family for their support.
(最後になりましたが決して重要でないわけではなく、サポートしてくれた家族に感謝したいと思います。) - Last but by no means least, we need to discuss the budget for next year.
(最後になりましたが決して重要でないわけではなく、来年の予算について話し合う必要があります。)
「by no means easy」(決して簡単ではない)
例文
- Finding the right balance between work and personal life is by no means easy.
(仕事とプライベートの適切なバランスを見つけることは決して簡単ではありません。) - Mastering a new language is by no means easy, but it’s definitely worthwhile.
(新しい言語をマスターすることは決して簡単ではありませんが、確かに価値のあることです。)
「by no means」を使った会話例
会話例1:仕事に関する会話
例文
- A: Do you think our project will be completed by next week?
(プロジェクトは来週までに完了すると思いますか?) - B: By no means. We still have several major issues to resolve.
(決してそうではありません。まだ解決すべき大きな問題がいくつかあります。) - A: Is there anything we can do to speed things up?
(スピードアップするために何かできることはありますか?) - B: The delay is by no means due to lack of effort. We just need more time for testing.
(遅れは決して努力不足によるものではありません。ただテストにもっと時間が必要なだけです。)
会話例2:評価に関する会話
例文
- A: Was the movie as bad as people say?
(映画は人々が言うほど悪かった?) - B: It was by no means perfect, but I still enjoyed it.
(決して完璧ではありませんでしたが、それでも楽しめました。) - A: So you would recommend it?
(じゃあ、おすすめする?) - B: By no means am I saying it’s a masterpiece, but it’s worth watching if you like the genre.
(決して傑作だとは言いませんが、そのジャンルが好きならば見る価値はあります。)
まとめ:「by no means」の使い方のポイント

「by no means」は英語で強い否定を表現するための便利な表現です。
この表現の主なポイントをまとめると、
- 基本的な意味は「決して~ではない」「絶対に~ない」です。
- 副詞句として文頭、文中、文末に置くことができます。
- 文頭に置く場合は、助動詞と主語の倒置が必要です。
- 能力や特性、状況や事実、意見や立場などの強い否定に使われます。
- 「by all means」(ぜひ、もちろん)と対義関係にあります。
- 「last but by no means least」のような一般的な表現にも使われます。
「by no means」をマスターすれば、英語でより強い否定表現ができるようになります。
日常会話からビジネスシーンまで幅広く活用できる表現なので、ぜひ使ってみてください。